松柏類の針金掛け

更新日:2019/10/29

松柏類の針金掛け

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松柏類は針金整枝に強い樹種がほとんどですが、杉や唐松、米栂のように針金を嫌うものや癖の付き難いものもあります。

針金掛けの難しい樹種でも、盆栽として仕立てるためにはある程度の矯正が不可欠。時期や方法を知れば失敗も少なくなります。

松柏類の針金かけの時期

松柏類の針金掛けは、特別な保護設備が無い限りは厳寒期を除いた休眠期間(10月中旬~3月頃)に行います。

休眠期間中は形成層と木質部が密着している状態で針金が効きやすくなっています。また、樹液の流動が少ないため整枝前の剪定が可能で、ヤニで樹皮が汚れる心配も少ないのです。

1番いいのは芽出しを控えた2月下旬~3月頃で、思い切った矯正が可能。真冬を迎える前の10月中旬~11月は軽い整枝に向いています。

外すのはできるだけ新芽の伸びる時期を避けた時期が良く、9月~11月頃が適期。ただし食い込みそうであれば時期や期間関係なく外してください。

寒さに弱い杉や杜松は冬の針金掛けは厳禁。外気温が上がる5月頃からの整枝が鉄則です。

軽い針金かけ(10月中旬~11月頃)

生長が止まり休眠期に入る10月中旬~11月は小枝など比較的軽い矯正に向いています。

ある程度樹勢の出来上がった樹を整えるのにも適していて、ムロ入れ前の軽い整枝ができます。

ただし真冬を控えたこの時期は、強く曲げると寒害の影響を受けやすくなるので無理をしないようにしてください。

強い針金かけ(2月下旬~3月頃)

太枝や全体の思い切った矯正は2月下旬~3月頃が適期。

活動が始まるこの時期は癒合組織の形成も活発なため、多少の損傷でも回復が早いと考えられています。

根の強剪定をする植え替えの適期が早春に多いのもそのためです。

ただしこの場合も一度で無理に曲げようとせず、数年かけて徐々に曲げるつもりで実施してください。

主要な松柏類の針金掛けの適期一覧

樹 種

針金掛けの適期 特徴と外す時期
黒松
(クロマツ)
10月中旬~11月
2月下旬~3月
若木は2~3年、老樹は3~4年で外す
赤松
(アカマツ)
9月中旬~11月
2月下旬~3月
黒松より枝が柔らかく曲げやすいが樹勢はやや弱い
若木は2~3年、老樹は3~4年で外す
五葉松
(ゴヨウマツ)
同上 幹や枝が柔らかく整枝に強い
若木は2~3年、老樹は3~4年で外す
真柏
(シンパク)
同上 枯れることはあまりないが枝が裂けやすいので注意しながら若木のうちに行い、2~3年で外す
杉葉が出ているうちは掛けない
錦松
(ニシキマツ)
同上、新梢は6月~7月 錦化しているところにはかけないようにすること
若木は2~3年、老樹は3~4年で外す
蝦夷松
(エゾマツ)
同上 枝は柔らかく折れにくいが、癖がつきにくい
若木は1~2年、老樹は2~3年で外す
癖がついていなければかけ直しが必要
唐松
(カラマツ)
同上 枝は柔らかく折れにくいが、癖がつきにくい
若木は1~2年、老樹は2~3年で外す
癖がついていなければかけ直しが必要

(ヒノキ)
同上 枝が強く針金が効きにくい
若木は3~4年、老樹は4~5年で外す
一位
(イチイ)
同上 樹皮が薄いので傷つきやすく、癖もつきにくい
成長が遅いので3~4年は掛けたまま
杜松
(トショウ)
5月~6月 古くなると幹や枝が硬くなるので若木のうちに基本樹形を作る。
若木は2~3年、老樹は3~4年で外す

(スギ)
5月~6月 冬は枝が折れやすいので暖かくなってから
成長が早いので食い込む前に外す
御柳
(ギョリュウ)
5月~7月 古枝は硬く折れやすいので新枝に掛ける
若木は1~2年、老樹は2~3年で外す

松柏類の主要樹種の針金掛け