桜 (サクラ)の魅力
更新日:2018/04/02
桜(サクラ)はバラ科サクラ属の落葉高木。
春の訪れを知らせる桜の花は日本人に最も親しまれてきた樹種です。
梅と同じく多くの種類があり、品種問わず丈夫で花付きがよいのが特徴。
新陳代謝が旺盛なので枝が枯れては新しい枝に更新されます。そのため樹形の維持が難しい樹ですが、毎年姿が変わるものとして花を楽しんでください。
重く古木感のある幹も魅力で、じっくり時間をかけて持ち込む楽しみがあります。
桜の品種と分類
日本に元々自生する桜の原種は山桜や大山桜、大島桜など約10種ほどですが、それらが自然交配した野生種や園芸品種は400種以上にのぼります。
花も品種により個性がありますが、普通5弁で白~淡紅色。花弁の先には切れ込みがあり、一才咲きや八重咲きも人気。
サクラ属は細かく分類され、大きく分けて原種から派生した①ヤマザクラ群、②カンヒザクラ群、③エドヒガン群、④マメザクラ群の4つがあります。
さらにサクラ亜属にはミヤマザクラ群、シナミザクラ群、チョウジザクラ群があり、これらの変種や交雑種が数十種ほど野生化しています。
①ヤマザクラ群
山桜(左)と大島桜(右):福岡堰
全国の山野に自生し、開花と同時に葉が展開する原種の「山桜」は、多くの品種の母種となっています。
山桜よりやや大輪の「大山桜」や、伊豆特産のやや丸味を帯びた花弁で多くの里桜の母種となっている「大島桜」も有名です。
里桜(左:福岡堰)と御衣黄(右:松蔭神社)
また一般に言われる「里桜」はヤマザクラとの自然交配または園芸種の総称で、小型の品種が多く小品盆栽にも人気。
里桜には八重咲きで一才性の「旭山桜」や「鬱金(うこん)」、緑色の花弁が個性的な希少種「御衣黄(ぎょいこう)」のほか、秋と春に開花する「冬桜(山桜×豆桜または里桜)」、「朝鮮山桜(霞桜)」などがあります。
②カンヒザクラ群
寒緋桜(福岡堰:茨城県世田谷みらい市)
早咲きで緋色の花が複数枝から垂れ下がるように咲く「寒緋桜」との交配種です。
1つの蕾から複数の花がやや下垂して一斉に開花するのが特徴。
現在の「皇太子殿下・雅子様」の御成婚を記念し雅子様の「 雅 」を取って命名された「プリンセス雅」は大島系桜との交配種です。
プリンセス雅(左)と河津桜(右)
そのほかの品種には、紅紫色の小輪の「おかめ桜(緋寒桜×豆桜)」や淡桃色の「寒桜(寒緋桜×山桜)」、一重で四季咲き性(晩秋~春)の「信濃寒桜」、花色が濃い「河津桜(寒緋桜×大島桜)」、大輪の「横浜緋桜(寒緋桜×兼六園熊谷)」、花色が濃く大輪の「陽光(寒緋桜×天城吉野)」、「安行寒桜(緋寒桜×山桜または大島桜)」など。
③エドヒガン群
十月桜
春の彼岸頃に咲く早咲き種として古くから親しまれた野生種の「江戸彼岸桜」の仲間です。
別名しだれ桜と言われる「糸桜」や糸桜の濃紅色タイプで八重咲き種もある「紅枝垂(べにしだれ)」
秋~冬と春の二期咲きの八重「十月桜」、十月桜の実生選別種「思川(おもいかわ)」
江戸末期に吉野桜として広がった花見桜の代表格、「※染井吉野(江戸彼岸×大島桜)」などが有名です。
④マメザクラ群
富士桜(豆桜)
箱根や富士山に自生する小型の桜「富士桜(別名:豆桜)」の仲間で、変異が多く存在します。
花弁がよじれてレースのようになる白花種の「雪嶺(せつれい)」、四季桜(豆桜×江戸彼岸)
八房性で八重咲き小型種の「琳宝(りんぽう)」
「御殿場桜」や御殿場市の山道で偶然発見された八重咲き種の「茜八重」「鴛鴦(おしどり)」
一重で枝がジグザクに伸びる「湖上の舞」、やや大輪の「紅富士桜」
湖上の舞
枝垂れ性の「枝垂富士桜」のほか、「かすみ」「さきがけ」「緑桜」「熊谷桜」などがあります。
盆栽に好まれる品種
桜には野生種と園芸種を合わせると現在約400種を超える品種がありますが、盆栽では山桜系の小輪の品種が好まれます。
人気のものには、「寒緋桜」や「寒桜」などの原種や、野生種の「富士桜(豆桜)」「湖上の舞」「琳宝(りんぽう)」「江戸彼岸桜」「旭山桜(一才桜)」などの里桜系の園芸品種。
「しだれ桜」「プリンセス雅」「河津桜」「八重桜」「しだれ桜」「おかめ桜」のほか、秋に咲く「十月桜」などがあり、剪定に強く枝作りができるものが向いています。
園芸品種でも気に入ったものがあれば盆栽仕立てにチャレンジしてみてください。
庭梅の花(左)と山桜桃の花(右)
また、同じサクラ属の仲間にはウメに似た花を咲かせる一才性の「庭梅(ニワウメ)」や「山桜桃(ユスラウメ)」、近縁種で八重咲きの「庭桜(ニワザクラ)」などがありこれらも盆栽に作られます。
庭桜は普通は結実しませんが、庭梅や山桜桃は初夏にルビーのようなかわいい実を付けます。
桜の繁殖法
桜の種木は品種もののほとんどは接木で増やされています。
接木に使う台木は、接ぎ穂と親和性のある実生苗を使うと良い活着を示します。
また挿木で活着する品種も多く、特に富士桜系は活着がよいことは知れていますが、山桜や染井吉野も適度な湿度管理や発根促進剤を使うなどの工夫で50%程の活着率を示すと言われています。
挿木は何より手軽で狙った素材を確実に増やすことができますし、暫く緩めて肥培すれば太りも早いので数年でいい素材ができます。
愛好家の間では挿木で作った素材は根頭癌腫病にかかりにくいと言う話もあるので、剪定枝のいい部分を見つけたら試しに挿しておくといいでしょう。
桜の主な樹形
直幹、斜幹、双幹、模様木、懸崖、文人、寄せ植えなど様々な樹形に作られています。
重く趣のある幹とやさしい花との調和もよく、文人作りにすると水墨画さながらの風情。
丈夫な上に幹が古くなりやすいので、不要な枝を削ってジンにすると趣がでます。
桜や梅などの花物盆栽は何より花を咲かせることが大事ですが、基本的な樹形ができていたほうが花が終わった後も盆栽としての楽しみが増すというものです。
枝の柔らかい若木のうちに針金などで基本的な樹形を作り、長く持ち込んで楽しんでください。
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コメント
- 東田正 さん 2019年05月23日10時46分
- 仙台しだれ桜を盆栽仕立てに仕上げたく栽培いたしております。しだれ桜の伸びる枝の剪定方法。を押しrて下さい。また三重県伊勢の横輪桜の苗木を求めています。
盆栽の初心者です。70才 - きみ さん 2019年05月23日13時07分
- 東田正 さんへ
枝垂れも基本的な考えは桜の剪定と同じと考えていいと思います。
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