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銀杏(イチョウ)の魅力

更新日:2019/06/28

イチョウの盆栽

銀杏(イチョウ)はイチョウ科イチョウ属の落葉高木。別名を公孫樹(コウソンジュ)とも呼びます。

種子のギンナンも美味しく食べられる身近な木ですが、実は中生代に最も栄えた裸子植物の生き残りという植物学的に貴重な樹でもあります。

水分が非常に多く、火事の時に水を吹くという話が江戸の時代から広がり、現在でも防火樹として公園や街路に植えられています。

種は食用として古くから日本人に親しまれ、秋の黄葉は観る人を楽しませてくれます。

銀杏並木

「銀杏」の由来

イチョウは樹そのもの、ギンナンはイチョウの実のことを指しますが、漢字ではどちらも「銀杏」と書きます。

もともと銀杏という字は文字通り実を指す言葉で、果実・種子としての銀杏(ギンナン)の記録は、室町時代(15世紀)後期の『新撰類聚往来』に確実な記載があります。

原産国である中国ではイチョウの葉をアヒルの足に例えて「鴨脚(イアチァオ)樹」と読んでいますが、日本でそれが転じて「イチョウ」と呼ばれるようになったと考えられています。

その結果、「銀杏の樹=イチョウの樹」と読むようになり、実のときだけ音読みで「銀杏=ギンナン」と読むようになったようです。

盆栽の銀杏は実がならない?

銀杏の実

銀杏の実。この時点ではまだ受精していない胚珠の状態(東京:5月)

銀杏の別名「公孫樹(コウソンジュ)」という呼び名は、「実がなるまでは孫の代までかかるほどに長い年月が必要だ」という意味。

雌雄異株で、4月~5月に葉が展開すると同時に花が咲きますが、雌花は特に小さく目立ちません。

精子を作る裸子植物で、春に受粉した胚珠は数ヶ月保持され、秋に精子が放出されて造卵器に泳いで入り始めて受精。肥大した胚珠は成熟を開始し、種子が作られます。

一説には雌木がはじめて花芽をつけるには樹齢25年から30年はかかり、雄木も同じくらいの年数を経て生殖可能になると言われています。

小品サイズならなおさら実をつけるのは難しく、深緑や黄葉を楽しむ葉物盆栽として作るのが普通です。

実を成らせたい場合は、古い雌木を挿木してさらに長年持ち込むか、実生で太らせた銀杏に実なりのいい枝を上手く接木すれば花を咲かせることはできるようです。

花粉は自然界では数km離れても風で運ばれ受粉可能と言われていますが、数百本と銀杏を育てる愛好家でも実を付けさせるのは容易ではないようです。

銀杏の特徴

銀杏の枝

銀杏の長枝と短枝

銀杏の長枝(左)と短枝(右)

