フジ(藤)の育て方

投稿日:2015/05/21 更新日:2024/06/28(4)

フジ(藤)の育て方

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フジ(藤、学名:Wisteria floribunda、別名:ノダフジ)はマメ科フジ属の蔓性落葉木本。

5月を彩る蔓もの盆栽の代表的な樹種で、観賞期を迎える4月頃から園芸店にも多くの鉢植えが出回っています。

丈夫な性質で根の成長も早く、しばらく植え替えしないと鉢を割る程です。

花付きよくコンパクトにまとまる一才フジや、白花品種も人気で、ヨーロッパ原産でマメ科キングサリ属のキングサリ(キバナフジ)もあります。

フジの花によく似たニワフジ(庭藤、学名:Indigofera decora)は、コマツナギの仲間。同じマメ科樹種ですが、蔓は伸びずコンパクトにまとまります。

1.フジの培養の基本

フジの管理場所

日本固有種のフジ(ノダフジとヤマフジの2種)は本州から四国・九州の温暖な地域に分布していて、日当たりのいい山野の川辺や雑木林など湿気のある場所に自生している姿を見ます。

日陰でも芽生えれば周囲の草木にツルを絡ませながら日当たりの良い場所を求めて枝を伸ばし、他の樹への日照を妨害して枯らせてしまうほど旺盛に枝葉を広げます。

フジはとても日照を好む樹ですから、盆栽として育てる場合も年間を通じて日当たりのいい場所に置くのが理想的です。

春先の新葉は組織が柔らかいので少し垂れ下がるようになりますが、気温が高くなってくるにつれて組織も固まり、しっかりと立ち上がってきます。

夏の強光にももろともしない性質ですが、小さく持ち込んでいるものは水切れしやすく葉を傷めることがあるので、盛夏期は半日陰(直射日光を避けた木漏れ日のような日差し)で管理した方が安心です。

寒さにも強く特別な保護は必要ありませんが、冬の乾燥した外気に当たらないように棚下やムロ内で管理してください。

フジの灌水

フジの水やりは腰水で水切れ防止

藤の灌水は腰水で

フジを始め水辺に自生がある樹種は、水切れのリスクを考えると腰水が楽。夏場はボウフラが湧くこともあるので、数日に1回は入れ替えをするのをお勧めします。

水をたいへん好み、水のやり過ぎで根腐れを起すこともないので、とにかく水を切らさないように管理してください。

葉が展開してきてからは特に乾きが早いので、新芽が開いてから9月一杯までは腰水管理が安心です。

腰水のやりかたは、鉢の下1/4くらいが水に浸かるように受け皿に水を張り、毎日の灌水はこの水が干上がる前に上からたっぷり与えます。根詰り気味のものは、水位が低いと十分に水を吸い上げませんので、多めに張るといいと思います。

水を充分にやることで水分を求めて根を伸ばす必要がなくなり、その結果、枝の徒長も抑えられて花芽を多く付けさせることに繋がります。

フジの施肥(春から夏まで継続し、秋の彼岸頃に止める)

肥料をとても好むので、生育期間中はしっかり肥料を効かせることが花付きをよくするコツの1つです。

花後新芽が伸びてくる4月下旬頃から8月頃までは肥料を切らさないようにして、秋の彼岸頃(9月下旬)には肥料を止めます。

夏の土用(7月中旬~)以降の肥料が多いと、花芽を作ることより枝葉の充実に力を使うようになってしまうので、花を見る段階のものは控え目にしてください。

花後の植替えをしたものも直後から施肥ができるので、花芽分化の7月中旬頃までにしっかり肥料を効かせてください。植替え後1ヶ月~1ヶ月半の肥培が、来年の花付きに大きく影響します。

とにかくフジは肥料の不足で花がつなくなったり樹勢が落ちたりしますから、腰水にも液肥を加えておくのがいいと思います。

フジのようなマメ科の樹種は根粒菌の働きによって空気中からもチッ素を吸収しているので、チッ素過多にならないようにリン酸やカリウムの割合が多めの肥料を与えることもポイント。

常用の油かす肥料にリンカリ追肥するのでもいいですが、リン酸分の多い花もの向けの肥料を使うのが簡単です。時には液肥も併用して、葉色を維持してください。

生長期に葉になんとなく元気がなかったり、黄変するようなことがあれば、肥料不足やカルシウム欠乏が原因です。カルシウム欠乏は苦土石灰で改善しますが、与えすぎると他の栄養素の吸収を阻害するので、年1回程度与えるくらいにしておきましょう。

