銀杏(イチョウ)の魅力

投稿日:2019/06/28 更新日:2020/06/26

銀杏(イチョウ)の魅力

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銀杏(イチョウ)はイチョウ科イチョウ属の落葉高木。別名を公孫樹(コウソンジュ)とも呼びます。

種子のギンナンも美味しく食べられる身近な木ですが、実は中生代に最も栄えた裸子植物の生き残りという植物学的に貴重な植物でもあります。

水分が非常に多く、火事の時に水を吹くという話が江戸の時代から広がり、現在でも防火樹として公園や街路に植えられています。

種は食用として古くから日本人に親しまれ、秋の黄葉は観る人を楽しませてくれます。

銀杏並木

1. 「銀杏」の由来

銀杏の実(ギンナン)

秋に冒頭の銀杏並木から採取したギンナン

一般的に「イチョウ」は樹そのもの、「ギンナン」はイチョウの実のことを指しますが、漢字ではどちらも「銀杏」と書きます。

もともと銀杏という字は文字通り実を指す言葉で、果実・種子としての銀杏(ギンナン)の記録は、室町時代(15世紀)後期の『新撰類聚往来』に確実な記載があります。

原産国である中国ではイチョウの葉をアヒルの足に例えて「鴨脚(イアチァオ)樹」と読んでいますが、日本でそれが転じて「イチョウ」と呼ばれるようになったと考えられています。

その結果、「銀杏の樹=イチョウの樹」と読むようになり、実のときだけ音読みで「銀杏=ギンナン」と読むようになったようです。

盆栽の銀杏は実がならない?

銀杏の実

銀杏の実。この時点ではまだ受精していない胚珠の状態(東京:5月)

銀杏の別名「公孫樹(コウソンジュ)」という呼び名は、「実がなるまでは孫の代までかかるほどに長い年月が必要だ」という意味。

雌雄異株で、4月~5月に葉が展開すると同時に花が咲きますが、雌花は特に小さく目立ちません。

精子を作る裸子植物で、春に受粉した胚珠は数ヶ月保持され、秋に精子が放出されて造卵器に泳いで入り始めて受精。肥大した胚珠は成熟を開始し、種子が作られます。

一説には雌木がはじめて花芽をつけるには樹齢25年から30年はかかり、雄木も同じくらいの年数を経て生殖可能になると言われています。

小品サイズならなおさら実をつけるのは難しく、深緑や黄葉を楽しむ葉物盆栽として作るのが普通です。

実を成らせたい場合は、古い雌木を挿木してさらに長年持ち込むか、実生で太らせた銀杏に実なりのいい枝を上手く接木すれば花を咲かせることはできるようです。

花粉は自然界では数km離れても風で運ばれ受粉可能と言われていますが、数百本と銀杏を育てる愛好家でも実を付けさせるのは容易ではないようです。

2. 銀杏の特徴

銀杏の枝

銀杏の長枝と短枝

銀杏の長枝(左)と短枝(右)

銀杏には長く伸びる枝(長枝)と、短いまま伸びない枝(短枝)があります。若木など勢いのあるものは長枝が出やすく、樹勢の落ち着いた老樹になると短枝が多くでます。

長枝は芽摘みをして伸びを止めますが、小枝が分岐しにくく小枝作りの難しい面があります。

胴吹きはしやすいので、株立ちや模様木風など、特性を活かした樹形作りが向いています。

銀杏の葉

銀杏の葉は淡緑~深緑色の扇型で、中央に1つかそれ以上に不規則に切れ込みが入たものや、切れ込みのない(浅い)ものがあります。

銀杏は葉のサイズや形に個体差が出やすく、大きさは手の平ほどに大きいものから小葉性のものまで様々。ミニサイズの盆栽には小葉性で葉形の整った性のものが適しています。

銀杏の葉

銀杏の葉

銀杏の葉と雌雄の見分け方

昔から、銀杏は葉の切れ込みの有無で雌雄を識別できるという話がありますが、実際は同じ個体でどちらの葉型も存在します。

一般に短枝に付く葉は切れ込みが浅いか全くなく、徒長枝に付く葉には深い切れ込みを持つ傾向があります。

また、種の形で雌雄が分かるという説も、学術的な根拠はなく雌雄の判別は生殖器官の観察に頼る他ないようです。雌木が欲しければ花や実のついた状態の種木から接木や挿木で増やしましょう。

ギンナンの形

ギンナンには2面体や3面体など形にパターンがあるが、雌雄決定との関連性はない

3. 銀杏の種類

斑入り銀杏

斑入り銀杏「舞世錦」

銀杏には、個体差が大きく出るものがありますが、学術上の区別はなく遺伝的に異なる性質が出るものを特別な呼称で呼んでいます。

枝が垂れ下がる性質の枝垂れ銀杏(シダレイチョウ)の他、葉がラッパ状になるラッパ銀杏、葉に実が付くお葉付き銀杏、根の張り具合によって枝から気根が下がる性質の乳銀杏(チチイチョウ)、白やクリーム色のスジ状の斑が入る舞世錦(マイヨニシキ)や斑縞柄の銀晃(ギンコウ)などの斑入り銀杏があります。

これらはあまり流通がありませんが、乳銀杏や斑入り銀杏は接木や挿木で作られた苗木を手に入れることができます。

乳銀杏のように気根が垂れる現象は、品種に限らず樹齢を重ねることで現れることもあります。反対に、乳銀杏でもミニ仕立てでは物理的に気根が現れないことがほとんどで、ある程度の大きさと樹齢が必要です。

4. 銀杏の苗木の入手方法

銀杏は発根がいいので、挿木で作られた種木が多くあります。品種ものは接木がほとんどで、実生で太らせた普通種の銀杏を台木に作られています。

銀杏は大きくなるにつれて幹に樹瘤(きこぶ)と呼ばれる塊を作ることがありますが、これは乳銀杏の気根と性質の似たもので、不定芽や発育を害された短枝、発育した潜伏芽に起因しているといわれています。

もし樹瘤を採取することが可能な場合は、ナイフ等で元から綺麗に切り取り、挿木の要領で固定しておくと腰の低い太幹の素材ができます(切り口には癒合剤を塗布すること)。

銀杏は実生も簡単

銀杏の網伏せ実生

種は用土に埋めず、網戸ネットなどで抑えておくと自然に曲のついた実生苗ができる

銀杏は実生での発芽率も高いので、葉性のいい親木を見つけたら実生にも挑戦してください。

種を採取して果肉を取り除き、すぐに土に埋めて乾燥させないようにすれば、翌春にはほとんどの種が発芽します。

発芽したものはまっすぐ伸びてしまうので、網伏せで曲を作るとなお良し。

銀杏やどんぐり、藤などの有胚乳種子は、周りの植物よりも早く背丈を伸ばして日照権を得るために、伸長成長のためのエネルギーを胚乳にたっぷり蓄えています。

胚乳がくっついている状態ならば、根や軸を切っても再び吹いてくるので、伸びの力を抑えて小さく作りたい場合は軸切りをお勧め。

銀杏の実生

胚乳が付いている間なら、新芽や根を元から切っても新しく吹いてくる

5月頃になると根や芽がしっかり伸び出すので、まずは直根を元から切り、小根が出るようにしましょう。根を切っても芽が勢いよく伸びてくるようであれば、上部も葉を1~2枚残して切り戻すと、弱い2番芽が伸びてきます。

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