モミジ(紅葉)の葉刈り・葉すかし

投稿日:2016/3/22 更新日:2020/10/15

モミジの葉すかし

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葉刈りの1番の目的は、2番芽を吹かせて小枝を増やすことです。

多い枝葉を減らすことで内部への採光や風通しなどの培養環境がよくなり、フトコロ芽の活性や枯れやすい下枝の保護にも繋がります。

また葉がなくなる作業後は、隠れていた枝がよく見えるので、不要な枝や見逃していた徒長枝を剪定するタイミングでもあります。

芽吹きがよさがモミジの長所ですが、勢いのあるものはあっという間に強くなって枝として使えない事態になりますから、丹念な手入れで細かく短い枝を増やしましょう。

1. 葉刈りの条件

葉刈り(全面葉刈り)は植物にとって負担の大きな作業で、新しい葉を出すために多くの力を使います。

そのため葉刈りが出来る樹種はカエデやモミジ、ケヤキ、ニレ、ヒメシャラ、蔦などの芽吹きの旺盛な樹種に限られ、弱った樹や古木、枝数の少ないミニサイズの樹に安易に行うと、枝を増やすどころか樹勢を落とす危険があります。

モミジの葉はカエデよりも薄くて傷みやすいので、樹勢を落とさないよう心して作業しましょう。

事前にしっかり肥培する

葉刈りをすれば飛躍的に枝は増えますが、モミジはカエデよりも樹勢が弱いため、葉刈り後に樹勢を落としやすくなります。

そのため葉刈りや葉すかしをする樹は、事前の肥培でしっかり樹勢のついた樹にのみ行います。

前年の秋、芽出し後の4月~5月頃に肥料を効かせ、葉刈りに耐えられる体力を蓄えさせてください。

樹のサイズで減らす葉量を調節する

事前の肥培は大前提としても、樹のサイズによって潜在的な体力には差があります。

特に枝葉の少ないミニサイズの樹に何度も葉刈りをすると調子を崩しやすく、枝や幹に灼けが入ったり、ハダニやうどんこ病といった病害虫の被害も出やすくなります。

枝葉の数が充分で、樹勢のついた樹なら葉刈りが可能ですが、葉刈りをしないで済むならそれに超したことはありません。

特に樹勢の落ち着いた古木や小品サイズのものは無理に葉刈りする必要はないので、葉の混み具合をみて葉すかしや葉切りで対応してください。

カエデのように何度も葉刈りを繰り返すことはできませんが、細かい芽摘みや剪定で確実に小枝を充実させることができます。

2. 葉刈り・葉すかしの方法

葉刈りや葉すかしは新葉が固まった初夏の作業で、切り戻し剪定や針金かけとセットで行います。

葉刈り・葉すかし後は葉に隠れて見えなかった幹枝がはっきり分かるようになるので、目に付く不要枝や伸びすぎた枝を整理して全体をコンパクトにまとめてください。

針金かけは、軽い枝向きの修正や、太らせたい部分に芽押さえを行いますが、生長期に針金をかけた場合は1ヶ月もすれば食い込んできますから、傷が付く前に外して必要ならば掛け直してください。

枝数の充実した元気な樹なら全葉刈りを繰り返して細く細かい枝を密に増やすことも可能ですが、モミジは樹勢を落としやすく枝枯れやうどん粉病にかかるリスクがあるため、何度も葉刈りをするのはお勧めできません。

作業時期

一般的な葉刈りの時期は新葉が固まる5月中旬~6月頃。

生長力の強い若木は7月上旬頃まで全面葉刈りができますが、古木ではやや早めの5月中~下旬頃までに終わらせておかないと、翌年春まで腋芽が出ないことがあります。

葉刈りは基本的にはこの時期の1回のみで、この時期に葉刈りができないもの(古木やミニサイズの樹、樹勢の弱った樹など)は、フトコロ部分への採光や風通しを良くするために葉すかしをします。

モミジは上部と下部で枝の力に差がありますから、1度の葉刈りや葉すかしではバランスがとれないことがあります。

この場合は2番芽が固まる7月下旬~8月頃に強い枝の葉だけを再度葉刈りしたり、込んだ部分に葉切りをしたりして、内部の環境条件を良くし、各枝の樹勢を平均的にしていくことが重要です。

葉刈り

葉刈り(全面葉刈り)のやり方は、鋏で葉柄の中間くらいを切っておくだけです。残った葉柄は自然と黄変して枯れ落ちるので、無理に葉元から切る必要はありません。

モミジの葉刈り

1枚1枚鋏を使って切り取りますが、枝数の多いものは葉刈り作業だけで相当の時間を要します。

モミジの枝の付き方は対生で、一箇所から2本ずつ葉が伸びますから、2本の葉柄を指で押さえて鋏を入れれば一度で葉刈りができます。

葉刈りの方法

全面葉刈りは基本的に全ての葉を取りますが、弱い枝の葉はそのままにしておいたり、1週間ほど先に葉刈りをしておくなど樹勢を均一にするようにしなければいけません。

葉すかし(片葉刈り)

