キミの盆栽びより管理の基本病害虫と対策 > 盆栽の病気

盆栽の病気

赤星病

盆栽に発生する病気はいろんな種類があって、発生源や被害もそれぞれに存在します。

全ての病気の発生を未然に防ぐことができれば一番いいのですが、もし病気になってしまったら早めに何の病気か診断し、適切な対処ができるようになりましょう。

盆栽に発生する代表的な病気の種類

樹全体を侵す病気

樹全体を侵すような病気はウィルス性のものがほとんどで、土壌中や宿主(害虫)の体内で繁殖したものが樹に感染します。

感染経路は様々ですが、一般に吸収口を持つ害虫によって傷付いた組織から侵入したウィルスが樹全体にまわります。

一度ウィルス病にかかった樹の治療は難しく、特効薬もないと思っていてください。

特に接木による感染は盆栽特有ですから、苗木や穂木を入手する時には注意しましょう。

ウィルス病(モザイク病)

ウィルス病

キクの葉に生じたウィルス病:
霧の雷爺のブログ

ウィルス病の病原となるものは実にたくさんあり、それぞれが決まった樹種でしか繁殖できません。

チョウジュバイやツバキ、ナンテンなどに発生し、症状としては葉にモザイク状の斑紋ができたり縮れたりします。

主な感染経路は、ウィルス宿主となる害虫の唾液などが樹液に接触することによって感染するのが一般的ですが、種子感染や土壌感染、接木による感染などもあります。

ちなみに盆栽の世界では、矮性のものを好む傾向があるので、ウィルス感染によって生じた斑入りもの、枝変わり、矮小性種を好んで培養することがあります。

斑入りツバキ、コケモモ、香丁木などや多くの八房種は、もとはウィルスによる変異体であると考えられます。

葉に斑点を作る病気

葉の表面に円形や角状、不定形の大小さまざまな病斑が現れます。

小さな黒点の生じるものや、カビが生じることもあり次第に拡大して著しく美観を損ねるものです。

アブラムシなどの害虫が菌を媒介している場合が多いですが、植物の種類によって媒介している病原菌が違います。

炭疽(たんそ)病

炭疽病

イチゴの葉に生じた炭疽病:
奈良県公式HP

炭疽病は糸状菌(カビ)の一種が原因の病気で、園芸種や作物、広葉樹盆樹に多く発生します。

葉の表と裏の両面に灰色や茶褐色で不規則または同心円状の斑点が広がり、枯れていきます。

葉だけでなく茎や果実にも発生し、症状の進んだものでは黒色の小点や隆起が出てきます。

炭疽病は長い雨の続く5月~7月から秋にかけて発生しますから、早めに殺菌剤を散布します。

もし病気になってしまったら、病気にかかった部分を早めに取り除き、土などに菌が残らないように焼却処分します。

葉枯れ病

葉枯れ病

葉枯れ病:
石の花-The Paphiopedilum World

炭疽病の一種である糸状菌(カビ)の一種が原因の病気で、葉の表面に発生します。

古い葉の先端から発生し、最初は褐色の小さな病斑が現れ次第に拡大し、隣接する病斑と融合して不定形な形に広がります。

病斑上には筋の通った流紋状の模様をつくり、古い病斑上には黒い粒状の物質が形成されます。

樹勢が弱くなっていたり、葉が傷ついた時に発生しやすく、病気の進行は比較的ゆっくりですが、そのままにしていると激しい葉枯れを起こしてしまいます。

斑点病

斑点病

プリムラの葉に生じた斑点病:
住友化学園芸

葉の表面や茎、枝などに小さい褐色や黒色の病斑がでる病気です。

そのままにしていると生育が悪くなり、病斑が次第に拡大していって、葉の中央部から灰色~白色に変化していき、やがて枯れ落ちてしまいます。

原因菌の種類は多く、糸状菌(カビ)によるものや細菌によるものに分けることができます。

カビが原因の場合は感染した葉の裏にカビが生えたりします。細菌が原因の場合は、湿って柔らかくなった病斑が発生します。

輪紋(りんもん)病

輪紋病

イチゴの葉に生じた輪紋病:
奈良県公式HP

