梅(ウメ)の剪定

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「桜伐る馬鹿、梅伐らぬ馬鹿」ということわざがあるように、梅や桜は剪定を間違うと著しく樹形が乱れ、盆栽仕立てのものなら致命的な問題になります。

どこを切っても芽が出る他の樹種と違い、梅は芽の持ち方が不均等なので不用意に剪定すると枝と枝の間隔が著しく離れてしまいます。

梅盆栽は所詮花を観賞するものですから、ある程度樹形作りが終わったものは花芽を多く付けさせることが課題です。

しかし、盆栽として長く樹姿を維持しながら花を楽しむためには、時には花を諦めて葉芽を育て、樹に力を付けることも大事です。

梅は花も大事ですが、樹姿の維持が難しい樹。それだけ剪定がとても重要な役割をしているので目的に応じた剪定のポイントを押えてください。

花後の剪定

梅の剪定は、落葉し枝が見えやすい花後(芽出し前)の年1回の剪定が基本です。

花が終わって芽がようやく動きだそうかとする2月から3月にかけてが適期。

厳寒地では少し遅めの4月頃に剪定する場合がありますが、これは葉芽が確認しやすく冬枯れのリスクも低くなるので初心者にもお勧めです。

基本的な剪定方法は、葉芽の位置を確認しながら若枝の2芽を残して切り詰めます。

梅の花後の剪定

【花後の剪定は葉芽を確認して2芽残しの剪定を】

芽の間隔が広い場合や樹勢の強い若枝などは1節残しの剪定をすることもありますが、芽が動かない場合もあるので基本2~3芽残しの剪定の方が安全。

枝は互生に伸びるので、枝同士が重ならないように芽の方向も考えながら全体の輪郭がコンパクトに収まるように考えて剪定してください。

春以降に伸びる枝の中で特に勢いよく伸びる徒長枝は短く切り詰めてもいいですが、必要な枝なら芽摘みや針金で伏せる(芽押え)などの方法も検討してください。

花芽を付けさせるための剪定

折りだめ(6月頃)

梅に花芽を付けさせるには、春から伸びる新梢を花芽分化期までに充分に充実させておく必要があります。

花芽をつけさせる方法としては、6月頃に伸びた枝を2~3芽のところで枝を折り曲げる折りだめがあります。

梅の折りだめ

勢いが強く太くなった枝や、折ると他の枝の日照を妨げる場合は、枝が倒れない程度にペンチなどで枝の組織をぎゅっと潰して水や栄養の通路を狭めます。

折りだめによって枝の成長は阻害されますが、残した葉の光合成は継続されるので枝が充実し、やがて折った部分から枝元までの間に花芽形成が促進されます。

折りだめすると姿は見苦しくなりますが、観賞前に剪定すればいいのです。

追い込み剪定法(4月~6月頃)

ある程度枝作りが終わって花を付けさせる段階の樹には、新梢を段階的に切り戻す追い込み剪定法が有効です。

やりかたは春から伸びる新梢の葉が5~6枚くらいになったら先端をとめ、次に伸びる2番芽もその新芽ごと先端の葉を剪定します。

花芽分化期までにこの作業を2~3回繰り返していると、最後の2番芽に花芽を分化させることができるようになります。

葉数を確保しながら徐々に枝元近くに2番芽を吹かせることで、樹勢を損なうことなく残した枝を充実したものに出来るというわけです。

折りだめも追い込み剪定法も、葉数を確保し樹勢を維持しながら枝の勢いを抑えることがポイントで、一気に短く切るよりもメリットが多く、桜や梅擬などの花物樹種にも応用できます。

