コメツガ(米栂)の育て方

投稿日:2019/08/25 更新日:2020/12/15

コメツガの育て方

小さな丸味のある葉と荒れた幹肌が魅力のコメツガは、新芽の美しさも格別で、深緑の古葉の先端に黄緑色の新芽が開く様は、花が咲いたかと錯覚する程です。

名前の通り米粒のように小さく整った葉がなんともかわいらしい印象で、持ち込むほど古色を帯びる幹肌との対比が盆栽にして申し分のない魅力を持っています。

高山性ゆえに、培養が難しいとか作りづらいと言われますが、本来とても丈夫な性質の樹種で、夏越しや手入れの要領さえ抑えておけば別に難しくありません。

1. コメツガの培養の基本

コメツガの管理場所

コメツガは本州の亜高山帯の針葉樹林を作っている主要樹種で、沢筋や土壌の浅い急斜面の他、岩場などのガレ地にも自生が見られます。

霧深い高山に自生する樹なので、平地で培養するには暑さ対策が必須。夏の直射日光や西日に当たると根痛みや葉焼けが起こり、樹勢が落ちるので注意してください。

基本的には良く陽の当たる風通しの良い場所を好みますが、感覚的には雑木と同じような管理が良いようです(小品サイズの五葉松も同様)。

日差しが強くなる梅雨明け頃から9月中旬頃までは、日よけの下に置いて、風通し良く涼しく過ごさせるようにしてください。

寒さ自体には強いですが、乾燥した風や霜に当たると葉焼けしてしまいます。この場合、春には通常の葉色に戻りますが、多雪地域や小さな鉢で育てているものは保護が必要です。

霜が2~3度観測される12月中旬頃(関東)になったら、保護室へ移して休ませましょう。常緑樹ですが休眠期間中は日照がなくても大丈夫ですから、囲いをした棚下や発砲ケースなど一定の湿度と低温が保たれた暗所を用意してあげてください。

コメツガの灌水

岩場に自生が見られるくらいで、五葉松ほどではないですが乾きには比較的強い方です。

ただし新芽が伸び出す春先は1番水を吸い上げるので、乾かないようにしっかり与えてください。

春と秋は1日2回、夏は2~3回、冬は4~5日に1回(保護室内)を目安に、乾いてきてからたっぷりと水をやるようにしましょう。バテやすい夏場は早朝と夕方に霧吹きで葉水を与えると樹勢が保たれますから、ぜひ実践してください。

休眠期間中は外気を遮断したムロ内であるのと、吸い上げが低下するため乾きは遅いのですが、そう思って油断すると水切れが過ぎて枯れてしまうことがあります。

冬は空気が乾燥している分乾きやすく、晴れた日の換気中にもどんどん水分を失うので、ムロ内に取り込んだものも定期的に乾き具合を確認しておくことが大事です。

コメツガの施肥

太らせたい若木や樹作り段階の養成木ではやや多めに、樹勢の落ち着いた古木や半完成~完成木では春肥を控え目にするのがポイントです。

若木の場合は春(4月~5月)と梅雨明け頃(7月)、そして秋(9月~10月)に1回ずつ、油かすなどの有機肥料を与えてください。

古木の場合は新梢の伸びすぎや古木感を維持するために敢えて春肥を控えることがあります。新葉が固まる梅雨明け頃と秋の年2回を基本に施肥してください。春肥を控えると樹によっては葉色が黄変するものもありますが、秋以降の観賞期にはちょうど良い色になります。

コメツガは春に新芽を吹く時期に胴吹き芽を持つ以外は芽吹くことがないので、夏場の肥料は必要ありません。

若木や完成木を問わず、秋肥は特にしっかり効かせることが重要です。基本の油かす肥料に骨粉(リン酸)を3割ほど混ぜ、冬越しのための体力と芽出しの力を蓄えさせておきましょう。

2. コメツガの病害虫と対策

培養環境が整っていれば病害虫の被害で深刻化することはほとんどなく、稀にカイガラムシを見かけるくらいです。

新芽に時々アブラムシやシンクイムシが発生するようですが、ムロ入れ前と寒中(2月)にしっかり消毒して越冬病害虫を駆除しておけば春の被害もほとんどありません。

生長期は他の樹と同様に定期的な薬剤散布を行うようにすれば万全です。

3.コメツガの適期作業

コメツガの作業カレンダー

3月 4月 5月 6月
植替え
 
 
 
 
 
 
 
 
剪定
 
 
 
 
 
芽摘み
 
 
 
 
 
針金かけ
 
 
 
 
 
 
 
 
冬期保護
 
 
施肥(養成木)
 
 
 
 
 
 
 
7月 8月 9月 10月
 
 
 
 
植替え
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
剪定
 
 
 
 
 
 
 
 
 
針金かけ
 
 
 
 
施肥
 
 
 
 
 
 
施肥
 
 
 
 
11月 12月 1月 2月
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
剪定
 
 
針金かけ
 
 
 
 
 
 
 
針金かけ
 
 
 
