クチナシ(梔子)の魅力

投稿日:2013/05/05 更新日:2020/11/18

クチナシ(梔子)の魅力

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クチナシ(梔子、巵子、学名:Gardenia jasminoides)はアカネ科クチナシ属の常緑低木。

名前の由来には諸説ありますが、漢名は巵子(しし)で、中国の古い巵(さかずき)の形がクチナシの果実に似ていることが由来であるというのが有力のようです。日本では、果実が熟しても裂開しないことから、無言の表現(口無し)の意味で古今集にその名が謳われています。

霧雨続く薄雲の下で際立つ白い艶麗な花と、道行く人にもそれと気づかせる程の清純な甘い香りは、ウメやラン、ユリ、キク、スイセンなどと共に七香のひとつに数えられています。

鮮やかで特徴的な形の果実は盆栽にしても人目を引き、晩秋を飾る実物としても人気のある樹種です。

1. クチナシの特徴

クチナシの品種

クチナシ属の仲間は日本の他、朝鮮半島や中国、台湾、インドシナ半島などの熱帯・亜熱帯に広く分布していて、約100種ほどが存在しています。

クチナシの葉

一般的なクチナシの葉。葉の付き方は対生で、まれに三輪生もでる

花や実だけでなく、薄皮質で艶のある深緑色の葉も特徴で、大きさや形は品種により様々。

基本的な葉形は、先の尖った倒卵状楕円系で、細葉や丸葉などがあります。

丸葉性の「達磨」の葉(左)と細葉性の「喜代誉」の葉(右)

山野に自生する灌木ですが、切込みに強いことと、香り高い花と、艶のある常緑の葉の美しさから園芸用として栽培されることが多く、八重クチナシや覆輪クチナシ、斑入りクチナシ、黄花クチナシなどの園芸向きの品種があります。

盆栽では実成りのいい一重咲きの実成りクチナシや、丸葉クチナシ(達磨クチナシ)、一寸法師の他、八重咲きの小クチナシ(姫クチナシ)、細葉の喜代誉(きよほまれ)などの品種が盆栽に作られていて、葉が小さく形のいいものが好まれています。

中には少し石化したような八房性のものもあり、葉が細かく密生し小品向きです。このような性質のものは花はめったに咲かないので、葉をみるものとして作ります。

クチナシの花(5月中旬~7月)

クチナシの花

一重咲きのクチナシ(左)と八重咲きの小クチナシ(右)の花

初夏に一重~八重の白い花を咲かせ、開花中はジャスミンのような甘い香りが辺りに漂います。

園芸種は野生種よりも花が大きいものが多く、花弁は細長いものから、丸味のあるものまで品種により個性が出ます。

八重咲きのコクチナシ(姫クチナシ)やオオヤエクチナシは白い薔薇のような美しさですが、花を見る八重咲き品種の結実はほぼ望めません。

クチナシの実(11月~12月)

クチナシの実

クチナシの実は特徴的な形をしていて、先端には尖った萼片が残ったままになっています。

楕円の多面体のような形状で、側面には稜(りょう)がはっきり出ています。

熟した果実は橙色~赤色で、昔からきんとんやたくあんなどの加工食品の着色料や染料などに使われたり、「山梔子(サンシシ)」という漢方薬にもなっています。

クチナシの主な樹形

クチナシは剪定に強く、針金かけもしやすいので、太幹のしっかり作り込んだ姿に作られることが多いのですが、あまり大きくならない灌木ですから叢生樹形を思わせるような簡素な姿にしたほうがクチナシらしさが出ます。

ヒコバエの出やすい性質なので、これを活かして株立ちに作るのも良いですし、双幹や懸崖などに仕立てても似合います。

小さい鉢で締めて作ってもよく出来る樹種なので、まず幹元に一曲と、枝がいくつかに実が1つ2つあるだけでも充分観られます。

2. クチナシの苗木の入手と繁殖法

クチナシの繁殖は挿し木が主で、古枝や細枝を挿しても発根しますから繁殖が簡単です。

暖地性の樹種なので、春挿しよりもやはり梅雨時期がよく、花後の剪定で出た枝を挿しておくと梅雨明けには活着してしまいます。

実生もできますがどうも生長が遅いので、ある程度太った枝を挿して作った方が早いと思います。

3. クチナシの病害虫と対策

クチナシの害虫

葉を食べるオオスカシバ幼虫(左)と、花弁を吸汁するスリップス

クチナシの培養は葉を食べるオオスカシバ幼虫との戦いといってもいいかもしれません。注意して見ているつもりでも、1匹でも残っていれば一晩で樹が丸裸になることもしばしばあります。

葉刈りをしてもすぐに芽吹くので、樹勢が落ちたり枯れることはまずありませんが、樹形作りや花付きにも影響しますから、クチナシを育てていれば必ず来る害虫と心得て対処してください。

葉裏を見て卵や小さい幼虫を見つけたら即補殺し、GFオルトランやベニカなどを散布して予防します。

他には、開花中に体長1~2mmのスリップス(アザミウマ)が集って吸汁したり、ガの幼虫が葉や熟す前の実を食べることがあるので注意してください。

4. 関連ページ

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多肥により枝の徒長や実付きが悪くなることがあるので施す量は控えめでいいです。4月頃に新芽が伸び出した頃から梅雨入りまでに月1回程施肥し、夏場は一時中止して、9月……

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