木通(アケビ)の魅力

投稿日:2016/05/01 更新日:2020/06/17

アケビ

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木通(アケビ)はアケビ科アケビ属の蔓性落葉低木。

日本全土の山野や雑木林に普通に見られる蔓性の植物で、実が熟すと割れて中が見える様子を現した「開け実」が呼び名に転じたと言われています。

「アケビ」という名前はアケビ属に属する植物の総称で、近縁種がいくつか存在します。

高卓に飾った鉢から下垂する枝に、パックリ割れた淡紫色の実をぶら下げた姿は、秋の展示会では一際目を引く存在で、春の新芽は山菜に、秋の果実はデザートに、蔓はかごなど工芸品の材料にと、古くから日本人に親しまれています。

1. 木通の特徴

木通の種類

木通の種類

日本に自生するアケビの仲間は大きく4つで、葉の数や形で見分けられる

木通と言えば全縁の小葉が5つ付いた種類が普通で、葉肉が厚く色も濃く、寿命が長いため苗木が1番出回っています。

近縁種には、小葉が3つで波状または鋸葉になる「三つ葉木通(ミツバアケビ)」や、木通と三つ葉木通の雑種で、葉縁がやや波形になっている「五葉木通(ゴヨウアケビ)」があります。

また同じアケビ科に属するものに「ムベ」があり、肉厚でやや葉先の尖った葉は、常緑で「常盤木通(トキワアケビ)」とも呼ばれます。

ムベは関東以南の海岸に近い場所に自生している樹種で、実の色は濃く、木通のように裂開しません。実は木通よりも美味で、どれも盆栽に仕立てることができます。

木通の花(4月~5月)

アケビの花

木通の雌花(左)と雄花(右)

木通は雌雄同株ですが雄花と雌花が個別に咲きます(雌雄異花)。

花の付き方は先ず新芽と共に花序が伸びて、柄の途中に雌花が1~3つ咲き、柄の先端に小さい雄花が集まって咲くようになっています。

受粉した木通の花

写真1:雌花の中柱に花粉が付着している様子

花弁のように見えるものは萼で、色は淡紫や濃紫、白など。雌花雌花ともに3枚の萼がついていて、バナナの果実のような6~9本の雌しべが放射状に伸び、先端部分(中柱)には粘着性の蜜がついています。

これは雌花が雄花に擬態して雄花の花粉を目当てに飛来する昆虫を甘い蜜で呼び寄せ、受粉を成功させているのではないかと考えられています(写真1)。

雄花は小さく花序の先に集まって咲き、花の中央部にはミカンの果肉のような紫色の雄しべが房状についています。

ムベの花(5月)

ムベの花

ムベも雌雄同株ですが花には雌雄があり、雌花と雄花にはそれぞれ子房と雄しべを持ちます。

花弁は剥いたバナナの皮のようでアケビの花とは趣が異なり、花色は淡黄色ですが内側に赤い筋が入るものもあり、甘い香りを発します。

実は鮮やかな紅紫色で形はアケビに似ていますが、皮は薄く柔らかく、アケビのようにパックリ開きません。

盆栽の木通の交配には近縁種を用意する

木通の交配の様子

白花木通(左)と木通(右)の交配の様子

木通は自家不和号性の性質があるので、実を付けるためには違う種類の木通で人工交配させる必要があります。

萼の白い「白花木通」や「一才木通」は交配用にも使えるので、持っておくといいでしょう。

ただし実を付ける場合は、樹勢が著しく低下するので、一年おきにすること。太さのある樹でも実は1~2つくらいにしておき、早めに摘果するようにしてください。実は大きくなり存在感があるので1つでも充分です。

小さい樹では実がついてもその後枯れてしまう可能性が高くなるので、まだ実が青い初夏のうちに摘むとか、花だけ楽しむくらいにしておいたほうが安全です。

木通の実(9月~10月)

アケビの実

割れた実の中には果肉に包まれた種が沢山はいっている。

熟した木通の実は淡紫色の長楕円形で、熟すと縦に割れて中から果実(液果)が見えてきます。

大きさは3cmから大きいものでは10cmくらいになり、成熟すると果皮が裂開して中から仮種皮に包まれた果肉が顔を出します。

果肉は甘く、中には沢山の黒い種子が入っていて、取り蒔きすれば実生を楽しむことができます。

果肉部分は野鳥が好んで食べにくるので、鳥かごに入れたりネットを張るなど、鳥除けの工夫が必要です。

2. 木通の素材の入手

盆栽園の他、園芸店でも苗木をみますが、太幹のぶった切りのようなものが多く、盆栽として作るのは大変です。

木通は実生が簡単で、5~6年もすれば花が咲くようになるので、種が採取できたら取り蒔きするか春まで保管して撒いてみてください。一才性のものは挿木や取木後1~2年で花を見ることができます。

木通の実生

木通の種は発芽率がいいので、最初のうちは寄せ植えなどで楽しみ、太く成ってきたら単植えして作ってもいい

木通の枝

木通は細い蔓を挿しても発根しにくいので、木質化した節の部分を挿し穂にするとよい

取木や挿木もできますが、挿木の場合は若い蔓を挿しても根は出ないので、梅雨時期になったら木質化した枝の節の部分を挿し穂にしてください。

発根率はさほど高くないので、適期を守り、数多く挿すことです。

山取りはあまり勧められませんが、採取可能な場合は、さほど太くなくても低い位置に面白い曲があったり、根張りのいいものなど将来性のあるものを選ぶようにしましょう。

3. 関連ページ

 
木通(アケビ)の育て方

アケビは日陰を好む樹種なので、半日陰で風通しのいい場所で管理してください。春からはよく日に当てますが、日差しの強くなり始める5月以降は寒冷紗などで保護してくださ……

                                                  

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