赤松の針金掛け
更新日:2019/11/12
黒松よりも葉が細く優しい印象の赤松は、本来痩せ地や岸壁に先駆的に自生する樹で、枝も少なく風化しながら生きる姿に美しさや力強さを感じます。
針金掛けもその姿に習って、あまり強い矯正はせず、文人などの優しい樹形に仕立てられることがほとんどです。
赤松の性質と針金掛けのポイント
赤松は大気汚染や潮風に弱く黒松よりも樹勢の弱いものとして比較されますが、本来は丈夫な樹種で管理方法も黒松と変わりません。
ただ赤松の細く柔らかい色味の葉は、どっしりとした樹形よりも軽妙で優美な印象の姿が合うため、細幹の文人作りや寄せ植えなど、幹の流れと優しい葉性を魅せるような樹形に仕立てられることが多いです。
そのため、強い針金掛けはあまりせず、見苦しい部分の矯正や小枝の整枝に留める場合がほとんど。
培養技術の向上によって、黒松のような太幹の盆栽に仕立てることも可能ですが、自然樹から習えば自ずと文人調に落ち着きます。
赤松に向く樹形
代表的な樹形は細い幹の文人作りで、寄せ植えや石付き、軽い印象の模様木なども似合います。
文人の場合はできるだけ枝を太らせないのが大事で、頂部の差し枝とその下の受け枝以外はほとんど枝を付けさせません。
弱い印象の赤松ですが芽吹きはよく、肥培し枝数を多く作れば太幹の模様木の作ることもできます。
赤松の針金かけの時期
作業の適期は、9月中旬~11月までと、2月下旬~3月までです。
秋の矯正は休眠期に入り樹液の流動が抑えられるため、針金掛けによる損傷も少なく、ある程度樹形の出来上がった古木などに手軽く行うのに適しています。
黒松よりもやや早めに矯正する訳は、冬までにある程度の回復を見込んでいるためで、あまり遅くならないようにしてください。
太幹や枝への強い矯正は、新芽が動き出す前の2月下旬から3月頃。
この時期が最も適している理由は、整枝後すぐに生育が始まるので癒合組織の形成も活発で、少々の損傷でも回復が早いためです。
厳寒期の針金掛けは樹の回復力が低下している時期で、寒害を受けやすく、損傷部はそのまま死滅あるいは樹全体の樹勢を著しく下げるので控えて下さい。
若木と古木の針金掛け
若木(苗木)の場合の針金掛けは、基本樹形を作るための幹への矯正が主です。
赤松の場合はある程度作る樹形が決まっているので、不要な枝は早めに剪定して残す枝を充実させましょう。
下枝から枯れやすい傾向があるので、下枝を多めに残して針金を掛けてください。
古木(完成に近い樹)では主幹や役枝の矯正は終わっている段階なので、小枝を中心とした樹全体を整えるための矯正をします。
松柏類の主要樹種の針金掛け
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