剪定

投稿日:2013/02/21

剪定

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剪定とは植物の生命を絶つことなく幹や枝、根などを切ることをいいます。

植物には頂芽優性の働きの他、日照権や風通しなどの条件によって各枝に強弱が生まれ、上部の強い枝はさらに強く伸び、日の当たらないフトコロの弱い枝は枯れていきます。

そこで剪定で強く伸びる枝の力を抑えて、その力を弱い枝に回し、全体の力のバランスを均一にしてやる必要があります。

盆栽の世界での剪定は不要枝を切るだけでなく、植物の生育を調整し、樹の寿命を長く保つための技術で、剪定によって樹形を整え、古木の風格を出し、より観賞価値を高めることも可能です。

1. 剪定の原理

植物は葉で栄養分を作り出していますが、剪定すれば葉の量が少なくなりますので、植物は生きるために次の芽を吹かせて葉の量を確保しようとします。

1本の枝に付いている芽の数は、葉の枚数分ついています。

しかしこれらの芽全てが枝になるわけではなく、日当たりや養分などが恵まれている上部や、枝の先端に近い部分の芽から勢いよく伸びて枝となります。

これを頂芽優性といいます。

頂芽優性と不定芽

①自然の中では枝の先の3~4芽だけが伸びて枝となり、養分が少ない元の芽は眠ったままです。

②そこでこの先端の枝や強い枝を剪定することによって、残された弱い芽の一番上が頂芽となり枝になります。

③芽のないところまで剪定した場合は、かつて葉があった部分の芽が休眠から覚めて活動し始め、元から芽が吹いてきます。

このようにどの位置で剪定するかによって欲しい位置の脇芽の活動を促し、枝配りを良くしたり枝数を増やすことが出来ます。

剪定と花芽分化の関係

植物は自身の老化や周りの生育環境が悪くなると子孫を残すためにできるだけ多くの花を咲かせ、果実(種)を実らせようと努力します。

この植物生理を利用して、花芽形成期には灌水や施肥を控え、生育を抑えることで多くの花芽を付けさせることができると言われています。

花は元々葉が変化したもので、生育環境の変化によって花芽になったり葉芽になります。花芽分化期に剪定をすると、せっかくついた花芽が葉の数を確保するために葉芽に変わることも。

花物類や実物類の春の剪定ついては、このことを知っておかないといつまでも花や実を付けさせることができませんから注意が必要です。

2. 芽摘みと剪定

芽摘みも広義では剪定の技法の1つですが、根本的な目的が少し異なります。

芽摘みというのは伸びる新梢の芯を必要な長さを残して摘み取る作業で、野菜づくりにおけるピンチ(摘芯)がそれに当たります。

摘芯をすると腋芽が伸びて野菜の成る枝が増え、生産効率が上がりますが、芽摘みも小枝を増やすという目的は同じです。

芽摘みは小枝を充実させたい時や伸びを抑制したい時には早い段階で短めに摘み、樹勢を付けたい時や枝として太らせたい場合は伸ばし気味にしてから摘むか、そのままにして、時期を見て切り戻す(切り戻し剪定)ことになります。

どちらも枝を切るという意味では同じ作業ですが、芽摘みは「抑制」の意味合いが強く、樹高を抑えて全体をコンパクトにするために欠かせない作業です。対して剪定は整姿の意味合いが強く、芽摘みで増えた枝を整理して盆栽としての形を整えるために行います。

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コメント

吉  克治 さん 2016年09月15日09時55分
頂部のはをややおおめにせんていすること。
きみ さん 2016年09月17日12時48分
吉  克治 さん
コメントありがとうございます。
上はやや強めに剪定すること、大事ですね
あんまりやるとハゲちゃいますね
ボン さん 2016年09月27日00時14分
最近 盆栽 を 始めた 二十歳 です。
とても 勉強に なりました!
ありがとう ございます!
きみ さん 2016年09月27日08時36分
ボンさん

