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松柏類の芽摘み

松柏類の芽摘み

盆栽作りの上で大切な手入れの1つに芽摘みがあります。

芽摘みとは春から伸びる新芽のうち特に勢いの強いものを摘みとることで、次に出る二番芽の勢いを弱め全体を小さく作る目的があります。

特に短葉で締まった枝作りが大事な松柏類では、芽摘みや芽切りなどは欠かせない作業。目的に応じて正しい手入れが出来るようにポイントを抑えておきましょう。

松柏類の芽摘みの目的と効果

1、枝の間延びを防ぎ小枝を増やす
春から伸びる新芽をそのままにしていると、枝分かれせずに間延びし葉も長くなってしまいます。
芽摘みをすると新芽の伸びがそこで止まり、次に出る2番芽で細かい枝を増やすことができます。
2、樹高を低くする
芽摘みをすることで枝の力が抑えられるので間延びせず、枝が太りにくく全体的にコンパクトな樹形を維持することができます。
3、樹全体の樹勢を平均化する
芽摘みは全て同じ強さで行うのではなく、強く長く伸びる芽は強めに摘み弱い芽は長めかそのままにしておきます。
全体の枝の力を人為的に同じにすることで、下枝やフトコロ枝を維持することができます。
4、日当たりと採光を改善する
芽摘みは全て同じ強さで行うのではなく、強く長く伸びる芽は強めに摘み弱い芽は長めかそのままにしておきます。
全体の枝の力を人為的に同じにすることで、下枝やフトコロ枝を維持することができます。
5、短葉で締まった新梢を作る(短葉法)
芽摘みは短葉法の1つで、松柏類の芽摘みは短く締った葉を作るためのとても大切な作業でもあります。
そのため芽摘みをして新芽の力を抑え、そこから伸びる枝の太りを抑えたり葉を短く締まったものにします。

松柏類の芽摘みの注意点

新芽には害虫対策を

病気や害虫に強い松柏類でも新芽にはアブラムシやマツクイムシ、カイガラムシ類、ダニ類などの害虫や葉ふるい病などの被害に遭うことがあります。

特に樹勢の比較的弱い赤松や、五葉松、米栂(コメツガ)などは注意が必要です。

新芽の動く4月頃から夏場までは月に1回は定期的な殺虫剤を散布して病害虫を防除してください。松柏類の中には杜松など9月を過ぎても新芽の吹くものがありますから気をつけましょう。

スミチオンマラソンなどの殺虫剤やキノンドー(銅水和剤)などの殺菌剤が有効です。

松柏類の短葉法

短く締まった枝葉が古木の感じを思わせる松柏類では、樹勢を抑えるために鉢を締めたり灌水や肥料を控えめにする「痩せ作り」という培養方針があります。

しかし培養面だけで短葉の締まった枝を作るのには限界があり、芽吹く力も弱いため思い切った手入れに耐えられない欠点があります。

松柏類の芽摘みは、芽の力を抑えてその独特の葉を短くする短葉法の1つで、肥培で樹勢を維持しながら手入れができます。

短葉法ができる樹種は松柏類の中でも樹勢の強い黒松や錦松、赤松といった葉性の樹種に限られ、芽切りや葉すかし、葉刈りや葉抜きなど葉量を調整する作業も短葉に繋がります。

五葉松はもともと葉が短いので、芽摘みをする場合でも短葉が目的ではありません。杉や杜松、真柏の芽摘みも芽の勢いを抑えて枝数を増やすためのものです。

①芽摘み(4月中旬~5月上旬頃)

ミドリ摘み

ミドリを適当な長さで折り取る

黒松や赤松、錦松の新芽は「ミドリ」といって産毛のような鱗片で覆われたつくしの様な状態です。

マツ類の芽摘みはこのミドリを適当な長さを残して摘み取るためミドリ摘みといいます。

マツ類が1年間に伸びる枝の長さはミドリが伸び始める時期にはもう決まっているので、ミドリの状態のうちに今後の枝の伸びを考えて適当な長さで摘む必要があるのです。

ミドリ摘みのやりかたは伸びてきたミドリの葉がまだ開かないうちに半分~1/3くらい残して、軸の途中で折り取ります。残した芽の先端部分に生長点が再生され、翌年芽が作られます。

