ツバキ (椿)の育て方
更新日:2020/02/06

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椿(ツバキ)はツバキ科ツバキ属の常緑性小高木。雌雄同株(雌雄同花)。
もともと日本の太平洋側に自生していた暖地性の植物ですが、日本海側の積雪量の多い地方にも適応するなど、多くの変種や亜種があります。
品種によって花の咲く時期が違い、晩秋~寒中に咲く早咲き種から4月頃まで咲く品種もあります。
母種のヤブツバキ(藪椿)やユキツバキ(雪椿)を始め、多彩な花芸の園芸品種があり、盆栽にして楽しむことができます。
丈夫な樹種で芽吹きもいいので作り育てやすいですが、
成長が遅いので、幹枝が細いうちに基本の姿を作っておけば樹形を維持するのは難しくありません。挿木や取木、実生で増やすことができます。
椿の作業カレンダー
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
生育状況 | 休眠期 |
芽出し |
休眠期 |
|||||||||
花 | 花 |
遅咲き |
花芽分化 |
花 |
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管理場所 | 軒下など |
ムロ出し | 日なた |
半日陰 |
日なた |
軒下など |
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灌 水 (回数/日数) |
1/2~3日 |
1~2/日 |
2~3/日 |
1~2/日 |
1/2~3日 |
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施 肥 | 寒肥 | 寒肥 | ||||||||||
芽摘み | ||||||||||||
剪 定 | 強剪定 |
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針金かけ | ||||||||||||
葉刈り | ||||||||||||
植え替え | 暖地 |
ツバキの管理場所
春からは日当たりのいい場所で管理してください。
ツバキは夏の暑さには強い性質ですが、耐陰樹に分類される照葉樹なので、5月以降の日差しが強くなる時期からは日除けを設置して、葉が傷まないようにしましょう。
ヤブツバキ系統なら日陰でも花芽にはほとんど影響しませんので、日照条件の悪い棚場スペースを活用できます(風通しはよく)。
寒さへの耐性レベルは5段階中3~4くらいで、過保護にする必要はありませんが、寒中の植替えや針金かけなどの強い手入れは控えてください。
特に小鉢のものや、暖地から仕入れたものは早めの保護が必要です。
ツバキの灌水
湿り気のある粘土質の土壌に自生していて、水をとても好むので年間を通じて水切れに注意してください。
春の芽出し頃からは1日1~2回で、夏は1日2~3回、秋は1日1~2回、冬は2~3日に1回を目安に、鉢土の表面が乾いてきたらたっぷり水やりしましょう。
蕾を付けさせたい時は、花芽分化期の6月~7月は水をやや辛めに意識し、肥料も控えるといいと言われています。この時期に肥料や水が充分すぎると土用芽となって葉芽に変わってしまうことがあるからです。
ツバキの施肥
肥料を好む樹種ですが、多肥にすると枝が強く伸びて花芽が付きにくくなる原因になります;。
施肥のシーズンは春と秋が中心で、花芽分化期の6月~7月は控えめ。8月以降から徐々に肥料を増やし、秋肥は多めに置いてください。
ツバキは常緑樹なので1月~2月頃に寒肥を与えるのもよいとされ、特に肥培が必要な仕立て段階の樹に有効です。
ツバキの作り方
剪定(芽出し前3月~4月)
ツバキの剪定は基本的に花後~芽出し前に行います。
ただし、開花の早い寒ツバキやサザンカは、寒さで切り口が痛む危険があるので、3月下旬頃までまって剪定すると安心です。
ツバキはその成長段階により、樹形作りのための剪定、花芽を付けさせるための剪定、樹形を維持するための剪定の3つに分けることができます。
樹形作りのための剪定
花の咲かない苗木の間は基本樹形を作ることが主目的になるので、まずは根や幹模様を作りながら枝数を増やす剪定をしていきます。
1本の枝から2芽2芽と枝ができるように、2~3葉残して剪定し、矯正が難しそうな忌み枝は傷が大きくなる前に早めに切っておきましょう。
花芽を付けさせるための剪定
観賞段階では花芽を付けさせることが目的なので、花芽分化の時期を知り、コンパクトに樹形を維持する剪定がポイントになります。基本樹形が整い、花のじゅうぶん付く段階まできたものは花芽を付けさせるための剪定を行います。
樹形を小さく維持しつつ花芽を付けさせるには、花後新梢が伸び出す前にできるだけ短いところで切りつめてください。
葉腋に小さい芽がある箇所を残して切れば、そこから新芽が伸びてきます。芽当たりのない箇所で切っても動いてこないことが多いので、芽当たりを確認してきることがポイントです。
5月~6月頃になれば枝葉の伸びも落ち着いてくるので、枝として使うなら芽おさえ、太らせたくないなら必要な長さのところで切り戻しておいてください。
樹形の維持のための剪定
ツバキの剪定は樹形をコンパクトに維持しながら花芽を付けさせることが大切ですが、上記の剪定を毎年繰り返すだけではどうしても大きくなってきてしまいます。
4~5年に1度は2~3年葉まで切り戻し、樹が大きくなりすぎないようにしてください。
ただし、強剪定を毎年繰り返すと花付きが悪くなったり、樹勢に悪影響がでてしまうので、樹に元気があることが前提です。
時おり古枝から出る不定芽は、作り直す材料になるので大事にしてください。
椿はその成長段階により、樹形作りのための剪定、花芽を付けさせるための剪定、樹形を維持するための剪定の3つが剪定の目的となります。基本の樹形ができたら、花を咲かせ……
針金掛け(5月~7月)
椿の針金掛けは吸い上げがある成長期の間が適期で、新梢やまだ枝の柔らかい小枝に掛けるようにしてください。
5月以降の作業がよく、新梢の場合は展開した葉の組織が固まった頃が合図。真っ直ぐ上に伸びる枝を針金で伏せて(芽おさえ)勢いを抑制し、基本の枝筋を作ったり花芽を呼ぶことができます。

