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老鴉柿(ロウヤガキ)の育て方

老鴉柿の作業暦

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
生育状況
休眠期
 
 
芽出し
 
 
 
 
 
 
落葉
休眠期
開花、結実
 
結実 間引き 間引き
 
 
花芽分化
花芽分化
 
管理場所
ムロ
 
ムロ出し
日なた
 
半日陰
 
 
 
日なた
 
ムロ
灌 水
(回数/日数)
1/2~3日
 
1~2/日
 
 
 
2~3/日
 
 
1~2/日
 
1/2~3日
施 肥
 
 
 
液肥
 
 
剪 定
芽出し前
本剪定
針金かけ
芽おさえ
 
 
 
植え替え
 適期
 
芽摘み  
芽摘み
           
葉刈り
葉刈り
         

老鴉柿の性質

老鴉柿はカキノキ科カキノキ属の落葉~半落葉低木。雌雄異株。和名は「衝羽根柿」という名前で、盆栽界では姫柿とも呼ばれます。

中国原産の小型の柿ですが、交配をくり返す中で多くの品種が国内で生み出され、果実の色や形も多様。盆樹では小葉で節が細かく濃紅色の実が成る「楊貴妃」が有名ですが、「木守」「玉環」「紅乙女」など100を裕に超える品種が作出されています。

自然交配するものもありますが、雌雄異株なので結実させるためには雄株も必要。ジベレリンによる人工交配でもよく結実します。

実生、挿木、取木、根伏せなどで増やすことができますが、花が咲くまで数年を要することがあるので実成りのいい素材を見つけることが近道です。

丈夫で萌芽力が強く、強剪定をしても芽吹くので樹形作りが楽しめる樹種です。

老鴉柿の管理場所

日陰でも育ちますが日照を好むので、実付きをよくするためにも日当たりと風通しのいい場所で管理してください。

暑さ寒さに強く夏の日差しに当てても平気ですが、小品サイズは日よけの下で管理し強烈な西日から保護しましょう。

水切れに注意すれば夏の管理はさほど難しくありません。

冬も特別な保護は必要ありませんが、小品サイズや、実を付けすぎて樹勢の弱ったもの、秋に植え替えをしたものなどは、凍てつきや乾風から保護する程度の対策が必要です。

老鴉柿の灌水

水を好みますが、高温多湿状態では根腐れを起こしやすいので過水にならないようにしてください。

乾き過ぎないように、表土が乾いたのを確認してから灌水するようにします。

春の芽出し頃からは1日1~2回で、夏は1日2~3回、冬は2~3日に1回が目安に表土が乾いたらたっぷり灌水してください。

老鴉柿の施肥

肥料を好むので、春は芽が動いてきたら施肥を開始してください。

開花期間中は一旦肥料を取り除き、結実から秋にかけては継続的に施肥します。

特にたくさん実を付けたものはそれだけ多くの肥料と水を消費するので、実持ちをよくするためにもしっかり肥培しましょう。

油かす主体ですが、骨粉を混ぜた方が実付きがよくなります。真夏は灌水かわりに薄めた液肥に切り替えるのもいいです。

秋肥をしっかり与えておけば、正月明けまで堅く艶のある実を観賞できます。

老鴉柿の作り方

芽摘み(5月頃)

老鴉柿は春から伸びる新梢の元部分に花を付けるので、芽摘みは花後に行います。

交配を済ませ、5月頃になってから飛び出す徒長枝を輪郭線に沿って切り揃える程度にしておいてください。

樹作り段階のものでも、あまり早くに芽摘みすると思ったように芽が出ません。新梢は一旦走らせておき、葉の組織が固まり枝がしっかりしてから1~3節残して摘んでください。

ただし6月中旬以降に枝を追い込むと翌年の花芽は付かなくなるので、花芽を付けたい場合は注意しましょう。

葉刈り(5月頃)

