花物類の芽摘み

更新日:2018/08/23

花物類の芽摘み

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本来芽摘みは新梢の一部を取り去ることで枝数を増やしたり、枝の太りを抑える目的で行います。

芽摘みは樹作りの上で多くの効果をもたらすものですが、花物類の芽摘みは伸びる枝の勢いを調整して花芽形成を助けるために欠かせない作業。

若木のうちはまず樹形作りが先ですが、観賞段階になったら「花芽を付けさせるための芽摘み」をしましょう。

花芽の付く樹と、付かない樹

「桃栗三年 柿八年 ユズの大馬鹿十八年」という言葉の通り、果樹が種から花や実を付けるようになるまでにはそれなりの年月を要します。

ただ、充分な年月が経っているにも関わらず、いつまでも花が咲かずに頭を抱えるひとが多いのも事実。

ではどうして花が咲かないのでしょうか、それには植物の成長過程と芽摘み、剪定が関係しています。

栄養生長と生殖生長

若木は日照権を確保するため、出来るだけ早く大きくなる必要があります。

そのため上に伸びる力も強く、根も幹も真っ直ぐ伸びる傾向。作られる芽も全て葉芽で、全て枝になります。この生長過程を「栄養生長」といいます。

それに対して老樹は新たな地に子孫を残す使命のもと、花芽を付けて種子をつくろうとします。これを「生殖生長」といいます。

栄養生長が盛んな若木は芽のほとんどが葉芽に分化しますから、花や実はほとんど期待できません。

これが樹齢を重ねるにつれて生殖生長に切り替わり、これまで葉芽だったものが花芽へと分化しやすくなります。

ただし、徒長枝や日照条件が悪い枝には花芽はとまりにくく、比較的短くて充実した枝や陽のよく当たる枝に付きやすいです。

生長過程と芽摘み

一般に梅や山桜が種から花を付けるようになるには5~10年はかかると言われていますが、今は昔と違い接木の技術が進んでいるので、接木苗なら2~3年目で花や実を楽しむ事ができます。

ですが、盆栽として育てるならばまず樹形作りが先。未完成のうちは花や実を諦めて、小枝を増やすための芽摘みや剪定を行います。

芽摘みや剪定は植物の生長を早めることになるので、結果的には早く花を付けさせることにも繋がります。

反対にいつ花が咲いてもおかしくないのに一向に花芽が付かないという人は、日頃の培養方法や芽摘み等の手入れを見直した方がいいでしょう。

一才性の植物

一才アケビ

挿し木1年生の一才アケビ

盆栽園や園芸店には名前の前に「一才○○」「実成り○○」とつくものが売っています。

この「一才性(いっさいしょう)」とは、短い期間で成熟・開花するように品種改良された植性のことで、実生や挿木、接木後1~2年で花芽がとまる性質があります。

もともとは突然変異で生まれたもので、偶然発見された実生選抜種や、枝変り種を接木や挿木で改良繁殖させたもの。

主な一才性樹種

一才性の盆栽樹種には、「木通(アケビ)」「エゴノキ」「サルスベリ」「藤」「桜」「サルナシ」「ナンジャモンジャ(ヒトツバタゴ)」「ガマズミ」「姫林檎」「石榴(ザクロ)」「山ブドウ」の他、「柚」「金柑」「蜜柑」などの柑橘類があり、花付き実付きがよく早く観賞できるので盆栽界でも定番です。

一才性は普通種よりも大きくならない性質を持っているので、ミニサイズの盆栽に最適の素材。花付きがいいので実物の交配用にも役立ちます。

花芽を付けさせるための管理

日当たり、肥培管理は十分に

生殖生長をしている老樹や完成樹でも、日当たりのよい枝とそうでない枝では、日照条件のよい枝によく花芽はとまります。

また、芽摘みを正しく出来ていたとしても、事前の肥培管理が十分にできていなければ次第に樹が弱って枝数を増やすどころが枯れてしまいます。

日頃から日当たりと肥培管理には注意して元気な樹をつ育てましょう。

灌水と肥料は控えめに

ただでさえ灌水は難しいところがありますが、花芽を付けさせるためには水を控えて樹の生長を抑える必要があります。

花芽分化期に水や肥料を与え過ぎると、樹に勢いがついて枝が伸張しいつまでも花芽がつきません。この時期には施肥や灌水を適度に控えて日当たりよくし、花芽分化を促します。

