ロウヤ柿(老爺柿)の育て方

投稿日:2017/03/08 更新日:2020/04/28

老鴉柿の育て方

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老爺柿はカキノキ科カキノキ属の落葉~半落葉低木。雌雄異株。和名は「衝羽根柿」という名前で、盆栽界では姫柿とも呼ばれます。

中国原産の小型の柿ですが、交配をくり返す中で多くの品種が国内で生み出され、果実の色や形も多様。盆樹では小葉で節が細かく濃紅色の実が成る「楊貴妃」が有名ですが、「木守」「玉環」「紅乙女」など100を裕に超える品種が作出されています。

自然交配するものもありますが、雌雄異株なので結実させるためには雄株も必要。ジベレリンによる単位結果も成績がいいです。

丈夫で萌芽力が強く、強剪定をしても芽吹くので樹形作りが楽しめる樹種です。

1. 老爺柿の培養の基本

老爺柿の管理場所

日陰でも育ちますが実付きをよくするためにも日当たりと風通しのいい場所で管理してください。

暑さや寒さに強く夏の日差しに当てても平気ですが、小品サイズは日よけの下で管理し強烈な西日から保護しましょう。

水切れに注意すれば夏の管理もさほど難しくありません。

冬も特別な保護は必要ありませんが、小品サイズや実を付けすぎて樹勢の弱ったもの、秋に植え替えをしたものなどは、凍てつきや乾風から保護する程度の対策が必要です。

老爺柿の灌水

高温多湿状態では根腐れを起こしやすいので 過水にならないようにしてください。

春の芽出し頃からは1日1~2回で、夏は1日2~3回、冬は1日1回を目安に乾いたらたっぷり灌水してください。

老爺柿の施肥

花や実を付けるには多くの肥料を必要としますが、春肥は生理的落果の原因となるので控え目が原則。

花が咲き終わって実が止まったら少量から始め、8月までは継続的にしっかり施肥してください。

特にたくさん実を付けたものはそれだけ多くの肥料と水を消費するので、実持ちをよくするためにもしっかり肥培しましょう。

秋口に一旦肥料を止めることで、実の色づきをよくする効果があります。その後10月中頃から追肥を施しておくと、正月明けまで堅く艶のある実を観賞できます。

油かす主体で充分ですが、リン酸やカリウムの配合が多いものを補助的に使ってください。真夏は灌水かわりに薄めた液肥に切り替えるのもいいです。

老爺柿の植替え

直根は早めに処理、ただし強い根処理には注意

老爺柿は根の成長が旺盛ですが、根を切られると樹勢が落ちて回復に時間がかかることがあります。

しかし植え替えに躊躇して何年もそのままにしていると、直根ばかり走って小根が充実せず、結果的に根を強く切らなければいけない事態になります。

正しい時期や方法で根処理をしなければ、実はおろか樹勢を著しく落としてしまうことにも成りかねないのでポイントを押えておきましょう。

老爺柿の植え替えは適切な周期を守り、極端に強い根処理を避けながら水はけのいい用土状態を保つことが大事です。

用土には硬質赤玉土を主体に川砂を2~3割程配合し、若木でも隔年、古木なら3~5年に1度の間隔で植え替えしてください。

走り根は早々に切除し、細根を残すような根捌きを心がけてください。立ち上がり付近の細根は大事にして、根張り作りに使います。

2. 老爺柿の増やし方

根伏せ、実生、新梢挿し

根伏せ

図1:根伏せの用土には荒目の砕石などを使うと面白い模様の素材ができる

老爺柿は根で増やすのが確実で、根伏せで作ったものは曲の面白いものができます。ゴロ土に荒目のゴツゴツした砕石や砂利を入れておくと、伸びた根が石に当たって曲り動きが出るので、根伏せ用に仕込んでいくといいです(図1)。

植替えの際に整理した根は切り口に癒合剤を塗り、腐れ防止のため用土から少し出した状態で植え付けてください。

品種によりますが、実生も発芽率がよく、新品種作出の可能性もあります。ただし実生の場合は実が付くようになるまで年数を要する上、雌雄があるので実が付く樹が出るかは花が咲いてから解ります。

