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クロマツの剪定

盆栽樹種の代表的な松柏類の中でもクロマツは代表的な樹種で、その剪定方法は他の松柏類の基本となります。

ただし樹形作りは剪定だけでできるものではなく、芽摘みや葉抜き、針金整枝などと合せて樹勢を調整しながら徐々に作り上げていくものと考えていてください。

剪定は樹形を整えたり、各枝の力の調節や風通し、日当たりの改善などいくつもの効果が期待できます。

クロマツの種木

まずはいい種木選び!

クロマツの種木は実生、挿木や接木、取木、山取りなどでも作られていますが、ほとんどは実生から仕立てることが多いようです。

実生でも1年目から苔玉や小品盆栽仕立てにして楽しむこともできますが、年数をかけて充分樹勢をつけさせ、太幹の盆栽仕立てにするとよいです。

クロマツの樹形を作ろうとする時にまず大切なことは、良い素材を入手することです。

放任状態の素材を入手してどんなに手をいれても、よほどの腕がなければ徒労に終わってしまいます。

元気があり枝が沢山ついていて、根張り、葉性、立ち上がりもよく、多少なりとも芽摘みなどの樹勢の管理がなされているような素材を見つけてください。

素材は盆栽園などで入手できますが、荒目の用土が入った大きめの素焼き鉢やザルにクロマツが枝を伸ばした状態で売っています。
強い枝を一本走らせることで幹が太くなり、樹勢がついて元から芽が吹いてきます(写真)。

一番力のある枝を付けたままにしていることで樹勢を付けながら、他の芽に力が行くのを抑えて節の短い枝を作ることができます。

弱い芽が育ってきたら走らせた枝を抜き、不定芽で枝作りをしながら、必要ならば最終的には取木して仕上げていきます。

素材は全て同じではなく、それぞれに個性があり作り方も違います。

立ち上がりの曲りや葉性、枝の付き方などをよく見抜いて、早いうちに将来の樹形構想を立てておくことが近道です。

樹形を決めて、不要枝を整理する

ある程度芽摘みができていて枝数もある種木を入手したら、その種木の特徴をよく観察して目指す樹形を決めます。

決まったら、生育期を避けて不要枝や忌枝の整理をしますが、一度に全ての不要枝を剪定するのではなく予備枝として残しておく枝も必要です。

予備枝は将来の樹形作りの時に差し枝として使えたり、樹形を変更したいときに重要な枝になるかもしれません。

枝の整理をすると全体の姿がはっきり分るようになります。

枝の向きや流れが分かるように軽く針金で枝振りを整えてください。秋以降ならきつい曲げにも耐えることができます。

また最初のうちはまだ各枝が充実していないものがほとんどなので、ミドリ摘みや芽切りなどで枝を増やしながら、時間をかけて姿を整えていくことになります。

樹形作りは剪定だけで出来るものではありません。

芽摘みや針金かけなどと深く関連していますので、樹勢に応じた管理が重要です。

クロマツ剪定・整枝の季節の作業

クロマツの樹形作りは樹勢に応じて方法が違いますが、春から夏の生育期間中に行う作業と、秋から冬の休眠期間中の作業の2つに分けることができます。

生育期間中(4月~9月)の作業

作 業 時 期
①ミドリ摘み(芽摘み) 4月上旬~5月中旬
②芽切り 6月下旬~7月中旬
③中芽切り 8月下旬~9月上旬

生育期間中に行う作業は、樹を太らせながら全体の力を均等に保ち、枝作りをするために行うものです。

この期間は強い剪定はしないで、芽摘みなどで2番芽や胴吹き芽を呼び、節や葉を短くする効果があります(短葉法)。

クロマツを始め松柏類の生育期間中は、樹液の運搬が盛んで強い剪定には向きません。

①ミドリ摘み(4月上旬~5月中旬)

節目を短くしたり、各枝の力を調節するためには芽摘み(ミドリ摘み)が効果的です。

マツなどの松柏類では、新芽が伸びてまだ葉が開いていないトゲの様な状態のことをミドリといい、マツ類の芽摘みをミドリ摘みといいます。

クロマツのミドリ摘み

ミドリ摘みの方法

(詳しくは管理の基本芽摘みの基本

②芽切り(6月中旬~7月中旬)

クロマツの芽切り

クロマツの芽切り

樹勢が弱っていて芽の伸びが強くないものは、無理に芽摘みを行う必要はありません。

春の芽摘み(ミドリ摘み)をしなかったものは、新芽の伸びが落ち着いた6月中旬頃になって今年伸びた芽を元から切る芽切りを行うことがあります。

芽切りは一度に行うのではなく、先に弱い芽だけを切ることで二番芽を早く呼ぶことができます。

強い芽は1週間ほど遅らせて切ることで、秋には全体の芽の強弱を均等にすることができます。

③中芽切り(8月下旬~9月上旬)

中芽切り

手に入れた苗木の幹や枝が間延びしている時には、8月~9月頃に今年伸びた枝の中芽切りをして、秋~翌春に新しい芽を出させる方法があります。

1節から芽が3本以上伸びている場合、2芽残して真ん中の強い枝を元から剪定し、残した2芽も伸びの強いものは芽の途中で切るなど、全体の樹勢の平均化を意識してください。

