ケヤキ (欅)の育て方

投稿日:2018/02/18 更新日:2021/12/08

ケヤキ (欅)の育て方

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ケヤキ(欅)はニレ科ケヤキ属の落葉高木。

涼やかな深緑や、秋の里山の風景を思わせる赤や黄色の紅葉、冬空いっぱいに枝を広げる枯木姿など詩情豊かなケヤキは、日本人に古くから親しまれて来た盆栽樹種の定番で、変わらぬ人気があります。

芽吹きがよく、芽摘みや葉刈りでよく枝ができるので、形になるまでの時間が比較的早く、ミニ仕立てなら実生から数年で見られるようになるところも魅力。

手入れを怠るとすぐに樹形が乱れるのでケヤキ作りは難しいと言われますが、丈夫で育てやすく、作りやすいので経験者からビギナーまで愉しむことができます。

1.ケヤキの培養の基本

ケヤキの管理場所

基本的には日当たりよく風通しのいい場所で管理しますが、欅のような葉物樹種は、夏場の強い光線に当てないことが葉を青々と保つポイントです。

モミジやブナのようにひどい葉焼けを起こすことはありませんが、強い紫外線に当たると葉がかすれたように汚れてしまい、黄葉(紅葉)も綺麗にでません。

芽出し後~5月頃までは日当たりのいい場所において生育を助け、梅雨明けから夏場は半日陰~日よけの下で管理してください。

繁茂期は葉が混みあい日当たりが悪い部分がでてくるので、葉刈りや葉すかしで葉量を調整すると同時に、時々鉢を回して全体に陽が当たるように工夫することも大事です。9月頃には日よけを外して再び陽に当て、紅葉(黄葉)を促します。

ケヤキは冬の寒さに強い樹ですが、鉢で培養したものは環境変化に弱く、霜や乾燥した風に当たると幹が傷んだり、せっかくできた小枝が枯れたりといった寒害を起しやすくなります。

特に薄鉢に植え込んだものは根がなんども凍結して寒害が生じる危険があるので、落葉後2~3度霜に当て寒さに慣したら、棚下やムロに移して寒風や霜から保護してください。

ケヤキの灌水

欅は水を好む方で、葉が展開し始めると水の乾きも早くなりますので水切れのないように注意してください。

ただし過水は節間の間延びや根腐れの原因となるので与えすぎもよくありません。特に葉刈りをしたものも水は控えめにしてください。

春は1日1~2回、夏場は1日2~3回、冬は1~2日に1回を目安とし、表面の土が乾いてきたのを確認してからたっぷり水を与えてください。

ケヤキの施肥

養成木は充分肥培し、完成木は維持のための控え目の施肥をする

細くほぐれた小枝が美点の欅は、枝を太らせないために極端に肥料を減らす培養方法が知られますが、肥料が少ないと樹勢を落として枝枯れを起こし、また枝作りのための力も付かないので作乗りが悪くなります。

特に芽摘みや葉刈りで何度も芽を吹かせるような作り方をする養成木では、充分肥培して樹勢を保ちながら作ったほうがよく出来ます。

4月から9月頃の間は月1ペースで肥料を交換。梅雨~真夏の間は一旦中止するか極薄い液肥を与えてください。

完成木の場合は、多肥にすると枝が徒長したり、枝が太ってゴツゴツした印象になってしまうので、「樹勢を維持する施肥」に切り替えていきましょう。

芽出しの4月頃に春肥を与えたら、5月頃に2回目の施肥をして葉刈り前に樹勢を付けておきます。

梅雨から夏場は一旦中止するか極薄めた液肥を時々与え、冬越し~芽出しのために秋肥をしっかり効かせてください。春に植替えをしたものは春肥はやめて、5月に最初の施肥をします。

細かい枝が観賞点となる葉物類の場合は、花物実物樹種のようにリン酸分を多く与えてしまうと枝が硬くゴツゴツした印象になってしまうので、チッ素分主体の緩効性肥料が適当です。

私の場合、葉もの樹種にはチッ素分が多くリン酸やカリウムのバランスもいいグリーンキング(N:P:K=8:5:2)を使っています。

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2.ケヤキの病害虫と対策

あまり害虫や病気に悩まされることはありませんが、新芽に時々アブラムシが付くことがあります。

特にケヤキは葉数も多く枝が混み合いやすいので、日当たりや風通しの確保できる場所で管理することが病害虫発生予防に繋がります。

定期的な薬剤散布も効果的ですが、高濃度の石灰硫黄合剤や、銅系薬剤で薬害が生じやすいので注意してください(落葉後の休眠期は可)。

3.ケヤキの適期作業

ケヤキの作業カレンダー

ケヤキの作業カレンダー

植替え(3月中~下旬)