針金痕は深くなるとなかなか消えないので注意
新梢は比較的太りが早く、1ヶ月もすれば食い込みだします。
椿は美しい幹肌も観賞点の1つですが、樹皮が薄く傷付きやすいので、紙巻き針金や被覆線を使ってください。
癖を付けるために多少の食い込みは仕方ないですが、酷いと傷が治らなくなります。日頃よく観察して食い込んできたら位置をずらして巻き直すなどの対応が必要です。
園芸店で手に入る椿の苗は種類が豊富ですが、花を見るために作られているためその多くが立ち木風の変化に乏しい素材です。
このような粗木や若木素材の最初のしつけは、無理のない範囲での矯正をします。模様木のようなしつけは無理でも、植え付け角度を変えて懸崖や文人風に作るのは比較的簡単。
気に入った花芸の素材であれば挿木や取木などで作り直すのも手です。
秋~休眠期の針金掛けは、枝折れや樹勢を落とす原因になるので避けてください。
古葉取り、葉すかし

新梢の付け根や枝分れ付近に付いている古葉は切り取る
常緑樹の椿は、新梢の付け根や枝分れ付近、古枝に腋芽を持たない古葉がついたままになっています。
強い芽の元にも大抵古葉が残っていて、そのままにしていても内部の日当たりや風通しを悪くするだけなので、気がついたら葉柄の所で切り取っておいてください。
椿は全葉刈りもできますが、一様に葉を取ると弱い芽がそのまま休眠に入ってしまうことがあるので、勢いに応じて部分葉刈りをするほうが樹勢への影響が少なく済みます。
他の葉に比べて大きすぎる葉は、半分くらいに葉切りを。

時期に決りはないですが、葉が固まってからがよく、植え替えや剪定などの手入れをする時に一緒にやるといいです。
葉をすかし、全体の葉量を調節することで各枝の力が平均化し、胴吹き芽を呼ぶ効果も期待できます。
芽かき(芽出し前)

写真①:芽が集中している所は真ん中の芽を欠いて2芽にする
椿は力の強い枝の先端に複数の芽を持ちやすく、そのままにしていると枝元が太ってコケ順を悪くする原因になります。

写真②:2芽に整理した。芽数を増やしたくない場合は左の芽を残して模様が入るようにするとよい
枝を太らせたくない場合や枝数を増やしたい場合は、2芽となるように芽かきをし、各枝から2本の枝が出るようにしてください(写真①)。
枝数を増やしたくない場合は、模様が入るように向きのいい芽を1つ残して芽かきをします(写真②)。
品種にもよりますが、花は1枝に多く付けるよりも1~2花にしたほうが品がよく盆栽らしくなります。
1箇所に複数の蕾がついている場合は、開花した時のバランスを考えて1~2つに減らしておきましょう(写真③)。

