杜松(トショウ)の芽摘み

2018年05月13日

杜松の芽摘み

杜松は芽吹きが旺盛で、葉も込みやすいので樹形の維持には小まめな芽摘みが欠かせない樹種です。

枝先だけでなく摘んだ箇所や古枝からも芽を吹くため、元芽を活かして小さく作ることが可能です。

年月とともに趣が増す樹種ですが、長く持ち込むことが難しいとも言われる杜松。芽摘みをしないとすぐに葉が茂り、内部の採光や風通が損なわれて枝枯れしやすくなります。

芽摘みの時期と方法

杜松の芽摘みは新芽がある程度伸びてきた頃からできますが、暖地性の植物で寒さに弱い性質があるため早い時期での手入れは避けて下さい。

関東なら4月下旬~5月頃、必ず新芽を一旦伸ばし気味にして勢いがついてから摘むことです。

伸びる度に細かく摘む方法もありますが、一度伸ばしてから芽摘みをした方が力がつき元から芽がよく吹きます。

樹勢がのっていれば初夏までに2回の芽摘みが可能で、その後に強く伸びる芽は9月頃まで摘むことができます。

杜松の芽摘み

杜松の芽は伸びながら1カ所からいくつも芽を出す性質があるので、強く伸びる芽から摘んでください。

杜松の芽当たり

※芽当たりの部分。
もう少し小さい段階で摘んでもよい

枝が込み合ったものは内部に芽が絡んでいることが多いので、不要な芽は早めに掻き取り、残す場合は引っ張り出して芽摘みをしてください。

ある程度枝のできた段階のものは、一旦伸びた芽を定めた輪郭線を目安に切り戻すように芽摘みします。

枝元に芽当たり(※)があればその上で切った方が確実ですが、間延びしているものは芽当たりを無視して短く切り詰めても吹いてきます。

葉が込みやすい杜松は、不要な芽を整理することも大切。

同じところからいくつも芽が出れば2芽残しで残りの芽を切除し、下向きで芽起こしのしようがないものも早めに取り去って内部を出来るだけスッキリさせておきましょう。

杜松の芽

芽摘み後に動く芽

樹勢が充分であれば、芽摘みした箇所や古枝からプツプツと小さい芽が吹いてきます。

その後に伸びる芽は強い芽から適宜芽摘みを繰り返し、フトコロ芽を大事にして全体をコンパクトに作りましょう。

完成樹の芽摘み

完成樹も一旦伸ばしたほうが良い

完成樹の芽摘みは主に樹形を維持する目的で行うため、芽がまだ伸びないうちに摘む方法があります。

芽が膨らんで輪郭線からはみ出し始めた段階で指やピンセットで摘むのですが、新芽を指で摘んでばかりいると次第に樹勢が衰え、枝枯れしたり芽先が団子状に固まって見た目がよくありません。

完成樹の芽摘み

特に老樹は新陳代謝が弱く芽摘みの影響が大きいので、通常の芽摘みと同様に5月頃まで伸ばして摘み、その後は枝の強さを見ながら芽摘みをしたほうがいいでしょう。

樹勢の弱っている木や太い枝を作りたい時は、芽摘みはしないで数年はそのまま走らせてください。

杜松の古葉取り

杜松は葉が込みやすいので、内部の採光や風通しが悪くなったり、夏は蒸れて枝枯れの原因になります。

杜松の手入れは芽摘みと内部の掃除に終始しますから、芽摘みの時期から9月頃までは古葉を掃除してフトコロ芽を保護してください。

杜松の古葉とり

杜松の葉は何もしないと古葉(昨年葉と一昨年葉)がついたままの状態です。葉は古いものから自然に黄色くなって落ちますが、盆栽ではこれらの古葉を強制的に落としておくことが望ましいのです。

杜松は古葉を取ることで枝元に芽吹きが促されるので、芽摘みと平行して古葉取りも随時やってください。

新芽は白緑色の軸をしていますが、古葉は茶色っぽい枝から出ています。それをピンセットで丁寧にとりますが、無理にやると樹皮を傷つけて枝が枯れてしまうので注意してください。

杜松の古葉取り

枝の流れと逆方向に引っ張る

葉の伸びている向きとは逆の方向に力を入れると取れやすいので、力の加減に注意しながら古い葉から取り去ってください。

軽く引っ張っても取れないものは無理に取る必要はありません。

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