若木の芽は勢いがあるので、強い芽が1本でる枝もあれば3芽以上吹くものもあります。複数の芽が出た時は真ん中の一番強い芽を元から摘んで、弱い芽を2芽残しておきましょう。

赤松の芽摘み

特に樹芯のミドリ摘みは、摘み取る長さによって将来の樹高をどれくらいにするのかが決まるので大事な部分。

側芽や下部の芽の伸びは頂芽より1週間くらい遅いですから、伸びてきたら摘み取ってください。

やや樹勢の弱い赤松はあまり強い芽摘みはせず、樹勢をみながら残す芽の長さを長めに残すなどして調整してください。

マツ類の芽摘みではその他にも芽摘みの時期を遅らせたり(中芽切り)、全部の芽を摘み取る盲摘みなどがあり、どれも葉を短くする狙いがあります。

②葉刈り(4月中旬~5月)

クロマツの葉刈り

葉を半分くらいの長さに切る

葉刈りは黒松や赤松、錦松など葉が長く伸びる樹種の葉を適当な長さで切り取る方法です。

マツ類の葉刈りは主に若木や仕立て途中のものに行う作業で、葉刈りによって葉の表面積を減らして同化生成を少なくし、次にでる葉を短くさせる狙いがあります。

葉刈りの効果が最も高い時期は新芽の伸びる時期ですが、必要があれば他の時期に行うこともあります。

葉刈りの方法は4月中旬~下旬頃に1枝ごとに葉を束ね、ハサミで葉の長さを半分くらい残して切り取ります。

ハサミで切った葉は切り口から赤く枯れ込みますが、これを鑑賞するわけではないので気にしなくていいです。

クロマツの葉刈り

次に伸びてくる2番芽を短くするのが目的ですから、古い葉はそのままにしておいて秋になったら取り去ってください。この古い葉は非常に取れやすくなっているので簡単です。

黒松や錦松など樹勢が強く葉が長く伸びる樹種には、新芽の伸びる頃に葉刈りをすることによって次に出る葉を短く仕立てることができます。

③芽切り(7月頃)

芽切り

新梢を前年枝との境目の元から切り取る

芽切りはほぼ完成に近い黒松や赤松、錦松の葉を短く作り上げるための方法です。

この芽切りを毎年のようにやっているうちは幹の太りや役枝の伸びは期待できなくなりますので、仕立て中の若木は芽切りでなくミドリ摘みで形を作ることになります。

時期は7月頃。あまり早い時期に芽切りをすると秋に観賞する時には葉が伸びすぎている場合があるので遅めにしてください。

基本的には芽切りをする樹にはミドリ摘みは行わないで、そのまま伸ばしておきます。

ミドリ摘みをした樹でも、その後の樹勢が全体的に均一で、枝数もあって力がある樹なら芽切りをすることができます。

芽切りの方法は、新梢の伸びが落ち着いたら今年伸びた新梢を前年枝との境目の部分で、切り口をわずかに残して切り取ります。

芽切り後1週間~10日もすれば残した対の葉の元に翌年芽が複数できてきます。

芽切り

芽切りは一度に全部の芽をやってしまうと、勢いの強い頂部の芽から2番芽の再生が始まってしまい、いつまでも全体の力のバランスが取れません。

小さい盆栽なら全体の芽が出揃った頃に1回だけで済ますのが普通ですが、中品サイズ以上の盆栽なら適期中2~3回に分けて段階的に芽切りをします。

芽切り後に大事なことは、葉すかしをして残した枝の葉量を調整することです。

芽切りと葉すかし後に出る芽は伸びが弱く、葉も短くなります。

④葉すかし(6月下旬~7月中旬頃)