枝作り段階のもので、肥培管理がしっかりできていて樹勢のあるものは葉刈りができます。

葉刈りの目的は2番芽を動かすことで、芽摘みと一緒に葉刈りをすることで芽吹きが促され、短期間で小枝を充実させることができます。

時期は新葉の組織が固まる5月頃。葉を残さないように葉柄ギリギリの位置で1枚ずつ丁寧に切り取ってください。

胴吹きも旺盛なので不定芽は早めに処理し、必要な芽を大事にしてください。

葉刈り後に伸びる枝は、一旦伸ばして芽おさえや芽摘みを繰り返し枝作りに専念します。

枝が込み合っている樹の場合は、採光と風通しを改善する目的で8月頃に葉切りをする場合もあります。通常はこの時期に葉刈りをしても2番芽は秋までに伸びきらないのですが、葉切りだと残した葉が活動を続けるので芽は動きません。

剪定(落葉後、芽出し前)

老鴉柿の本格的な剪定は落葉後が適期。11月頃になると葉がなくなり全体の樹姿が見やすくなるので、不要枝や太枝など思い切った切り込みが可能です。

老鴉柿の花芽

先端付近の大きい芽は全て花芽
10月(東京)

老鴉柿の花芽は新梢の先端付近に7月~8月頃作られ、秋には花芽と葉芽の区別が付くようになります。

観賞段階のものは枝先を剪定すると花芽を飛ばしてしまうので、花芽の上で切り詰めて全体を整えてください。

樹作り段階のものは花芽を気にせず1~3節で切り詰め、小枝作りに専念しましょう。芽出し前にも剪定はできますが、休眠期に骨格を作っておけば春からの枝作りが格段に楽になります。

老鴉柿は太りが遅いので、枝として残したい部分は「芽おさえ」で枝を走らせておき、欲しい太さを得てから切り戻してください。

剪定後は急な寒さに晒さないように保護し、切り口には保護剤を塗ることを忘れないように。

針金かけ(芽おさえ)

老鴉柿の古枝は木質部が堅く折れやすいので、針金かけは新梢に対して行います。どうしても古枝にかけたい場合は落葉後に行いますが、強く曲げることはできす癖も付きにくいです。

新梢の針金かけも、全ての枝に行うのではなく枝として残したい部分に芽おさえをしてください。

芽おさえ

枝作り段階の芽おさえ

老鴉柿の枝は真っ直ぐに伸びる性質なので、後に切り戻す場合でも多少曲付けしておいたほうが後の枝作りが楽。

芽摘みせず伸ばしたままにしておいた新梢は、まだ枝が柔らかいうちに針金で伏せ、模様付けをしておいてください。

枝元付近はできるだけしっかりと、先に行くにつれて緩くかけておきましょう。

老鴉柿の枝は走らせると意外に太りが早く、針金をきつく巻いているとすぐに食い込んでしまいます。

雑木のような太り方程ではないので神経質になることはないのですが、時々チェックして必要に応じてかけ直してください。

開花と受粉(5月)

老鴉柿の雌花は壺形で花弁の先が丸くめくれて4~5裂開し、先が窄んだスズランの花のような形をしています。

花は葉の基部に1つずつ付き、よく見ると中央に雌しべが突起しているのが分かります。将来ヘタになる萼が大きいのも見分ける特徴。

一方、雄花は色形は雌花に似ていますが、大きさは少し小さめ。

葉の基部に2~3個まとまって咲き、花弁の中に雄しべが並んでいます。萼は小さく、ほとんど目立ちません。

老鴉柿の花

老鴉柿の雌花(左)と雄花(右)

交配せずに結実する品種もありますが、基本的には雌雄異株なので受粉用の雄木が必要です。

盆栽で自然受粉はしにくいので雄しべを取り出すか、刷毛などで花粉を採取して人工授粉させてください。ジベレリンも効果があります。

実は10月~11月頃に熟しますので、摘果後は種を取り出して取り蒔きしておくと翌年実生苗を楽しむことができます(ジベレリンを使った場合は種は得られません)。

間引き摘果(6月~7月頃)

