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皐月(サツキ)の剪定

更新日:2019/07/03

皐月(サツキ)の剪定

皐月は芽の吹く力が旺盛で、樹形作りや維持には剪定が欠かせません。

花を綺麗な配置で咲かせるためにも剪定が大事な役割をしていて、剪定を怠ると各枝の強弱がますます強くなって、結果花数は減り樹形も崩してしまいます。

どこで切っても枝が出ると言われるほどですから、思い切った剪定も可能。目的と適期を押さえておけば難しいことはありません。

1、花芸の豊富な皐月

皐月には1本の木に無地花や底白花、覆輪花、絞り花などいろいろな模様の花が咲く品種があり、「好月」や「山川の月」「鬼怒の光」「松鏡」などは枝によって様々は模様の花を咲き分けます。

このような多芸品種の花模様の現れ方(図1)は、無地花(赤・紫)の枝からは無地花だけ。底白花の枝からは底白花だけ。覆輪花の枝からは覆輪花だけしか咲きません。

ところが絞り花の枝と白無地花の枝からは無地花、底白花、覆輪花、絞り花が咲きます。

サツキの花柄の出方

図1:皐月の花模様と将来咲く花模様パターン

つまり各枝を平均的に剪定してしまうと、当然花芸に偏りがでて品種の持つ花芸が発揮できなくなるというわけです。また頂部が無地花(天赤)になると全体の花芸がよくないと言われています。

花芸の良さを観賞する品種の場合は、様々な模様の花をバランスよく咲かせるための剪定が必要になります。

小品サイズの皐月盆栽でははっきり咲き分けることは難しいので気にしませんが、咲き分けを見せる多芸品種の場合はできるだけ絞り花の枝を多く残して、各枝の花芸がよくなるような剪定が基本となります。

2、皐月の剪定の目的

樹形を作る
最初に素材を入手したらまずその樹をよく観察して、幹の流れや立ち上がり、枝の配置などその樹のよさが最もよく見える角度や樹形を考えましょう。
構想が決まったら、枝作りのための不要枝の剪定を。
皐月は萌芽力が強い上に、枝の出方は輪生で1カ所から複数の枝が伸びてきます。
全体の幹模様がしっかり見えるように、将来問題になりそうな忌み枝(車枝やかんぬき枝)は元から切り、残した枝も芽数を少なくして針金で枝を下げるなどして形を作っておきましょう。
種木のうちは樹を太らせるために伸ばしっぱなしにすることがありますが、樹形が決まったらその方針に従って不要枝をしっかり剪定することが大事です。
花芽を付ける
5月~6月に開花する皐月は、花後すぐの剪定が基本。
花が終わったら出来るだけ早く行うのが原則で、6月中(関東以西なら7月初旬)には済ませておく必要があります。
皐月の花芽形成は7月中旬~8月中旬頃にできますから、時期が遅れると来年の花芽が付かなくなるのです。
皐月は2芽2芽と枝を作る剪定が基本で、小枝を増やしながら各枝の力を平均化し、一面に花を咲かせるような剪定を意識します。
樹形を維持する
ある程度形の出来上がった観賞段階のものは、その樹形を維持することが大切。
この段階だと樹勢も落ち着いているので、それほど大きな剪定は必要ありません。
特に樹形を乱す様な徒長枝や込みすぎた枝の間引き剪定、花後の芽摘み剪定が主な作業になります。
ただし成長を続けている限り、通常の剪定だけでは次第に全体が大きくなるのは避けられません。その時は開花前に古枝まで強く刈り込み、新しく出た芽で大きさを維持する必要があります。
環境を良くする
皐月は枝葉が込みやすく、剪定をしないとそのうち日に当たらない枝が増えてきます。
陰になった枝は光合成が充分に出来ないので弱って枝枯れしたり、風通しが悪くなって病害虫の被害が出やすくなります。
日当たりと風通しの確保は花芽形成にも大きく影響しますから、適期にしっかり剪定をして各枝の生育をよくする必要があります。
古葉を取る作業も大切で、内部の日当たりと風通しをよくすることでフトコロ芽を動かす効果が期待できます。