一般に柿類は樹脂が少ない上に、細胞内に多く含まれる「タンニン」が発根を阻害する働きをするため、挿木の活着率が悪く繁殖の難しい樹種です。

しかし若い枝だと比較的発根が見られ、6月中旬~7月上旬頃に新梢を挿木すると発根しやすいので挑戦してみてください。

3. 老爺柿の病害虫対策

病害虫は比較的発生しにくい樹種ですが、たまにアブラムシやスリップス、カイガラムシが付くことがあります。

花後、葉が固まった頃から定期的に薬剤を散布し防除してください。

4. 老爺柿の適期作業

老爺柿の作業カレンダー

3月 4月 5月 6月
 植替え
 
 
 
 
芽摘み・芽おさえ
 
 
 
 
 
剪定
 
 
 
開花・交配
 
 
 
 
 
針金かけ
 
 
 
 
葉刈り
 
 
 
 
 
 
 
 施肥
 
 
7月 8月 9月 10月
 
芽摘み・芽おさえ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
花芽分化
 
 
 
 
 
 
 
 
 
間引き摘果
 
 
 
植替え
 
 
 
 
 
 
施肥
 
 
 
 
 
 
 
施肥 
 
11月 12月 1月 2月
 
冬期保護
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
実成り
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
剪定
 
 
 
 
 
 
 
剪定
 
針金かけ
 
 
 
 
 
 
針金かけ

植替え(3月上旬、8月下旬~9月中旬)

老爺柿は植え替え時期が重要。作業の適期は芽出し前と秋口(8月下旬~9月中旬頃)です。

ただし根処理のダメージが出やすい老爺柿は、春に植え替えをすると芽出しが遅れたり、実付が悪くなったりするので注意してください。

最適期は秋で、結果後から継続的に肥培している分樹勢が落ちにくく、落果の心配もほとんどありません。冬の保護さえきちんとしていれば春からの成長も良好で、経験者も実践している時期です。

また、新芽が動いている4月~5月頃の植え替えは厳禁。芽が動いているということは、根の活動も既に活発になっています。この時期に根を切ると樹勢が落ち、実成りにも悪影響を与えるので絶対に避けましょう。

剪定、針金かけ(2月下旬~3月、11月中旬~12月中旬)

休眠期~芽出し前は樹への負担が少ないのと、全体の樹姿が見やすくなるので剪定や針金かけの好機。11月頃になると葉がなくなり、花芽と葉芽の区別も容易につくので、不要枝や太枝など思い切った切り込みが可能です。

観賞段階のものは枝先を剪定すると花芽を飛ばしてしまうので、花芽の上で切り詰めて全体を整えてください。樹作り段階のものは花芽を気にせず1~3節で切り詰め、小枝作りに専念しましょう。

老爺柿は太りが遅いので、枝として残したい部分は「芽おさえ」で枝を走らせておき、欲しい太さを得てから切り戻してください。

剪定後は急な寒さに晒さないように保護し、切り口には保護剤を塗ることを忘れないように。

針金かけも出来ますが、樹脂が少ない老爺柿は無理な矯正をするとポキっと折れてしまうことがあります。古枝を曲げる場合は剪定と併せて部分的な矯正をするくらいに留めておきましょう。

開花・交配(人工交配)(4月中旬~5月上旬)

老鴉柿の花

老爺柿の雌花(左)と雄花(右)

老爺柿の花は壺形で、先が窄んだスズランの花のような形をしています。

雌花は将来ヘタとなる萼が大きいので、1箇所から複数咲く雄花と見分けることができます。

開花期は4月~5月上旬で、常緑の常盤柿は5月中旬~6月頃に開花します。

交配せずに結実する品種(長寿鳳など)もありますが、基本的には雌雄異株なので受粉用の雄木を用意しておきましょう。

ただし虫媒に頼る自然交配は難しいので、筆や綿棒で花粉を採取して人工授粉させてください。実は11月~1月頃に熟しますので、摘果後は種を取り出して取り蒔きしておくと翌年実生苗を楽しむことができます。

ジベレリンによる単為結果

柿類やバラ科樹種の多くは、ジベレリン処理による単為結果で実を付けることもできます。

着果安定には50ppm~200ppmの濃度での散布で効果があり、幼果への散布で落果防止も望めます。

ジベレリン散布の様子

ジベレリン散布の様子

「富有」という品種の甘柿には、200ppmを満開10日後に散布する方法が農薬登録されていますが、老爺柿の場合は50ppm程でも充分に効果があるようです(品種によっても異なる)。

