実物類に多い病気

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実物類は花物類と同様に、病気についてはしっかりと防除しておくことです。

また、害虫もつきやすく、その排泄物や分泌物などが病気を引き起こすこともありますから、害虫対策も充分に講じておきましょう。

実物類に見られる病気

実物類特有の病気は、じつはそんなに種類は多くないようです。

バラ科のヒメリンゴなどは、ボケと同様に根頭癌腫病などが発生しやすいです。

害虫は、アブラムシやグンバイムシ、ハダニ類、カイガラムシ類などがよくつきます。これは他の病気の原因ともなりますから、しっかり駆除しておきましょう。

実物類の病気の種類と特徴

根頭癌腫(こんとうがんしゅ)病

根頭癌腫病

桜の根に生じた根頭癌腫病

草花や花木、果樹などに発生する病気で盆栽では野バラやボケ、桜などバラ科の根頭癌腫病で知られています。

木の地際から地下部分の根に亀裂の入ったコブ状の褐色の隆起が発生し、地上部の生育も徐々に低下していきます。

病原菌は土壌中で繁殖し、害虫による食害、接木などによって出来た根の傷跡から侵入してきます。同じ土壌中で長い間生きているので、他の木に感染しないように新しい用土を使います。

地中の根に発生する病気ですから、掘り返さないと病気を見つけにくいものです。植え替えや接木の際には注意し、コブのない健全な株を選んで入手するようにしましょう。

一般的に根頭癌腫病は夏に繁殖しやすいので、ボケなどでは病原菌が繁殖しにくい秋の植え替えを行います。

うどんこ病

うどんこ病

サルスベリの葉に生じたうどんこ病

モミジやカエデ、エノキ、アケビ、カキ、サルスベリやナラ類などの広い範囲の樹種に発生します。

最初は葉の表に白色のカビのようなものが発生し、しだいに拡大して葉の全体を覆うようになります。

葉の他に、新梢や蕾・花など柔らかい組織を浸す場合もあり、その部分がねじれたり曲がったりして奇形になります。

うどんこ病菌は、吸器を組織表面から差し込んで養分を吸い取るので、樹は徐々に弱っていきます。

また、葉の表面を覆うため光合成や同化作用を妨害してしまいます。うどんこ病は春と秋の涼しい時期に多く発生・蔓延しますから、原因となる害虫の駆除や、できるだけ発生初期の段階で、ベンレート水和剤ベニカXサンヨールなどの薬剤散布をします。

赤星病

カリンの赤星病

サビ病の一種で、葉のオレンジ色の斑点が生じ病斑が大きくなるにつれて葉裏に毛ばだった白い毛状突起が伸びてきます。

この病斑は5月頃から茶褐色に厚みを増してきて、そこに精子器ができて受精します。
裏の毛状突起には褐色の胞子がついて、7月~8月頃に飛散します。

病原菌はビャクシン類を中間宿主としていて、葉や枝で茶褐色の塊の状態で越冬します。

春になり、雨が降って水滴がつくと膨らんで、オレンジ色の寒天状になり、そこでつくられた小生子が飛散しナシやボケ、リンゴ、カイドウ、カリンなどの花実物類に寄生します。

サビ病は中間宿主を取り除けば自然になくなりますから、完璧でなくても出来るだけ感染源を取り除くようにします。

4月の発病初期に、オーソサイド水和剤マンネブダイセン水和剤などを定期的に散布したり、冬期には中間宿主を含め石灰硫黄合剤を散布して防除します。

樹種別の病気(実物類)

樹 種 主な病気 有効な治療
姫林檎
(ヒメリンゴ)
根頭癌腫病
うどんこ病
赤星病
根頭癌腫病:切り口に石灰硫黄合剤を塗布
ベンレート水和剤、ベニカXなど(うどんこ病)
マンネブダイセン水和剤など(赤星病)

真弓
(マユミ)

とくになし
害虫(アブラムシ類、カイガラムシ類、グンバイムシ、ケムシ類)の駆除
ピラカンサ とくになし 害虫(アブラムシ類、カイガラムシ類、グンバイムシ、ケムシ類)の駆除
紅紫檀
(ベニシタン)
とくになし 害虫(アブラムシ類、カイガラムシ類、グンバイムシ、ケムシ類)の駆除
梅擬
(ウメモドキ)
とくになし 害虫(アブラムシ類、カイガラムシ類、グンバイムシ、ケムシ類など)の駆除
花梨
(カリン)
とくになし 害虫(アブラムシ類、カミキリムシ幼虫、カイガラムシ類、ハダニ類など)の駆除

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