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椿 (ツバキ)の剪定

更新日:2020年2月4日

椿(ツバキ)の剪定

椿はその成長段階により、樹形作りのための剪定、花芽を付けさせるための剪定、樹形を維持するための剪定の3つが剪定の目的となります。

基本の樹形ができたら、花を咲かせる剪定へ。適期にしっかり剪定をして、コンパクトな樹形を維持することが大切です。

椿は萌芽力が強い樹種ですが、剪定を怠ると枝先だけ伸びてフトコロの芽は休眠状態に入り、そのまま動かなくなることも。花芽分化の時期や、芽の持ち方を抑えておく必要があります。

1. 椿の剪定の基本

基本は花後~芽出し前の剪定。太枝は休眠期に!

椿は品種によって花の咲く時期が違い、晩秋~寒中に咲く早咲き種から4月頃まで咲く品種もあります。

椿は翌年に咲きますが、椿の仲間の山茶花(サザンカ)はその年に咲きます。

花を見たい場合、花芽分化期は多くの場合6月~7月頃になりますから、剪定時期が遅くなると翌年花が咲かなくなってしまいます。

基本的な剪定は花後すぐ~葉芽が動きだす前の3月~5月頃(品種による)。

芽当たりを確認しながら1本から2本の枝が出来るように、2節くらい残して剪定してください。

全体の剪定は蕾がはっきりわかる秋になってからで、観賞に備えて不要枝や徒長枝の軽い剪定ができます。

太枝の剪定は休眠期(2月~3月)に行った方が樹への負担を抑えられます。

2. 樹形作りのための剪定

苗木の仕立て

椿は成長が遅く、若木でもあまり細かい剪定は必要ありません。

枝が真っ直ぐな挿木苗や実生苗には、早い段階で針金をかけて基本の幹模様をつけておきましょう。

椿は発芽率が高く実生苗から育てるのも簡単。根伏せと違い、親木の性を継ぐとは限りませんが新品種が発現する可能性もあり楽しみの1つです。

結実した実

花が終わって芯が残った状態。このままだと結実して大きくなってしまうので、実を観賞しない場合は摘果を

実生の場合は花が咲くまでに5年~10年の年月を要しますが、立ち上がりからじっくり樹形を作ることができるのは実生だからこその魅力。

苗木の間は花を気にする必要がないので、時間をかけて樹形作りに専念できます。

肥培管理が出来ていれば強剪定でも芽が吹くので、畑や庭で太らせた素材を切り戻せば太幹の素材ができます。

枝作りのための剪定

基本の幹模様が出来ている段階のものは、枝作りに取りかかります。

枝は真っ直ぐ伸びる性質なので、新梢は一旦伸ばして針金で伏せたり曲をつけて基本の枝筋を作ってください。

剪定や針金掛けは6月頃が適期ですが、花芽を気にする必要がないので芽出し前~成長期の間ならいつでも可能。

1本の枝から2本の枝が出来るように2節くらいの所で剪定します。

短枝でも葉が多ければ2節剪定。長枝も2節か、芽当たりがあれば古枝まで切り戻してもいい

椿の枝にも長枝と短枝があり、長枝については前年枝を2節くらいの所で切り戻しますが、芽当たりがあればさらに古枝の所まで切り戻すことができます。

比較的短くとまった短枝でも葉が4~5枚付いているものは、その後樹形を乱す原因となるので2節の所で切り戻しておきましょう。

この場合花芽も飛ばしてしまう可能性がありますが、樹形作りの段階では節間の詰まった枝を作ることが大事です。

3. 花芽を付けさせるための剪定

花後~葉芽が動き出す前に短く切り詰める

基本樹形が整い、花の十分付く段階まできたものは花芽を付けさせるための剪定にシフト。

椿の新梢は花後すぐから6月頃まで勢いよく伸び続け、秋以降の低温と短日条件が満たされることによって、その頂芽や頂部近くの側芽に翌年の花芽が分化します。

樹形を小さく維持しつつ花芽を付けさせるには、花後新梢が伸び出す前に2節残しで短く剪定しておくことが大事です。

ただし椿の芽の持ち方は枝の強さによりまちまち。

葉芽は花殻のすぐ脇と葉腋に準備されていて、先端の強い枝は切ってもすぐに活動を開始しますが、弱い枝を切ると暫く沈黙してしまい場合によっては1シーズン眠ってから動き出すこともあります。