 
 
 
 
冬期保護
 
 
消毒
 

植替え(3月中旬~下旬)

コメツガの植替え時期は新芽の動き出す直前がよく、関東なら3月中下旬頃です。春に植替えを逃したものは、秋(9月中旬~10月頃)も好機ですが、冬は早めに取り込むなどの気遣いが要ります。

コメツガはゴヨウマツと同じで根を切られることをあまり好まない樹で、強く切り込むと樹勢を落とす危険があります。

太根はあまり出ないので、上根を残して底部や鉢周りの古土をほぐし、強い根だけ切る程度で充分です。若木の場合は多めに切っても良いですが、基本的には全体の1/3ほどを限界に切り詰める程度にしておきましょう。

成長が遅く、あまり植替えない方が樹勢が付くので、若木でも完成木でも3~5年に1回のペースで植替えをすれば充分です。

植替え間隔が長いので、使う用土が重要になります。硬質赤玉土に川砂や桐生砂を3割ほど混ぜ、微塵をしっかり抜いて水はけや空気の流通をよくしてください。用土の酸性化を防ぐため、砕いた竹炭を少し混ぜておくと尚良いです。

粒の大きさは、早く太らせたい若木なら粗めのものを使いますが、根がよく走るぶん枝も荒くなります。完成に近づくにつれ細かい用土に切り替えて、細かい枝が出るようにしましょう。

芽摘み(5月上旬~中旬)

コメツガは春に一度しか芽を出さない樹種なので、小枝を作るためには芽摘みがとても重要な役割をしています。正しい芽摘みをしないといつまでも枝が増えず、枝の先端ばかりに力が集中して間延びしていくだけなのポイントをしっかり押さえておいてください。

コメツガの芽出しは比較的遅めで、他の樹種のように一斉に伸び出すことはなく、枝によっては早く伸び出すものがあったり、反対に1ヶ月近く遅く動き出すものもあります。

1回目の芽摘みのタイミングはその新芽があらかた出揃って、遅霜が降りる心配もなくなる5月上旬~中旬頃。葉がやや開きかけて、新梢が2cm程に伸びた頃がタイミングです。

最初の芽摘みのポイントは、春に出た新梢を元から全て摘み取ることです。新芽を残して摘むと2番芽の出る数が少なくなりますが、元から全部摘むと残した古葉の間や、それより下の古枝からも次々と2番芽を出してきます。

2番芽は秋頃まで次々と出てきますが、基本的にあまり強く伸び出すことはないので、自然に伸び止まればそのままにしてください。

樹勢の強い養成木や若木は2番芽も強く伸び出すので、この場合は必要な長さ(1/2~1/3程)を残して先を摘んでおけば良いです。

完成木になると新芽の伸びも落ち着くので、必ず元から摘む必要はありません。伸びに応じて、力を付けたい所は長めに、あまり伸ばしたくない所は短めに摘んで樹形を維持してください。

強制的に2番芽を出させる芽摘みは、前年からの十分な肥培が前提です。樹勢の弱っている樹はその年の芽摘みを控え、樹勢が戻ってから小枝作りをするようにしましょう。

剪定(2月中旬~3月、9月~10月)

不要な小枝の剪定はいつでもできますが、改めて全体を整理するのは秋が適期です。

交差した枝や不要な所から伸びる枝を整理して、幹筋や枝をスッキリさせておきましょう。間延びした枝は小枝のある所で切り戻し、全体を小さくまとめてください。

太枝の剪定は芽が動き出す前の春先(2月中旬~3月上中旬頃)に行った方が負担が少なく無難。

肉巻きが良く、太枝を切ると極端に肉が盛り上がって見た目が悪くなってしまうことがあるので、敢えて切り残してジンに仕立てると、樹の古さがでて良くなります。

針金かけ(10月~11月、3月)

コメツガは枝が柔らかく針金かけしやすい樹です。

作業の適期は厳寒期を避けた秋から芽出し前の間で、冬に掛けた場合は風の当たらない軒下は保護室内で管理してください。

枝の食い込みが早い方で、春の芽出し前にかけたものは梅雨明け頃には食い込んできますから、傷になる前に外して必要であれば掛け直します。

自分の枝の重みで自然に枝が下がり、枝先にかけて小枝が広がるような優しい姿が似合います。極端に枝を下げる必要はありませんが、枝先が跳ね上がりやすいので、針金で押さえてください。

本来は真っ直ぐ高く立つ樹なので、直幹や斜幹などの樹形に作ることが多いですが、高山のガレ地では強風や落雷など厳しい環境に晒されて低く這うように複雑に屈曲した樹形も見られます。

幹曲げも多少無理の利く樹種ですが、素材の個性を無視した矯正は控えるようにしましょう。

4. 関連ページ

コメツガ(米栂)の魅力

黒松(クロマツ)はマツ科の常緑針葉高木で、元は北海道を除く日本の沿岸沿いに自生していたものが全国に植林され自生化しています。日本と朝鮮半島が原産で、塩害に負けず……

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