2.フジの苗木の入手と繁殖法

フジは園芸的に楽しまれる樹種でもあるので、苗木は園芸店でもいいものを見つけることができます。

観賞期になれば多くの接木苗が出回るので、花芽のついているものを買って盆栽に仕立てると良いでしょう。

紫花系統の一般的な園芸品種の他、小品盆栽向きの一才フジや白花品種、八房種、房の短い達磨フジなどもありますから、花付きの良さもチェックして買い求めてください。

ツル物樹種は人工的に整枝をしなくても不思議と形ができてきます。むしろ他の盆栽では嫌味になりそうなナベヅル的な整枝をしてもさほど気になりません。

高接ぎしてあるものは継いである場所から枝を下げて懸崖風にしてもよいですし、接木や挿木、取木でも改作や繁殖が可能ですから、花芸や見所を見つけて選んでください。

芽動き前の3月頃に、花付きのいい枝を継げば、花を見ながら枝を作っていく楽しみも味わえます。

実生も可能で、網伏せなどでは立ち上がりがよく太った、面白い幹模様の盆栽ができます。花芽が付くまでには最低でも5~6年を要しますが、接木や挿木とは格別のものができるのでお勧めです。

フジのサヤと中の種

フジの種は扁平で、ビロード状の毛に覆われた固いサヤに入っている。種が熟する秋頃にペンチなどでサヤを割り、取り播きすれば春には高い確率で発芽します。

3.フジの病害虫と対策

接木苗

一般的な接木苗の状態。このような苗を購入する際は、接ぎ口の位置や傷の大きさ、台木と接ぎ穂のバランス、樹液が染み出していないかをチェックしておきたい。

フジノキクイムシ、マメコガネ、マメドクガ、ミノガ類、カイガラムシ類、ハゴロモ類、カメムシなどフジに付く害虫は存在しますが、不思議と盆樹ではほとんど見られません。

定期的な消毒と肥培管理で樹勢が維持できていれば、病害虫は付きにくい丈夫な樹種です。

まれに幹枝にコブができる「コブ病」と呼ばれる細菌性の病気がありますが、日当たりや風通しなどの培養環境が整っていれば発生することはありません。

接木傷が侵入口となって根頭癌腫病にかかるものも稀にあるので、癌腫が疑われるコブがあれば綺麗に切除し、マイシン系の殺菌剤を定期散布して被害の拡大を防いで下さい。

接木素材を購入する際は、接木箇所から樹液が滲み出ているものは避け、傷口がしっかり塞がっているものを選びましょう。

4.フジの適期作業

フジの作業カレンダー

植替え(3月中~下旬、花後)

花を見ない養成木は、芽動き前の2月~3月中旬頃が植替え適期です。

観賞出来るようになったものは、開花前に植替えをすると花が萎縮してしまうことがあるので、秋か、花後に剪定と葉刈り(葉すかし)を伴わせて根の整理をした方が安全です。

あまり遅くまで観賞していると植替え適期を逃してしまうので、樹勢維持のためにも7~8分咲きくらいで花ガラを摘むようにしましょう。

花が咲く頃にはすでに葉もしっかり展開しているので、根を切る際は枝葉も相当整理して、地下部の水の吸い上げと地上部の蒸散量のバランスを取らなければいけません。

花付きを良くする工夫―太根は残して締めて植え付ける

根の張りは旺盛ですが、強く切り込むと花付きが悪くなり、樹勢もかなり落としてしまうので要注意です。

マメ科の樹種に共通して言えることですが、特に太い根は吸い上げに大きく影響しているのでむやみに切り詰めるようなことはしないで、できるだけ生きている白い根や細根を多く残すようにしましょう。

植替え頻度は3~4年に1度で充分。根の生長は早いのですが、頻繁に植替えると根が勢いよく伸びて花付きが悪くなることがあります。

花芽を付けさせるためには根の生長を抑え枝を徒長させないほうがいいので、鉢もあまり緩めないようにしてください。長い根は無理に切らずに残してありますから、グルグルまいて鉢に押し込むようにして植え付けます。

フジの場合、根詰りで心配なのは灌水のムラ(通常の灌水では中まで水が通らない)ですが、フジは過水にしても根腐れを起こさないので、そのような意味でも腰水管理をお勧めします。

