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杉 (スギ)の育て方

更新日:2020/01/22

杉の育て方

杉(スギ)の作業暦

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月
生育状況
 
芽出し
 
 
 
 
 
 
 
休眠期
 
 
管理場所 ムロ出し
半日陰
 
 
 
 
 
 
 
軒下など
 
 
灌 水
(回数/日数)
1~2/日
2~3/日
 
 
 
 
 
 
1~2/日
1/2~3日
 
 
施 肥
 
 
 
 
 
 
剪定
太枝
 
 
徒長枝
 
 
針金かけ
 
 
 
 
 
芽摘み
 
 
 
 
 
葉すかし
 
 
植え替え
 
 

杉の性質

杉はヒノキ科スギ属の常緑針葉高木。

昔から日本人の生活に関わりの深い樹ですが、日本国内に植林してある杉は沢山の地域品種があり、ミニ盆栽では葉が細かく大きくならない八房性のものが定番です。

深根性が強く、太い根が下方にまっすぐ伸びていく性質があるので、培養の中で段々と浅く植え付け八方に伸びる根張りを作ることが大事です。

挿木株は直根が出にくいため、盆栽には挿木素材が向いています。

杉は生育期間中に絶えず芽が吹くので、細かな芽摘みが欠かせない樹種です。

杉の管理場所

杉は幼木のうちは日陰がよく、大きくなるにつれ日当たりを好みます。

盆栽としては日当たりでも日陰でも育つので置き場所は拘りませんが、小さい樹は夏の強い日差しや冬の乾燥に弱いので季節ごとの対策が必要です。

年間を通じて風通しよく、日当たり~明るい半日陰くらいの環境で管理できればいいです。

冬焼けした葉

茶色く冬焼けした葉

やや寒さに弱いので、冬は乾燥した外気や霜に当たらないようにムロなどに移して保護しましょう。

冬は霜が何度も当たると葉が冬焼けして茶褐色になることがありますが、これは葉に含まれるタンニンやクロロゲン酸などの色素成分が自然現象で褐葉した状態で、暖かくなると自然に元に戻ります。

杉の灌水

日本全国の山林や澤筋など湿潤な場所に自生する樹で、水を好む性質があります。

やや肉厚で艶やかな葉を維持するためには多くの水分が必要で、水切れは枝枯れや根腐れなど樹勢を落とす原因になるので注意してください。

特に杉のような本来背丈のある樹は、自身の体を支えるため水を吸い上げ蓄える力が強いので乾きやすい傾向があります。

夏は2~3回、秋は1日1~2回、冬は2~3日に1回を目安にたっぷり水やりをしてください。

杉の施肥

落ち葉や枝等の堆積した肥沃な場所で育つ杉は、肥料も好む性格です。

特に小さい樹は肥料不足で下枝から枯れやすいので、しっかり効かせることが大事。新芽や胴吹芽を絶えず吹かせるためにも肥料が欠かせません。

梅雨と真夏を除く4月~11月の間に、油かすを主体とした有機肥料を与えましょう。根の生育や小枝の充実のためにも、リン酸やカリウム分も必要です。時々薄めた液肥を葉水代わりに与えるなどしてください。

肥料を効かせることで葉色もよくなり、樹勢が維持されるので芽摘みの効果も大きくなります。

杉の作り方

芽摘み(4月~10月)

杉の樹形作りはほとんど芽摘みで仕上げるくらいで、成長期の間は毎日のように芽摘みをします。

新芽や胴吹き芽は成長期の間絶えず伸びてくるので、小まめに摘んで枝の太りを抑え、小枝を増やしましょう。不要な所から出る不定芽は、枝元がゴツくなる原因になるので早めに掻き取ってください。

頂部ほど強く伸びるので、短め(強め)に摘み、下枝やそれより長めに残して全体が逆不等辺三角形になるように樹形を維持してください。

幹が真っ直ぐ伸びる性質を活かすため樹形のパターンは限られますが、直幹や双幹、三幹、株立ちなどに作ると針葉樹らしい景色がでます。

剪定(太枝は芽出し前、徒長枝は成長期の間でOK)

