五葉松の針金掛け

更新日:2019/10/29

枝が柔らかく折れにくい五葉松は、針金掛けによる整枝が利きやすくいろいろな樹形に作ることができます。

成長が遅く枝が出来にくい面があるので、基本となる樹形ができたら芽摘みや小枝の矯正をしながらじっくり枝を充実させることも大事です。

五葉松の性質と針金掛けのポイント

五葉松は成長が遅く枝も伸びないので、樹形をつくれば崩れにくくほとんどは維持のための手入れで済むようになります。

幹枝は弾性があり、針金掛けにも強いのでしっかり矯正することが大事。反面なかなか癖が付かないので、1年以上は掛けっぱなしにする場合が多いです。

種木は実生が主で、八房性品種は接木で作られた3~5年生のものが手に入ります。

畑で数年肥培したものをポットに上げた状態のものがほとんどで、軽く幹模様のつけられたものや根上がり風にできているものなどがあります。

種木を入手したらまず針金がかかっていないかをチェック。数年掛けたままの場合が多いので食い込んでいたら直ちに外し、古土を落とし赤玉主体の基本用土に植え替えてください。

古土のまま培養すると乾き具合が把握しづらいので、培養で失敗することがあります。

五葉松に向く樹形

五葉松は素材によって様々な姿に仕立てることができます。

主木として飾られるため、模様木や懸崖、斜幹などに作られることが多く、筏吹きや双幹などの大物盆栽も見かけます。

「夜露で育つ」と言われるほど乾燥に向くので、石付きにすると生育がよく、展示では皐月やシダ、磯菊などと一緒に植え付けると景色もでて面白いものができます。

五葉松の針金かけの時期

作業の適期は、9月~11月までと、2月下旬~3月頃までです。

秋の矯正は休眠期に入り樹液の流動が抑えられるため、針金掛けによる損傷も少なく、ある程度樹形の出来上がった古木などに手軽く行うのに適しています。

太幹や枝への強い矯正は、新芽が動き出す前の2月下旬から3月頃です。

この時期が最も適している理由は、整枝後すぐに生育が始まるので癒合組織の形成も活発で、少々の損傷でも回復が早いためです。

厳寒期の針金掛けは樹の回復力が低下している時期で、寒害を受けやすく、損傷部はそのまま死滅あるいは樹全体の樹勢を著しく下げるので控えて下さい。

若木と古木の針金掛け

若木(苗木)の場合の針金掛けは、基本樹形を作るための幹への矯正が主です。

頂芽ほど強く伸びるので、小枝に芯を立て替えたり、植え付け角度を変えてみたり、根上がりにしてみたりといろいろな樹形構想を練ることができます。

不要枝を整理したら、各枝を幹に対し45℃目安に下げるように曲げます。枝が長ければ模様をつけたり、小枝のところで切りつめてコンパクトに仕上げてください。

古木(完成に近い樹)では主幹や役枝の矯正は終わっている段階なので、強い針金掛けは必要なく、小枝を中心とした樹全体を整えるための矯正をします。

五葉松は伸びが遅く、ほとんど姿が変わりませんが新芽のうち伸びるもの(ロウソク芽)は芽摘みをし、細かい枝の矯正も欠かせません。

また、初夏と秋頃にはフトコロ芽がよく動いてくるので大事にして、充分に力がついた所で切り詰めれば更にコンパクトに作り直すことができます。

松柏類の主要樹種の針金掛け

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