モミジの葉刈りといえば、葉を全部取らずに全体をすかす葉すかしが一般的な方法です。

回復に負担のかかる全葉刈りに対して、葉すかしや葉切りは半分以上の葉量が確保されるのでデメリットが少なく、十分な効果を得ることができます。

モミジの葉すかし

葉すかしの時期は、新葉が開いて固まる5月~6月頃(関東)。モミジはカエデより芽出しが早く、芽摘みをしても4月半ばには既に新葉が旺盛に出ているので、あまり遅くならないうちに行ってください。

方法は、2枚出ている葉の片方の葉柄を鋏で切り取ってください。輪郭線から飛び出しているような強い枝は切り戻し、同じように先端の葉を1枚残して切り取ります。

基本的に葉すかしは全ての枝に行いますので、これにより全体の葉量が半分以下に減ることになります。

葉すかし後も葉が込み合ってきますが、その後は葉切りで葉量を調節します。

葉切り

葉すかしや葉切りは、葉刈りができない古木やミニサイズの樹に行う作業で、全葉刈りの様に小枝を密に作るというよりも、樹形の維持や弱い芽の保護、新たなフトコロ芽の活性を狙って行います。

モミジの葉切り

枝数が多く、葉すかし(片葉刈り)をしても内部の培養条件が改善しない場合も、葉切りで対応しましょう。

やり方は、外側の大きめの葉だけを1/2程カットします。フトコロ枝や下枝の小さい葉はそのまま残しておいてください。

モミジの葉切り

切り方に決まりはなく、葉脈に沿って縦に切ったり、葉先を放射状に切るなどの方法がありますが、仕立ての途中といっても見た目を美しくしておくことは大事なので、切り方は一律に揃えておきましょう。

葉切りをすることによって、葉すかしだけの場合より日当たりや風通しがよくなり、フトコロ芽が活性し胴吹き芽も期待できます。

モミジに施す葉すかしや葉切りは基本的にこの1回ずつで、秋の紅葉後に樹冠から飛び出した徒長枝を切り込んで観賞を迎えます。

葉切りをするといかにも切ったという印象が残るので、葉が出揃った状態での紅葉は見られなくなりますから、秋に観賞したい場合はよく考えて作業してください。

3. 葉刈り・葉すかし後の管理

作業後は直射日光に当てない

遮光

日差しの強い時期は70%程度の遮光下で管理し、葉を傷めないようにする

葉刈りをする前(春先~初夏)はその後の芽の活性を促す目的で、充分に陽に当てる必要がありますが、モミジは陰樹~中庸樹で耐陰性が強く、強い光線を嫌う傾向があります。

葉も薄くて葉焼けしやすく、せっかく伸び出した新葉が焼けると綺麗な紅葉も見られなくなりますから、葉刈り・葉すかし後は遮光下に置き、葉が展開してきてから徐々に明るい場所に移動してください。

葉が固まってからも8月いっぱいまでは完全遮光下での管理で、西日で葉を傷めないようにしましょう。

水やりは乾いてから。樹勢回復のために霧水散布も

葉刈りや葉すかしをすると当然葉の量が激減しますから、葉からの蒸散量が減り水の乾き方も遅くなります。

これまでと同じ要領で灌水してしまうと根腐れする危険があるので、土が上層が白く乾いてきたのを確認してから水やりしてください。

1日1~2回の霧水は樹勢回復に役立ち、芽立ちを助ける効果があるので実践してください。

定期的な殺虫殺菌で病害虫を予防

モミジの消毒

新葉の時期は特にアブラムシやうどんこ病が発生しやすくなるので、定期的に薬剤散布をして予防する

モミジは葉刈り後に樹勢を落としやすく、部分的に枝枯れしたり病気が発生する可能性が高くなります。

葉刈りや葉すかしをする時期はちょうど梅雨~盛夏の頃で、柔らかい新芽にはアブラムシやうどんこ病が発生しやすくなるので、殺菌剤を定期散布して予防してください。

ただし新葉の組織は柔らかいので、スミチオンなどの浸透性の強い薬剤を使うと薬害が出やすくなります。サンヨールやオルトラン(オルトランC、水和剤)など、薬害の比較的出にくいものを選び、スプレー剤を使う時は近接散布で冷害を起こさないように注意してください。

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