欅は他の葉物樹種に比べてやや芽出しが遅く、4月中旬に入ってからようやく動き出します。ただそれに合わせて植替えをすると新芽の伸長や施肥のタイミングが遅れることになるので、植替えは3月中旬から遅くとも下旬頃には終わらせておいてください。

芽自体は3月頃には活動を始めていて、よく観察すると硬く小さい芽がわずかに動き出しているのが分かると思います。

新芽が伸び出してから植替えをすると樹勢が弱ってしまうので、春に植替えができなかったものは葉が固まる6月~7月頃の葉刈り剪定と同時に植替えをしてください。

根の成長が早く根詰まりしやすいので、若木では1~2年、完成木でも2年に1回の間隔で植替えをしてください。

特に養成木のうちは走り根が伸びやすく、走り根にばかり力が集中して細かい根ができないので、植え替えの度に段階的に切り詰めて根張りを作るようにしましょう。根作り段階では、走り根を処理するために春と7月頃の年2回植替えをする生産者もいます。

ケヤキの植替え

ケヤキの根捌きは根が薄く張るように意識して整理。植え付けも浅鉢が合うが、養成木ではやや深めの鉢で培養して作ると良

根を捌く量は、養成木では全体の半分くらいを目安に周囲や根と根の間の古土を取り去ります。完成~半完成のものは全体の1/3を目安に古土を更新するつもりで整理しましょう。

完成木を毎年植替えたり強く切り込むと、樹が若返って根が強く走り、枝も強く伸び出して樹形を崩してしまうので注意してください。

ケヤキは八方に伸びた根張りも見所の1つなので、絡み合った根はほどき広げ、太くて長い根は短く切り詰めて細根だけを残していくようにすることがポイントです。

根は浅く張る性質なので、完成に近づくにつれ徐々に浅い鉢に植え付けていきますが、仕立て段階ではやや深めの鉢で作って樹勢を付けるとよくできます。

ケヤキの用土

排水性のいい用土であることは絶対条件ですが、細かい根を多くださせるために多少細かい粒土を使うのがよいとされます。

荒い土を使うと根が走りやすいので注意してください。

小品サイズでは細粒(1~2mm)、中品では極小(2~3mm)サイズの用土が適当で、粒がしっかりして崩れにくい硬質赤玉土を主体に配合してください。

ケヤキの用土

ケヤキの用土は粒径の小さめのものが基本。細粒~極小が目安で、サイズと水はけの問題を考えて選ぶとよい。

ホームセンターなどで売っている園芸用の赤玉土は崩れやすいので、盆栽用の用土を揃えましょう。

特に完成木では、植え付ける鉢がとても浅く下にゴロ土を敷く余裕もありませんから、土台となる用土は保水性と排水性を備えた質のいい用土を選び、微塵も綺麗に取り除く必要があります。

赤玉単用でも平気ですが、より排水性を高めるために桐生土を2割くらい混ぜてもいいでしょう。仕立て段階では腐葉土を1割ほど混ぜると生育がいいようですが、腐葉土なしでも充分作れます。

芽摘み(4月下旬~9月)

ケヤキの枝作りで1番大事といってもいい作業が、成長期の芽摘みです。

芽吹きのいいケヤキは、成長期の間は次から次へと新芽を伸ばしてくるので、丹念に芽摘みをして間延びを防ぎながら小枝を増やしていきます。

摘むタイミングは、枝作り段階の養成木と維持の段階の完成木で異なりますが、基本的には新梢の葉が4~5枚に達したら指かピンセットで2~3節(葉を2~3枚)残して摘みます。

ケヤキの芽摘み

【写真:ケヤキの芽摘み】 養成木ではやや伸ばして摘んで枝のコケ順を作りますが、完成木では芯がまだ柔らかいうちに摘んで間延びを防ぎます。

下枝や伸ばしたい枝はやや長めに残して、枝が箒状に広がるように作ってゆきましょう。

枝骨格を作る段階ではある程度伸ばしてから切り戻し剪定をしますが、指で詰めないくらいまで伸ばしてしまうと枝が太ってしまうので、どのくらいまで枝を使うか見極めて、小まめに摘んでください。

