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苔の分類

更新日:2018/09/04

苔の分類

小さい故に気づかれない存在の苔ですが、世界的には23,000種以上、そのうちの約1,800種が日本国内に生息しています。

古くから日本庭園や盆栽で欠かすことのできない存在の苔は、自然豊かな「苔大国」である日本独特の美意識の1つでもあります。

何気ない道でもよく観察してみると、いろいろな苔が群生していることに気がつきます。

このページの目次

  1. 蘚苔類
  2. 地衣類

1. 蘚苔類

私たちがよく見かける代表的な苔は広く蘚苔類に分類されていて、さらに蘚類(せんるい)苔類(たいるい)ツノゴケ類の3つに分けることができます。

蘚類(せんるい)

蘚類の仲間

直立性のスナゴケ(左)と、匍匐性のハイゴケ(右)

蘚類は、世界に約15,000種。地面から直立して生える直立性のものと、地面を這う匍匐性のものがあります。

蘚類の仲間は葉に中肋(ちゅうろく)とよばれる主脈状の構造があるのが特徴で、スギゴケ科、ホウオウゴケ科、ギボウシゴケ科、ハイゴケ科、センボンゴケ科、シッポゴケ科など日本国内だけで61科1000種以上が生息していると言われています。

蘚類は葉に主脈状の細胞群があるのが特徴で、葉と茎などはっきりした構造をもち、直立性のスナゴケやスギゴケなどはミニチュアの樹のような形。

形や大きさはさまざまですが、一定の湿度と温度が保たれる環境に群生し、乾燥に強くてカサカサと硬い感触があります。

盆栽にはこの蘚類が相性が良いようです。

苔類(たいるい)

苔類の仲間

ゼニゴケ(左)とハタケゴケ(右)

苔類は世界に約8,000種。どこか海藻を思わせる形状をしていて、組織は柔らかく、ゼニゴケやジャゴケのようにペタっと地面を這って覆います。

湿気の多い日陰を好む苔で、胞子で増える有性生殖と、無性芽で増える無性生殖があります。

形や大きさは様々で、茎と葉の区別のある茎葉体の姿をしたものと、茎と葉の区別のない葉状体の姿をしたものがあります。

地面をべったり覆ってしまうのであまり見た目がよくないのと、用土の通気性が悪くなること、水はけが悪くなることから、盆栽では避けたい種類と言えます。

ツノゴケ類

ツノゴケ

ツノゴケの仲間(ナガサキツノゴケ)
:フィールド図鑑コケ(東海大学出版会)

ツノゴケ類は、世界に約300種。苔類のような葉状体の上に蒴(さく)と呼ばれる突起を出しています。

ツノゴケ類の蒴は、蘚類や苔類と違って動物のツノのような尖った形に突き出していて、蒴の出ていない葉状体はロゼット上に広がり苔類のような見た目。

湿った土の上の群落を作り、黒っぽい藻類のコロニーと共生している姿を見かけます。

こちらも苔類と同様に、地面を這うように広がるので盆栽にはあまり好まれない種類の苔です。

地衣類(ちいるい)

地衣類

梅の枝に着生する「ウメノキゴケ」

湿地や日陰に生えているような蘚苔類の他に、地衣類があります。

一見して苔に似た種類もありますが、日当たりよく乾燥した場所に見られるため盆栽では苔に対して「日ゴケ」と言ったりします。

和名には「○○ゴケ」などど付くものがあるのでよく苔の一種だと勘違いされますが、地衣類は菌類と藻類(緑藻や藍藻類)の共生生物で、蘚苔類とは異なる生態をしています。

葉や茎などの規則的な構造を持たず、カビや海藻のような形をしていて、乾いた岩の表面や桜、梅などの老樹の幹に貼り付いているのを見たことがあるかも知れません。

色は緑藻系は白っぽい緑~薄青緑で透明感がなく粉っぽい印象。藍藻系は黒っぽい青みのある色で、やや湿気のある場所を好みます。

地衣類には、地衣体が薄く不規則な膜状の形をした「葉状(ようじょう)地衣類」、葉状地衣類に似ているが岩や樹皮に密着して染みこんだような「痂状(かじょう)地衣類」、地衣体が枝状に立ち上がった様な「樹状(じゅじょう)地衣類」の3つに大別されています。

写真:葉状、痂状地衣類(左)と樹状地衣類(右)

その存在感は、豊かで深い自然を思わせる苔とは少し違い、古く枯れた印象を受けます。

老樹に付くイメージから、主に松柏類などの幹に日ゴケを着生させることで一層古木感を感じることができます。

ただ成長が遅く大気汚染などに弱いため、適した環境でなければ培養が難しいことろがあります。

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都内のベランダから盆栽を始め、現在は盆栽のために郊外に土地を得て暮らしています。小さい盆栽を中心に山野草や鉢作りを楽しんでいます。

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