葉すかしは芽切り後に残った前年枝の葉を減らす作業です。

枝や芽の強さによって葉量を調整し、芽切り後に伸びる翌年芽の強さを揃える狙いがあります。

葉すかし

葉すかしの方法は、芽切り後の切り口近くに残った前年枝の葉が3対(1対2本)残るように、他の葉をハサミ等で切り取ります。

3対が基本ですが、枝の強弱によって強い芽は少なめに、弱い芽は多めに残すようにしてください。

葉すかし後1ヶ月もすれば残した対の葉の間に翌年芽が形成されます。

葉すかしは芽切り前の5月頃に行う人もいますが、芽切りと同時に行った方が手間がかかりません。

⑤芽かき(8月頃)

松柏類の芽かき

2芽残して掻き取る

芽摘みや芽切りをした後、8月をすぎる頃になると残した葉の元に二番芽が複数できます。

芽かきはその複数できた二番芽のうち必要な芽を2つのこし、残りをピンセットなどで元から掻き取ります。

芽かきをしないと車枝の状態になり、この部分が太くなってゴツゴツした印象になってしまいます。

強い芽や上下方向に付いた芽は芽かきの対象で、伸びる芽の方向を見て枝が自然な2叉になるようにします。

⑥中芽切り(8月下旬~9月頃)

幹を太らせるために春のミドリ摘みを控えたものは、秋口に入ったら強く伸びた新梢の途中で芽切りすることで小枝を増やす方法があります。

これを中芽切りといって、松柏類の中でも樹勢の強い黒松や錦松に対して行います。

不要な新梢はこのときに剪定しておき、葉の込んだ部分は葉抜きや葉刈りをして各枝の葉量を調整してください。

胴吹き芽が欲しい時は、一部残しておくとその部分に芽を呼ぶこともできます。

中芽切り

肥培管理が充分であれば1ヶ月ほどで切り口周辺や残した葉の元に翌年芽が形成されます。

樹木の肥大は主に秋に集中するので、中芽切りをしているうちは幹枝の太りはあまり期待できません。

また中芽切りをすると次の芽が育つまで観賞価値が落ちてしまうので、必要な時だけに行うものと思ってください。

特に秋の中芽切りは時期が遅れると2番芽の生育が悪くなるのであまり遅くならないようにしましょう。

春の中芽切り(3月上旬~中旬頃)

中芽切りは秋に行うのが基本ですが、前年伸びた新梢を放任状態にしたものなど荒れた素材の場合は春に行う場合があります。

適期は新芽が動きだす前の3月上旬~中旬頃で、各枝ごとに残した2本の新梢に対して中芽切りをします。

1ヶ月もすれば切り口周辺に胴吹き芽が形成され、6月頃になると力強く伸び出すので必要に応じてミドリ摘みや芽かきをしてください。

⑦葉抜き(10月~11月頃、2月~3月頃)

葉抜き

五葉松の葉抜き

葉抜きは文字通り葉をピンセット等を使って元から引き抜く方法のことです。

葉数が減るので樹勢を抑えられ、翌年芽の伸びを短くしたり、葉を残した部分から胴吹き芽を持たせることができます。

葉抜きは黒松以外で行われることはあまりありませんでしたが、樹勢ののった赤松や五葉松にも有効です。

適期は翌年芽が確認できるようになる9月~10月頃と、芽出し前の2月~3月頃にも再調整が可能。1芽につき葉を3対残すのを基本に全体の枝の強弱を同じにするように葉を抜き取ります。

弱い枝は多めに残すかそのままにして翌年の芽の力が均等になるようにしましょう。

胴吹き芽が欲しい場合は中芽切り剪定をして芯を止めておく必要があります。

葉抜きは慣れないと芽や樹皮を傷つけたり枝枯れの原因になってしまうこともあるので、手で抜かずピンセットで丁寧に抜いてください。

特に黒松の場合の葉抜きは重要な作業ですが、小さい盆栽では古葉取りだけでも充分です。

⑧古葉取り(10月下旬~4月上旬)

