クチナシ(梔子)の育て方

投稿日:2013/06/22 更新日:2020/11/04

クチナシ(梔子)の育て方

クチナシ(梔子)はアカネ科クチナシ属の常緑低木。両性花。

日本では本州(静岡県以南)から、九州、沖縄の暖かい地域に自生していて、盆栽のほかに庭木や公園樹としても利用されています。

暖地性の植物で、初夏に甘く濃厚な香りの白い花を咲かせ、11月~12月に特徴的な形の実を付けます。

園芸品種も多く、八重咲きの八重クチナシや小クチナシ、細長い小葉の喜代誉、丸葉クチナシ(達磨クチナシ)、斑入り品種などがあります。

1. クチナシの培養の基本

クチナシの管理場所

暖地性の植物で、やや湿った半日陰~日当たりのいい場所に自生している姿を見かけます。

本来はそれほど日照を必要としない中庸~耐陰性の樹種ですが、日当たりのいい場所でも順応して元気に育ちます。盆栽につくる以上は葉色や実付きも重要ですから、春から冬期保護まではよく陽のあたる場所で管理してください。

真夏でも直射日光下で平気で、むしろその方が樹勢が上がり、節の締った良い樹ができます。

ただし小さい鉢で育てているものは、鉢が高温になりやすいので、鉢に布を巻いたり、サンドベッドの上に置いたり、夏の間は半日陰管理にするなどの対策をしたほうが安心です。

寒さには比較的弱く、冬期保護なしでは葉が萎れて樹勢を落としてしまいます。11月中旬~12月頃になって、霜が降り出すようになったら、棚下やムロへ移動させてください。

多少の寒さに当たっても枯れる程にはならず、温かくなるにつれ回復しますが、芽出しが遅れてその年の作のりがよろしくないので、霜や空っ風に当てないように保護してください。

クチナシの灌水

水を好む樹種で、生長期の間は特に吸い上げが盛んになるので、乾く前に灌水をしてください。軽い水切れなら吹き直すことがありますが、根が傷むと所々に枝ガレが生じます。

特に春から夏の間は乾きも早くなるので、1日何回という目安に捕われずに、乾いた段階でたっぷり水やりできればいいと思います。

クチナシは葉が一杯に茂るので、単に上から水をかけただけでは葉が水を弾いて用土まで届かないことがよくあります。雨続きで油断すると、水切れしてしまうこともあるので注意してください。

水やりは株元にぐるりと回しかけるように与え、時々鉢回しをして全体に水と光が当たるようにしてあげてください。根詰りしているものはドブ漬けしてしっかり鉢内まで水を入れましょう。

晩秋~冬の間は水の消費量も落ち着きますが、冬の乾燥した空気は思った以上に鉢土の水分を奪います。常緑のクチナシは、冬の間も葉を付けているので、活動期と同じつもりで水をあげましょう。

花に水がかかると花粉が流れてすぐに傷むので、開花中は花に水がかからないように注意してください。

クチナシの施肥

クチナシは肥料を好む性格で、特に実成りクチナシは肥料を多く必要とするので、特に雨の多い梅雨頃を除く春から10月いっぱいまでは有機油かすを主体に肥料をしっかり効かせてください。

4月頃に新芽が伸び出した頃から梅雨入りまでに月1~2回程施肥し、梅雨~夏場は一時中止するか薄い液肥に切り替えて、9月~10月頃に月2回程のペースで秋肥を与えてください。

春に植替えた場合もすぐに肥料を置いて大丈夫です。

多肥を好むといっても、一度に多量に施肥するのではなく、少量を小まめに施すようにしてください。

肥料は油かすに骨粉(リン酸分)を3割くらい混ぜたものを与えると実付きがよく、春の植替えの際に用土に骨粉を混ぜておくと良いようです。

2. クチナシの実の付け方

クチナシの花

クチナシの雄しべと雌しべ(花柱)

クチナシの花は両性化で、地植えのものだと勝手に実を付けている印象ですが、自家不和号性の傾向があり、盆栽で同花受粉することはほとんどありません。

実を付けるためには、品種の異なる他の株の花粉と受粉させてください。

クチナシの雄しべは花柱(雌しべ)の周りに放射状に倒れた細長い構造のもので、開花前には雌しべと密着した状態で収納されています。

開花時には既に花柱に花粉がたっぷり付着した状態ですから、人工授粉する場合は花柱どうしを軽くこすり付けるか、小筆で花粉を取って受粉させても良いです。

雄性先熟の可能性があるので、花弁が白から黄味を帯び始めるくらいまで何度か受粉をしたほうが確実です。この時期は、花にスリップス(アザミウマ)が集って吸汁しますが、見た目が悪くなるだけで大事にはなりません。予防のためにオルトランなど浸透移行性の薬剤を使うようにしてください。