銀杏には長く伸びる枝(長枝)と、短いまま伸びない枝(短枝)があります。若木など勢いのあるものは長枝が出やすく、樹勢の落ち着いた老樹になると短枝が多くでます。

長枝は芽摘みをして伸びを止めますが、小枝が分岐しにくく小枝作りの難しい面があります。

胴吹きはしやすいので、それを活かした樹形作りが向いています。

銀杏の葉

銀杏には個体差が出やすく、特に葉のサイズや形にその違いが大きく現れます。

銀杏の葉は淡緑~深緑色の扇型。中央に1つかそれ以上に不規則に切れ込みが入たものや、切れ込みのない(浅い)ものがあります。

銀杏の葉

銀杏の葉

大きさは手の平ほどに大きいものから小葉性のものまで様々で、ミニサイズの盆栽には小葉性で葉形の整った性のものが適しています。

銀杏の葉と雌雄の見分け方

昔から、銀杏は葉の切れ込みの有無で雌雄を識別できるという話がありますが、実際は同じ個体でどちらの葉型も存在します。

一般に短枝に付く葉は切れ込みが浅いか全くなく、徒長枝に付く葉には深い切れ込みがある場合が多いです。

また、種の形で雌雄が分かるという説も、学術的な根拠はなく雌雄の判別は生殖器官の観察に頼る他ないようです。

雌木が欲しければ花や実のついた状態の種木から接木や挿木で増やしましょう。

銀杏の種類

斑入り銀杏

斑入り銀杏「舞世錦」

銀杏には、個体差が大きく出るものがありますが、学術上の区別はなく遺伝的に異なる性質が出るものを特別な呼称で呼んでいます。

枝が垂れ下がる性質の枝垂れ銀杏(シダレイチョウ)の他、葉がラッパ状になるラッパ銀杏、葉に実が付くお葉付き銀杏、根の張り具合によって枝から気根が下がる性質の乳銀杏(チチイチョウ)、白やクリーム色のスジ状の斑が入る「舞世錦(マイヨニシキ)」や斑縞柄の「銀晃(ギンコウ)」などの斑入り銀杏があります。

これらはあまり流通がありませんが、乳銀杏や斑入り銀杏は接木や挿木で作られた苗木を手に入れることができます。

銀杏の繁殖法

挿木、取木、実生で簡単に増やすことができます。

実生の場合は種を採取してすぐに土に埋めて乾燥させないようにすれば、翌春には発芽します。

銀杏の作り方

挿木の場合は数本を束ねて挿して株立ち風にするのも良。

取木や挿木が容易なので間延びしたものは短く作りなおすこともできます。

ただし銀杏は枝が出来にくい性質なので小枝を込ませることは難しく、樹姿と葉を楽しむものと思ったほうがいいでしょう。

針金かけもできますが、銀杏は水分が多く強く曲げると折れてしまいます。一度に無理な曲付けはせず、徐々に模様をつけてください。

銀杏の主な樹形

主な樹形は斜幹や双幹、取木や挿木で作った株立ちなどが多く、寄せ植えで銀杏並木の景色を表現するのも合います。

コブを挿しても根付くので、太幹の樹形にも挑戦できます。

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銀杏(イチョウ)の育て方

春から梅雨までは日当たりと風通しのよい場所で育てます。夏の強い日差しに当たると葉焼けしてしまうので半日陰においてください。秋になったら再び日に当てることで黄葉が……

コメント

酒が好き さん 2019年07月01日11時58分
「イチョウの育て方」を探して、このブログを見つけました

盆栽の育て方もですが、科学的な視点が気に入りました
よろしくお願いいたします

盆栽を始めて30年を過ぎました
多くのものを枯らしてしまった
先月、ヤフオクでイチョウの盆栽を求めましたが、ベランダで寒冷紗も無く、葉焼け必至でしょう
葉水で何とかしのぐつもりです

伸びた新枝を曲げて送ってよこした(乱暴ですね)
伸びた枝を詰めるんでしょうが、時期的に遅いと思って放置することにしました
何とかきれいな黄葉を報告したいものです
きみ さん 2019年07月01日18時35分
酒が好き さんへ
コメントありがとうございます。盆栽歴30年、わたしはまだまだ及びません。
銀杏が伸び伸びでしたら、どうしたいかによりますが今切っておいたほうがいいのでは
と思います。
酒が好き さん 2019年07月02日14時59分
樹高80cmの大品なのと、枝分かれしにくく、小枝を込ませるのが難しいということなので新枝をそのままにすることにしましたが、冬姿を見てないのでよくわかりません。
実成り姿も面白そうなので、芽接ぎにも挑戦したいと思っています。
雄木に雌木を接いだらどうなるんでしょう(笑)

30年近く育てた柚子に花が咲かず(実もならない)、手っ取り早くと思って1歳柚子を接いでみましたが、1年目は実がなりましたが、2・3年でその枝だけ枯れてしまった。せっかくの幹に傷を残す結果になり、相変わらず花が来ません。
きみ さん 2019年07月04日08時34分
酒が好き さんへ

雄木に雌木を接いだら枝は雌です。
枝を継いだらまずその枝を育てることですよね、一才性のものは成長が遅いので特に。。

都内のベランダから盆栽を始め、現在は盆栽のために郊外に土地を得て暮らしています。小さい盆栽を中心に山野草や鉢作りを楽しんでいます。

動植物好きの猫飼いです。歴代猫は『アロ』『アズロ』。現在は雄のアビシニアンと一緒です。

ほとんど籠って盆栽いじってますが、盆栽教室やミニ盆栽屋「てのひら盆栽しんとう」も定期的に企画、出店しています。

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