盆栽用語(あ行)

新木(あらき)

山取りの様子:
artisan bonsai for France

まだ一度も剪定や芽摘み、針金かけなどの手入れがされていない状態の木。
畑や山から採取して一時的に仮植えしたもので、原木とも呼びます。
自然の中で生育してきた分、古さがあり幹に自然な曲のついたよい素材ですが、樹形が乱れているのでそのままでは盆栽に出来ません。
新木は長い年月をかけて培養し、少しずつ樹形を整える必要があります。
また、新木でも山取りのものは最近では数が少なく、自然保護や道徳的な観念からも入手が難しくなっています。
青葉性(あおばしょう)
チリメンカズラの葉性

チリメンカズラの葉

チリメンカズラのように、濃い緑葉で秋によく紅葉する性質のもの。
一才性(いっさいしょう)
一才アケビ

挿木1年生の一才アケビ

花付き、実付きの特に早い性状をもつもののこと。
実生、挿木、継ぎ木から1~2年以内に観賞できるように品種改良されたもの。
早いうちに観賞を楽しめることから、実物類や花物類において人気があります。
一才性の代表的な樹種には、サクラやサルスベリ、フジ、アケビ、カイドウ、ザクロ、ブドウなど沢山の樹種があり、一才○○などと呼ばれています。
一の枝(いちのえだ)
樹の根元から数えて最初にある、立ち上がりに一番近い枝のこと。続いて二の枝(受け枝)、三の枝と数えることができます。
一の枝の位置や幹に対する太さで樹形全体の善し悪しが左右されます。
樹を左右に分けて「左一の枝」「右一の枝」と呼ぶこともあります。
一の枝はとても重要で、樹形に最も影響を及ぼす枝とも言えます。全体のバランスを保つため、差し枝として基本的に他の枝よりも太くて長く作られています。
通常植物は頂芽優性の性質を持っているので、上部にばかり力がいってしまい下枝から枯れることがあります。
そうならないように、下枝に出来るだけ葉数を残すように芽摘みや剪定をして、下枝に力を付けさせるような手入れが大切です。
石付き(いしつき)
岩山や島などに生育している景色を表そうとした樹形で、普通は土に収まっている根が、岩の上に露出している状態のもの。
岩の間に根を這わせながら垂れ下がり、根が鉢土に達しているものを石付き、根が鉢土に達していないものを石上樹と呼びます。
これらの樹形では植物の姿だけはなく、石やその上を這っている根に観賞点がありますので、石の選択や、植物の生育を維持するために根の生育や水分を吸い上げられる通路の確保も重要です。
忌み枝(いみえだ)
樹形を乱す不要な枝のこと。
枝同士が交差した交差枝、枝から垂直に立ち上がる立ち枝下がり枝、流れと逆方向に伸びた逆さ枝の他、1カ所から何本も枝の出た車枝、左右同じ高さに一直線に伸びた閂(かんぬき)枝、幹の正面から突き出た突き枝、近い位置から平行に出た平行枝、U字に伸びたカエル枝など、見た目が悪く、そのままにしていると付け根が太くなってよくない枝のことを総称していいます。
これらの忌み枝を処理することによって、全体の姿をスッキリみせるのと、全体の風通しと日当たりをよくする効果があります。
また、本来忌み枝であっても、芯の立て替えや役枝の更新などでは剪定せずに枝作りに利用する場合もあります。
植え替え(うえかえ)
鉢に植え込んであった株を鉢から抜いて、根を整理したあと新しい用土で再び植え付けること。
植え替えをすることで、用土中に詰まった死んだ根・古い根や不要な根を整理し、新しい根が伸びる余地を与えます。
大きな盆栽や大きな鉢に植えた物は、通常2~3年に1回の植え替えをしますが、小品盆栽では鉢土も極端に少ないため、基本的には1年に1回の植え替えをします。
植え替えの時期は、新芽の動き出す直前の2月下旬~3月頃が根の負担が少なくていいと言われています。
受け(うけ)
寄せ植えなどで、流れの強い樹を受け止め、樹全体を引き締める役割を果たしている樹。
1本の樹で利き枝(役枝)の反対側にあってバランスを取る枝は受け枝ともいいます。
また、展示の際は、主木やそのほかの木の流れを受け止める場所に配置する草物や添配も受けと呼ばれることがあります。
枝棚(えだたな)
枝棚

五葉松の枝棚

ひとつの枝から出た小枝をそのままひとかたまりにせず、いくつかのブロックに分けて段にした部分。
枝棚を作ることを棚割りといいます。
枝棚を作ることによって、盆栽に立体感や奥行きを表現することができる他、各枝とフトコロ部分の風通しや日当たりもよくなり、良好な木の生育や病害虫の付きにくい環境を作ることができます。
枝接ぎ(えだつぎ)
枝が欲しい位置に違う株の枝を付けたり、同じ樹の枝を回して利用(呼び接ぎ・回し接ぎ)して、最終的には穂木から切断し、新たに枝を作る接木技術の応用。
本来、接ぎ木は繁殖法として行われてきましたが、枝を接いで樹形を整えたり改作する際にも行われ、同じ要領で根を接ぐことも可能です。
方法は、良く切れるナイフで接ぎたい部分を綺麗に切断・剥離し、お互いの形成層を密着させて活着させます。
出来るだけ高温多湿の状態を維持しておくことで活着率を高めることができます。
枝接ぎは台木と穂木の親和性や生育力のバランスを考えて行います。
幹肌の良い台木を使って、葉性のいい八房種の枝を接ぐなどがあり、普通の五葉松の幹に、瑞祥(ずいしょう)の枝を接ぐなどされます。
枝を落とす(えだをおとす)
枝を切り落とすこと。
太枝を剪定すること。
追い込み剪定(おいこみ剪定)
樹形を小さく仕立てるために、株を一回り小さくする剪定。
追い込み剪定は、成長期の5~6月頃(花物や実物は花芽分化前)が適期で、枝を節目の部分まで短くし、葉を減らすことで日当たりや風通しなどの生育環境をよくする効果もあります。
落葉後~厳寒期を除く休眠期に全体の姿が見える頃にも行うことができます。

置き肥(おきひ)
置き肥

プチドームで固定した置き肥

鉢土の上に置く固形肥料で玉肥ともいう。
灌水や降雨の際に少しずつ溶け出し、ゆっくりと肥料成分が用土中に浸透するので比較的長い期間効き目があります。
効き目の早さを求める場合は、半分程を埋め込みます。
油かすや緩効性の化学固形肥料などを針金や肥料容器ドームで固定し、接触や雨風による落下防止をします。
お礼肥(おれいごえ)
主に花物類や実物類において、花が終わったり果実を摘果した後の木に肥料を与えること。
開花や果実収穫後の『お礼』の意味を込めてそう呼ばれています。
開花や結実で消耗した樹勢を回復させるために行います。
肥料は速効性の化学肥料や水肥(油かすを水に溶かし発酵させた速効性肥料)、液体肥料を薄めたものを使います。


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