あまり枝を伸ばしたくない半完成~完成木の場合は、輪郭線から伸び出してきたものから順次芽摘みをします。基本的には1~2節で摘みますが、1節で摘んだ場合は枝は伸びませんが小枝は増えないので注意してください。

ケヤキの芽摘み

【図:ケヤキの芽摘み】 芽摘みの基本フォームは、新梢が伸びたら2~3節(葉を2~3枚)残して指で摘みます。

一般的な芽摘みはこの方法ですが、頂芽優性の強いケヤキは残した芽のうち最上位の芽からしか2番芽を出さないことがあります。2番芽も同様に芽摘みで抑制することで、下の芽にも力が分散して次第に小枝ができてきますが、正しく芽摘みを行っても、思うように小枝が増えないということもよくあることです。

その場合は、芽摘みと同時に葉切りをして頂芽の力を抑制する方法もあります(※葉刈り参照)。

芽吹き旺盛なケヤキでも、夏を過ぎると次第に伸びも落ち着いてきます。9月以降は深く摘まず飛び出す枝の先だけつまんで輪郭線を維持し、秋の観賞に備えてください。

葉刈り・剪定(6月~9月)

ケヤキの葉刈りは、主に樹勢のいい養成木に対して行う作業で、柔らかい小枝を増やし、各枝の力を均一にして葉の大きさを揃えるなどの効果があります。

葉刈りは6月上旬~中旬頃が最適期で、良く肥培した若木などは9月までに2~3回の葉刈りが可能です。

葉刈りのやり方は、フトコロのごく小さい葉を除き、全ての葉を取ります。葉こぎといって手で一気にむしり取ることもできますが、芽や小枝を傷めることがあるので出来れば指やピンセット等で1枚1枚取ってください。

全体を整える剪定は落葉前後の休眠期に行いますが、葉刈り後は枝がよく見えるので、不要枝の整理や不定芽の処理など、整理できる枝は細いうちに剪定しておきましょう。

できるだけ外芽残しの切り戻しをして、枝が外側に広がるようにしてください。

樹勢を維持するための葉すかし(葉切り)

葉刈りは負担の大きい作業で、樹勢の弱い樹や、老樹になんども葉刈りをすると枝枯れを起こしやすくなります。

しかし葉刈りをしないでいると葉が密生して内部に光が入らず、風通しも悪くなって下枝や弱い枝から枯れ込んでしまいます。

葉刈りの代用としては葉すかし(葉切り)が有効で、葉刈りよりも負担が少なく済み、内部の環境を改善して下枝やフトコロ芽を守る効果があるため、樹勢の落ち着いた老樹やミニサイズのケヤキに有効です。

光を遮っている外輪の大きい葉は、内部の小さい葉の大きさに合わせて半分程度に切り取ってください。

ケヤキの芽摘みと葉切り

【図:ケヤキの芽摘み後の葉切り】 培養環境の改善や2番芽の力の抑制など、必要に応じて葉すかし(葉切り)も行いましょう。

特に頂芽優性の強いケヤキは、2~3節で芽摘みをしても先端の芽しか動かないことがよくあるので、摘み残した先端の大きい葉の面積を小さくして、頂芽に送られる同化生成物を抑え、下の芽動きを促す効果が期待できます。

小枝を増やすという点では葉刈りほどの効果はありませんが、樹形を維持する完成木ではとても大事な手入れです。

黄葉後の葉刈り(11月中旬)

葉刈りの主な目的は、2番芽を出させることですが、黄葉(紅葉)後の葉刈りは休眠前の冬支度や芽の調製をする目的で行う作業です。

黄葉はだいたい11月頃から始まり、11月下旬から12月上旬には自然落葉しますから、観賞を終えたら自然落葉する前に指やピンセット等で全ての葉を取ってください。この時期には葉柄に離層が形成されているので比較的簡単に取れます。

人為的に葉を取ることで、冬支度前の剪定の適期を逃すことがなく、葉からの栄養を冬芽に貯めすぎないようにする狙いがあります。

紅葉後の葉刈り

紅葉後の葉刈りは、2番芽を出させる目的ではなく、芽力の調製や冬支度のために行う

紅葉する前に葉刈りをすると2番芽が伸びてくる可能性がありますが、この芽は冬までに伸びきらずに枯れてしまう可能性が高くなります。

紅葉後なら2番芽がでることはありませんから、秋の葉刈りは必ず紅葉を確認してから行うようにしてください。

葉刈り後は今年最後の剪定を。輪郭線に沿って全体を切り戻し、不要枝も整理しておいてください。

剪定は自然落葉後でも構いませんが、冬期に太枝の剪定をするとヤケが入ることがあるので注意が必要になります。

剪定(2月下旬~3月中旬、11月中旬~12月頃)