昨年(一昨年も含む)の葉を取り去る作業を古葉取りといいます。全体の葉をすかしたようになるので芽切り後に行う「葉すかし」と同義語に捉える場合もあります。

時期は休眠期に入る10月下旬~11月頃で、前年に古葉取りをぜず葉が込み合っている場合は生育期間中の4月~6月頃の間にも行います。

やりかたは古葉をハカマを残してハサミで切り取ってしまいます。胴吹き芽が欲しい時は、一部残しておくとその部分に芽を呼ぶこともできます。

もみあげ

黒松のもみあげ

古葉取りをしても、残した新葉が多ければ「もみあげ」をしてください。

もみあげのやりかたは、芽摘み後に伸びた夏芽の葉を先端から半分ほど残して鋏で切り取ります。

古葉取りやもみあげによって風通しや内部への日当たりが改善し、下枝やフトコロ芽を維持することができます。また葉量が少なくなるので、翌年の新芽の伸びを落ち着かせる効果もあります。

短葉法や樹形作りは1つの仕事だけで成し遂げられるものではありません。これらの手入れは適期だからといって必ず行うものではなく、樹勢や作りたい方向性によって見送る場合もあります。

それぞれの樹の状態をみて、芽摘みや選定、針金かけなど他の方法も合わせて行うことが大切です。

樹種別の芽摘み(松柏類)

クロマツの芽摘み

ミドリ摘み(4月中旬~5月上旬頃)

ミドリ摘みとはクロマツやアカマツの芽摘みのことです。

この時期は、産毛のような鱗片で覆われた状態の新芽が、つくしの様に伸びてまだ葉を開かせていないミドリと言われる状態の芽を見ることができます。

新梢の芽から葉がまだ開かない4月中旬~5月上旬くらいまでが適期で、若木や樹勢の強い樹に行われます。

マツ類の1年間に伸びる枝の長さは、ミドリが伸び始める時期にはもう決まっているので、ミドリの状態のうちに今後の枝の伸びを考えて適当な長さで摘む必要があるのです。

ミドリ摘みの方法

写真:クロマツのミドリ摘み

ミドリ摘みの方法は、伸びてきた芽を2本程残して、強さに応じて長さを決めて折り取り、各枝の強さを調節していきます。

側芽や下部の芽の伸びは頂芽より1週間くらい遅いですから、伸びてきたら半分から3分の2くらい残して摘み取るようにします。

特に樹芯のミドリ摘みは、摘み取る長さによって将来の樹高をどれくらいにするのかが決まります。

芽摘みは毎年繰り返すことによって摘まれた後の残りの芽から生長点が再生され、翌年芽が作られます。

マツの芽摘みではその他にも、芽摘みの時期を遅らせたり、全部の芽を摘み取る盲摘みなどがあり、どれも葉を短くするのに効果があります。

エゾマツの芽摘み(5月上旬~下旬頃)

エゾマツの整枝は、芽摘みによって作るといってもいいほど芽摘みは重要な作業となります。

基本的にエゾマツの新芽は房が膨らんできてから葉が開いてきますので、その新芽が開かないうちに指で引き抜きます。

エゾマツの新芽

まだ皮を被った状態のエゾマツの新芽

エゾマツは1年に1度しか芽が出ませんが一斉に芽が吹くのではなく1ヶ月くらいの間に順次出てきます。

そこで強い芽から順に摘んでしまうと、摘まれた芽は次の春にむけて準備を始めるので、次の年にはますます強い芽になってしまいます。

このような方法では当然弱い芽は遅れて摘むことになりますから、弱い芽はさらに弱くなってしまい、次第に全体の強弱に差が出てしまいます。

そこで新芽が全体の7割くらい出揃った頃に摘めるものだけを摘んで、後から出てくる弱い芽はそのままにして元気をつけさせてあげましょう。

エゾマツの新芽は発生しても暫くは皮に包まれた状態です。摘み方は、この新芽が伸び出した頃に指でつまんで摘み取ります。

摘み取る長さは若木や完成樹、樹勢の違いで調節しますが、若木の場合は半分くらい残して摘みます。

芽摘みの時は爪を立てたり、はさみで切ることがないようにしてください。

エゾマツの若木の芽摘み(5月上~下旬)