ただし植物は自家受粉を避けるために「雌雄異熟」という性質を持っていて、雌花は必ずしも開花後すぐに受粉可能な状態にあるわけではありません。

ほとんどの場合、開花後2~3日目から成熟するので、人工授粉をする場合はそのことを踏まえ、開花中は毎日散布してください。

植物調整剤での着果は、あくまで交配が難しいケースに行うものと心得ておいたほうが盆栽の道に沿うように思います。薬で強制的に実を付けさせたものよりも、自然に交配したものの方が実付きはいいですし、見た目は同じでもどこか趣が違います。

種がない分、実が小さくなりミニ盆栽向きとも言えますが正直さほどの差があるわけでもなく、自然交配なら種も得られますから、雄木があれば交配させたほうがいいに越したことはありません。


いろいろな植物調整剤

市販のジベレリン剤には、液剤・粉末剤がある「ジベレリン協和(協和発酵バイオ)」や、錠剤を水に溶かして使う「STジベラ錠(住友化学園芸)」などがあります。

植物調整剤は他にも、サイトカイン剤「フルメット(住友化学)」やオーキシン剤「トマトトーン(日産化学)」などの商品があり、着果促進や果実肥大、生育促進や開花促進など様々な植物生理活性を示します。

芽摘み(切り戻し剪定)(5月~9月中旬)

老爺柿の芽摘みはあまり早く摘んでも思うように2番芽が伸びないので、5月頃まで新梢を伸ばしてから鋏で切り詰める「切り戻し剪定」が基本です。

伸びた新梢は2~3節(葉を2~3枚)を目安に輪郭線に沿って剪定し、2番芽も同様に伸ばしては切るを繰り返し行ってください。

樹形作りが目的の養生木は9月頃まで芽摘みや剪定ができますが、観賞段階のものは6月中旬以降に枝を追い込むと来年の花芽がでないので注意してください。

老鴉柿の芽摘み

老爺柿の芽摘みは新梢を伸ばしては2~3節で切る「切り戻し剪定」で小枝を作る

芽おさえ(5月~9月中旬)

老爺柿の古枝は樹脂が少なく折れやすいので、仕立て段階の整姿は新梢への「芽おさえ」が基本です。どうしても古枝にかけたい場合は負担の少ない落葉後に行いますが、強く曲げることはできす癖も付きにくいのです。

枝の軸が柔らかいうちなら細いアルミ線でも簡単に曲げることができ、初心者でも折れにくいというメリットがあります。

芽摘みせず伸ばしたままにしておいた新梢は、まだ枝が柔らかいうちに枝元からしっかりしつけ、十分な太さになってから切り戻して、芽摘みで小枝作りをしましょう。

後に切り戻す場合でも多少曲付けしておいたほうが後の枝作りが楽になります。

老爺柿の枝は走らせると意外に太りが早く、針金をきつく巻いているとすぐに食い込んでしまいます。雑木のような太り方程ではないのですが、時々チェックして必要に応じてかけ直してください。

また芽吹きが旺盛なので、不要な芽は早めに整理し、残す枝に力を付けさせてやりましょう。

葉刈り(5月)

枝作り段階のもので、肥培管理がしっかりできていて樹勢のあるものは葉刈りができます。

葉刈りの目的は2番芽を動かすことで、芽摘みと一緒に葉刈りをすることで芽吹きが促され、短期間で小枝を充実させることができます。

時期は新葉の組織が固まる5月頃。葉を残さないように葉柄ギリギリの位置で1枚ずつ丁寧に切り取ってください。

胴吹きも旺盛なので不定芽は早めに処理し、必要な芽を大事にしてください。

葉刈り後に伸びる枝は、一旦伸ばして芽おさえや芽摘みを繰り返し枝作りに専念します。

葉刈りは養成木に対して行う作業で、葉刈りをすると花芽を作るための力が葉芽に回されるので、枝数は増えますが花芽はできません。

ただし観賞段階の樹でも枝が込み合っている場合は、採光と風通しを改善する目的で8月頃に葉切りをする場合もあります。通常はこの時期に葉刈りをしても2番芽は秋までに伸びきらないのですが、葉切りだと残した葉が活動を続けるので芽が動く心配もありません。

間引き摘果(6月~7月頃)

実の間引き

交配後、6月頃になれば実も固まり落果の心配はなくなります。

ただしあまり沢山の実を付けさせると樹に大きな負担となるので、場所のいい実を数個残して不要だと思う分は間引いてしまいましょう。

まだ実が青いうちに摘果しておくことで、樹勢が維持され毎年実を楽しむことができます。

万が一欲しい位置の実が落花した場合も考えて、様子を見ながら時期を分けて少しずつ間引いてください。

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老鴉柿の魅力

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