ケヤキの剪定は、枝を充実させるための成長期の芽摘み剪定と、成長期に増えた枝を改めて整理する休眠期の全体の剪定の2つがあります。

全体の剪定は、芽動きの止まった落葉前後~芽出し前(厳寒期を除く)に行いましょう。紅葉を確認したら全ての葉を取り、樹冠から飛び出している枝を切り戻し、不要枝は元から剪定してください。

できるだけ外芽を残すように切り、各枝が箒状にまとまるように剪定します。

強い枝の切り込みは新芽の動き出す前の2月下旬から3月中旬頃が好機で、芯の立て替えや太枝の切り込みなどはこの時期に行うと負担が少なく、回復も早くなります。

ただし傷が大きく残る太枝の剪定はできるだけ避け、切り込みよりも芽摘みや剪定で作るように心がけてください。

芽かき(紅葉後~2月頃)

ケヤキの芽かき

不要な位置や枝分かれ近くに集中する不定芽は見つけ次第掻き取ります。

芽吹きのいいケヤキは、秋頃になると枝の付け根や幹の途中など至る所に不定芽をたくさん付けます。

そのままにしていると翌春には不要な所から芽がでて、枝元が太くなったり美しい幹に傷が付いてしまうので、不要な芽は見つけ次第掻き取っておいてください。

休眠期の間ならいつでもできますが、ムロ入れ前の葉刈り剪定のときに一緒に行うと効率的です。

実生苗の場合は昔「かいわれ葉」のあった場所にも不定芽を付けるので、芽が小さいうちに指の腹で取っておきましょう。

小枝の節々につく芽も、向きの悪いものは早めに掻き取って、余計な枝の太りを防いでください。

針金かけ(11月中旬~3月中旬頃)

ケヤキをはじめとする葉もの樹種の整枝作業のほとんどは芽摘みや剪定が占めていて、針金かけは基本の幹模様や枝向きの軽い矯正など補助的に行われます。

しかし、ケヤキの葉は互生で、枝が芽に引っ張られてジグザクに曲がりやすいため、針金で嫌味になる曲りを矯正する必要があります。

針金かけの適期は休眠期(厳寒期を除く)ならいつでも可能ですが、ムロ入れ前の葉刈り剪定と同時に行うと効率的で、春まで針金をかけたままにできるメリットがあります。

箒作りの針金かけは、幹枝が真っ直ぐ立っていることが大事ですから、幹が曲がっているものは真直に矯正し、枝もバランス良く扇状に広がるように立ち上げてください。

ケヤキの針金かけ

【写真:ケヤキの針金かけ】 ケヤキは枝が曲がりやすいので、ムロ入れ前に針金で曲がった枝を矯正し、骨格を作っておきましょう。

葉もの類の針金傷は治りにくく、観賞面で大変な致命傷になってしまうので、食い込む前に外すことが大事です。

新梢のしつけは組織が固まる6月~7月頃も適期ですが、成長期の針金かけは葉に隠れて外し忘れてしまうことがよくあるので注意してください。

結束整枝法(11月中旬~3月頃)

結束法

落葉後に麻紐などで枝をまとめ、各枝が鋭角になるようにしつけておく。全体を1つに束ねてもよい

ケヤキは各枝がやや鋭角に立ち上がった箒作りが基本とされていて、その樹形は主に芽摘みや剪定で仕上げていきますが、枝が充実するにつれて全体がどうしても扇状に広がっていきます。

ケヤキ特有の箒作りは、枝の角度が重要で、だらしなく広がっている状態では美しい箒作りにはならないので、ムロ入れ前に枝を束ねて枝の広がりを直す「結束法」という整枝方法を行うことがあります。

落葉後(葉刈り後)、麻紐や針金などで枝を結束した状態で棚下などで保護し、翌春の芽吹き前までそのまま管理してください。

小枝を束ねることで枝が鋭角に出るように癖が付き、乾燥した風に晒されないので寒害のリスクも減る効果があります。

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