主に葉の表面に発生しますが、枝や果実にもみられます。

最初は葉に黒緑色の小さい点が現れ、円形や楕円形の同心輪紋がドーナツ状に広がっていきます。

枯れた葉が枝に接触すると、枝にも被害が広がります。

その場合、樹皮表面に丸いイボのような突起ができ、そのままにしているとイボとその周りの樹皮が丸く枯れてしまいます。

一度かかってしまったら駆除は難しいものです。症状のでている部分を取り除き、焼却するなどして感染の拡大を防ぎます。

褐斑(かっぱん)病

褐斑病

キクの葉に生じた褐斑病:
みんなの趣味の園芸

盆樹や庭木、草花、野菜など様々な植物に発生する病気で、糸状菌(カビ)によって起こる病気です。最初は褐色のはっきりした小さい点がポツポツと現れます。

そのままにしていると同心円状に被害が拡大して、黒褐色の輪紋を生じるものや、病斑の上に黒点がみられるようになります。

古い葉に発生しやすく、高温多湿の時期に被害が大きくなります。

病気にかかった部分はやがて枯れ落ちますが、対処せずにそのままにしているとほとんどの葉が枯れ落ちてしまうので、樹全体の樹勢が弱り枯れてしまうことがあります。

葉から黄色の粉を吹く病気

サビ病(赤星病)

サビ病

マツの葉に生じたサビ病:
みんなの趣味の園芸

病斑の部分から黄褐色の粉状の胞子を飛散させる病気で、菌の種類によって他にいろいろな症状が現れます。

最初は葉の裏に黄色っぽい小さな斑点が生じ、次第に拡大してさまざまな形や色(白色、黒色、褐色、橙色、黄色など)の盛り上がった病斑となります。

そのままにしていると病斑がたくさんできて、葉や茎の形がゆがんでねじれたり巻き込んだりして、次第に樹全体の樹勢が弱り枯れることになります。

サビ病の病原菌は多くの種類が存在していますが、一般的な生活史は、2種の植物間で潜伏(冬胞子時代)、発芽(サビ柄子→サビ胞子時代)、蔓延(夏胞子時代)を繰り返しています。

同一植物上で夏の期間は黄褐色の一般的な病斑をつくって蔓延し(夏胞子時代)、冬の間は黒褐色の斑点となって現れます(冬胞子時代)。

冬胞子は発芽後、異種植物に侵入してサビ胞子となり、再び元の植物に戻って一世代を終えます。

葉にカビが生える病気

葉の表側に白色や黒色のカビが生える病気です。

葉はすぐに枯れるわけではないのですが、美観を損ねますから見つけ次第対処します。

原因はアブラムシやカイガラムシなどの害虫の排泄物によるものですから、害虫を駆除すれば自然に消滅します。

うどんこ病

うどんこ病

サルスベリの葉に生じたうどんこ病

モミジやカエデ、エノキ、アケビ、カキ、サルスベリやナラ類などの広い範囲の樹種に発生します。

最初は葉の表に白色のカビのようなものが発生し、しだいに拡大して葉の全体を覆うようになります。

葉の他に新梢や蕾・花など柔らかい組織を浸す場合もあり、その部分がねじれたり曲がったりして奇形になります。

うどんこ病菌は、吸器を組織表面から差し込んで養分を吸い取るので、樹は徐々に弱っていきます。

また、葉の表面を覆うため光合成や同化作用を妨害します。

春と秋の涼しい時期に多く発生・蔓延しますから、原因となる害虫の駆除や、できるだけ発生初期の段階での薬剤散布を心がけてください。

すす病

すす病

ツバキの葉に生じたすす病:
住友化学園芸

マツ類やツバキなどに発生し、名前のとおり葉や小枝の表面に黒っぽいすすをつけたような症状が現れます。

最初はすすのようなカビは生えてきて、次第に拡大して葉や枝全体を覆うようになります。

すす病は感染したからといって、致命的な害にはなりませんが、葉がすすで覆われてしまうので光合成が阻害され、その後の生育が悪くなってしまいます。

すす病の病原菌は、カイガラムシやアブラムシなどの害虫の排泄物に寄生しています。病気の予防には、この害虫を防除して排泄物をなくせば自然に消滅しますが、病気になってしまった場合は銅水和剤系の殺菌剤などを散布すると効果が期待できます。

