モミジ(紅葉)の芽摘み

投稿日:2014/02/19 更新日:2020/04/09

モミジの芽摘み

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ある程度の基本樹形ができてきたものは、小枝を充実させるための芽摘みを始めます。

春から5月頃までは毎日のように新しい芽が伸びてきますから、丹念に芽摘みをして細かい枝を作っていきましょう。

モミジの芽摘みは後々の枝のコケ順にも影響しますから、芽の変化をよく観察して芽摘みのタイミングを逃さないことが大切です。

芽摘みの方法

新芽の構造

紅葉の新芽

紅葉の新芽

モミジの新芽の基部には、「芽鱗(ガリン)」と「托葉(タクヨウ)」と言われる対になっている部位があり、冬芽を寒さから保護すると同時に、柔らかい新芽の伸長を紫外線や乾燥から守る役割をしています。

芽鱗は文字通り、硬い鱗の様な構造で鱗片葉とも呼び、通常3対(6枚)ありますが、容易に見えるのは2対(4枚)です。

托葉(稚児葉)は葉柄の基部に対になって付く2枚の扁平な葉状組織で、先端の切れ込みの有無など形に多少の個体差があります。

托葉は稚児芽に比べて芽の中での成長が速く、未発達の稚児芽を保護する役割をもつといわれていて、芽が生長するにつれ自然脱落します。

盆栽の世界ではこの2つを「ハカマ」と呼び、ハカマと新芽の芯を取る作業をハカマ取りといいます。

芽摘みの基本フォーム

芽摘みの基本フォームは稚児芽がまだ伸びきらないうちに成長点を摘む

よく知られる一般的な芽摘みは、稚児芽が托葉から出てきた段階で真ん中の成長点を指先やピンセットで摘み取る方法です。

芽摘みの時期が遅れると、大事な第1節目が伸びてしまうので、稚児芽が伸びないうちに芽を摘むことが大事です。

3月中旬頃から4月いっぱいまでは毎日のように新しい芽が伸びてきますから、伸びてきたものから丹念に芽摘みをしてください。

役枝として作りたい場合は、芽摘みはせず枝を伸ばして太さを得てから必要な長さで切り戻すか、アルミ線で芽おさえをして抑制をかけておくといいです。

幹太りを狙う場合は、犠牲枝(後に元から切り捨てる枝)として頂部の枝を伸ばしっぱなしにしておくとよく太りますが、太枝を切ると傷が目立つのでミニ盆栽の仕立てには向きません。

ハカマ取りで節間を短く

モミジの芽摘みは、第1節間をできるだけ短くするためにそのタイミングや方法がいろいろと試されています。

1番効果的な方法には、新芽がほころんでまだ稚児芽が出ていない状態で托葉や芽鱗を取り去る「ハカマ取り」。ハカマを取ることで、保護されていた芽元の細胞が紫外線や外気に晒され乾燥し、第一節間の伸長を抑制させる効果があります。

特に第1節目を短くしたい枝先の芽やミニ盆栽では、新芽の伸長を抑制するために行われています。

紅葉のハカマ取り

紅葉のハカマ取り

新梢の組織はとても柔らかく傷付きやすいので、精密な作業のできるピンセットを使って丁寧に行ってください。

ミニ盆栽の場合はできるだけ枝の節間を短くしたいので、ハカマ取りが重要な作業になりますが、特に芽鱗の部分は硬く取りにくいので無理はしないでおきましょう。

できるだけ早い段階でハカマ取りを済ませたいところですが、新芽がまだ堅いうちは作業中に芽を痛める危険があるので、稚児芽の先が托葉から少し顔を出したタイミングで行うと安心です。

稚児芽摘みと稚児葉刈り

ハカマ取りをした後は、稚児芽をピンセットで開いて成長点(真ん中の芽)を摘むのですが、更に抑制をかけるため片方の葉を取っておく方法(稚児葉刈り)もあります。

紅葉の芽摘みと稚児葉刈り

紅葉の芽摘みと稚児葉刈り

早くに出た芽から順次芽摘みをすることで弱い芽に力を回し、節間の詰まった繊細な枝の維持や、弱りやすいフトコロ枝の保護に繋げることができます。

芽鱗は硬くて小さい組織のため、慣れないうちは芽を傷付けてしまう可能性もあるので注意が要りますが、托葉は早い段階で取りやすいので、托葉の除去と稚児芽摘みだけでも一定の効果はあります。

また、托葉や芽鱗は取らずに稚児芽を全て取る「盲摘み(メクラツミ)」に似た方法もあり、どちらも新芽の伸びを抑え第1節目を短くする効果が期待できます。

ただし、樹勢の強いものは1回芽摘みをしたくらいでは効果は出にくいものです。

また、正しく芽摘みを行ったつもりでも、思うとおりに枝ができないこともよくあることなので、葉刈りや葉すかしなどの手入れも併せ、年数をかけて徐々に効果がでるものと考えてください。

ハカマ取りや稚児芽摘みは、いかに節の短い枝を作るかが大事なミニ盆栽では欠かせない作業ですが、せっかく伸びようとする芽の力を殺ぐことになるので、強い芽摘みばかり繰り返してしまうとその後の成長に悪い影響がでる場合もよくあります。

細く繊細な枝配りはモミジの魅力の1つですが、強い芽摘みばかり何年も繰り返すと枝元がゴツくなり、芽が伸びてこなくなることもあります。

作りたいサイズや樹勢によって芽摘みの方法を決め、完成木でも時には大きく伸ばして枝を作り替えるなどの切り替えが必要です。

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