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梅(ウメ)の魅力

梅

梅はバラ科サクラ属の落葉小高木。

中国原産種であるという説が有力ですが、日本の風土や文化にしっかり馴染んでいて、九州各地に梅の自生地が多くみられるという研究報告も。

清楚で素朴な梅の花は、華やかさを愛でる桜の花とはまた違う魅力を持ち、万葉集の時代には既に百首以上の梅に関する詩が掲載されています。

江戸時代に入ってからは様々な品種が多く作出され、原種に近い野梅(やばい)系をはじめ、紅梅系、豊後系の大きく3系統があり、現在200種以上の園芸品種が存在しています。

盆栽には花に気品のある野梅系の品種が人気で、寒紅梅や冬至梅などの代表樹種があり、紅梅系の緋梅も有名。

幹に老樹の趣が早いうちい出るので、樹姿やジン・シャリの芸も大きな見所の1つです。

梅の特徴

多彩な品種と分類の歴史

もともとは20種前後であったと言われる梅は、江戸時代以降盛んに品種改良が行われ、18世紀には100種以上の品種が作出されていました。

江戸時代中期の大名・松平定信の「浴恩園櫻譜」は、自身の下屋敷に植えた120種以上の桜を画家の谷文晁に描かせた図譜として知られていますが、春田久啓の「韻勝園梅譜」は梅の品種目録として極めて有名で、その摸写帖が調布の神代植物公園に所蔵されています。

韻勝園梅譜

神代植物公園所蔵「韻勝園梅譜」模写帖
:東京都公式HP 報道発表資料「神代植物公園 梅まつり」より引用

韻勝園梅譜

「韻勝園梅譜」に描かれた
梅の写生図

徳川家に仕えた旗本であった春田氏は、梅の研究家・育種家としても知られていて、「韻勝園」と称した自身の庭に数百株の梅を収集栽培し、写生した97種の梅に解説を添えてまとめました。

こういった動きは明治以降も続き、明治初期に作出された梅の品種数は400以上に登ります。

しかし当時はまだ梅の培養方が確立していなかったために淘汰された品種も多く、異名同種も少なからず含まれていたために品種の同定が非常に難しかったようです。

そういった背景から、明治34年に出版された「梅譜(小川安村著)」では、初めて梅の品種を9つの性(生)に分類しようとする説が提唱されました。当時の試みとしては非常に科学的な小川氏の分類法は、現在の園芸類別の基となっています。

後の昭和13年に発表された「梅花品目集(万芳園・平尾彦太郎著)」では、308種の梅を4系統に大別する説が提案されます。
梅や桜の接木名人として有名な平尾氏の分類は、野梅系(野梅性、難波性、紅筆性、青軸性)紅梅系(紅梅性、緋梅性)豊後系(豊後性、摩耶紅性)杏系の4系8性。

研究者や愛好家により多少の違いはありますが、現在主流となっている園芸上の分類は、まず「実ウメ」と「花ウメ」で大別し、花ウメをさらに野梅系(野梅性、難波性、紅筆性、青軸性)、紅梅系(紅梅性、緋梅性、唐梅性)、豊後系(豊後性、杏性)に分けた3系9性です。

梅の花(1月~3月)

桜は花柄が長く1つの花芽から複数咲くのに対し、梅は花柄がなく1つの花芽に1つの花が咲きます。一重咲きと八重咲き品種があり、一様に花弁は丸みを帯び桜の様なはっきりした切れ込みがありません。

花期は1月~3月で早咲きと遅咲きの品種があり、休眠が浅く早く咲くのは野梅系や難波系。豊後系は遅咲きの品種が多いです。

野梅系

野梅系は梅の原種(野梅)が変化したもので、その特性を多く備えているものです。木質部の随は白色。丈夫で枝付きよく、花弁は中輪~小輪、小葉性で盆栽向きです。

野梅性(やばいしょう)

野梅の花

野梅性は中輪の白~淡紅の花が多く、香りは強め。枝は細く密生し、時にトゲ状の小枝を出します。新梢は緑色で随は白。挿木が容易でこれを台木にした接木も多く生産されています。

野梅性は品種が特に多く、開花の早い正月用品種として知られる「冬至」や「紅冬至(こうとうじ)」、「初雁(はつかり)」を始め、極小輪の「米良(めら)」など。珍しい品種には花弁が退化した「酈懸(てっけん)」や、花裏が淡紅の「朱鷺の舞(ときのまい)」などが有名です。