だたし先端を止めただけでは2番芽が吹きにくかったり、品種により追い込みが出来ないものもありますから、花芽を持たせる方法の1つとして覚えておくといいでしょう。

葉芽を増やすための剪定

梅の盆栽では花を咲かせることも大事ですが、開花のために沢山のエネルギーを消耗してしまうので樹は次第に弱っていきます。

若木や養生中のものは、まず枝作りや樹勢の回復を第一に考え、花芽がついても早めに欠き取ってください。

樹形作りでは、まず葉芽を育てることが大事。

ですが前述したように、特に花の付きやすい品種では花芽ばかりできて葉芽がなかなか育ちません。

葉芽を持たせるための剪定

そんな時は、春から伸びた枝の葉が5~6枚くらいに達した5月中~6月頃に、枝元の葉2~3枚を葉刈りしておくとその基部についた芽は葉芽になります。

葉を残した枝先の方には花芽が付きますが、花を見る目的ではないので欠き取りましょう。

落葉後、葉刈りした2~3芽のところで剪定すれば小枝を増やすことができます。

梅の花柄摘み

ウメの花柄摘み

梅や桜などの花物類は、花が咲き終わったら花柄を取ることも大切な作業です。

特に完成樹では樹形や樹勢の維持が剪定の目的ですが、花をそのままにしていると結実し、樹に余計な負担をかけてしまいます。

そうならないように、花を観賞したら花柄を摘むことを忘れないようにしましょう。

梅の花がらは花弁が落ちても「しべ」や萼が付いたままの状態。花の付いている部分には将来枝となる葉芽もありますから、これを傷つけないように丁寧に指や鋏で柄の部分を切り取ってください。

また、この時はまだほとんどの樹は防寒保護している時期になりますが、花柄を取ったものに関しては剪定した後にすぐに屋外に出してください。

開いたばかりの新芽は寒害に弱いものです。室内に保護したままにしていると新芽はすぐに発芽してきますが、軟弱な新芽は霜に弱く、そのまま葉が展開せずにムロ出しのタイミングで枯れることがよくあります。

そうならないために、剪定後は外気に慣して発芽を遅らせるようにしましょう。

コメント

児玉 昭夫 さん 2018年03月18日07時49分
児玉と申します。横浜に住んでいます。どうぞ宜しくお願い致します。
キミコ様の”盆栽びより”は大変読み易く内容を参考にして手入れをしています。

甲州野梅(30年以上?)を2鉢持っていますが、なかなか花がつきません。
この品種は「植え替えせず、根をいじめないと花は着かない」など特殊性があるようですが
剪定など、どのようにすれば花が着きやすいのか、参考になることが有りましたら教えてください。
きみ さん 2018年03月18日16時29分
児玉さん
コメントありがとうございます。
花芽がほしい時の剪定法で知っていることは、このページで一応まとめているのでそれで分からないことがあったらまた聞いてください
といいつつ、わたしも30年経過したウメを数年前に譲り受けましたが、元の持ち主も花を見たことがないといってました。同じ品種でも毎年咲くやつもいますし
かなりの経験者でもわからんので、私にも???です。今年も咲きませんでしたが、いろいろ試しています。確かに根詰まり気味がいいとかも聞きますし、枝数が多過ぎるのも良くないと聞きますが、実際どうなんでしょうね。
樹齢にもよると思います。
ミノル さん 2022年03月02日07時03分
質問です
冬至梅と思われます、一重白花の鉢です。
2022年今年も咲き2〜3芽残しと伸びた枝を切りました。
しかし、このままだとどんどん大きくなってしまうので、どうにかしたいのです。
今年の初冬落葉を待ち枝を(花芽、葉芽残さず)切ると、翌春芽が出てくるようなことをどこかでみたような気がします?。それが得策であれば、秋までの管理の注意点と、どの位置で枝を切ると良いですか?。
また、この方法に限らず良い手段がありましたら教えて頂きたくよろしくお願いします。
※植え替えは2021年にしています。
きみ さん 2022年03月02日08時54分
ミノル さんへ

大きくしたくないのであれば、1芽残しでも大丈夫です。1芽の向きがよくないようだったら2芽で対応してみてください。
植物ですから、大きくなるのは仕方ないことなんですが、できるだけ大きくならないようにすることが重要ですよね。
盲?剪定みたいな(なにもない所で切る)ことをして出る品種もあるようですが、結局、芽をだすかださないかは梅が決めることなので、絶対ということはありません。その樹と長年つきあって、性質をよくしる人ならできますが、基本的にはそんな無謀なことはしないほうがいいですね。

写真の梅は、どうやらあまり枝を持たない性質の梅っぽいので、そういうものとして樹形を考える必要があるかもしれません。小さく作りたいなら、上部の枝は飛ばして(ジンにして)、下枝だけでも観られそうですが、それもいきなりじゃなく、下枝に力がついてから切ったほうがいいと思います。

今ある葉芽は、今年の生長のために1年かけてやっとこさ作った大事な芽です。樹にとっては花芽以上に大事な芽です。その芽を全部きったら、新しい芽を作るのに相当な負担がかかります。
いきなり古枝で切っても、眠り芽は起きないことが多いですし、そのまま枯れるか、予期しないところに芽を吹いて、失敗します。