剪定の際はこの「芽当たり」を確認してから切り戻すことがポイントとなります。

芽当たりの確認

芽当たり

写真①:剪定の際は、必ず芽当たりを持つ葉の上で切ること

椿の葉腋をよく見てみると、基部に「芽当たり」を持つものと持たないものがあります。

芽当たりとは葉腋に備えられた翌年芽の事で、勢いの強い頂部の枝や新梢に多く付きやすく、反対に下枝や古葉のある所は芽当たりを持ちにくくなります。

盆栽としての樹形を維持するためにはできるだけ短く切り詰めたい所ですが、剪定の際は必ずこの「芽当たり」のある所で切り戻すようにしてください(写真①)。

芽当たりのない箇所

写真②:芽当たりのない箇所で切ればその枝は枯れるが、上の勢いを抑えることで芽を持つこともある

成長がゆっくりは椿は、その分芽を作るのに時間がかかり、芽当たりのない所で詰めると作業後も芽が動かず、成長が止まってそのまま枝枯れすることがよくあります(写真②)。

強剪定には慎重にならざるを得ないため多少間延びすることになりますが、芽当たりのある箇所まで切り戻すことで2番芽と一緒に古葉の芽が動き出したり、胴吹き芽が発生することもあります(写真③)。

芽当たりさえ確認できれば古枝の位置まで切り戻すことも可能なので、その時の無理のない剪定でじっくり作ってください。

胴吹き芽

写真③:椿の胴吹き芽(関東:2月)

剪定後の芽おさえと芽摘み

椿の短枝と長枝

椿の短枝(左)と長枝(右)

椿は花後に葉芽が動き出し、5月頃には短枝が止まり、長枝は6月頃まで勢いよく伸びます。

長枝(徒長枝)は花芽を持ちにくいものですが、針金で軽く曲付けしながら伏せる「芽おさえ」をして勢いに抑制をかければ花芽を持つようになります。

花を付けるためには春の剪定後はこの芽おさえだけをしますが、勢いの強い枝は5月頃までなら芽摘みが可能。

椿の場合、単に短く切り詰めても夏芽が強く伸びたり、次の芽が動くのに時間がかかったりと思うように小枝が増える訳ではないので、葉が4~5枚くらいに達したら先だけ摘んで伸びを止め、針金で伏せて勢いを抑制する程度にしておいてください。

花芽は6月~7月頃に作られるので、7月以降の剪定は控えることです。

秋以降になると花芽と葉芽が分かるようになるので、観賞に備えて全体を整える剪定ができます。

花芽をつけさせる「いじめ培養法」

椿の剪定や植え替えは、芽出し前の3月~4月に行うのが一般的ですが、6月~7月頃に枝葉を刈り込んで、植え替えも同時に行う方法もあります。

これは一時的に負担をかけることで花芽を増やす効果を期待した「いじめ栽培」の1つで、生育旺盛な時期を回復に当てる考えです。

畑で太らせた素材に最初に作入れする時など、樹勢がしっかりついているものが対象で、残す枝には葉を2枚程付けてその後の生育を助けます。

この方法は文字通り樹への負担が大きい上、近年の猛暑は植物にとって生育不良を起こす原因にもなりますから、作業後の管理には充分注意が必要です。

4. 樹形を維持するための剪定

椿の剪定は樹形をコンパクトに維持しながら花芽を付けさせることが課題です。

剪定や芽摘みで枝に抑制をかけながら切り戻しをすればある程度の樹形維持は可能ですが、単にこれを毎年繰り返すだけではだんだん幹枝が長く伸び、樹形を保つことができなくなります。

椿は3月の植え替え時期に強剪定をすれば胴吹きする可能性が高いので、樹高を抑えるには強剪定が有効。

山茶花は毎年切り込んでもよく芽吹きますが、椿の場合は毎年強剪定を繰り返しているとだんだん花付きが悪くなってしまいます。

よって椿は花後の剪定を基本として、数年に1度は2~3年枝まで切り戻し、樹が大きくなりすぎないようにしてください。

ただ椿は太枝や古枝を剪定すると枝枯れを起こしやすく、剪定跡もなかなか塞がりません。

小さい樹なら傷は致命的ですし、その樹らしさを失わないのが一番なので、無理のない剪定をしながら時には芯を立替えるなどの軽い改作も視野にいれましょう。

寒い時期の剪定も切り口が傷んで枝枯れしやすいので、本剪定は春の芽出し前に行い、切り口を綺麗に削って癒合剤で保護してください。

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都内のベランダから盆栽を始め、現在は盆栽のために郊外に土地を得て暮らしています。小さい盆栽を中心に山野草や鉢作りを楽しんでいます。

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