風媒、虫媒でも受粉可能なので、開花中に株を寄せて置いておくだけでも実付きは期待できます。

八重咲きの品種にも雄しべと雌しべはありますが、受粉しても子房の成熟が不完全なので結実に至ることはないようです。

クチナシの花芽の付き方

クチナシの花芽

前年の秋に出来て、開花を前にだんだん膨らんできたクチナシの花芽(5月頃)

クチナシの花芽分化は7月から9月の間に2回あり、どちらも新梢の先に花芽を付けます。

1回目は夏頃(7月頃)で、春から伸びる新梢の先に花芽が作られ、8月~9月頃に遅咲きします。

2回目は秋頃(9月頃)で、花後に伸びた新梢の先に作られ、ごく小さい芽のまま冬を越して翌年に開花します。

花を見るためのクチナシの剪定は花後に全体をコンパクトに刈り込むのが基本で、その後伸びる枝で特に樹形を乱すようなものがあれば8月頃まで切り返して小枝を増やしてください。

9月以降に枝を剪定すると花芽も一緒に切ってしまいますから注意してください。

3. クチナシの適期作業

クチナシの作業カレンダー

3月 4月 5月 6月
 
 
冬期保護
 
 
 
 
 
 
 
 
 
植替え
 
 
 
 
開花・交配
 
 
 
 
 
 
 
 
葉刈り
 
 
 
 
 
 
 
 
剪定
 
 
 
 
 
 
 
 
針金かけ 
 
 
 
 
 
施肥
 
 
 
7月 8月 9月 10月
 
開花・交配
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
花芽分化
 
 
 
 
 
 
 
葉刈り
 
 
 
 
 
 
 
 
剪定
 
 
 
 
 
 
 
 
 
針金かけ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
施肥
 
 
 
 
 
 
11月 12月 1月 2月
 
 
 
 
 
 
冬期保護
 
 
 
 
 
 
 
 
摘果
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

植替え(4月中旬~5月)

寒がる樹種で根動きも遅いので、植え替えも外気温が上がる4月を過ぎてから行うようにしてください。

新芽が少し動き出す頃がタイミングで、根は深く切り込んでも平気ですからしっかり根をほぐし全体の1/3~1/2程に整理してください。

水と肥料が好きで根の生長も早いので、植え付ける鉢はやや深めのものを選んだ方がよくできます。

用土は赤玉7に桐生砂3を目安に、よく微塵を取り除いたものを使ってください。植え付けの際には元肥や骨粉を混ぜておくと樹勢が上がります。

根詰りが早く、一年で土を食べてしまって根鉢で一杯になるので、植え替えは毎年行いたい作業です。

葉刈り・剪定・針金かけ(6月~8月)

気温が上がる初夏から8月頃は、クチナシの生育も最盛期で、葉刈りや剪定、針金かけの適期を迎えます。

クチナシは萌芽力が強く、適期であればいくら切り込んでもよく芽吹くので、花後に我慢して付けておいた枝も思いきって切ってください。

作業時期は葉が固まり蕾が上がってくる6月頃で、樹勢が十分なものは全葉刈りと全体の切り戻し剪定を行ってください。葉刈りをすることで内部まで光が入り、風通しも改善してフトコロにどんどん芽を吹くようになります。

クチナシの全葉刈りと剪定

全葉刈り後、節を見て短く剪定。枝として伸ばしたい場合は針金で模様つ付けてください。

葉刈り後は全体がよく見えるので、不要枝や太すぎる枝は元から切り取り、必要な箇所は針金で模様を付けて基本の形を作っておきましょう。

5月頃からでも出来ますが、作業の時期が早いと次の芽吹きが悪くなることがあるので、できれば力を蓄えた初夏まで待ってから行ってください。

葉刈りは主に仕立て段階の養成木に行う作業ですが、花を見ながらの葉刈りも可能で、枝先の蕾を残して不要枝の整理や整枝もできます。針金をかけた場合は1ヶ月ほどで食い込んでくるので、傷が深くなるまえに外してください。

クチナシの芽

クチナシは枝を切ると節からどんどん芽を吹くので、繰り返し切り詰めて小枝を増やすことができる

クチナシは樹勢がのっていて時期が良ければどこで切っても芽を吹くくらい芽吹きのいい樹で、先の芽を無くしてもその下の節から次の芽が吹いてきます。

小枝を増やしたい場合は「伸びたら1節残して切る」を繰り返すことで小枝が密になり、8月頃までに作業を終わらせておけば花も期待できるので、盆栽としては申し分ない樹種です。