下(古枝)の芽を動かしたいなら、枝向き気にせずできるだけ短く(1芽で)切っておいて、新梢も芽摘みや芽押さえなどで抑制していると、そのうち下の方にも力がついて、いい場所に芽を作ることはよくあります。でもそれはすぐにではなくて、結果が分かるのは1年先です。
去年植替えしたということで、たぶん去年は上手く樹勢もあがらなかったと思いますが、今年は根も回復して、葉芽もよく育つはずです。

そうして急がず段階的に世話してやれば、樹は気が向いたら、理想の場所に枝を作ってくれるかもしれません。
ミノル さん 2022年03月02日09時11分
しんとう様
早速の回答ありがとうございました
順次芽を出させ、急がないことに重点を置き、やってみます。
小池敦子 さん 2023年05月04日00時00分
しだれ梅の盆栽をいただき、きれいに咲き、花後の剪定をしました。今、葉っぱが生い茂ってます。折りだめ、追い込み剪定方法のどちらをやればいいのでしょうか?
きみ さん 2023年05月09日17時37分
小池敦子 さんへ

お返事たいへんおそくなり申し訳ありません
通常のお手入れでしたら、要らない枝を抜いて、必要な枝も4~5節で芽摘みしたあと、元の葉を2枚切り取っておくだけでスッキリします。
追い込みは春先、折りだめも花芽を持たせる1つのやりかたで必須作業ではないので、上記のやり方か、雑木のように2節残しの切り戻しでもOKです。

そのくらいの葉量かはわかりませんが、よほどでなければそのままで大丈夫かと思いますよ
梅子 さん 2023年05月13日10時08分
越生梅林で梅盆栽を購入し盆栽デビューしました。花が終わり大きい鉢に植え替えをしました。購入時より枝ぶりを少し大きくしたかったのでそのように剪定しました。ゴールデンウィーク前に新芽が出まくり今(写真2枚目)葉がわさわさになってしまいました。切らねばならないような気もするし、光合成の為に葉が必要とも聞きます。どの程度葉を落とすものか分からずご教示頂きたく宜しくお願いします。
きみ さん 2023年05月13日18時07分
梅子 さんへ

紅筆いいですよね。
今の段階の葉姿としてはなにも問題なかとおもいます。
おっしゃるように雑木のように葉刈りを無理にやる必要もないので、このまま夏越しさせるようにしてください。

花後の剪定をしただけですか?新芽が吹いたのを芽摘みして2番芽がでているようにも見えます。
枝ぶりを大きくしたいということですので、この状態でいいと思いますよ^^

来年の花後に短く切りつめる(枝を間伸びさせない)ために、枝元の葉を2枚切ることもよくされます。
葉を切ると花芽の代わりに葉芽が用意されやすいからですが、品種にもよるようで100%葉芽になるというわけではないです。

もし葉が混み過ぎているなとお思いでしたら、元の葉2枚刈る(元葉刈り)をしておくだけでもだいぶスッキリすると思います
梅子 さん 2023年11月11日09時35分
こんにちは。5月に剪定の相談にのっていただき有難うございました。その後、無事夏の暑さを乗り越えたのですが、葉が落ちて枝が丸見えになってくると、バランスが悪いことに気付いてしまいました。今年は11月でも暖かく休眠前に剪定するなら間に合うのかなと思い、またまた剪定の相談をいたしたくどうぞよろしくお願いします。切って良ければどの辺を切れば良いのか、葉が全部落ちてから切るのか、切り口は何かした方が良いのか教えてください!
きみ さん 2023年11月11日17時01分
梅子 さんへ

紅葉(黄葉)が始まっているので剪定はできますが、花芽があると思うので本格的な剪定は花後がいいですよ。
見た感じですと芽摘みできなかったからか、徒長枝が目立ちますね。長すぎて困る枝は、軽めにきっておいてもOKです。

梅はガッツリ切り込んでもよく吹いてきますから、今は気になる枝だけ(花芽はなくなるかもしれませんが)切っておいて、花がさいてから思うようにしっかり剪定すればいいですよ
アヤ さん 2024年03月19日19時48分
こんにちは

梅とは関係ないのですが、花桃の盆栽が少ないのはなぜでしょうか。あるといえばあるのですが、梅や桜盆栽のように樹齢の古い盆栽が見つかりません。
きみ さん 2024年03月21日08時45分
アヤ さんへ

単純に需要と供給の問題と思うのですがどうでしょうね。
たしかにあまり見かけないですね。

苗は接ぎですから古く持ち込むのも難しそうですし。
花海棠より実海棠がよく使われるように、花さけ咲いても実がならないと飾れないし
という事情もあるのかもしれません。