キミのミニ盆栽びよりTop:基礎から好きになるちいさい盆栽
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盆栽は楽しい
盆栽園や展示会の即売にたくさん並んだ盆栽や苗木。
その棚の前で、手に取った樹をいつまでも見つめている人を見かけることがあります。
盆栽の常設売店の様子
その樹を裏にしたり斜めにしたり、根元を少し穿ってみたり、棚に戻してちょっと遠くから眺めたり...
幹模様はどうか、根張りは良いか、芽の位置、葉の大きさ、枝の節は....そんな将来性を考えながら、自分ならこれからどう作ろうかと考えているのです。
難しそうな印象のある盆栽。
生き物を育てることは難しいこともありますが、小さい盆栽ならベランダでも育てることができますし、毎朝の水やりで感じる日々の成長や管理の手応え、四季の変化を見ることができる楽しさがあります。
各地の愛好会や盆栽園の教室に入れば仲間も増え、大きな展示会で自分の樹を飾る楽しさを知り、世界が広がります。
歴史ある展示会も多いですが、最近はWEB展示会や、趣味者で集まって小さな展示会を開いたり、自慢の樹や鉢を自身のブログで紹介したりと楽しみ方もそれぞれです。
私が盆栽を始めたきっかけは些細なことでしたが、今では毎日の水やりが一番の楽しみ。
昔は「遊び」と言えば友達と買い物や旅行だったのに、今は暇さえあれば盆栽園や展示会に出かけて、気がつくと何時間も樹や鉢を見ています。
たくさんの人に、小さい盆栽の良さを知ってもらいたい。盆栽を通して、自然の大切さを感じでもらいたい。そのきっかけの1つになればいいと思って「キミのミニ盆栽びより」を書き始めました。
盆栽の“癒やし効果”は学術的にも証明される....かも?
愛媛大学農学部緑化環境工学の仁科弘重教授は、約20年間に渡って人間と植物の関係について研究し、分かってきたことがあると話されています。
コデマリのミニ盆栽
『人間は、遠くの大きい植物よりも、近くの小さい植物に癒やされる』といった内容のものです。
仁科教授によると、職場のデスクなどに10~20cmの植物を1つ置き、自分で毎日世話をすることで自身の心が癒やされるというのが医学的に証明できるのだとか。
あまり変化のない観葉植物やサボテンなどは脳への刺激や癒やし効果は薄いそうです。
脳科学の観点からも、盆栽を「見て」「触る」手先への適度な刺激は脳の活性化やボケ防止に効果的。帝京大医学部准教授の新見先生は、家事や裁縫、写経、絵を描く、楽器演奏に並んで盆栽の効果にも注目されています。
健康面への効果を抜きにしても、樹作りの楽しさや花や実を付けた時のかわいらしさは格別。うまく出来たら人に見てもらいたいと思う気持ちも芽生え、表現することの楽しさを知ることができます。
「老後の趣味」にとっておくのはもったいない。盆栽は若い時からこそ始めるべき最高の趣味だと思います。
世界に認められる盆栽の芸術性
『難しそう』とか『リタイヤ後の趣味』という印象を未だにもたれる盆栽ですが、最近では飲食店や雑貨屋さん、インテリアショップなどでも苔玉や小さな盆栽を見かけるようになりました。
日本だけでなく海外の人気も大きく、盆栽はいまや世界共通語の「BONSAI」として、いろんな国の人達が芸術的かつスタイリッシュに盆栽を愉しんでいます。日本の小品盆栽も「SHOHIN」と呼ばれ、大もの盆栽に退けを取らない人気です。
『第8回世界盆栽大会inさいたま』には国内外から4万5千人の来場がありました(2017年4月)。
今や日本の文化や衣食住をはじめとする日本人のライフスタイルは、世界中で評価され関心を集めているのはご存じの通り。盆栽もその1つです。
海外の盆栽熱は高まる一方で、日本貿易振興機構(JETRO)によると、盆栽と庭木を合わせた輸出額が2017年には126億円を記録しました。
スペインやイタリアなどのEU諸国を始め、アジアや中東では、日本の盆栽や古鉢のコレクターも多く、今や富裕層のステータスとなっています。
海外では自由な発想をもったアーティストが盆栽や鉢を作り、高く評価されています。欧州地域の盆栽愛好家の数も多く、専門学校や美術館、専門誌も翻訳・発行されています。
盆栽に対して未だに古いイメージを持っているのは、日本人の方なのかもしれません。
写真提供協力:DOMESTIC BONSAI
小さい盆栽を楽しもう!
盆栽と言えば、国風盆栽展(日本盆栽協会)に飾られるような、立派な鉢に太幹の松がどっしりと立っている姿を想像するかもしれません。
でも、盆栽は松や真柏などの松柏類だけでなく、葉の紅葉を楽しむ雑木類や、花物類、実物類、山野草など四季折々の姿を楽しむものがいろいろあります。
大きさも数人でやっと持ち上がるような大もの盆栽から、手のひらサイズの小さな盆栽まであります。
五葉松のミニ盆栽
最近はマンションのベランダやバルコニーなど、日当たりやスペースに限りがある場所で家庭菜園や観葉植物を育てている住宅事情があります。
小さな盆栽は狭いスペースにも置けますし、日当たりと風通しを確保できれば銘木を育てることも夢ではありません。
近頃は樹高数cm~十数cmクラスの小さい盆栽がミニ盆栽やマメ盆栽、小品盆栽(しょうひんぼんさい)、掌上盆栽、一寸盆栽と言われる新しいジャンルを築き、女性や初心者の方でも始めやすい手軽さもあって特に人気を集めています。
観葉植物やガーデニングとはまた違った盆栽の世界。
その良さは古さや強さ、わびしさや儚さなど、見る人によって感じ方が違う日本人独特の美文化です。
まずは手始めに好きな種類の樹を一鉢。
生活の片隅に自分だけの芸術空間を広げてみてはいかがですか。