四手(シデ)の魅力

更新日2018/06/20

四手の魅力

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シデ(四手、学名:Carpinus)はカバノキ科クマシデ属の落葉高木の総称。別名ソロ(ソネ)、ソロノキ。

本州~九州の山野に広く分布する樹で、街路樹や公園樹、庭木としても人気があります。

葉をまとったミノムシのような特徴的な花(果苞)が垂れ下がり、秋口に熟した種は苞によって風に舞います。

紅葉(黄葉)はもちろん、よくできたものは幹肌や寒樹姿も見応えがあり、春の芽出しや面白い花など四季を通じて楽しめる樹種です。

1. シデの特徴

シデの花

四手の花

雌花(左)と雄花(右): ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典

シデの花期は4月~5月頃、葉の展開と同時に開花します。雌雄同株。

花の形状は雌雄とも花穂と言われる連なって垂れ下がる形で、1本の樹に雄花と雌花を付けます。

雌花はビールの原料で知られるポップの形に似ていて、新梢の先に咲きます。

雄花は稲穂状で、枝の途中につきます。

シデの実

神社のしめなわ(左)と、クマシデの果苞(右)

雌花の発達した苞は葉に似ていて、結実した実は葉をまとったミノムシのような形。秋になると種(堅果)を包む果苞が翼の役割をして風に舞い、子孫を残していきます。

「四手」とは神社の玉串や注連縄(しめなわ)に付ける紙で作った飾りのことで、この樹の果苞と形が似ていることが名前の由来ともなっています。

シデの種類

シデは東アジア温暖帯を中心に30種ほどの種類があり、日本にはアカシデ(赤四手)、イヌシデ(犬四手)、イワシデ(岩四手)、クマシデ(熊四手)、サワシバ(沢柴)の5種が分布しています。

湿潤肥沃な土地を好む種類が多いですが、自生地によって耐寒性や乾燥に適応した種もあり、同種でも葉形や葉脈の数にも多少違いがあります。

いずれも小型の種類が多く、盆栽ではアカシデ(赤芽ソロ)やイワシデ、クマシデ(カナシデ)などが人気。由来は不明ですが地方名をソロといい、シデ類を総称してソロと呼ぶこともあります。

アカシデ(赤芽ソロ)

赤四手の新梢

アカシデの紅葉(11月)

アカシデは北海道~九州の山野の川沿いなどに多く自生しています。

枝は素直で繊細な印象で、葉型も先の尖った端正な形。小葉で、葉の側脈の数は7~15対。

盆栽でソロと言えばこのアカシデの事を指していて、新芽や花、新梢や若い枝の軸が赤色をしているので「赤芽のソロ」と言われ、枝垂れ性の品種もあります。

新葉の表面には細かい毛がありますが、後に無毛に変わります。

紅葉しますが、環境によって黄葉タイプもでます。

イヌシデ(シロシデ)

犬四手の葉の特徴

イヌシデ(シロシデ)の葉

イヌシデは別名をシロシデ(白四手)、白ソロ。葉脈の数は10~15対。

本州(岩手県、新潟県以南)~九州の雑木林を代表する樹で、古木になると白い縦筋模様の滑らかな幹筋が見えてきます。

「犬」の字はアカシデに似て否なるものの「否(イナ)」から転じたものと言われています。

イヌシデの特徴は産毛。葉の両面には白く寝た状態の細毛がまばらにあり、光沢はありません。

縁は重鋸歯で先端が細かく尖っているのも特徴で、アカシデに比べて葉柄が短いのも見分けるポイントです。

イワシデ(コシデ)

岩四手の葉の特徴

イワシデの葉(左)と托葉(右)

イワシデは葉がコンパクトな種類で、別名をコシデ(小四手)、朝鮮ソロ。葉脈の数は11~13対。

葉形は他のシデ類に比べてやや丸味のある菱卵形で、小さくまとまった印象は小品にも向きます。

イワシデの托葉

イワシデの托葉

新梢の軸や葉柄は赤みを帯びていて、葉表面は無毛でやや光沢があります。

葉柄の元に線形の托葉(たくよう)が落葉後まで宿存するのが特徴です。

クマシデ(カナシデ)

一才金四手の葉

一才カナシデの葉

シデ類の中では最も葉が大きいクマシデは、本州~九州の山野や低山帯、日当たりのいい谷筋などに多く自生しています。

材が硬く「イシシデ(石四手)」「カタシデ(硬四手)」の別名を持ち、秋には黄葉を楽しめます。

クマシデは葉も花も全体に大きいのが特徴ですが、盆栽界ではそのものあるいはその変種を「カナシデ(金四手)」と呼んでいます。

他のシデ類よりも葉身が長く、葉表面は無毛で光沢があり、切れ込みが深く葉脈と葉脈の間が盛り上がったような感じ。

葉脈の数が多く間隔も狭いのが特徴で、葉脈の数は13~24対になります。

小さいうちから花を良く付ける「一才カナシデ」も人気で、葉も小さく小品向きですが、やや枝が弓なりに反り返る性質があり整枝に気を遣うところがあります。

2. シデの苗木の入手と繁殖法

シデの苗木は園芸店や盆栽園にも普通に出回っているので、比較的手に入れやすい素材です。

樹勢がよいのはもちろん、立ち上がりや枝打ちの良さ、幹肌、葉性の良さなどの見所を見極めて、将来性のある素材を選んでください。

立ち上がりや幹模様に難があっても、枝の出方が素直であったり小枝のよく出来たものは取木して太幹の素材を作ることもできますし、植え付け角度や枝を整理するだけで見られるようになるものもあるので、様々な樹形を頭にいれて素材を観察してみましょう。

