ピラカンサ(常磐山査子・橘擬)の魅力
ピラカンサはバラ科トキワサンザシ属の常緑低木。
ラテン語のままピラカンサ(火のトゲ)属とも呼び、枝の一部にトゲが出る性質があります。
盆栽では赤実のトキワサンザシ(常磐山査子)や黄橙実のタチバナモドキ(橘擬)などのトキワサンザシ属を総称してピラカンサと呼んでいますが、俗に赤実のトキワサンザシを「ピラカン」、タチバナモドキを「黄実のピラカン」など呼称する場合もあります。
トキワサンザシの原産地はヨーロッパやアジア諸国で、日本へは大正時代に入ってきたと言われています。
タチバナモドキは元々は中国原産で、観賞用として明治時代に導入されましたが、鳥により運ばれて各地で野生化しています。
タチバナモドキは果実がミカンの仲間である「タチバナ」に似ているため、その名前が付きましたが、トキワサンザシより葉が長細いので「ホソバノトキワサンザシ」という別名もあります。
初夏に白い小花が鞠のように咲き、秋には鈴なりの実を付け、冬の間も残るので印象的です。
実付きもよく、丈夫で育てやすいため庭木としても人気で、初心者にも向いた樹種の1つです。
ピラカンサの特徴
ピラカンサの花(5月~6月)
トキワサンザシ(赤実)の花
タチバナモドキ(黄橙実)の花
ピラカンサの花は白い5弁の小花が鞠のように集まって咲きます。
花期は5月~6月頃。
タチバナモドキの花はトキワサンザシよりやや大きめで、どちらも雌雄同花。
ほとんど自家受精するので花の数だけ結実します。
ただし開花中は花に直接水がかからないようにしてください。
ピラカンサの実(10月~3月)
トキワサンザシの実
タチバナモドキの実:樹木図鑑より
ピラカンサは実成りがいいので、咲いた花の数だけ結実します。
トキワサンザシは鮮やかな赤い実で、タチバナモドキは黄~オレンジ色の実がなります。
どちらも実の観賞時期は秋~冬の間なので、この時期には両種を寄せ植えにしたり、枝を接いで2色の実を楽しむように作られた鉢植えを園芸店でよく目にします。
鮮やかな実は冬の間も付いているので、鳥たちの貴重な食料にも。
鑑賞用の実を守るためには、鳥かごなどでカバーしておけば見た目もよいです。
遅くまで実を付けていても樹勢の落ちない樹種ですが、小さい樹ほど力の消耗が大きいので、実は遅くとも年が明けたら摘果して樹を休ませてください。
ピラカンサの幹・枝
ピラカンサのトゲのある枝
ピラカンサの幹は古いものはとても固いので、無理に曲げると折れたり枯れ込むことがあります。
針金などで形を作る場合は若い枝に対して行うようにしましょう。
ピラカンサにはトゲのある枝とない枝があり、トゲのある短くて充実した枝に花芽がつきます。
剪定の時は、トゲの出ない徒長枝は短く切り詰めますが、トゲのある枝は大事にしてください。
枝を作り込みやすい樹種なので、よく出来たものは冬に葉刈りをして寒樹姿を楽しむこともできます。
ピラカンサの繁殖法
ピラカンサの種木は挿木や取木でよく増えます。
実生をすると親と違うものが出るので、新品種育成に使われます。
ピラカンサの主な樹形
丈夫で芽摘みや剪定でよく枝が増えるので、樹形作りの比較的簡単な樹種です。
斜幹や模様木、株立ち、根あがり、懸崖などいろいろな樹形に仕立てることができます。
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