吹き掛けや絞り、紅白などに咲き分ける「輪違い(別名:思いのまま)」のほか、八重系の「八重野梅」「玉牡丹」「黄金鶴」「八重寒紅」などもあります。

※野梅性の品種は特に数が多いので以下に追記します

一重品種:一重野梅、古今集、日月、塒出の鷹(とやでのたか)、茶青花、新茶青、新登、通い小町、田毎の月(たごとのつき)、一重寒紅、舞扇(まいおうぎ)、道知辺(みちしるべ)、芳流閣(ほうりゅうかく)、烈公梅(れっこうばい)、曙、二月の雪、渓間の月、満月、三国の誉、宝合わせ、黄金梅、玉の台、星下り、八つ藤、浜千鳥、三吉野、風流、雪月花、雪見車、重梅、白鷹、白縮緬、一歳白、残雪、雲の曙、谷の雲、田子の浦、自覚、世界の図など

八重品種:八重野梅、八重寒紅、淡路、一流、明石潟、月宮殿、芳流閣、宇治の里、香花紅、座論、大名、玉垣、長寿、玉絞り、玉簾、調布玉川、筑紫紅、吹上梅、都錦、明星、八重旭、八重茶青、柳川絞り、鶯宿(おうしゅく)、見驚(けんきょう)、春日野、水心鏡、花座論、無類絞りなど

難波性(なにわしょう)

難波性は矮性気味で小枝が多く、トゲも少ないのが特徴です。

葉はやや丸味を帯びた印象で、花弁は淡紅の波が多い八重咲き。野梅性と同じく、挿木が容易で活着しやすい性質です。

淡紅中大輪で花弁の先がやや波打つ「浮牡丹」や「遠州しだれ」」「難波紅(なにわこう)」「玉拳(ぎょくけん)」のほか、「旭牡丹」「御所紅」「更紗梅」「白雲梅」「白難波」「虎の尾」「故郷の錦」「蓬莱」「文殊」などがあります。

紅筆性(べにふでしょう)

豊後性に近い品種で、葉や枝は野梅にも似ていますが、蕾の先が尖って紅くなる性質。

花弁は先端や裏に紅色を帯び、淡紅色のボカシが入ることが多くあります。

節間の詰まる「紅筆(べにふで)」を始め、枝が太りにくく小品向きの「古金襴(こきんらん)」や「西王母(せいおうぼ)」のほか「内裏」「紅雀」「八重西王」「八重海棠」などがあります。

青軸性(あおじくしょう)

若枝の色は緑~緑白色で、蕾や萼も緑色をしています。花色は青白で枝はやや太くなりやすい性質。

月影

月影

普通梅の若枝は落葉後日焼けして紅茶色に変色しますが、この性は陽に当たっても変色せず冬でも緑色です。

一重中小輪の「月影(つきかげ)」や、中国渡来種の「緑萼(りょくがく)」「白玉梅(はくぎょくばい)」のほか「金獅子」「月の桂」「錦」「竜門」「白砂」「夜光の玉」「大輪緑萼」などがあります。

紅梅系(こうばいけい)

野梅系から変化した系統で、花だけでなく枝の随も赤いのが特徴。紅花が普通ですが白花種でも随の紅いものは紅梅系に属されます。

性質は野梅系に近く、小枝も多く小葉性のものが多いです。

紅梅系の梅

花色が紅く日焼けしないものを紅梅性(こうばいしょう)、濃紅色で矮性種が多く日焼けしやすい緋梅性(ひばいしょう)、色味が薄く花弁の脈が明瞭に出る唐梅性(とうばいしょう)と細分できますが、現在はあまり細かく分けて見ることはありません。

緋梅性はやや樹勢が弱く、枝枯れしやすい性質。

一重咲きには大輪の「大盃(おおさかずき)」や「夏衣(なつごろも)」、中輪の「東雲(しののめ)」「関守(せきもり)」「紅千鳥」「蝶千鳥」「雪の曙」、小輪には花型が端正で美しい「緋梅」や「姫千鳥(紅千鳥の矮性種)」「旭貝」「一歳」「森の関」「紅鶴」など。

八重咲き品種も多く、1花に2つの果実がつき夫婦梅とも呼ばれるや三重の「光輝(こうき)」「五節の舞(ごせちのまい)」の他、花型に気品のある「蘇芳梅(すおうばい)」、「鴛鴦(えんおう)」「緋の司」「黒雲(くろくも)」「鹿児島紅」「吉事野」「唐錦」「唐梅」「紅牡丹」「幾夜寝覚(いくよねざめ)」「八重源氏」「蓮久」などがあります。

豊後系(ぶんごけい)