杉の剪定は主に若木の基本の骨格を作る「切り戻し剪定」と、その樹形を維持するための「間引き剪定」があります。

剪定の適期は、太枝の場合は2月下旬~3月の芽出し前が樹液の流動が少なく、負担が少なく済みます。

小枝や徒長枝、不要枝などの軽い剪定は成長期の間ならいつでも可能で、秋にまとめて葉すかしをしてもいいです。

杉は鋏を入れると赤く焼けが入りやすいので、葉を傷めないように幹や枝に垂直に刃先を入れ、切り口が小さく収まるように切ってください。

寒中に太枝を剪定した場合は乾燥や霜に当てないようにムロに保護しておいてください。

仕立て段階の剪定

八房杉の苗

幹を太らせるため伸ばしている八房杉の苗

仕立て段階の樹は、幹を太らせるために芯や枝を伸ばしっぱなしにして樹勢を付け、太さを得てから欲しい高さで切り込みます。

頂芽優性が強く、芯を伸ばしている間は下枝が弱りやすくなるので注意してください。

芯を止めたら、下部に安定感を持たせるために下枝も1~2年伸ばしておいて、勢いを付けてから必要な長さで切り戻し基本の骨格を作ります。

大まかな骨格ができたら、芽摘みを繰り返して小枝を増やします。芽吹きの旺盛な杉は、「姿出し」をしてから数年で飾れる樹になるので作りがいがあります。

完成に近い樹の剪定

樹齢を増した杉は芽の伸びも落ち着くので、細かい芽摘みもほとんど必要なくなってきます。

ですが、長年培養していれば段々と姿が変わるのは自然なこと。樹形を維持するためには元あった枝を作り替えたり、樹形そのものを変更することもあるかもしれません。

本来芽吹きが旺盛な杉は芽摘みばかり繰り返していると枝が太く成ったり、枝先が団子状になったり、枝が混み過ぎて内部の風通しや日当たりが悪くなってきます。

そのため定期的な間引き剪定や不要枝の処理が不可欠で、不要な芽も早めに欠いておくことが大事です。

幹に対して太くなった枝は全体の樹形を崩すので、近くの「やご枝」を活かして作り替えるなどの対策が必要になることもあります。

針金かけ(3月~6月、9月)

杉は本来針金掛けを好まない樹です。皮が薄く、針金で樹皮を傷めやすいので、針金を掛けるのは苗木の基本の樹形作りや軽い枝の矯正が必要な場合。

金物を嫌う性格なので、使う針金は銅線よりもアルミ被覆線のほうが相性がよく、太枝や幹には紙巻き線を使うとなお良し。小枝は裸線でかまいません。

枝はしなやかで粘りがあるので作業がしやすい反面、針金を強く押しつけるだけで枝枯れを起こすので緩めに巻きつけること。

作業の適期は芽出しの頃を除く3月~6月頃と秋(9月)で、樹勢の落ちる夏場の矯正は避けてください。

やや寒がる樹で、冬の針金掛けも枝枯れの原因となるので避けるべきです。

樹形の構想を練ったら不要な枝を剪定し、基本の骨格作りをしてください。曲がった幹を真っ直ぐに立て直したり、枝を下げるなどの矯正が主になります。

作業後2~3日は半日陰で養生させ、葉水を多く与えて回復を待ってください。

植替え(4月)

やや寒さに弱く、寒の戻りで新根を傷めることがあるので植え替えは温かくなってから行うのがいいです。

関東なら4月上旬~下旬頃が適期で、ムロ出しもやや遅めが安心です。

杉の植え替えは通常若木で2~3年に1回ですが、小品になるほど根詰まりしますので、鉢底穴を確認し根鉢の様子をみて植え替えします。

八方に伸びた根張りが魅力なので、直根はできるだけ早めに処理し、横に広がるように根処理をしてください。

中には片根の苗も多くあるので、苗木を新しく入手したらまず根の状態を確認。強い根は元から切るか、徐々に切り詰めて細い根を多くださせてください。

杉はあまり根土を崩しすぎない方がよく、切りすぎると枝枯れしてしまうので少しずつ根張り作りをすることです。

観賞の際は浅めの鉢に植え付けますが、乾きやすいので培養中はやや深めの鉢に植え付けておいた方がいいでしょう。根張りをしっかり作っておけば、鉢替えも無理せず行えます。

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都内のベランダから盆栽を始め、現在は盆栽のために郊外に土地を得て暮らしています。小さい盆栽を中心に山野草や鉢作りを楽しんでいます。

アビシニアン猫(♂)とメダカを飼っています。歴代猫は『アロ』『アズロ』。

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