肉巻きがよく太枝を切ってもヤケ込むことはありませんが、できるだけ早い段階で処理して傷を大きくしない努力は必要です。

観賞・摘果

クチナシの実

実の観賞期は11月下旬~12月頃。

特徴的な形をしたオレンジ色の実は、青や瑠璃色といった反対色の釉鉢と合わせると一際引き立ちます。

あまり樹勢も落ちないので長く見られるのですが、出来れば年内に摘果して樹を疲れさせないようにしてください。

実の中には種が沢山入っていて、実生もできますが、成長が非常に遅いのが難点です。発芽率はいいので、束ねて培養して株立ち風に作ってもいいかもしれません。

実生からじっくり作る良さももちろんありますが、太枝を挿しても発根する樹ですから、ある程度太さのある素材を挿し木して作った方が盆栽としては近道です。

4. 関連ページ

クチナシ(梔子)の魅力

名前の由来には諸説ありますが、漢名は巵子(しし)で、中国の古い巵(さかずき)の形がクチナシの果実に似ていることが由来であるというのが有力のようです。日本では、果……

コメント

みさと さん 2017年08月19日03時14分
花の咲かないクチナシです(>_<)
葉っぱ多すぎなのでしょうか?鉢は6センチほどで樹高は4センチほどです。
きみ さん 2017年08月20日16時42分
みさと さん
花を咲かせたいんですかね?
今年咲かなかったなら去年の剪定時期がよくなかったかもしれないですね。
今この状態は悪くないと思いますよ。
樹形作りの段階なら剪定して小枝を増やすといいと思います。
花を咲かせたいなら今からは剪定しないように
もんた さん 2017年09月11日20時32分
はじめまして。
ブログ、たいへん参考にさせていただいてます。
先日、手に入れたクチナシなのですが、これからどのような作業をして行けばいいのか、御指南頂ければとおもい、
投稿させていただきました。宜しくお願い致します。
きみ さん 2017年09月12日16時51分
もんたさん
細葉ですね、コクチナシでしょうかね
小さく作りたいのなら、できるだけ低い位置で強剪定をして元から芽を吹かせます。
ただ、入手したばかりということなので、今年は適当に伸びすぎた枝だけ整理して本格的な作入れは来年に持ち越してもいいのではないでしょうか
施肥をしていないように見えるので、掃除してあげて、肥料はしっかりあげて来年の手入れに備えてください。
夢一心 さん 2019年07月05日18時37分
梔子の全葉刈りが少し遅れたようだが、今【7月5日】でもよいか。6月に入ったころ全葉刈りをしたもの大きいのでもう一度やろうと思うがどうだろう。
きみ さん 2019年07月06日08時45分
夢一心 さんへ
樹勢がのっているなら葉刈り問題ないと思います。
くりやまようこ さん 2020年04月23日13時38分
盆栽超初心者です。つぼみを残して全葉刈り その後剪定、とのことですが 花が咲く頃には葉は無い状態なのでしょうか。また植え替えも初夏に行えるとありますが、花後ということですか?
大変くわしく説明されているのにも関わらず、開花時期と作業の順序がなかなか理解できず、、
御指南どうぞよろしくお願いいたします!
きみ さん 2020年04月23日17時26分
くりやまようこ さんへ
わかりにくくで大変申し訳ありません。
仕立て段階や、樹の状態(肥培など日頃の培養状態)によってやり方が違うのですが、絶対に葉刈りしないといけないということではありません。
ただ盆栽としては結構間延びしてしまっているし、枝にも広がりがないので、私なら実は諦めて作り直し。今なら針金かけくらいはしておきます。
葉刈りすると、もう少し温かくなってくると間延びした枝の途中にポツポツと腋芽が動いてくるので、その部分で切り戻すという具合です。
実を付けたい場合も別に葉刈りしても平気で、2週間ほどで吹き直してきます。葉刈りすることでフトコロの芽が動き出すので、来年の春頃にはその芽もしっかりしてきて小さく作り直すことができます。
(※水と肥料は必要ですし、根詰まりしているので植替えのタイミングだと思います。雑草も取っておいてくださいね)
くりやまようこ さん 2020年04月23日20時20分
きみさん
早速ありがとうございます!とても分かりやすいです。貰ったばかりなので、今年は花は見てみたいと思います。1:つぼみを残して葉刈り(針金かけについては追い追い勉強します!)、2:花後 間延びしたのを仕立て直し、、あれ植え替えはいつでしょう?
何度も申し訳ありません。お手すきの折にでも教えて頂けたら幸いです。よろしくお願いいたします。
きみ さん 2020年04月24日10時18分
くりやまようこ さんへ
このページの植替えの所にも書いていますが、植替え時期は今頃から6月頃までできます。
「下を切るなら上も切る(上を切るなら下も切る)」とよくいいますけど、枝を強く切りつめると、葉からの蒸散量と根からの水の吸収量のバランスがとれなくなるので、植替えする場合は枝も整理してください。葉刈り剪定の時期に植替えが出来る樹種が多いのもその植物生理を利用しています。
くりやまようこ さん 2020年04月24日14時54分
早速ありがとうございます!大変よくわかりました。
剪定と植え替え、しっかりやりたいと思います。これから少しずつ勉強して、盆栽を楽しみたいです。ありがとうございました。