花芽形成期と芽摘み

多くの花物類の翌年の花芽は夏の土用(7月中旬~8月中旬)頃に形成されます。

花芽を付けるためには、花芽形成時期までに新梢を充実させておかなければいけないので、少なくとも5月中には芽摘みを終えておく必要があります。

芽摘みは春に1~2回できますが、新しい芽を吹くにはそれだけ力を消耗するので、十分な肥培管理が大前提。秋肥や寒肥は春の芽出しを助ける役目があります。

ただし、若木や種木のように花を期待せず樹形を作る段階の樹に対しては、春~秋の間に芽の伸び具合に応じた芽摘みを行います。

▼主な花物類(実物類)の花芽形成時期(目安)

樹種名 花芽分化期(頃) 開花時期(頃)
桜 6月下旬~7月上旬 新梢に分化→翌年4月
梅 8月上旬~中旬 新梢に分化→翌年2~3月
梅 擬 7月下旬~8月下旬 新梢に分化→翌年5~6月
花 梨 7月上旬 新梢に分化→翌年4~5月
海 棠 6月~7月 新梢に分化→翌年4~5月
梔 子 7月中旬~下旬 新梢に分化→翌年6~7月
黄 梅 7月~8月 新梢に分化→翌年3~5月
石 榴 4月~6月 新梢に分化→翌年6~7月
皐 月 7月下旬~8月中旬 新梢に分化→翌年5~6月
サルスベリ 順次分化 新梢に分化→年内7~10月
躑躅(ツツジ) 6月下旬~8月上旬 新梢に分化→翌年4~5月
椿 6月中旬~7月上旬 新梢に分化→翌年2~3月
姫林檎 6月~7月 新梢に分化→翌年4~5月
ピラカンサ 10月下旬 新梢に分化→翌年5~6月
藤 7月下旬~8月 新梢に分化→翌年4~5月
紅紫檀 7月~9月 新梢に分化→翌年5~6月
木 瓜 8月下旬~9月上旬 新梢に分化→翌年3~4月、11~12月
山茱萸(サンシュユ) 6月上旬 新梢に分化→翌年3~4月
石楠花(シャクナゲ) 7月~8月中旬 新梢に分化→翌年3~6月
ライラック 7月下旬~8月 新梢に分化→翌年4月下旬~5月
雪 柳 10月 新梢に分化→翌年3月

花物類の樹種別の芽摘み

サツキの芽摘み(6月~7月上旬)

サツキの花芽は7月下旬~8月中旬までに形成されます。

サツキは1枝から4~5本の芽が伸びてくる性質があり、また上枝よりも下枝の方が勢いが強くなる傾向があります。

ですから芽摘みの時期は2段階に分けて、先に勢いの弱い上部の芽摘みから済ませておいて、1週間~10日くらいしてから下部の芽摘みを行うようにします。

こうすることで先に切られた上部の芽は2番芽の準備ができ、後から切られた強い芽の力を貰って元気がつき、全体の樹勢のバランスが良くなります。

サツキの芽摘みはある程度枝が伸びて葉が4~5枚開いた頃に行います。剪定も行う場合は6月中、遅くとも7月中旬までに済ませておけば、翌年の蕾をとめることが出来ます。

芽摘みの仕方は、4~5本伸びた新芽の中であまり勢いが強くなくて伸びる方向の良い2本を残して、あとは元から指でつまんで掻き取ります。指で摘める程度の時期がよいのですが、遅れて組織が硬くなってしまった場合は鋏を使います。

残した芽も2~3葉残して真ん中の芯を摘みます。これを摘芯(てきしん)と言って、強い芽を抜くことで腋芽の活動を促し、枝数を増やす効果が期待できます。

芽摘み後は10日もすれば残した部分から2番芽が吹いてきます。

2番芽の勢いが強いときは、7月中旬までに間に合う場合に限り、同じ要領で2回目の芽摘みが出来ます。

サツキの花後の切込み(花後~7月上旬)

サツキは芽摘みだけではどうしても枝が伸びて樹形が乱れてしまうので、花後に枝を切り詰めて樹形を整え、条件のよい新しい芽を出させます。

これを切込みとか元葉切りといいます。

時期は花の終わった頃から遅くとも7月上旬頃までに終わらせておく必要があります。

切込みの方法は、全体をみて伸びすぎた枝を古葉も残さないように切り詰めます。枝数を増やしたいところなどは芽摘み程度にとどめておいて、枝を整理し、全体の姿を整えます。

切込み後3週間くらいで新しい芽が吹いてきます。

ウメの芽摘み(5月中~下旬)

ウメの芽摘みは花芽分化が行われる前に済ませておき、十分に枝を充実させておく必要があります。

一般的にウメの花芽は8月頃、その年に伸びた枝にとまります。

花芽分化期は早咲きの種類で7月中旬から、遅咲きの種類で8月上旬くらいからと言われているので、この時期までに芽摘み後の枝が充実した状態にしておかなければいけません。