普通真ん中の芽が一番強いので、真ん中の芽を切りますが、枝を太らせたい場合はわざと強い芽の残すこともあります。

芽摘み(ミドリ摘み)や芽切りを行わなかった樹や、ニシキマツなどの特定の樹種は、秋口の芽切りが適しています。

特にニシキマツにミドリ摘みを頻繁にしていると、魅力である幹肌の割れが遅れてしまうので長く伸びた芽だけを他の芽の長さに揃えて摘む程度にしておくべきです。

中芽切りに限らず、どの芽を切れば次の枝がどのように伸びてくるかを考えながら剪定するのが大切です。

休眠期間中(10月~4月)の作業

作 業 時 期
④不要枝の剪定 10月中旬~11月下旬
⑤強剪定、針金かけ 2月下旬~3月中旬
⑥根の剪定(植え替え) 3月上旬~4月上旬

休眠期間中の剪定は主に樹形を整えるために行うものです。

10月頃から芽出し前までは樹液も少ないので太枝の剪定に適しています。

また、秋以降は樹皮と木質部が密着しているので組織が剥がれる危険も少なく、強めの針金かけも可能です。

ただし厳冬期に強い剪定や針金かけをすると損傷が大きく、枝が枯れたりするので特別な保護をしていない限りは控えてください。

作業ができない時期は、来年からの樹形構想をじっくり研究し、剪定すべき枝を決めておくいい機会です。

④不要枝の剪定(10月中旬~11月下旬)

不要枝の剪定と葉抜き

10月頃には新梢の伸びも落ち着き、生育は休止状態に入っていきます。

このときに出来ることは、間引き剪定や不要枝の処理をします。軽い針金かけも可能です。

また、芽摘みだけでは次第に葉の量が増え、日当たりや風通しが悪くなってしまいます。

特に力の強い枝には葉も多くつきますので、葉抜き(葉すかし)や古葉刈りをして各枝の葉の量を調節し、翌春の芽が均等に出揃うようにします。

枝が欲しい部分に葉を残しておくと、1対(2枚葉)の間に胴吹き芽を持つようになります。

⑤強い剪定、針金かけ(2月下旬~3月中旬)

2月下旬~3月中旬頃は厳しい寒さも終わり、新芽が動き出す直前です。

この時期に太枝の剪定や強い針金かけなどの剪定整枝を行います。

強い剪定や整枝を厳寒期に行うと痛みが大きく枯れ込むことがありますが、生育活動が始まる時期に行えば、多少の損傷でも耐える事ができて傷口の治りも早いです。

⑥根の剪定(3月上旬~4月上旬)

根の剪定はすなわち植え替えのことで、⑤と同時期かその後に行います。

根を強く切り詰めるのも樹にとってダメージの大きい作業ですが、新芽が伸び始める早春に行えば損傷も少なく回復が早いです。

クロマツの剪定の実際

樹形作りのための剪定

樹形を作るための剪定といっても、苗木によって剪定の仕方はそれぞれにあります。

最初から芽摘みがなされているものは枝数も多く、樹勢の調節もなされているのでいい素材と言えます。

さらに、幹模様ができているものは模様木や懸崖、まっすぐなものは直幹作りや斜幹作りなどに仕立てることができます。

樹形がきまったら、まずは不要枝の剪定と役枝決めをします。

一の枝、二の枝や芯となる部分、差し枝などを残します。また、各枝も先は二叉になるようにできるだけ弱い芽を2つ残して不要な枝を剪定し、全体がすっきり見えるようにします。

樹形作りのための剪定は強い剪定になりますので、肥培管理を充分に行い、秋以降の休眠期に行ったほうがいいです。

胴吹き芽を呼ぶための剪定(8月~9月頃)

放任状態で枝順の悪い苗木の場合は、改作するつもりで胴吹き芽を呼ぶための剪定をします。

これは樹勢が強い若木に対してよく行われる方法で、強い枝を途中で切り戻し、残した弱い芽と胴吹き芽で新しく樹形を作って行きます。

不要だからと最初から全て切ると、大事な腋芽まで枯れ込むことがありますので、少し残して切り、胴吹き芽が充分に育ってから残りを切るといいです。

切り戻した枝の残った部分は、皮を剥いで自然に枯れるのを待ちます。こうすることで傷跡も小さくなり、後の回復も早いです。

同様に、不要な枝を針金で強く曲げ、枝の勢いを抑えながら胴吹き芽を大事にすることもあります。

コメント

上田英博 さん 2017年02月23日10時54分
昨年夏、ホームセンターで黒松の盆栽樹高20センチ(5000円程度)を買ったのですが、その後一切手入れしていません。現在葉が伸び放題で、葉色も全体的に薄く、先端部が少し黄色くなっています。この状態で置いておいてよいのでしょうか。対策方法をご教授ください。
   ※例えば肥料、芽切りなど。
きみ さん 2017年02月23日23時44分
上田さん
葉色が悪いのはたぶん肥料不足です。
今からでもいいので肥料を上げてください。
伸びた葉は新芽が動き出す前に葉切りや葉刈りをしますが、弱っていたら逆効果なので今年の春からしっかり肥培して手入れできる状態にしておくといいと思います。
長すぎる葉をカットするくらいはしていいと思います。
神谷 さん 2017年12月16日18時55分
黒松を育てているのですが、針金掛けをしている時に枝葉を落としてしまいました。
元木から枝をはやしたいのですが、どうしたら増やせるのでしょうか。
きみ さん 2017年12月16日20時58分
神谷 さん
松は雑木みたいに簡単に胴吹きしません。古い樹はなおさらです
無くした枝の位置に元通りに枝を作るのは難しいと思います。
樹に勢いをつけると枝の元にプチっと来ることはあるので、気長にやってください
うまくできれば枝継ぎも可能ではありますが、樹形を考え直して改作してみるのも良いかもしれませんね

東京都世田谷区在住の盆栽趣味者。
自宅ルーフバルコニーで小さい盆栽や草を弄っています。
初代愛猫『アロ』は天国へ行ってしまいましたが、現在は2代目ネコ2匹を迎えて盆栽ライフを楽しんでいます。

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