枝数を増やすための芽摘みは、まずは樹勢を付けさせるころが前提ですが、新芽を少し伸ばし気味にしてから摘むと、腋芽が吹いて枝数が増えてきます。

若木の芽摘みの方法は、伸びた新芽を半分残して指で摘み取ります。

ハサミを使ったりツメを立てたりすると摘んだところからヤケが入って見た目もよくありません。時期を逃してしまいハサミを使う時は、刃を斜めにいれて出来るだけ傷口を小さくするようにします。

エゾマツの完成樹の芽摘み(5月上~下旬)

エゾマツの完成樹の芽摘みは、樹形を整えるために行います。

伸ばしたい枝や弱い枝にはやや長さを残して摘みますが、基本的には新芽の1/3くらいを残して摘みます。

樹勢の弱っている木や太い枝を作りたい時は、芽摘みはしないで数年はそのまま走らせておきます。

錦松の芽摘み

ニシキマツの荒れた樹皮

錦松の割れた樹皮

錦松の樹皮は大きく割れるように裂けた独特の荒い幹模様が、鑑賞点のひとつとなっています。

ですから、錦松は主幹の肥大成長を図りながら全体の枝の勢いを均等に作っていくことになります。

錦松のミドリの伸長は非常に強い樹種ですが、一方で小さい芽はとても弱く、秋~早春にかけては少しの衝撃で枯れたり折れたりしてしまいますから注意が必要です。

錦松のミドリ摘み(4月中旬~5月上旬)

ニシキマツのミドリ

錦松の新芽(ミドリ)

錦松のミドリ摘みの実際は、クロマツの芽摘みとほぼ同じです。

しかしあまり強く芽摘みを繰り返すと、他の樹と同様に、返って樹勢を落としてしまいますから、特に強い芽の部分だけに行うようにしてください。

さらに10月頃になれば新梢も固まり落ち着いてきますので、不要な枝を剪定するようにすれば十分です。

錦松の秋の芽切り(8月下旬~9月上旬)

幹を太らせるために春のミドリ摘みを控えたものは、秋口に入ったら、強く伸びた新梢の途中で芽切り(中芽切り)を行って、小枝を増やす方法があります。

しかし樹木の肥大は主に秋に集中しますから、秋にあまり強い剪定を行うと幹の肥大を遅らせることにもなりかねません。

それぞれの樹勢に応じて、葉が込みすぎているところは春の芽摘みや葉抜き、葉刈りを代わりに行うなどの調節をしてください。

ニシキマツの芽摘み

錦松の春の芽切り(3月上~中旬)

錦松は秋の芽切りが基本ですが、前年の新梢がそのまま伸びきって荒れた素材の場合は、春に中芽切りができます。

方法は、各枝に2芽残した枝を新梢を途中で切ります。

勢いの弱い枝や、芯にしたい枝は切らずにおきます。

春の中芽切り後、6月頃になると切り口周辺から2番芽が強く伸びだしますので、各枝の樹勢に応じてミドリ摘みを行います。

ただし、春の芽切りができるのは、前年の秋からの施肥も十分で樹勢の強いものに限ります。

樹勢の弱いものに春の芽切りをするとさらに樹勢を著しく落としてしまいますから、注意してください。

シンパクの芽摘み(3月上旬~9月)

シンパクの新芽

シンパクの新芽(先端の部分)

シンパクは芽摘みによって小枝を増やしながら樹形を作っていきます。

うろこのような葉(鱗片葉)で覆われた独特の葉性も、芽摘みや用土・灌水など適切な培養管理をしてやることで、年々締ってよい樹になります。

シンパクは春先から秋口まで芽が吹きますが、極端に新芽が伸びることはありません。
若木や太らせたい場合はまず1年間は芽摘みを控え、力をつけさせるとよいです。

また、植え替えによる強い根の剪定や、枝の剪定、芽摘みが強すぎると、木が若返りトゲのある葉(杉葉)を発生させます。

これは2~3年培養すれば自然と元に戻りますが、大事な枝で杉葉が出てしまった場合は、数年はそのまま我慢して、それでも戻らなければ樹形を考え直したほうがいいかもしれません。

