蝦夷松の針金掛け
更新日:2019/11/26
寒冷地に自生する蝦夷松は、その独特の葉性と針葉樹らしい立ち姿が見所で、針金掛けによる基本の樹形作りが重要になります。
蝦夷松は枝が柔らかく針金掛けのしやすい樹種ですが、反発力があるため癖が付きにい性質があります。
種木の多くは挿木や実生から得られた若木で、整姿によって自由に形を付けることができるので、素材の個性を活かした針金掛けが求められます。
蝦夷松の性質と針金掛けのポイント
蝦夷松は自由な針金掛けができますが、厳しい寒さや積雪などに耐える針葉樹なので、樹種そのものの特性はもちろんその樹の良さを1番に発揮できるような整枝ができないといけません。
葉は前年枝や前々年枝にも枝に密に付くので、まずは古葉を取り除き不要な枝を整理することから始めます。
蝦夷松に向く樹形
積もる雪の重さで枝が鋭角に垂れた針葉樹独特の樹形にする
若木のうちなら思う幹模様にできますが、樹齢が増してくると錦化して曲が消えてしまうので、大抵は模様木や斜幹などに落ち着きます。
種木の中には、荒れ性の幹に葉性のいい黒松の枝を次いで小さくした好素材もあります。
小枝は黒松同様に芽摘みでよく増えるので、剪定や針金矯正で全体の形を整えてゆく形です。
蝦夷松は胴の部分はコルク状に荒れて盛り上がりますが、根元の部分は割合細く根張りも出来にくいようです。
立ち上がりから一の枝までが間延びしないようにできるだけ下枝を大事に育て、全体のバランスをコンパクトに維持するようにしてください。
蝦夷松の針金かけの時期
適期は黒松と同様10月~3月頃(厳寒期を除く)の間ですが、蝦夷松特有の障害があるので慣れていないといまくいきません。
枝への針金掛けは組織の柔らかい6月下旬~7月頃がよく、成長期のなら幹への矯正も割合効きますが無理はしないようにしてください。
若木と古木の針金掛け
若木のうちは黒松と同じでいいですが、古木の場合は幹の矯正が難しくなります。
錦化した樹皮は傷付きやすいので針金掛けには注意が必要で、まだ肌が荒れていない若木のうちの基本樹形作りが基本です。
幹模様が固まれば、肥培しながら芽摘みや新梢の剪定を繰り返し、必要があれば針金で小枝を矯正して全体をじっくり作ってゆきます。
硬い枝は枝吊りや引っ張りなどで徐々に癖を付けていくほうが折れる心配がありません。
松柏類の主要樹種の針金掛け
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