盆栽の用土

投稿日:2016/03/04 更新日:2020/05/21

盆栽用土

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植物の根は、土の中で四方八方に張り巡り地上部を支えています。

根は主に側根の吸収領域から土中の水分や養分を吸収し、植物体の生命維持をしています。さらに根自体も呼吸をしていて、土中の酸素を吸って炭酸ガスを排出しています。

つまり、植物にとって土は自分の体を支える重要な足場であり、大切な酸素や水、養分を取り込む場所。

盆栽で使う用土にはいろいろな種類があり、その構造を知り配合を工夫することで植物が良好に生育出来るような環境を作り出すことができます。

1. 盆栽用土の役割

用土には、まず根を張り巡らせ植物を支える土台の役割があります。

また、土の中の水分や養分は、植物の生育には欠かせないもの。

土壌中にはチッ素・リン酸・カリウムのほかカルシウムや鉄・マグネシウムなど微量元素がたくさん含まれていて、微生物によって分解される有機物や雨に含まれる水溶性の元素も植物体を構成する成分として重要な役割をしています。

自然の土壌成分を完璧に盆栽用土で再現することは至難の業ですが、そもそも盆栽用土に予め栄養分は必要なく、あとから必要な量を肥料で補えばいいことです。

盆栽における用土で重要なことは、植物の生育に最適な物理的環境を整えることです。そのためには以下の3つの条件があります。

2. 盆栽用土の3条件

盆栽用土には、保水性・排水性・通気性の3つの条件が求められます。

植物が元気に育つ土は、根が呼吸するための新鮮な空気や水が適度に含まれている状態が一番いいのです。しかし、土の中に充分な水と酸素を同時に保持することは可能でしょうか。

赤玉土(細粒サイズ)

赤玉土(細粒)

保水力があって排水・通気もよい。この2つの矛盾した条件を満たすものが粒土(りゅうど)です。

硬くて大きさの揃った粒状の用土(粒土)は、根の分岐を促進する働きのほか、水や空気を構造的に保持、排出する機能を兼ね揃えています。

粒土の径が小さければ粒と粒の間に水分を留めて保水力が高くなり、反対に径が大きければ粒と粒の空間が広くなり排水性や通気性が高まります。

園芸用土によくピートモスや腐葉土、黒土などが使われますが、水持ちがよい反面排水性に欠けるので、水やりの感覚をつかみ辛く盆栽の培養にはあまり向きません。

小品サイズや水を好む樹種なら使う用土は細かいものがいいですし、水はけのいい土壌を好むなら荒目の桐生土や川砂利も混ぜた方がいいかもしれません。盆栽の大きさや性質を考え、適当な種類の粒土を選んでください。

無理のない用土の準備を

用土のストック

よく使う用土はまとめてフルイにかけ、粒径毎にストックしておけばその都度配合できる

樹種によって適した用土はそれぞれですが、それぞれの樹種全てに最適な配合の土を用意するのは大変です。

用土は最初から何種類も揃える必要はありません。これから入手しようとする樹種が自分の棚環境にあっていなければ、完璧な土で培養したとしてもいずれ枯れてしまいます。

同じ樹種でも愛好家や業者によって配合が違うのは、地域の気候風土を考えた結果というよりは、単にその地域でその用土が手に入りやすかったからというのが実際です。

盆栽用土は主体を赤玉土として、最低限度の条件を満たせれば合格くらいの気持ちでいてください。

自分の棚環境で育つ樹種を選び日頃の管理をきちんとしていれば、少しくらい異なる用土配合でも充分に生きていける順応性を植物は持っています。

フルイにかけて微塵を取るのを忘れずに

昔の用土は粒径が揃っていなかったため、自分でフルイをかけて大きさを揃える必要がありました。

現在市販されている盆栽用土は質が良く、大粒、中粒、小粒、極小粒、細粒と細かくサイズ分けされているので、かつてのような「サイズ分け」のためのフルイかけはほぼ必要なくなりました。

しかしミニ盆栽ではできるだけ細かいサイズ分けが重要になってきますし、用土中に含まれる細かいゴミや微塵は根詰まりを起こす原因になるため、事前にフルイにかけて微塵を取っておく必要があります。

ミニ盆栽では小粒~細粒の中で大きめの土をゴロ土用にしたり、小さい鉢用に細かい土を選定して使います。微塵はケト土と合わせて石付きや根洗いの土台代わりに利用できます。