挿し木

 

実生

クマシデやイヌシデは全国で普通に生えているので、タネを入手する機会があれば実生ができます。その場合は、果穂が茶色になってくる9月下旬~10月頃に果穂ごと採取して、2~3日陰干ししてから手で揉んで種子を取り出し、取り播きをしてください。

春まで保存する場合は、種を乾させないように湿った砂などに保存して、時々乾いていないかチェックし、3月の播き時まで冷蔵保存してください。

病気・害虫

病害虫には強いですが、風通しが悪いとアブラムシやカイガラムシ、ハマキムシがつくことがあります。

梅雨時期はうどんこ病にも注意してください。

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コメント

ヒョウ さん 2022年02月20日09時16分
しんとうさん

こんにちは。
いつも拝読させていただきます。

来月シデの剪定をする際に、挿し木を初めて
試みたいと思います。つきましては、シデの挿し木の
ポイントや注意点お伺いできれば幸いです。

宜しくお願いします。
きみ さん 2022年02月20日16時45分
ヒョウ さんへ

こんにちは!(*^-^*)
シデ(イワシデ、カナシデ、赤芽ソロなど)は挿木の成功率高いので、ちゃんと切り口を綺麗に処理して、水揚げして、ついでに発根促進剤(ルートンやオキシベロンなど)を使えばよくでると思いますよ。

ただ、たまたまですが、春先に剪定枝を挿したことがないです。
だいたい、葉が固まってそろそろ芽摘みしようかという時期(5月~6月)頃に、少し葉刈りして挿しています。
休眠枝で発根するかどうか経験がないですが、シデの発根力は高いので確率は高いかと。


メダカの大工さんがブログで丁寧に説明されているので参考にしてみてください♪
ヒョウ さん 2022年02月20日19時26分
しんとうさん

早速返信いただき、有難うございます!

なるほど、時期さえ間違わなければそんなに難しくないことよく分かりました。

今年はとりあえず剪定枝の挿し木は少量試験的にすることにし、
芽摘みの時に大量(?)にやることにします。将来寄せ用にと考えています。休眠枝挿しの報告またします!

ちなみに、挿し枝の長さとかはだいたい何cmくらいがいいでしょうか。発根までだいたい何日かかるかも教えて頂きたく思います。

宜しくお願いします。
きみ さん 2022年02月22日08時56分
ヒョウ さんへ

>ちなみに、挿し枝の長さとかはだいたい何cmくらいがいいでしょうか。発根までだいたい何日かかるかも教えて頂きたく思います。


長さは自分は5センチ以下くらいかなと思います。葉が多すぎる場合は半分くらい葉刈りなり葉切りなりやります。
カルスができるまでは時期がよければ1週間前後でしょうが、鉢あげするのは秋か春先がよいかと思います。
ヒョウ さん 2022年02月22日22時44分
しんとうさん

こんばんは。

「5cm以下」は驚きました。もっと20cmくらいかと勝手に思ってましたので。しんとうさんのアドバイスでなんだか成功する自信が一気に80%も増えました!

とりあえず、来月半ばに太さ爪楊枝くらいのものから、爪楊枝3本分くらいのものまで、いっぱい赤玉単体で挿してみようと思います。春が待ち遠しい!

またご報告します。有難うございます!
ヒョウ さん 2022年04月26日15時21分
しんとうさん

こんにちは。

10日ほど前に、シデの挿し木をちょっとだけしました。

5cmから10cm以上いろんな長さでテストのつもりで。

10日経過して、今現在一本だけ萎えて他は頑張ってくれて
いるように見えます。来月残り枝を剪定の際に、また挿してみたいと思います。

成功すれば、寄せ植えをと考えているところです。
5月が待ち遠しい。
きみ さん 2022年04月26日15時51分
ヒョウ さんへ

たくさん挿しましたね^^密生して挿す方法とてもいいと思います。動かないですからね~
挿木は葉が固まってからの方が確立は高くなると思いますが、もともと発根のいい木なのできっと大丈夫だと思います。
寄せ植えいいですよね~
ヒョウ さん 2022年04月27日08時28分
しんとうさん

おはようございます。
返信有難うございます。

意図的に密生して挿したわけでもなかったのですが、
確かに枝同士が支え合ってます。

あと2カ月、全員発根お祈りします!(笑)