3、皐月の剪定のやり方

皐月の剪定は樹形優先か花優先かで時期ややり方が変わります。

樹形優先の場合はその年の花は見られませんが、枝が細かく出る皐月は樹作りも醍醐味の1つですから、複数を培養してどちらも楽しめるようになるといいです。

花殻取り

皐月の花柄取り

皐月の花殻取り

まず花が終わったら花殻取りを。

皐月は花が咲き終わるころにはその周りから新梢が伸び出してくるので、花柄の元の部分を鋏で切り取ってください。

花殻を取ると新芽がよく見えるので、後の作業がしやすくなります。

小さいものはそのままにしていると結実して樹勢が落ち、来年の花が見られなることもあります。

花優先の剪定(花後の剪定)

花を見る段階の皐月は花後すぐの剪定が基本。

皐月の花芽形成は7月中旬~8月中旬頃にできますから、来年も花を見るためには6月中(関東以西なら7月初旬)には済ませておく必要があります。

花後に行う剪定は、大きくしたい場合と現状を維持したい場合の2つで切る場所が違います。

一回り大きくしたい場合の剪定

一回り大きくしたい時の皐月の剪定

一回り大きくしたい場合は、新梢を残して剪定します。まず花殻を取ったら(①)、新梢が2本になるよう元から剪定します(②)。皐月は輪生で一箇所から数本の枝が伸びくるので、将来の枝の向きを考えて、なるべく外芽残しを意識してください。

一回り大きくしたい時の皐月の剪定

次に、残した枝も葉を2枚に残して切り詰めてください(③~④)。

皐月は葉が付いている上部の枝から優先的に芽が吹くので、芽摘みで残した葉の脇から次の芽が作られます。

この剪定方法は元の樹形を維持しながら全体を大きくしたい時に行います(⑤)。枝を込ませたい時、鋏作りで枝を作りたい時などにも有効です。

ただしこの方法を繰り返すばかりだと毎年全体が大きくなりますから、いずれ大きく切り戻す必要があります。

現状維持したい場合の剪定

現状維持したい場合の皐月の剪定

樹形がある程度出来上がった観賞段階のものは、古葉(前年葉)だけ残して新しい枝を全て元から切り取ってしまいます(⑥~⑦)。

このあと古葉の部分から伸びる新しい芽で枝作りをするので、サイズは前年とほぼ変わりません(⑧)。

新芽は古葉が付いている数だけ出る可能性があるので、葉が2~3枚出てきたら弱い枝を2本残して剪定してください。

秋には古葉を落として枝をスッキリさせましょう。

内部の葉を透かすことでフトコロ芽が活性化され、さらにコンパクトにすることも出来ます。

樹形作り優先の剪定(春の剪定)

皐月の春の剪定をするものは、主に地植えものを鉢上げした新木や苗木の最初の樹形作りのための剪定です。

また、長期の培養で段々大きくなった観賞段階の樹を一回り小さくしたり、芯の立て替えや改作したい場合などには春の剪定が適しています。

春の剪定をするとその年の花は見られませんが、枝作りが早くできるメリットがあります。

小さくしたい場合の剪定

小さくしたい場合の皐月の剪定

春の剪定は開花前の3月~4月頃が適期で、目的のサイズに合わせて全体を大きく刈り込みます(⑨~⑩)。

芽吹く力の強い皐月は開花前ならば古枝、芯、どこを切っても吹く程で、この時期に切り込めば出た芽は強くなります(⑪)。

新芽が伸びれば芽摘みしてもいいですが、大きく切り戻したものでひとまず枝を太らせたい場合は、春の剪定後は1~2年ほどは枝を伸ばしっぱなしにしておき、枝が込んできたら整枝に入ってください。

その他の時期の剪定(観賞に備えた剪定)

開花前には見栄えをよくするため、徒長枝や樹形を乱す枝の切り詰めや枝先の整理の他、花が全体に散らばるように重なった蕾を間引くなどの作業も大事。

花の時期だけでなく、秋の飾りでも幹模様や枝振りが鑑賞され、それに備えて樹姿を整える時期でもあります。

花後の剪定後に伸びた枝は、8月下旬~9月中旬頃に樹冠から飛び出す枝を切り込んで全体を整えてください。古葉も取って全体をすっきりさせ、幹模様と枝振りがよく見えるようにしましょう。

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都内のベランダから盆栽を始め、現在は盆栽のために郊外に土地を得て暮らしています。小さい盆栽を中心に山野草や鉢作りを楽しんでいます。

動植物好きの猫飼いです。歴代猫は『アロ』『アズロ』。現在は雄のアビシニアンと一緒です。

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