桜の作業暦
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
生育状況 | 芽出し |
紅葉 |
落葉 |
休眠期 |
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花 |
花芽分化 |
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管理場所 | ムロ |
ムロ出し | 日なた |
半日陰 |
日なた |
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灌 水 (回数/日数) |
1/日 |
1~2/日 |
2~3/日 |
1~2/日 |
1/日 |
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施 肥 | ||||||||||||
剪 定 | 花後 |
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針金かけ | 芽おさえ |
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植え替え | ||||||||||||
芽摘み | ||||||||||||
葉刈り |
桜はバラ科サクラ属の落葉高木。
日本の春の象徴とも言える桜は、多くの品種で新芽に先駆けて花を咲かせます。
園芸品種は400以上と豊富にありますが、盆栽で人気なものは小輪で剪定に強い山桜系や寒緋桜系の品種や、江戸彼岸系のしだれ桜(糸桜)、十月桜、小輪の富士桜など。
病気や害虫の多い桜は、特に根頭癌腫病を患いやすく長く持ち込めないことが難点とされていますが、植替え時や日頃の継続的な消毒の徹底で予防や完治も不可能ではありません。
日当たりと風通しのよい場所で育てます。
基本的に丈夫な樹なので、水切れさえ注意すれば棚上に置いたままでも大丈夫。
日陰だと花芽が出来にくくなり、また枝作りにも支障がでるのでよく陽に当てたほうがいいのです。
水と肥料が効いていれば葉焼けも起こしにくいので、管理次第で格段にいい樹になります。
ただし小品サイズや富士桜系の品種は夏の強光や暑さにやや弱いので、盛夏は日よけの下に置いてください。
寒さには強いですが、少ない用土で育てる盆栽は保護が必須。2~3度霜に当てたら棚下やムロに入れてください。特に秋に植え替えをしたものは根が凍らないよう早めの保護が必要です。
乾燥に弱いので水切れのないように注意してください。
桜は葉が大きくなるものが多く、単に上から灌水しただけでは葉が水を弾いて用土まで届かないことがあるので、株元にもしっかり水をかけましょう。
春の芽出し頃からは1日1~2回で、夏は1日2~3回、冬は2~3日に1回を目安に表土が乾いてきたらたっぷり灌水してください。
冬は灌水頻度が下がるぶん、うっかり水切れさせる失敗が意外に多いものです。冬の水切れは翌年の花芽を痛めますし、折角作り込んだ枝も枯れてしまうので注意してください。
桜は春肥が重要で、花後の肥料は枝作りのための芽吹きの力を助けるために必要不可欠です。
特に秋に植え替えしたものは施肥を控えているので、春の肥料は大切な栄養分。
4月~7月にかけては他樹種の5割増しくらいを目安に多めに施肥してください。
秋は9月~11月の間に施肥しますが、春肥ほどの量は必要としません。花付きをよくするため通常の肥料に骨粉を混ぜてもいいです。
桜は枝の更新が早く、枝作りが難しい樹種の1つ。
花を見ながら小枝をある程度充実させるためには、こまめは芽摘みや剪定が欠かせません。
剪定は花後すぐ(芽出し前)の伸び過ぎた枝を切り詰める作業と、落葉後の本剪定の年2回。
成長期の間は花芽を意識した芽摘みで小枝を作り、観賞に備えて秋に全体を整えます。
若木の場合は花芽を意識せず芽摘みを繰り返し、不要な根や枝は思い切って切り詰めてください。
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桜の芽摘み時期は新梢が少し伸び、葉の組織が固まる4月中旬頃から行います。
基本的には2~3節残して先を鋏で切り取りますが、古木なら葉が展開する前後くらいで少し早めに摘んで輪郭を維持します。
最初の芽摘み後も部分的に強く伸びる枝は同じ要領で芽摘みをしますが、枝として残したい部分は芽おさえ(針金で枝を下げること)で対応してください。
梅雨明けには新芽の伸びも止まり、夏にかけて花芽分化期に入ります。
輪郭から強く飛び出すような芽は随時摘み取っても問題ありませんが、花芽を付けさせるためには芽摘みや剪定を遅くとも6月いっぱいで終わらせおきましょう。
ある程度枝作りが終わって花を付けさせる段階の樹には、新梢を段階的に切り戻す追い込み剪定も有効です。
やりかたは春から伸びる新梢は芽摘みをしないで一旦伸ばし、樹勢を付けさせておきます。そして葉が5~6枚くらいに達した頃に先端の葉を摘み伸びを止めてしまいます。