用土は花付きをよくするために荒木田土で固く植え付ける方法が知られていますが、鉢を締めていれば赤玉単用でも充分です。

鉢は、花姿とのバランスを取る意味でもやや深めの鉢を選びましょう。ゴロ土を敷くと根が余計に走ってしまうので、基本用土だけで植え付けるようにしてください。

芽摘み(5月~6月)

フジの場合の芽摘みは主にツルを切ることで、花後の剪定と時期的に重なります。

フジの花芽は早いものでは6月~7月中旬頃に分化するので、芽摘みや剪定は花後の6月頃までに終わらせ、夏以降に伸びる枝は秋の剪定まで残すようにしてください。

芽摘みの基本フォームは、新芽が伸びて本葉が4~5枚ほどに伸びてきたら1~2芽または2~3芽残して摘みます。

花の付け根に葉芽があるので葉芽を残して花柄を切り取ります

フジは葉がついていない枝元にも葉芽がついているので、枝元の芽も数にいれて短く切り詰めてください。花が咲いた元の部分にも葉芽がついていますから、観賞が終わったら葉芽を残して花がらを取っておきましょう。

フジの葉は、羽状の小葉が互生に付く性質(奇数羽状複葉)で、勢いのある長い蔓には20枚近い小葉を付けます。

このような伸びる蔓(徒長枝)には花はつかず、伸長生長に力をとられて姿が崩れてしまうので、強くのびるものは摘んで節の短い小枝を充実させるようにしましょう。

ただし、伸びるからとやたらに摘むと周りの枝が伸び出してしまうこともあります。花を期待しない養成木ならどんどん摘んでいいのですが、鑑賞段階のものは樹勢の調節も考えた芽摘みが必要になります。

短枝も十分で、蔓が1~2本という状態の場合は、敢えて蔓を犠牲枝として残すか、邪魔になるなら先端だけ摘んで、力の分散を抑えておきましょう。

夏を過ぎれば花芽も確定して伸長生長も落ち着きますから、必要な所まで切り戻しておいてください。

フジの芽摘み

フジの芽摘み:伸びる蔓は節間が間延びしないうちに2~3節で摘む。元にも芽があるのでそこから数えます

樹形を変えたくない場合は芽元の1節を残して切ることもできますが、この場合は枝数は増えませんから注意してください。

なかにはあまり伸びない枝もありますから、6月頃まで待って伸びが完全に止まるようならそのままにします。

フジの花芽形成は他の樹種より少し早めで(多くの場合、夏の土用頃)、早いものは6月の終わり頃には花芽ができています。この段階で樹形を乱すような徒長枝には花芽はほとんど用意されていないので、必要なだけ残して切り戻しておいてください。

養成木の場合、太らせるために伸ばしたい枝でも、間延びさせてしまうとその間の枝ができず、結局使えない枝になってしまうので芽摘みは欠かせない作業です。一気に伸さず適宜摘んで、「今年はここまで、来年はここまで」という風に徐々に枝を作るようにしたほうが枝数も増え、コケ順も自然になります。

フジは落葉後の姿はあまり見られたものではないと言われますが、古くなれば幹肌も荒れてきますから、夏のうちにしっかり芽摘みをしていれば枝も充実し、冬の姿も愉しめると思います。

剪定(11月~3月)

整枝のための剪定は休眠に入る晩秋~芽出し前に行います。

夏の間に芽摘みや枝の整理ができているものは、冬の剪定はほとんど必要ありませんが、樹形を乱す不要な枝や間伸びした枝があれば整理してください。

太枝の剪定も安心してできますが、切り口から灼け込むことがあるので必ず癒合材を塗っておきましょう。

芽出し前には花芽と葉芽の区別もはっきり分かるので、花芽を残して不要な枝や伸びすぎた枝を整理して観賞に備えてください。

針金かけ(7月~8月上旬)

フジのようなツル物樹種は、人工的な整枝をしなくても自然に姿が出来てしまうので、針金掛けはあまり必要ないのですが、若木のうちの幹模様のしつけや、枝向きの矯正なら7月~8月上旬頃が適期です。

盛んに伸長成長をしていた枝は、土用を過ぎると固まる時期なので効きもよくなります。

若い枝は曲げやすいのですが、太枝を曲げる場合は引っ張りや枝吊りも合わせて行うと無理がありません。

できるだけ樹の流れや花姿を意識した矯正を心がけてください。

5.関連ページ

フジ(藤)の魅力

フジは温暖な地域の日当たりのいい肥沃な湿地に自生が多く、長く伸びる地上部と同じく根も相当に長く地中を這う性質があります。その根は空気を多く含む構造を持っていて、……