ウメは花後2~3月にかけて剪定をしますが、4月頃から新芽が動き始め、5月に入るとかなり伸びてきます。

芽摘みの時期は春から伸びた枝の勢いが落ち着く頃が適期で、5月中~下旬までに芽摘みしてください。

摘み方は、今年伸びた枝を2~3節残して切ります。残した芽が伸び、その先に花芽がとまります。

芽摘み後は不定芽が出やすくなりますので、不要な場合は早めに取り、必要な枝は2~3節残して切り詰めるようにします。

遅くても5月中に済ませておけば、花芽がとまることがあります。

6月以降も樹形を乱すような徒長枝は剪定して構いませんが、この枝には花芽は期待できません。

また、花芽が膨らんで確認できる頃になれば、花芽の付いていない不要な枝も剪定することができます。

ウメの花がら摘み

ウメの花がら摘み

ウメの花はいっせいには咲かず、順次開花します。

ひととき鑑賞を終えて、軽く枝をたたいた時に花びらが落ちるようであれば花は終わっていますので花柄摘みをしてください。

花柄の元には新芽が付いているので、これを傷めないように気を付けながら鋏で切り取ります。

芽摘みとは直接関係ない作業ですが、花柄を取ることでいつでも美しく鑑賞できますし、種子ができないので樹の衰弱も予防できます。

ウメの枝作りのための芽摘み(4月中旬~5月)

ウメの葉芽も花芽と同じで新梢の先に付きます。

鑑賞用に改良された園芸品種や野梅系品種(八重野梅、信州野梅、旭鶴、梓弓など)は花芽がよくつきますが枝ができにくく、花が終わってしまったら寂しい姿となってしまいます。

観賞用のウメは、出来る芽のほとんどが花芽になってしまうので、敢えて花後に枝先の葉刈りをして、枝元に残した花芽を将来枝になる葉芽にさせる方法もあります。

このような葉刈りも効果的ではありますが、盆栽に仕立てるためには枝作りを意識した芽摘みが欠かせません。

葉芽は翌年には枝となり、樹形作りには大切な芽ですが、短く詰まった枝を作るためには伸ばしたままですと樹形が乱れてよくありません。

枝作りのための芽摘みの時期は4月中旬~5月頃、春から伸びた枝を2~3節残して切ります。

節元には腋芽が付いていますから、芽摘み後にこの腋芽が葉芽や花芽に分化します。

一般に、縦方向に長めに伸びる芽は葉芽になりやすく、短めで横方向に伸びる芽は花芽になる傾向があります。

最初の芽摘み後も枝は伸びてきますから、7月頃に同じ要領で芽摘みをして枝数を増やすことができますが、花芽は期待できません。

ボケの芽摘み(6月の入梅まで)

ボケの花芽は8月下旬~9月上旬頃にとまりますから、遅くとも6月まで(入梅頃)には芽摘みを終わらせておく必要があります。

ボケは培養管理さえきちんとしていれば、今年伸びた枝にも翌年枝にも古枝にも花が付きます。

芽摘みの方法は、今年伸びた枝で不要な枝は早めに切り落とし、残した枝の先も切って伸びを止めておきます。

ボケはヒコバエも出やすくて枝の伸びが強いので樹形が乱れがちですが、花芽を付けるためにはこのくらいで留めておいて、秋の剪定で樹形を整えることになります。

ボケの枝作りのための芽摘み(6月~)

若木や仕立て途中の樹は、花芽を付けさせるよりも先に樹形作りに重点をおいた芽摘みをします。

ただし、栄養状態が悪い上に細かい芽摘みをしていると次第に樹勢が弱って枯れることがあります。日頃の肥培管理を適切に行い、強い枝を作るようにしましょう。

栄養状態がよければ強い枝がどんどん伸びてきます。

枝作りのための芽摘みは、基本的に2~3節残して切り、腋芽を吹かせて小枝を増やします。
勢いの強い上部よりも下枝に葉を多く残して切り、全体の力を均等にします。

枝のない場所に新しい枝を作りたい時などには、新芽をそのまま数年走らせておいて(伸ばしておいて)、枝が太くなってから切り戻します。

こうすることで、細かい芽摘みとり早く太い枝を作ることができます。

カイドウの芽摘み(5月中旬)