また、シンパクは一般的に葉刈りや葉抜きは行われませんが、夏に古い葉を落とす古葉刈りをして、全体の風通しを改善します。

シンパクの若木の芽摘み(3月上旬頃~)

シンパクの芽摘み

若木の場合は芽摘みをすることによって枝数を増やし締った葉を作ります。

全体のバランスを見るのはもちろんですが、作業は一枝ごとに分けて、不要な枝芽や長すぎる枝、ただ伸びるだけで将来枝にならない葉は元から抜きます。

また枝分かれ近くの葉も切り取り枝をはっきりさせておきます。

やや太い枝はそのまま残してジンにすることもできます。

シンパクの摘み方

シンパクの芽は元から摘むように

芽摘みの仕方は、芽が混み合っている枝は2叉になるように、新芽の元を2~3節残して摘みます。

先端の新芽だけ摘んでしまうと傷口が目立っていけませんから、必ず枝分れの部分で摘むようにしてください。

残した芽から次の芽が吹き、枝数が増えると次第に摘んだ跡も見えなくなってきます。

シンパクの完成樹の芽摘み(3月上旬頃~)

新芽の先だけを摘むとヤケが目立ちます

完成樹の摘み方は、ハサミは使わずに新芽が伸びるたびに指先でつまんで、新芽を分岐の元から引き抜きます。

先端を摘むと切り口からヤケを起こしてよくありません。

また、毎年芽摘みだけ繰り返していると枝葉が団子状になってきますから、3年に1度くらいは不要枝を整理し、枝をすかして更新する必要があります。

ヒノキの芽摘み(5月~9月)

ヒノキもシンパクと同様に、鱗片葉でかつ扁平な葉性をしています。

ヒノキには、葉が小さく1カ所からいくつも芽が吹く八房性(姫性)があり普通のヒノキとは区別されます。

八房性よりもさらに葉が細かく縮れているものに石化ヒノキがあり、盆栽でも人気の樹種です。

また、ヒノキの仲間には一見して葉もよく似ているサワラやアスナロなどかあり、矮性の園芸品種チャボヒバなども人気です。

ヒノキ・八房ヒノキは、5月~9月の間絶えず新芽を出すので、そのたびに新芽を摘んで間延びを防ぎ、小枝を増やします。
新芽は鮮やかな緑色をしているので、古い葉との区別は簡単にできます。

ヒノキの芽摘み

摘み方は、シンパクと同じです。

新芽の元を2~3節残して、芽の先を指で抜き取ります。

新芽の部分だけを摘むとヤケが目立ってよくないですから、2叉になるように枝分れの元から摘むようにしてください。

一つ一つの枝は扇型になるようにはみ出た芽を取り、全体の樹形も緩やかな三角形になるように心がけると形がよくなります。

カラマツの芽摘み(5月中~下旬頃)

カラマツは樹勢が弱い上に手入れの方法があまり知られておらず、盆栽仕立てのものはあまり見かけることができませんが、芽出しの淡い緑は花のように美しいと言われています。

カラマツの樹形作りも芽摘みが重要で、樹勢が弱るからと芽摘みを怠るといつまでも枝が増えず盆栽らしい姿にはなってくれません。

芽摘みの適期は新芽が伸びてくる5月中旬~5月下旬頃になります。新芽は5cm程伸びてきたところを見て半分くらい残して鋏で摘み取ります。

芽摘み後、8月頃に再び2番芽が吹いてきますが伸びは弱いですからそのままにしておき、8~10cmくらい伸びてきたら2~3芽残して切り取ります。

コメツガの芽摘み(5月中旬頃)

