楓 (カエデ)の芽摘み
投稿日:2014/03/07 更新日:2020/05/18
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楓は最初の節間が詰まっていて、新芽が急激に伸び出すことがないので、紅葉のように急いで芽摘みをする必要はありません。
樹勢が強く芽吹きも旺盛なので、樹勢が付いたものならば成長期の間に数回の葉刈りが可能。葉刈りを同時に行えば短期間で効率的に芽数を増やすことができます。
C o n t e n t s
- 楓の芽摘みの適期
- 楓の芽摘みの基本フォーム(芽摘みと葉刈り)
- 仕立て段階別の芽摘み(養成木と完成木の芽摘み)
- 関連ページ
1. 楓の芽摘みの適期
楓の新梢は伸びても最初の節間が短いままなので、紅葉のようにハカマや稚児芽を早々に摘む必要がありません。
最初の芽摘みは新梢がある程度伸びて固まる4月中旬~5月頃まで待ち、必要に応じて葉刈りも一緒に行います。
葉刈り後1ヶ月~1ヶ月半もすれば2番芽が伸びてきますから、8月頃までに3~4回の芽摘みを繰り返すことができます。
ただし楓でも葉刈りは負担の大きい作業で、樹勢の弱い樹に何度も葉刈りをすると葉が縮れたり、あまり遅くまで葉刈りをすると秋までに新梢が固まりきらないなどの障害が生じますから、樹のサイズや樹勢に応じて行うようにしましょう。
2. 楓の芽摘みの基本フォーム
新梢を1節残して鋏で切る
楓の芽摘みは新梢が3~5節ほどに伸びて葉が固まった頃に行います。元葉2枚(1節)残して鋏で切り取ってください。
あまり早くやっても2番芽が強く伸びるばかりで、肝心の弱い芽やフトコロ芽が動いてこないので、樹形が崩れるように見えても伸ばすことが大事です。
楓の芽摘みは、新梢を一旦伸ばして切る「切り戻し剪定」の要領で行う
新梢は伸ばしたままにすると枝元が太ってきますが、完成樹は枝を太らせたくないので伸びきらないうちに行うのがよく、養成木よりも1週間~10日程早めに行うのが理想的です。
芽摘み自体はこれで完了ですが、芽吹きの強さを利用して葉刈りや葉すかしを行うと、フトコロ芽が動き出してさらに枝を込ませることができます。
芽摘みと葉刈り
萌芽力が旺盛な楓は、初夏の葉刈りや葉すかしも重要な作業。樹勢がのっていれば年に3~4回の葉刈り葉すかしが可能で、芽摘みと併せて行うと効率的です。
図1:芽摘みの後に葉すかし、葉刈りをする例
伸びた新梢は先に真ん中の芯を摘んでから1芽ずつ葉刈り(図1)してもいいのですが、全葉刈りを行う場合は第一節間の葉柄と新梢の芯を指で軽くまとめてつまみ、鋏を入れると一度で芽摘みと葉刈りが出来ます(写真1)。
写真1:新梢の芯を束ねて切れば、芽摘みと葉刈りが同時にできる
これを全体に行ったら細かい枝をみて、フトコロから強く伸びる枝や不要枝、ゴツく太った枝などを整理してください。
芽吹きの強い楓は芽摘みや葉すかしをすることで内部によく日が当たり、フトコロ芽の活性化が期待できます。枝の出来にくいとされる宮様楓でも芽摘みと葉刈りを繰り返すことで段々と細かい枝を作り込むことが可能です。
3. 仕立て段階の芽摘み
養成木の芽摘み
樹勢が強くよく肥培された養成木は、伸びる新梢の力も強いので、成長期の間は伸ばしては芽摘みや葉刈りを繰り返すことができます。
枝数が充分で樹勢の強いものなら第1回目は全葉刈り、2回目3回目となると段々芽の勢いに差が出てきますから、小さい葉を残して部分葉刈りや葉切りなどで対応し、力の平均化を図っていきます。
ミニサイズの樹は葉刈りの影響が大きいので、芽摘みだけに留めるか、葉すかしや葉切りまでにしてじっくり作ったほうがいいでしょう。
新梢の芽押さえ
芽押さえの一例。枝先は緩くでもいいが枝元には一曲入るように曲げる
枝作り段階のもので、基本の枝骨格を作りたい時は「芽押さえ」をします。
芽押さえとは真っ直ぐに伸びる新梢を針金で曲げたり伏せたりすることで、基本の模様を付ける作業。枝作りの一方法でもあり、花物実物類では花芽を付けさせる「抑制」の意味も持ちます。
春から伸びる新梢は芽摘みの時期まで待って芽押さえをし、ある程度まで太ってから切り戻して、翌年から細かい枝作りに取りかかってください。
あまり早い時期に行うと新梢を傷付けたり、作業中に芽元から取れてしまったりするので、「曲げやすく折れにくい」芽摘みの時期が適期です。
芽押さえは多少ナベヅル状になってもいいので、枝元にしっかり曲が入るようにしつけることがポイント。
針金が深く食い込んだ状態。ここまで放置するのはよくない
新梢は太りも早く、1ヶ月もすれば食い込んで来ます。
癖を付けるためには多少の食い込みは仕方ないですが、針金が面一(ツライチ)になるほど食い込むと生育に障害もでます。
傷が深くなる前に外し、必要であればかけ直してください。
完成木の芽摘み
完成木の芽摘みは枝元が太らないうちに行う
樹勢の落ち着いた樹形維持の段階の樹では、引き続き芽摘みや葉刈りで枝の力を抑制し、全体の樹形と勢を維持することが主な目的となります。
完成木の場合は作業時期をあまり遅らせると枝先が太くなっていけませんから、新芽が伸び始める4月上旬頃からとやや早めに芽摘みをしてください。
輪郭線から飛び出した新梢を1節残しで切り詰め、1箇所から複数ある芽は2芽2芽となるように掻き取り、枝棚内部から伸びる間延びした枝も見つけ次第処理しておくことも忘れずに。
葉刈りも一緒に行いますが、肥培が前提の葉刈りを行うと枝が若返って樹形を乱す原因になるので、完成木の場合は樹勢を維持しながら、外周部の大きな葉や頂部の強い部分だけの葉すかし(片葉刈り)、葉切りなどで対応してください。
楓の完成木の芽摘みは、葉すかしや葉切りを併用して「維持」することが主な目的
葉刈り後は枝の骨格がよく確認できるようになるので、切り戻し剪定や不要枝の整理をしてください。
葉刈りや剪定によってフトコロの枝に力が回り、胴吹き芽を出させる効果も期待できますから、よりコンパクトな樹姿を目指すことができます。
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