青葛藤(アオツヅラフジ)の魅力
投稿日:2013/04/18 更新日:2020/06/21
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青葛藤(アオツヅラフジ)はツヅラフジ科アオツヅラフジ属の蔓性落葉本木。雌雄異株。
青い実を付けることからその名前がついたと言われていますが、昔の草木学者の記述ミスから一般に広がった名前のようで、本当は「カミエビ」という名前があります。
カミエビのカミは「神」、エビはブドウ科の「エビヅル(エビカズラ)」から来ています。
エビヅルは薬効あらたかな植物であったことから「神のエビヅル」と言われていましたが、このエビヅルの実がアオツヅラフジの実と似ていることから「神のエビヅル」が転じて「カミエビ」と呼ばれるようになりました。別名に「ピンピンカズラ」「チンチンカズラ」などがありますが、現在は「アオツヅラフジ」の呼び名が定着しています。
藪の中や道端に普通にみられる植物で、丸いブドウの様な果実はヒヨドリやツグミなどが啄(ついば)み種を運びます。漢方薬としての利用もありますが有毒なので食用にはなりません。
青葛藤の特徴
青葛藤の花(6月中旬~7月)
青葛藤の雌花(左)と雄花(右)
葡萄の様な特徴的な実に対して、青葛藤の花はとても小さく、開花してもほとんどの人は気がつきません。
開花期は6月中旬頃から7月頃で、葉柄の基部に2mm程の花を沢山つけます。
雌雄異株で花の色はともに淡黄色。3つ付いている花弁のようなものは萼で、萼より小さい花弁が6枚重なります。
雌しべの下には白緑色の子房が数個付いていて、受粉するとその1つ1つが次第に肥大し、実になります。
雄花は各葉元にまとまって咲き、三角形に配置された雄しべが6本見えます。雄花の開花期は長く、ポツポツと9月頃まで咲いていることもあります。
青葛藤の実(9月~11月)
青葛藤の実
受粉すると子房が徐々に膨らみ、秋になるとこの実が次第に濃い青紫色に色付きます。
房状に連なる実はまるでブドウのようですが、実や根茎に含まれるアルカロイドの一種シノメニンは漢方薬の有効成分とされる一方で、中枢神経麻痺などの副作用を持つ有毒植物です。
自然界ではヒヨドリやツグミなどが啄(ついば)み種を運びます。
11月頃まで観賞できますが、あまり遅くまで付けたままにしていると翌年の樹勢が落ちてしまうので早めに摘果し、翌年は実をつけずに休ませるなどした方がよいです。
青葛藤の繁殖法
青葛藤の種
青葛藤の種木は実生のほか株分けや根伏せ、挿木などで増やすことができます。
種の中心はへこんでいて、アンモナイトの化石のような特徴的な形をしています。
実を潰して種を取り出し、果肉を洗って取り蒔きするか、翌春に播けばほぼ発芽します。
実生5~6年で花芽を持ち始めますが、ほとんどが雄花です。樹齢を重ねるうちに雌花が咲くこともあるので、長く育ててください。
青葛藤の主な樹形
伸びる蔓や、実の位置とのバランスを考えて懸崖や半懸崖にして飾ることが多いです。
根の部分や伸びる蔓が古くなると次第に太って幹になるので、実生苗などは伸びる蔓はそのまま伸ばして作ります。
青葛藤は毎年実の位置が違いますし、小枝は冬の間に枯れてしまうことがほとんどなので毎年姿が変わるものと思ってください。
実を鑑賞したら伸びる蔓を1~2節残して剪定をし、枝数を増やしながら古い枝を大事にしてください。
針金かけは普通行わず蔓の自然な感じを出すのがいいですが、枝の方向修正など補助的な針金整枝は必要に応じて行ってください。
青葛藤の日頃の管理
置き場所
日当たりと風通しのいい場所に置きます。
夏の強い日差しは避けて下さい。
用土
基本的に赤玉土を単用します。
灌水
水切れさせないように注意してください。
春は1日1~2回、夏場は1日2~3回、冬は2~3日に1回を目安としてください。
花に直接水がかからないようにしてください。
肥料
4月~6月と、9月~11月の間に月1回、油かすなどの固形肥料を与えます。
開花~受粉後は中止し、実が肥大しはじめたら再開します。
病気・害虫
ヤガ類の幼虫やハダニ、アブラムシなどが葉裏につきやすく、葉が汚れてしまうので定期的に殺虫剤を散布してください。
葉水も害虫予防になります。
コメント
- meika さん 2018年03月10日08時26分
- 初めまして、私の体験では1本の「アオツヅラフジ」で花が咲き、結実しました。
盆栽として育成して2,3年になりますが、その種『アンモナイト化石』に、似ているのが感動でした。
勿論、この種『アンモナイト化石』を蒔くと、昨年は全て発芽して成長しています。
それから、どの報告の記述にも、雌雄異株なので実を鑑賞するためには雄木が必要と書かれているのに疑問を感じています。雌雄同株なのかもしれませんが。20180310 - きみ さん 2018年03月10日17時46分
- meikaさん
そうですか!1本で実がなりましたか。
そういえばロウヤ柿も雌雄異株ですが勝手に実がなる性のものもありますよね。
雄が雌化する話も聞いたことがあります。実生するとほとんど雄花ばかりだけど、月日が経つと雌花も付けるようになるのだとか。となれば1株で雄花と雌花が咲くこともあるかもしれないです。
自生株では勝手に実も付いてますし、断定的に言うのもおかしいかもしれないですが、盆栽では知りませんでした。
貴重なコメントと写真、ありがとうございます。(こういうコメントを待っていました!)