コメツガはイチイと同様に非常に芽吹きがよく、芽摘みの方法もイチイと同じように行っていいのです。

芽摘みの適期は新芽のまだ柔らかい5月中旬頃になります。

未完成のものや若木の場合は、半分~1/3程度を残して摘み取ります。完成に近いものだと2/3くらい摘み取ってもいいでしょう。

他の樹種と同じように、完成の程度や樹勢に合わせて一枝一枝確認しながら、面倒でも丁寧に芽摘みを行うように心がけてください。

コメント

ルパン さん 2016年10月11日11時52分
初めまして。盆栽歴4年、技術が伴わず
黒松の葉切りで悩んでいたところ、こちらのサイトに出会いました。
イラストがとても分かりやすく、勉強になります。

教えていただければ助かります。
曲付けの練習にと黒松の苗をポットで購入しました。
7月に芽切りをした後は芽かきもせずに、水やりだけの状態で
今は葉が10㎝程に伸び、ぼさぼさです。(写真を見て頂けるとわかりやすいのですが)

ある本では12月に葉切りををするとありましたが、こちらでは
4月中旬から下旬にかけてとあり、迷っています。
また、作業としては葉切りがベストなのでしょうか。
よろしくお願いします。
きみ さん 2016年10月11日13時34分
ルパンさん
いつも見てくださってるとのことでありがとうございますm(ーー)m
クロマツは特によく日に当て肥料を効かせることで締った葉になります。鉢も小さめに締めて、土も硬く植えます。
肥料が少なかったり、日照時間が短いと葉が伸びてしまいます。
若木は樹勢が強いので葉が暴れてしまいやすいですよね
肥料の効きが短葉の効果として見えるのは翌年以降なので、まずは日頃の管理を見直しています。
さて葉切りですが、ここでは春を適期としているのですが、樹の状態により他の時期になさる人もいますので絶対に今!とかではないかな、困らせてすみません。古葉は今時にとりますけど
ただルパンさんのお話だと、ちょっと樹勢が落ちているのではと思うので、冬越しのための力を付けるためにも春以降に手を入れたほうがよいと思いますよ
今は肥料も欠かせない時期です!
ルパン さん 2016年10月12日11時44分
ルパンです。
アドバイス有難うございます。よく観察していなかったことが原因なので
来春の作業のためにも、これからのことしっかりやっていきます。

また、よろしくお願いします。
盆風 さん 2017年04月27日13時17分
イラストも大変分かりやすいので参考にさせて頂いております。今年五葉松の新芽が多く雄花を付けて出てしまいました(雄花がない新芽もあります)。これは早々に(この4月末でも)全て芽切りをしてしまった方が良いのでしょうか?また、雄花ができてしまうということは何か原因がありますか?ご教示頂けると幸いです
きみ さん 2017年04月28日11時36分
盆風さん
コメントありがとうございます。
花は早めに取ったほうがいいと思います。原因はよく分かりませんが、枯れる前に子孫を残すために狂い咲きすることもあるって聞きました。
弱っているか、去年花芽の付く条件がよかったのか本当のことは分かりませんが、花要らないので取っちゃいましょう。
Ken さん 2018年05月16日16時46分
キミコ 様

お世話になります!
先日のアドバイスから、
葉すかしをして見ました。
自分なりに、理解してるつもりですが…
間違ってないでしょうか?
できましたら、
黒松以外の初心者向けを教えてください。
よろしくお願い致します!
きみ さん 2018年05月16日18時20分
Ken さん
悪くはないのですが、わたしがいいたいことがうまく伝えられていないようです。葉量が多すぎるので、⑧の古葉取りの要領で古葉のハカマのところから切ってください。作業は6月~7月頃でもいいかなと思います。
黒松以外とは、具体的にどんな記事が必要です?サイト内の修正追記はいつもやってるのですが(今は芽摘みを中心に更新中)、正直間に合っていないので希望があればそれからやります。

世田谷区にいましたが、盆栽のための広い土地を求め移住計画中。小さい盆栽を中心に山野草や鉢作りも楽しんでいます。

動物も好きで猫を飼っています。初代愛猫『アロ』は天国へ行ってしまいましたが、新しい家族を迎えて仲良く暮らしています。

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