交配後、6月頃になれば実も固まり落果の心配はなくなります。

ただしあまり沢山の実を付けさせると樹に大きな負担となるので、場所のいい実を数個残して不要だと思う分は間引いてしまいましょう。

まだ実が青いうちに摘果しておくことで、樹勢が維持され毎年実を楽しむことができます。

万が一欲しい位置の実が落花した場合も考えて、様子を見ながら時期を分けて少しずつ間引いてください。

病気・害虫

病害虫には比較的強い樹ですが、カイガラムシやハダニ類、キクイムシ類などによる食害や、炭疽病やうどんこ病、すす病、黒星病などの病気にかかることがあります。

特に高温多湿の時期には病害虫が発生しやすいので、定期的に薬剤を散布すると安心です。

ただし、まだ葉の組織が柔らかい春先の散布は薬剤負けしてしまうことがあります。花後、葉が固まってきてから始めてください。

植替え

老鴉柿は根の成長が旺盛ですが、根を切られると樹勢が落ちて回復に時間がかかることがあります。

しかし植え替えに躊躇して何年もそのままにしていると、根詰まりしたり、結果的に根を強く切らなければいけない事態になります。

正しい時期や方法で根処理をしなければ、実はおろか樹勢を著しく落としてしまうことにも成りかねないのでポイントを押えておきましょう。

老鴉柿の植え替えは適切な周期を守り、極端に強い根処理を避けながら水はけのいい用土状態を保つことが大事です。

用土には硬質赤玉土を主体に川砂を2~3割程配合し、若木でも隔年、古木なら3~5年に1度の間隔で植え替えします。

走り根は早々に切除し、細根を残すような根捌きを心がけてください。立ち上がり付近の細根は大事にして、根張り作りに使います。

植え替えの適期

老鴉柿は植え替え時期が重要です。

一般的には芽出し前がいいとされていますが、秋口(8月下旬~9月中旬頃)の方がお勧め。

根処理のダメージが出やすい老鴉柿は、春に植え替えをすると芽出しが遅れることがあります。

一方、秋口の植え替えは、結果後から継続的に肥培している分樹勢が落ちにくく、落果の心配もほとんどありません。冬の保護さえきちんとしていれば春からの成長も良好で、経験者も実践している時期です。

ただし新芽が動いている4月~5月頃の植え替えは厳禁。芽が動いているということは、根の活動も既に活発になっています。この時期に根を切ると樹勢が落ち、実成りにも悪影響を与えるので絶対に避けましょう。

コメント

内田伸二 さん 2017年12月08日06時16分
老爺柿を購入して3年になります
購入時は実付きでした
2年目は花は咲いたものの実はつきませんでした
雄木が必要と分かり購入を考え
色々探してみましたが見つからずそのままになっていましたが
今年はなぜか6個ほど実がつきました
雌雄同株の種もあると聞きましたが
その辺のこと詳しく分れば教えてください。
その性質が遺伝するのであれば
実生で育ててみたいです。
きみ さん 2017年12月08日08時50分
内田伸二さん
たしかに老爺柿は自家受精するものも結構あるようです(ほしいです)。
でも実生したものがその遺伝子を受け継ぐことはほとんどないと聞いています。
若木のうちは雄でも古くなると雌化するものもあります
その性の株を増やしたければ根伏せの方が確実です。
私も雄木もっていないので、薬で実をつけますが、小さい盆栽には反って種なしの小実にさせた方が良いのでよしとしています。
3年育てていらっしゃるとのことですでにご存じのことでしたらすみません。
盆栽好きの老人 さん 2018年08月10日18時25分
初めてメールします
「キミの盆栽びより」わからないことがあると見させてもらっています、わかりやすく書かれているのでありがたいです。
早速ですが、「実がついている老爺柿」の植え替え時に根が長く伸びていたので、切って「根伏せ」をしておきました。6月頃から発芽してきたのですが、この出た苗はすべて雌柿で成長すれば実が着くものでしょうか、教えてください。聞いた話では実生苗はほとんどオス木で実がつかないということですが、よろしくお願いします。
きみ さん 2018年08月10日18時29分
盆栽好きの老人 さん
いつもありがとうざいます。これからも宜しくお願いします!
ご質問ですが、根伏せや挿木などの栄養繁殖では雌雄もそのまま継承します。なので、そのろうや柿はもちろん雌です。

世田谷区にいましたが、盆栽のための広い土地を求め移住計画中。小さい盆栽を中心に山野草や鉢作りも楽しんでいます。

動物も好きで猫を飼っています。初代愛猫『アロ』は天国へ行ってしまいましたが、新しい家族を迎えて仲良く暮らしています。

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