カエデの剪定

宮様カエデと唐カエデ

宮様カエデ(左)と唐カエデ(右)

カエデにもいろいろな種類がありますが、盆栽で馴染みのあるのは唐カエデ宮様カエデ(台湾カエデ)です。

カエデは成長が早く、地植えのものは1年で1~2mまで伸びる物もあります。

カエデは大葉のものや小葉のものがありますので、種木を入手するときはできるだけ小葉のものを選んでください。

種木選びも大切ですが、葉物類は管理によっても次第に小葉に作ることができます。

カエデの特徴

カエデの枝の出方は対性で、2枚の葉が1節に対になって出ています。

それぞれの葉の基部には腋芽がついていて、剪定や芽摘みによって枝の先を切ると、腋芽が動き出して1節から2本の枝が伸びてきます。

カエデは芽摘みをしても8月頃までは次々に芽を伸ばしますから、枝組みの作りやすい樹種です。

ある程度の枝組みができたら、その先からの剪定や芽摘みを丁寧に行います。

カエデの剪定

横に枝が出るように、外芽を残して剪定します

カエデは枝の伸びが早いので、芽摘みや剪定が忙しい樹種です。

また、立性なので伸びる枝は立って出て来る性質があります。

剪定の時は基本外側に出ている枝を残して、立ち枝や内側に伸びる枝は剪定します。

残した枝については小枝を増やすための剪定をしてください。


カエデの種木

カエデの種木は実生や挿木、取木で作られています。

カエデは直幹や斜幹、模様木、寄せ植え、石付きなど様々な樹形に作ることができますが、種木の姿や性質をよくみて早い段階で樹形を決め、枝作りや樹形作りのための剪定をします。

取木によってできたものは、ほぼ樹形が出来上がっていますが、実生や挿木の種木はこれから樹形を作っていかなければいけません。

枝の出方や立ち上がり、根の張り具合をよく観察して、その木にあった樹形作りをします。

カエデの種木の剪定

実生のカエデの剪定

実生苗は少なくとも3~4年は剪定や芽摘みをしないでそのまま伸ばし、幹を太らせます。

この時に幹元を針金で軽く曲げておくと立ち上がりが面白いものになりますし、きつく曲げ込めば接した箇所が癒合して、座が太幹の素材をつくることもできます。

早春(2月下旬頃)になって太さが充分になったら、作りたい高さを決め、その高さより少し低い位置で芯を切ってしまいます。

そうするとほとんどの場合は枝や葉がなく幹だけの状態になりますが、暖かくなれば新しい芽が吹いてきますので、それで枝作りをします。

枝の剪定は下枝を多めに残しながら、2~3節残しの剪定をします。
カエデは芽の出る力が強いので、1年に3~4回の剪定が可能でそれだけ枝数を増やすことが出来ます。

冬、落葉したら込み過ぎた不要枝や枯れ枝を剪定して全体の姿を整えます。

この作業を2~3年繰り返せば、ほぼ形ができてきます。

挿木のカエデの剪定

挿木苗の場合は実生よりも少し幹模様がよく、根張りがよい状態のものが多いです。

挿木苗も実生苗と同様に、ほしい太さまでそのまま伸ばし、幹が太ったら切り戻して新しく枝作りをします。

その後の剪定方法も、実生の場合と同様です。

取木のカエデの剪定

取木をする種木はすでに手入れがなされていて、幹模様や枝振りなどは出来上がっている状態のものが多いです。

さらにかなり太幹で樹高も低い種木を比較的短時間で簡単に作ることができるので、取木を前提にした種木を自分で探してきてもいいでしょう。

取木は6月~7月の高温多湿な梅雨の時期にかけるのが一般的ですが、休眠期間中の早春(2月中旬)にかけても成功率が高いようです。

取木したものはその年の秋頃か翌春に親木から切り離し、仕立て鉢に植え替えます。ただし取木により発根した根はまだ組織的に弱いので水切れや冬の保護に注意してください。

発根したものは葉からの水の蒸散量と、水分を吸収する根の量のバランスを取るために枝の剪定をしなければいけません。

この時に枝の切り詰めや不要枝・役枝を見定めて剪定します。

枝が多いものはかなりの数を剪定で減らすことになりますが、取木素材の場合は樹形がほぼ出来上がっているので、その形を活かした剪定をします。

細かい枝作りは翌春からの新芽で作り、剪定は基本的に1節残しで行います。

不要枝や徒長枝はその都度剪定し、落葉後に全体をみて形を整えるようにしてください。

完成樹の剪定

完成樹の剪定は主に樹形を維持しながら風通しや日当たりを確保するために行います。

完成樹でもそのままにしていると年々枝が増えて樹形が乱れるだけでなく、大事な枝が枯れてしまったり、病害虫の被害にあってしまいます。

剪定は、枝の伸びを抑えるてめにも基本的に1節残して先を剪定しますが、カエデは頂芽優性の性質が強いので、特に下部の枝を大事にしながら剪定をしてください。

実際には、上部の枝を1節残して剪定したら、下部の枝は2~3節残して剪定します。

芽摘みは1年に数回できますが、枝の伸びが治まってくると来年の芽を作り始めますので、それ以降の剪定はしないでください。

遅くまで続けて剪定をしていると、出てきた若い枝が秋から冬の寒さで枯れてしまいます。

完成樹でも樹勢のあるものはヒコバエや徒長枝が出やすいので、見つけたら早めに剪定します。老樹でも年々成長していますので、状態に応じた剪定は欠かせない作業です。

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