杏やスモモとの交雑によって生まれた系統で、野梅系に近いものを豊後野梅性と呼ぶこともあります。

大輪~中輪で花色は桃色に近いものが多く、遅咲きで香りは控えめ。

花底はツボ型で深く、萼の色は焦茶色。樹勢剛健で枝が太りやすく、葉も大きいのが特徴。

豊後性(ぶんごしょう)

特に杏に近い性で、淡紅色のものが多く大輪の花をつけます。枝は太く疎生し、葉は丸くて大きく毛があります。とくに新芽は細毛に覆われ白く見えます。

一重品種には野梅系に近い淡紅色の「労謙(ろうけん)」や「入日の海」「薄色縮緬(うすいろちりめん)」、蕾の先が尖る「大湊(おおみなと)」、大輪八重咲きの「千歳菊」「江南所無(こうなんしょむ)」「旭の海」「巻立山」「桃園」「五大力」「文鳥」「桃千鳥」「千代鶴」「園の雪」「日の出沖」「乱雪」など。

八重咲き種には白色大輪の「叡山白(えいざんはく)」、梅の中でも最大の「武蔵野」、うつり色の「駒止(こまどめ)」「乙女の袖」「楊貴妃」「八重揚羽」「未開紅(みかいこう)」「有明」「男石」「猩々紅」「白牡丹」「大和牡丹」などがあります。

杏性(あんずしょう)

こちらも杏との交雑によって生まれた系統ですが、葉は豊後性よりも小葉で表面に毛がありません。

新梢も細く日焼けすると灰褐色に変化。

一重咲きには小輪で可憐な「一の谷」や、花弁の並びが家紋のように美しい「紋隠し」「桜梅」など。

八重咲きには「獅子頭」「江南所無(こうなんしょむ)」「記念(きねん)」「千歳菊」「淋子梅」「八朔(はっさく)」「仙境」「緋の袴」「御手の海」「築地九重」「玉孔雀」「置霜」などがあります。

梅の実(5月~7月)

花ウメでも結実のよいものはそのままにしていると実が膨らんできます。

花物盆栽としての梅は花を楽しみますから、樹勢を保つためにも花を観賞したらすぐに花がらを摘んでおきましょう。

実を鑑賞したい場合でも、あまり沢山は付けず早めに摘果したほうがよいでしょう。

梅の繁殖法

梅の種木は挿木や接木で増やされています。

とくに野梅系の品種は挿木や接木が容易で、野梅を台木に接木した苗がたくさん生産されます。

地植えで太らせた苗樹は鉢上げして太幹を切り戻し、その後に伸びる枝は年に数回切り戻して小枝を増やしていきます。

そうして5~6年かけて幹模様や枝作りがなされたものに花芽を付けさせ、正月用に販売される場面をよく見かけます。

ウメの種木の仕立て方

梅の種木の作られ方

小品サイズなら2~3年もすれば充分な苗木になります。成績は品種によりますが、剪定した枝を挿木して素材を増やして楽しんでください。

梅の主な樹形

湯島天神梅祭りでの展示

第61回 湯島天神梅祭りでの梅の展示

直幹、斜幹、双幹、模様木、懸崖、文人、寄せ植えなど様々な樹形に作られています。重く趣のある幹とやさしい花との調和もよく、文人作りにすると水墨画さながらの風情がでます。

丈夫な上に幹が古くなりやすいので、不要な枝をジンにしたりシャリを入れても耐えます。

梅や桜などの花を楽しむ樹種は、樹形よりも花が重要視されますが、基本的な樹形ができていたほうが花が終わった後も盆栽としての楽しみが増すというもの。

鑑賞用に品種改良されたものは花付きがよいのですが、花芽ばかりできて葉芽ができにくい性質です。

樹形や樹の生育を維持するためにも、正しい知識で剪定や芽摘みを行ってください。

コメント

ta28 さん 2018年02月27日14時06分
こんにちは、
うちの梅も満開です。
樹形が乱れていますが、見ているとこれもなかなかだなぁ、なんて思えてきますね。

これは、「みちしるべ」だったかな?
香りも最高です。
きみ さん 2018年03月01日09時20分
ta28さん
画像も投稿してくださってありがとうございます!満開で綺麗ですね~。モニターから香りも漂って来そうです。

都内のベランダから盆栽を始め、現在は盆栽のために郊外に土地を得て暮らしています。小さい盆栽を中心に山野草や鉢作りを楽しんでいます。

猫好き。歴代猫は『アロ』『アズロ』。現在は雄のアビシニアンを飼っています。

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