植物は頂芽優性の性質を持っているので、残された葉のうち最も先端部に近い葉の腋から2番芽が伸びてきます。そこでこの2番芽が確認できたらその芽ごと先端の葉元の枝を剪定します。
葉数を確保しながら徐々に枝元近くに2番芽を吹かせることで、樹勢を損なうことなく残した枝を充実したものに出来るという考え。
7月~8月の花芽分化期までにこの作業を2~3回繰り返していると、枝元付近に花芽を分化させることができるようになります。
だたし先端を止めただけでは2番芽が吹きにくかったり、品種により追い込みが出来ないものもあります。また追い込みを剪定をしているうちは小枝は増やせないので、花芽を付けさせるための芽摘み法の1つとして覚えておくといいでしょう。
桜は枝の更新が早く、枯れては新しい枝ができるを繰り返す性格があります。
「桜伐る馬鹿、梅伐らぬ馬鹿」ということわざがあるように、桜は枝の維持が難しく、こまめな芽摘みや剪定なしでは盆栽としての樹姿を作ることはできません。
桜の剪定は基本的に芽出し前と休眠前に行います。
多くの品種は芽出しに先駆けて花を咲かせるので、開花期=芽出し前と考えておいていいです。
時期は3月中~下旬頃。花の観賞が終わったらすぐに剪定します。
本格的な剪定は休眠前ですが、花を見るために長めに残しておいた枝は花後すぐに2節で切り詰め、針金で向きを修正するなどの簡単な整姿をしておいてください。
剪定後は新芽が動き出すので適宜芽摘みや剪定をし、梅雨開け~夏の花芽分化期までに各枝を充実させておきます。
落葉前後の11月頃からは本格的な剪定の適期。
花芽と葉芽を確認しながら不要な枝をしっかり整理し、必要に応じて針金で向きを修正するなどの整枝作業をします。
特に若木ではまず樹形作りが課題なので、積極的な剪定が必須。不要枝は思い切って切り詰めて基本樹形を定め、枝作りを始めてください。
桜の場合、太枝の剪定はできるだけ避けたほうがいいのですが、やむを得ない時は枝の付け根部分まで深めに切り込みます。中途半端に切り残してしまうと肉巻きも悪く、そこから腐れ込みが生じやすくなります。
また、桜の剪定で最も大事な事は傷口の保護。剪定痕から水分が逃げて衰弱の原因になるだけでなく、傷口から腐朽菌や害虫が侵入する危険が高まります。
大きな傷はもちろんですが、小さな傷でも必ず保護剤や癒合促進剤を塗ることを徹底してください。
桜の整枝はあまり寒い時期までやっていると枝枯れを起こすことがあります。落葉後、おそくとも12月中旬までには済ませ、厳寒期の剪定や針金かけは控えてください。
桜は枝の更新が早く、毎年姿が変わるといって良いほど枝決めの難しい樹です。
そのため樹形作りはこまめな芽摘みや剪定で整え、針金はあくまで補助的に使うと考えてください。
桜は水分が多く、古枝に針金をかけようとすると枝折れしやすいので、今年伸びた柔らかい枝にかけます。
枝の向きを修正する程度に軽くかけますが、役枝として残したい部分は剪定せずに枝を下げて(芽おさえ)太みを得てから切り戻してください。
基本的には春と秋の剪定後に補助的に針金かけをしますが、向き修正くらいの軽作業ですから必要に応じて行ってください。
ただし秋(休眠前)以降にかける場合はあまり遅くなると枝枯れの原因になるので、遅くとも12月中旬までには終わらせておきましょう。
根頭癌腫病予防のため殺菌も兼ねて秋の植え替えをすることが多いですが、直後に厳寒期を迎えることを避けるため少し早めに作業してください。
昔はバラ科の樹は秋の植え替えが定石でしたが、今は質のいい抗生物質剤や殺菌剤が容易に手に入るので、春の芽出し前(2月中~下旬頃)でも問題ありません。
むしろ春の方が冬の保護の心配がないうえに、しっかり根捌きができるので初心者でも安心です。
どちらの作業も根捌き後はヤシマストマイなどの抗生物質剤に根を浸漬し、古土を全て取り替えて植え直してください。
根頭癌腫病になってしまった樹も定期的に植え替えして患部を切除し、その都度治療していけば完治は容易でなくとも大きな被害になることはありません。
古土は汚染も考えられるので、入手したばかりの素材は古土をホースの水圧等で徹底的に落とし、根の状態をチェックして作業してください。
若木の植え替えは枝の剪定と同様に太根をしっかり整理することが大事ですが、切り口からの腐食や菌の侵入が心配されます。
大きな傷はもちろんですが、小さな傷にも必ず保護剤を塗って植え込んでください。
保護剤はトップジンやカルスメイトなど種類がいろいろありますが、ペースト状のものだと乾くまでに時間がかかり植え付けに手間取ります。
根を保護する場合はパテ状のカットパスターHiなどがお勧めです。
適量取り出し、手で丸めて傷口を覆うように押しつけてください。
カットパスターHi
世田谷区にいましたが、盆栽のための広い土地を求め移住計画中。小さい盆栽を中心に山野草や鉢作りも楽しんでいます。
動物も好きで猫を飼っています。初代愛猫『アロ』は天国へ行ってしまいましたが、新しい家族を迎えて仲良く暮らしています。
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