20歳とはお若い!わたしもそのくらいに始められたら今頃もっとうまくなっていたはずなんですけど。。。
ボン さん 2016年09月27日20時23分
愛読させていただきますネ!(^o^)
084 さん 2017年05月14日16時21分
はじめまして(^^)
昨年から、雑木盆栽を始めましたが、剪定の仕方が解らず、本などを参照しましたが、自信がなくさじを投げそうになってました(^^;
で、こちらのサイトを見つけ、何と無く解り始め、自分なりに、剪定や針金巻きしてみて、自己満足に浸ってます(˃̵ᴗ˂̵)
最近、さつきの苗も買っちゃいました(^^;

盆栽びより さんのお陰で、楽しく盆栽が趣味にできました!
ありがとうございます‼️m(_ _)m
これからも、勉強させていただきます(^.^)
ねこちゃ さん 2017年05月14日19時01分
こんにちは。いつも愛読しています。
ご相談なのですが、枝数を増やそうと4,5芽残して剪定するのですが、いつも先端の一芽しか伸びず枝数がちっとも増えません。
なにが問題なのでしょうか。アドバイスをいただけたらと思います。
きみ さん 2017年05月16日10時38分
084さん
ありがたいコメントありがとうございます。
あくまで参考にしていただければありがたいです。
自分でいろいろやってみて、上手になってください!わたしももっと頑張ります。
きみ さん 2017年05月16日10時45分
ねこちゃ さん
説明が下手で申し訳ないですが、好きな木のサイズや樹種、将来どのくらいの長さや太さで枝を作りたいのかで残す芽数は違います。
ねこちゃさんのお話だと、もう少し短めに切ったほうが良さそうですね。
わたしの木も小さめなので、樹種や枝の強弱により、1~3芽で剪定しています。
次の芽が外側に伸びるように外芽を残して切るのも大事です。
しゅうじ さん 2024年01月21日22時11分
きみさんへ


(剪定ではないのですが、枝のことなので、ここに投稿しました。)

今日、誤って木の上に物を落としてしまって、土佐みずきの枝が裂けてしまいました。

裂けかたは、指で少し押すと枝の1/3位ぱっくり開いて傷口が分かりますが、何もしなければどこが裂けたのか分からない程度です。

とりあえず、殺菌効果があるトップジンMペーストを買ってきて傷口に塗布しました。

ここで質問なのですが、
①トップジンMにしようかカルスメイトにしようか迷ったのですが、殺菌効果があるということでトップジンMを塗布しました。今回のような場合、どっちがいいとかありますか。

②トップジンMを塗布した上に、カルスメイトを塗布しようかとも考えましたが、やっても問題ないものでしょうか。

③枝が何とかくっ付いているのであれば、このまま何もしないで自然治癒力に任せるというのはありですか。

木を傷つけないように気を付けていますが、狭いベランダに置いているので、またこんなことがあるかもしれません。よろしくお願いします。
きみ さん 2024年01月23日17時06分
しゅうじ さんへ

お返事が遅くなりすみませんでした。

>①トップジンMにしようかカルスメイトにしようか迷ったのですが、殺菌効果があるということでトップジンMを塗布しました。今回のような場合、どっちがいいとかありますか。


どちらでもいいと思いますよ^^木工用ボンドでもいいくらいです。
バラ科のものなど病気が心配なものはトップジンがいいかなと思って使っています。

>②トップジンMを塗布した上に、カルスメイトを塗布しようかとも考えましたが、やっても問題ないものでしょうか。


やっても問題ないとは思いますが、より効果的かというとそうでもないかも...
癒合剤は1つあれば十分ですよ


>③枝が何とかくっ付いているのであれば、このまま何もしないで自然治癒力に任せるというのはありですか。


完全に裂けて取れてしまったのでなければ、裂けた面同士をしっかりくっつけて動かさないようにすれば癒合してくれるかもしれません。
どういう裂け方をしたかによりますね~

トサミズキは枝元からまた芽を持ちますから、作り直しも可能です。
枯れたら枯れたで、また作れば大丈夫です!