写真③:1箇所に3つの蕾がついているので、1~2つに減らしておく(真ん中の芽は葉芽)
植替えと葉刈り(3月中~4月)
普通は新芽の動き出す前の3月中旬~4月頃に植え替えをしますが、新芽の伸びが落ち着く6月~7月や、暖地では秋口の9月頃に行う場合もあります。
椿の根は「綿根」と言われる細根が密生していて、根詰まりを起こしやすい傾向があります。
発根が旺盛な樹種なので、古木でもしっかり根捌きをして根洗いし、水通りのいい状態にすることが大事です。
ただし椿は常緑樹なので、大きく根を処理する場合は葉の量も減らし、根から吸い上げる水分と葉から蒸散する水分のバランスを取る必要があります。
大きいものは全葉刈りをする人もあるようですが、全ての葉を同じように刈ると芽力のバラツキをそのまま反映してしまい、弱い芽が休眠してしまうことも。
下枝や弱い枝は葉を多めに残すかそのままにし、上部の強い枝は全葉刈りか少なめに葉切りするなど、枝の強弱で残す葉量を調整してください。
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コメント
- 朝田浩 さん 2017年04月10日00時52分
- 椿、山茶花を育てていますが、冬の花のない時期に咲いてくれてとても、楽しいです。山茶花はホームセンターでも華やかな品種が販売されていて、今年、斑入り葉の樹を購入し、針金をかけて楽しんでいます。新芽が伸びてこようとしていますが、どのタイミング(時期や長さ)でカットしてよいものやら、いまいちわかっておらず・・・。それでも先に入手した樹は3年ほど育てて(もようぎ風)花を楽しましてくれました。
これからもぼちぼち、マイペースで楽しんでいこうと思います。 - きみ さん 2017年04月10日08時33分
- 朝田さん
こちらにもコメントありがとうございます。
こちらの文章、まだまだわかりにくいかなと思います。もっと分かりやすくかけるように頑張ります。 - ますみ さん 2020年02月04日03時36分
- 35年以上、咲いてた?を楽しんでました。昨日ー切らないように、話してたのに、枝をほとんど、丸裸にされました。芽がつき、枝が、伸びてくるのは、何年位かかりますか
- きみ さん 2020年02月04日08時24分
- ますみ さんへ
庭木?盆栽?状況がわかりませんが、蕾ごと切られたということですよね。
椿は強剪定をすると花付きは悪くなりますが、樹形を作るためにやることはあります。
普通は花後と、若木では6月頃にやります。
多少若返って数は少なくなるかもしれませんが、きっと来年も咲きます。2~3年もすれば充分に花が咲くようになると思いますよ。 - 安芸の国人 さん 2020年09月10日22時56分
- きみさん
いつもお世話になっております。
ツバキの作業暦の剪定で10月から11月の剪定についての解説が剪定部分の中に記載がありませんが,
この時期の剪定の位置付けはいかなることでしょうか。解説,宜しくお願い致します。 - きみ さん 2020年09月11日08時29分
- 安芸の国人 さんへ
情報が少なくてすみませんでした。
10月~11月は針金かけとか剪定ができる時期です。
椿は7月頃に花芽を作るので、深切りができませんが、成長期に伸びすぎた枝を整えたりするのにいいですね。花芽を気にしないきづくり段階のものは、芽当たりがあれば古枝まで切り戻してもいいです。
針金かけは1できれば10月中。
休眠期が近づくと吸い上げがなくなるので折れやすくなってしまうので、若い枝にかけたりとか軽い矯正をしてください。5~7月頃も適期です。
取り敢えずはこのような感じです。
近くページも更新しますから、ご迷惑かかけますがお待ちください。 - 安芸の国人 さん 2020年09月12日07時34分
- きみさん
いつも,早速のご回答ありがとうございます。
芽出し前の2月末に剪定しましたが,現状では新芽がかなり徒長し,どのようにしたら良いか迷っておりました。ホームセンターで売れ残っていた雲竜ツバキ二本を弱っていたので,一年目は剪定もせず,肥料を与えて,元気になったところで,上記の剪定を行ったところでした。
樹勢が良いので,思い切って剪定して,樹形を整えてみようと思います。
ありがとうございました。引き続き,宜しくお願い致します。 - 菜津 さん 2022年01月06日13時12分
- こんにちは。
一昨年の夏、乙女椿の苗を庭に植えました。
枝も少ない苗でしたので剪定してしまっては木が弱るのではと思って去年の4月頃に主幹にぶつかりそうな枝を一本切ったきりあとの枝は伸ばしっぱなしにしていました。
現在1月、枝が思ったより伸びてきてしまいなんだか葉も黄色くなって元気がないように見えます。このまま枯らしてしまうのではと不安です。
ここまで伸ばしてしまった枝は切ったほうが良いのでしょうか?それとも木が弱っているように見えるのは他に原因があるのでしょうか?
何卒宜しくお願いします。 - きみ さん 2022年01月06日14時54分
- 菜津 さんへ
こんにちは、コメントありがとうございます。
頂いた画像をみる限りではとくに弱っている様子もないので大丈夫です。
葉が一部黄色くなっているのは古葉を落とそうとしているからだと思います。
常緑樹ですが古葉は順次落ちますので自然現象です。
半日陰を好む樹種なので夏の直射日光はよくないですが、寒さにも強いしそうそう枯れる樹種ではないですよ。
大きくしたくないなら、春先くらいに適当な長さで切ればよいです。
葉腋に小さい芽があるところなら必ず芽がでますから、安心して切り込んでください。 - 神戸のチャレンジャー72 さん 2023年02月13日14時32分
- こんにちわ
次は椿です!
先日椿(一休)が1つ花を咲かせたのですがクチナシと同じく3日で落花してしまいました(T_T)
ショック!
椿の開花日数はどのくらいなのでしょうか?
何か原因はあるのでしょうか?
肥料は置いてないです。水は3日に1回あげています
よろしくお願いいたします! - きみ さん 2023年02月16日16時17分
- 神戸のチャレンジャー72 さん
ツバキの開花日数は、綺麗に咲いているのは2日~3日くらいであとは花が痛んできて終わりかなと思います。花は短いですね~