カイドウの花

深山カイドウの花

カイドウの花芽は6月~7月頃にとまり、翌年の4月頃開花します。

カイドウは花後に枝が伸びてきますから、勢いの強すぎる枝には芽摘みをします。

芽摘みは5月中旬頃には終わらせておいて枝を充実させておく必要があります。

この頃には枝は10cmくらいに伸びているはずなので、この枝を2~3節残して切ります。

ただし老樹の場合は新枝はあまり伸びすぎることがなく、2~3芽付けた頃に伸びも止まるので芽摘みの必要がない場合もあります。

カイドウの枝作りのための芽摘み

若木や仕立て途中の樹では、まず樹形作りのための芽摘みをします。

全体の力を均等にするために、上部の枝よりも下の枝の葉を多く残して芽摘みを行ったり、勢いの弱い枝から先に芽摘みをして次の芽が吹く準備ができてから、勢いの強い枝の芽摘みをするなどの工夫が必要です。

不定芽や不要枝など樹形を乱す枝も早めに切り、秋には樹形作りのための剪定をします。

カイドウの花がら摘み

カイドウの花柄摘み

カイドウも花後の花がら摘みは大切な作業です。

種を取りたい場合は別ですが、基本的には樹の消耗を防ぐために花が終わったら花柄を切り取ってください。

柄の元には芽が付いていますから、無理に引っ張ったりせず鋏で丁寧に行って下さい。

フジの芽摘み(4月~5月)

フジは7月下旬頃に花芽がつき、翌年の4月~5月頃に開花します。

蔓性のフジの樹形作りには芽摘みが重要な役割をもっていて、間隔が詰まった充実した枝作りをするためには、あまり枝が伸びないうちに芽摘みをする必要があります。

フジの芽摘みは4月~5月頃、蔓が伸び始めたころに行います。葉が4~5枚程度になったら2~3節残して先を切り取ります。

フジは葉のない枝の元部分にも芽がありますので、その芽数分も入れて芽摘みをしてください。

完成樹など、あまり枝を増やす必要がないときは1節残して芽摘みをします。

フジの芽摘み

オウバイの芽摘み(6月頃)

オウバイの花芽は7月~8月頃にとまり、翌年の3月~5月頃に開花します。

花芽を付けさせるための芽摘みは、遅くても6月~7月上旬には終わらせておき、花芽形成期には枝を充実させておきます。

芽摘みの方法は他の樹種と同じで、今年伸びた枝を2~3節残して先を切り取ります。

オウバイは勢いよく芽が伸びますが、ある程度樹形を乱してしまうことは目をつぶり6月以降の芽摘みは控えます。

ただ、あまりに勢いの強いものは逆に花付きが悪くなりますので、切り戻してもいいです。

オウバイの枝作りのための芽摘み

オウバイの枝数を増やすための芽摘みは2回行うことができます。

6月頃に最初の芽摘みをしたら、またそこから新しい芽が伸びてきますから2~3節残して2回目の芽摘みをします。

オウバイの芽摘み

6月以降も強い芽が出てきますから、必要であれば同じ要領で切り戻します。

ただオウバイの場合、あまり強い芽摘みを繰り返すとその部分は枝枯れします。

花ザクロの芽摘み(5月頃)

花ザクロの花芽は4月~6月頃に新しい枝の先端にとまり、翌年の6月~7月頃に開花します。

花芽をつけさせるためには、少なくとも6月に入る前に今年伸びた枝を1~2節残して切ります。

他の樹種と同じですが、1~2節残しの芽摘みを全体にやるのではなく、上部を1節で摘んだら下部は2節残すような気持ちで芽摘みをし、樹形を整えます。

花ザクロの枝作りのための芽摘み

枝数を増やすための芽摘みは、基本的に1~2節残しになります。

ザクロの枝はそのままだと対性につきますから、枝を交互に出すように芽摘みをしで枝作りをします。

6月以降も2番枝の勢いが強く伸びすぎるようであれば、2回目の芽摘みができます。

サクラの芽摘み(5月頃)

サクラには沢山の品種がありますが、一才ザクラのように枝のあまり伸びないものは芽摘みの必要はなく、秋の剪定で樹形作りをします。

品種にもよりますが、6月下旬~7月頃に花芽がとまりますから芽摘みは5月頃には終わらせておいた方がよいでしょう。

枝の伸びる種類のものでも、同じ株で枝があまり伸びてこないものは芽摘みをしないでいいです。

芽摘みの方法は、今年伸びた枝を2~3節残して先を切ります。

花芽の付く枝ならば、6月頃には枝の伸びは止まりますので大事にしてください。6月以降もいつまでも徒長するような枝には花芽は付きませんから、必要な長さを残して切り詰めます。