洗濯ネットを使っての微塵の除去

編み目の細かい洗濯ネットも微塵取りに使える

1mm以下の園芸用フルイはないため、小麦粉などをふるう調理用のフルイや、編み目の細かい洗濯ネットなどを使って微塵を取ります。

微塵はフルイかけをしても多少出てくるため、さらに金ザルに取って使ったり、中には用土を一度水で洗って乾かしたものを使う徹底ぶりの愛好家もいます。

「洗い」は手間がかかりますが、微塵やゴミが格段に綺麗に取れるので後のストレスが軽減されます。またフルイにかけただけの土より樹の状態がよくなる感覚を覚えます。

用土は植物の生命活動の土台。一度植え付けたら数年植え替えないものも多いので、土の準備は惜しみなくやっておきたいところです。

3. 盆栽用土の種類

盆栽用土は市販のものを

市販の用土

自然の土には市販の用土には入っていない天然の栄養分が豊富にあり、これを盆栽用土で再現することには限界があります。

ですが、天然の土の中にも植物によくない害虫や雑菌がいますし、除草剤が散布されている可能性も否めません。

外から土を採取してくるのは条例違反になる可能性もありますので、土は清潔で粒径も揃った市販の用土を購入して使ってください。

用土は園芸店や盆栽園、ホームセンター、インターネットなどで簡単に入手でき、種類やサイズも豊富に揃っています。

リンクを紹介しているものは私も実際愛用しているもので、その他のものは近所のホームセンターや園芸展などで適当に揃えています。

赤玉土(あかだまつち)

赤玉土

盆栽の基本用土として広く使われていて、ほとんどの植物に使えます。

盆栽用土として愛用されているのは「2本線」「3本線」と言われている硬質赤玉土ですが、選ぶ基準は粒がそろっていて潰れにくいものがお勧めです。

「硬質赤玉土」は自然乾燥や焼成などで土を硬くしてあり、粒と粒の隙間に空気が入るので根が酸欠になりにくく良好な土壌環境を作ることができます。

大・中・小・極小・細粒といろんな粒径が揃っていますが、メーカーによって粒径の規格が違うので確認してから選んでください。
小品盆栽サイズなら小粒(3~6mm)をふるい分けたり、極小粒(粒径2~3mm)、細粒(粒径1~2mm)あたりを試してみるといいと思います。

粒径は小さすぎると過湿や過水の原因になり、特に蒸れやすい夏場に悪い影響が出やすいので、気持ち少し大きめのものを使ったほうが根の生育には良いです。

また粒の中に水分を蓄える性質があり保水力にも優れています。根の成長がよすぎるので徒長しやすいとこが注意点。

桐生砂(きりゅうすな)

桐生砂

火山性の弱酸性の土で粒が固く丈夫です。

多くの植物は弱酸性の用土を好むので、通常は赤玉土を主体に桐生砂を2割程混ぜたものを使います。

「砂」とありますが、一般の砂のようにさらさらしたものではなく、盆栽用土としては直径4~6mmくらいに揃った小粒や中粒、大粒などが揃っています。

多孔質で角ばっているので根の分岐が促される効果があり、排水性も高く、単用では鉢底に使われたり、あらゆる盆栽用土に混合されます。

鹿沼土(かぬまつち)

鹿沼土

赤城山が噴火した際の火山灰が風化した土で、栃木県鹿沼地方の関東ローム層で採取されています。

酸性の土を好む皐月に使う用土として覚えておきたい土です。

保水力が高く多湿になりやすいのでやや荒めの粒がよく、生育を助けるため若木では割合を多くします。

黄色っぽく軽い多孔質の軽石で、pH4~5の酸性土。日本の土はやや酸性に傾いているため、山野草の栽培や挿木用土としても使われます。

柔らかくて崩れやすいので、一度ふるいにかけたものを水で洗って半乾き(一番固くなる)の状態で使うのがお勧め。

川砂(かわすな)

川砂

こちらも「砂」とありますが花崗岩を細かく砕いたもので、粒径によって砂~砂利のような状態で揃っています。

排水・通気性に優れていて、松柏類などは赤玉土と混ぜて排水効果をよくします。

いろいろな粒径のものがありますが、細粒など粒径の小さいものはサボテンや多肉植物などにも向いていて、種まきや挿し木用の挿床としても使用されています。

小さい盆栽の用土として使う場合は中粒(直径2~4mm)くらいからが使いやすいと思います。

質のいい有名な産地としては、矢作川砂や鹿島砂、朝明砂、天神川砂、白川砂などがあります。

とても硬くて割れにくいので、水で洗ってよく乾かしておけば再利用できます。

燻炭(くんたん)、竹炭

木片や籾殻(もみがら)を燻し焼きにして炭化させたもので、一般に売られている「くん炭」は籾殻くん炭のことを指していることが多いです。

土壌中の有害物質を吸着し殺菌効果も望めます。

アルカリ性なので酸性土壌の中和に役立ち、基本用土に少量配合することで根腐れ防止や耐病性を高めると言われています。

くん炭は細かく軽いので、風で飛散したり灌水の度に流れやすくなっています。植替え時には用土に混ぜるのではなく中層に撒くようにすると煩わしくありません。

竹炭やヤシガラ活性炭を細かく砕いたものは粒がしっかりしていて、ゴロ土代りにもよく、用土にまぜて使いやすいのでお勧めです。

富士砂(ふじすな)

