イチイ(一位)の芽摘み
投稿日:2018年05月17日 更新日:2021/04/29
イチイは丈夫な性格で切込みにも強く、樹勢が充分であれば太枝からも胴吹きするので作りやすい樹種です。
ただし元気だからといって、強い切込みや整枝を無謀に行うと弱らせる原因となるので、イチイの仕立ては春の芽摘みと数年に一度の切込みで作るつもりでいてください。
なかでも芽摘みは小枝を充実させるためには欠かせない作業で、枝の間延び防止や、各枝の力の調整、フトコロ芽の保護、風通しや採光の確保などを目的として行います。
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1.イチイの芽摘みの適期と方法
作業の適期は、新芽の軸が伸びて葉が開いてくる4月下旬~5月上旬頃(関東目安)。
新芽は柔らかく指で簡単に摘めるほどで、色味も明るい黄緑色をしているので、前年葉との区別は簡単です。
作業自体はそう難しいことはなく、指やハサミで伸びた新芽を適当な長さの所で摘み取ります。
全体の輪郭線をみて、頂部の強い芽は短く、下枝やフトコロの弱い芽は長めに残して上下のバランスを取ってください。
枝作り中のものは半分くらい、完成に近いものは元に1/3~1/4くらい残して摘みます。芽摘みをすると新芽の伸びが止まり、枝元にポツポツと芽を持つようになります。
イチイの新芽は一度に出揃うわけではないので、伸びてきたものから順に芽摘みを行い、2番芽も同様に伸びたらまた摘むという具合に芽摘みを繰りかえしてください。
こうした芽摘みを繰り返すことで段々と小枝が増え、間延びのない締った樹に作ることができます。
養成木や幹枝の太りを得たい場合は、数年は芽摘みをしないで思い切り伸ばしておき、秋の彼岸過ぎ~10月頃に切り込んで形を整え、翌春から小枝作りにはいってください。
2.イチイの古葉取り
イチイは剪定すればその箇所からいくつも芽を出す性質がありますが、他の樹種のように葉腋に芽を持つわけではなく、むしろ葉を抜いた箇所に芽を作る性質があります。
そこで枝元の古葉を取ってフトコロ芽を刺激し、枝元に芽を持たせる目的で秋に古葉取りを行うことがあります。
古葉取りの適期は10月下旬~11月頃。ハサミで古葉(前年葉、前々年葉)を切り取ります。中途半端に残すと残った葉で活動を続けようとするので元から取り去ってください。
古葉取りは冬の間もできますが、秋に行った方が胴吹き芽の形成が早い分、春までに準備される芽数も多くなります。
古葉を取ることで枝元がスッキリするので、合わせて針金かけもできます。
ただし、休眠に入るころの整枝は枝が固く曲げにくい上、冬期の管理にも注意が必要ですから、無理に曲げるようなことは避けてください。
3.イチイの芽かき
イチイは胴吹きが旺盛なので枝作りのしやすい樹種ですが、剪定した箇所からも芽を多数発生させるので、芽かきが大事な作業になります。
芽かきをしないとその部分が太って見ためがよくないので、枝として利用しないものは早めに掻き取ってください。
一カ所にいくつも芽が出た場合は全て掻き取るか、1~2芽残して枝作りに使います。
芽かきをすることで残した枝に力がまわるので、小枝作りに専念できます。
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