美男葛(ビナンカズラ)の魅力
更新日:2018/08/18
美男葛はマツブサ科サネカズラ属の常緑蔓性木本。
標準和名を実葛(サネカズラ)と言いますが、かつて若い蔓から粘液をとって整髪料にしていたことから盆栽界では「美男カズラ」という名前で呼ばれています。
雌雄異株ですが雌雄同株のものも普通にあり、 葉が小さく実もやや小ぶりな八房種も出回ってきています。
夏に咲く花もかわいらしいですが、「実葛」の名前の通り真っ赤な果実が面白く、秋の飾りの席では一際人目を惹く人気の樹種です。
美男葛の特徴
美男葛の花(8月)
美男葛は雌雄異花で、花弁は硬く黄白色。
葉の陰になっていることが多く、小さく目立ちませんが独特の姿をしています。
花付きはよく、管理がよければ一株から多くの蕾がつきますが、雌雄同株でもそのほとんどは雄花です。
美男カズラの雌花(左)と雄花(右)
雌花は淡緑色の花床(子房)が多数規則的にに並び、それぞれに白い雌しべが付いています。
雄花の雄しべは真っ赤で竹かごを編んだような模様をしており、多数の穴から花粉が飛び出して表面に白く粉をまぶしたように付いています。
花弁は閉じ気味で下に垂れ、特に雌花の雌しべは奥に隠れた状態。
盆樹では自然交配での結実は難しく、また綺麗な形に実をとめるには人工交配が必須で、交配用に数株用意しておくと安心です。
美男葛の実(10~12月)
美男葛の実(11月頃)
美男葛の実は集合果で、木イチゴを大きくしたような形をしています。
1つ1つは5mm程で全体では2~4cmほどの大きさ。
果実と果床は鮮やかで艶があり、冬の間もよく目立ちます。
実が大きいため、木の大きさもある程度なければ結実した時のバランスがとれません。
小品サイズなら1個でも充分。雌花は数が少ない上に咲く位置も重要なので、小品で実のついた好樹はなかなか出ません。
美男葛の繁殖法
美男葛は挿木で簡単に増やすことができます。
実も比較的大きめで、持ち込んでも葉は小さくならないのであまり小さくしない方がバランスが取りやすいです。
美男葛の主な樹形
斜幹、模様木、懸崖などの樹形に仕立てされることが多いです。
枝は柔らかく曲げやすいですが癖が付きにくいので、樹形作は剪定と補助的な針金かけで行います。
実とのバランスを考えて樹形作りをしてください。
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コメント
- マメ さん 2019年05月09日12時27分
- 初めまして
実生で青軸が出ましたが
どんな実が成るでしょうか。
2017年に実生しました。 - きみ さん 2019年05月09日18時22分
- マメ さんへ
大事にそだてておられますね。楽しみですね。 - 天然酵母 さん 2019年07月20日08時39分
- 美男カズラの実を焼酎につけたのですが、効能は?
- きみ さん 2019年07月20日10時11分
- 天然酵母さんへ
詳しくないので検索したらすぐ出てきました。滋養強壮、咳止め、胃健などだそうです。そのままでも食べられますが美味しいものではなく、煮詰めるとか乾燥させるとか加工して利用されるみたいですね。
その焼酎美味しいですか?やってみようかな - 夢一心 さん 2019年11月21日20時44分
- 花芽分化は、その年伸びた枝につくのか。前年ではないのですか。
- きみ さん 2019年11月22日20時42分
- 夢一心 さん
花芽はその年伸びた枝と前年枝にもできます。