富士砂

火山灰土を園芸用に加工したもので硬く鉄分を多く含んでいます。

山草類に使用したり化粧砂にもなります。

硬くて重く、他の土と混合すると固く締め付けてしまうことがあるので、使うなら小さめの粒径を単使用したほうがいいでしょう。

多孔質で通気性もよく、排水性を高めるために基本用土に少し混ぜて使用することもあります。

黒土(くろつち)

黒土

粒子が細かくしっとりしています。

昭和初期頃に黒ポカ土と呼ばれていたものも似たものです。

枝先の細やかさを要求されるような雑木類や、小品盆栽によいとされています。

ケト土

ケト土

粘土質で湿り気があり、石付き盆栽の仕立てに使われます。
根を這わせて、コケで覆ったりするときの下地に使います。

取り木後や植えかえ直後の水分保持・保護にも効果的です。山草類では鹿沼土と混ぜて使用されることがあります。

腐葉土(ふようど)

腐葉土

雑木類などに混ぜて使われるもので、葉が腐敗発酵してできた土です。

葉や枝の残骸が残っていない、質感的には黒土に近いものがよいでしょう。

自然から採ったものなら、病菌やミミズの卵などが混じってることがあるのでよく日光消毒してから使いましょう。

チッソ、リン酸、カリウム等の栄養分が入っているため、肥料分ともとらえてよいのですが、ほかの微量養分は不足しがちなので腐葉土を使っているからといって施肥が不要になるわけではありません。

4. 盆栽用土の配合

本来は樹種によって適した用土の配合がそれぞれにあるはずですが、全てその通りの用土を用意することはありません。

用土の配合がバラバラだと、水やりの必要度にムラが生じて管理が難しくなってしまいます。

水や養分を安定して供給できる盆栽の場合は、鉢が小さい分、排水性や通気性を重視した方が好ましいと考えてください。

樹のサイズや仕立て段階も踏まえ、赤玉土を主体にそれぞれの樹種の最低限度の条件を満たせれば充分くらいに思っておきましょう。

よく使う用土は赤玉土に桐生土、川砂、鹿沼土を少々ですが、盆栽園では松柏用、雑木用と独自にブレンドした用土を販売していることがあるので、何種類も買いそろえるのが難しい人は利用してもいいと思います。

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松柏類に使う用土と配合

特に水はけの良さを必要とする松柏類では、やや荒めの硬質赤玉土や川砂(中粒~)、桐生土などがメインで、硬く多孔質の天城土や富士砂、日向土(ボラ土)なども補助的に配合して使うといいでしょう。

川砂だけで培養する生産者もいますが、培養環境もそれぞれで、乾き具合を把握しにくいので硬質赤玉土をメインとした方が管理上都合がいいです。

硬質赤玉土50%、桐生土30%、川砂20%くらいを基準にしてください。

真柏や杜松などアルカリ性土を好むものは、弱酸性の桐生砂や日向土の使用は控えめに、竹炭を鉢底に入れて酸性化を予防します。

葉物類に使う用土と配合

枝葉を広げ多くの水を必要とする葉物や雑木類は、水はけよく且つ保水性のある配合の用土を求めます。

赤玉土70%として、桐生土や日向土、富士砂を30%程配合したものが適します。

粒径は細かくすると枝の節間が短くなるといわれますが、明確な成果はなく、反って蒸れの原因になる可能性もありますから、特別に細かいものを使う必要はありません。

黒土や腐葉土が配合されることもありますが、粒径が揃わないため水はけを悪くし、根詰まりを起こすことがあるので盆栽用土としては向いていないように感じます(根洗いや苔玉、石付き等を除く)。

花物・実物類に使う用土と配合

多くの水と肥料を好む花物実物類も、排水性と保水性を備えた赤玉土メインの用土が適します。

赤玉土70%として、桐生土や日向土を30%程配合したものを基準にしてください。

酸性土を好む皐月や躑躅(ツツジ)、石楠花(シャクナゲ)などは鹿沼土主体の配合が好ましく、若木は鹿沼単独で培養されます。

草物類に使う用土と配合

丈夫な草物は排水性と保水性が保たれていればなんでもよく、赤玉単独でも充分です。

赤玉土60%に、桐生土や日向土20%、鹿沼土20%くらいを目安にしてください。

小鉢で培養する場合はその分粒径も細かく。細かい川砂や多孔質の天城砂などがあれば使えます。