葉が肥大する病気

餅(もち)病

餅病

ツバキの葉に生じた餅病:
みんなの趣味の園芸

ツツジやサツキ、サザンカ、ツバキ、モモ、シャクナゲなどの花木に多く発生し、その病原菌は新梢など若い組織から侵入します。

感染すると葉が異常に肉厚になり球状に肥大していきます。そのままにしている表面から白いカビに覆われて、肥大部から干からびて落葉してしまいます。

一度に沢山の葉が病気になることは少ないのですが、発生が多い時には樹が衰弱することがあります。

対策としては、発生の初期に被害部分を取り除き焼却処分します。さらに冬に石灰硝黄合剤などの殺菌剤を1~2回散布すれば効果があります。

枝や幹が枯れる病気

サクラやマツ類、クリ、バラ類によくみられる病気で、枝や幹に病斑ができて、その先から枯れていく病気です。症状が枝にでるものはまとめて枝枯れ病と呼ばれています。また、主に幹を侵すものに以下のものがあります。

枝枯れ病

枝枯れ病

バラの枝に生じた枝枯れ病:
えるのベランダガーデニング

枝枯れ病は主に新梢などの新しい組織上に発生します。

最初、枝の一部に褐色の斑点ができて枝全体を取り巻くように広がるので最終的には枝が黒く枯死してしまいます。

病原菌は枯れ枝上で黒い柄子殻を形成して越冬し、雨や害虫に付着してやがて植物に行き着きます。侵入経路は害虫による食害や、剪定や強い風による物理的な傷、新芽などから侵入してきます。

対策としては、病気にかかりやすい時期に合せて薬剤を散布したり、病気を見つけ次第切り取って焼却処分します。また剪定によって風通しなどの培養環境をよくし、切り口には保護癒合剤を塗っておくようにします。

銅枯れ病

銅枯れ病

クリの枝に生じた銅枯れ病:wikipedia

幹枝や露出した根などに発生する病気で、患部が幹枝を取り巻くように広がってそこから上の部分が枯死してしまいます。患部は黒や赤、褐色に変色しややくぼんでザラザラした感触になります。

病原菌は害虫や小鳥の糞などで伝搬され、剪定や強風などの物理的傷口や害虫の食害跡などから侵入して樹皮の下で増殖します。

特に樹勢の弱っている樹でよくみられるので、日頃から培養環境を整えて強すぎる剪定をしないようにしましょう。また、害虫防除をしっかり行って、剪定などで出来た傷口には保護癒合材を塗っておきましょう。

癌腫(がんしゅ)病

銅枯れ病

カラマツの枝に生じた癌腫病:
中標津で見つけた植物

永年性癌腫病とも呼ばれ、壊死した患部周辺に癒合組織が形成されることが繰り返されて、患部が黒く盛り上がったり亀裂したりしながら永年性の癌腫を作ります。

主にカエデ類やサクラ類、ナラ類などの広葉樹や、カラマツ、マユミ、モモなどにみられる病気で、患部が多数できたり、拡大が進むと幹ごと枯死してしまうことになります。

また枯死した樹皮や露出した木部から新たな病原菌が侵入して、他の病気にかかる原因にもなる多犯性のちょっとこわい病気です。

病原菌は、剪定や害虫による食害、折損などによって出来た枝や幹の切り口から侵入し、樹勢の弱って入る木でよく繁殖します。

一度病気にかかると治療方はなく、患部を切除しても再び癒合することはないので幹模様を鑑賞点の一つとする盆樹には致命的な病気となります。出来るだけ早い段階で見つけたら殺菌剤を散布し、患部を切除して焼却処分するとともに、切り口には保護癒合剤を塗布しておきます。

腐爛(ふらん)病

腐爛病

リンゴの幹に生じた腐爛病:
農学生命科学部データベース

幹枝に発生する病気です。枝にでるものを枝腐爛病、幹にでるものを銅腐爛病と呼びます。

最初は淡褐色の小さな病斑が発生し、次第に縦方向に拡大していって葉が萎れ落葉します。そのままにしていると患部の表面に黒い斑点(生分子殻)が現れ表面がザラザラとした鮫肌状になります。

この生分子殻は雨によって飛散し被害が広がります。秋から冬の間は患部組織上で子嚢殻の形で越冬し、気温と湿度の条件がよくなると一気に飛散、増殖・伝搬していきます。

病原菌は剪定や害虫による食害、折損などによって出来た枝や幹の切り口から侵入し、感染します。

もし病気にかかってしまったら、出来るだけ早い段階で患部を切除して焼却処分するとともの傷口や剪定口には保護癒合剤を塗布しておきます。

根にカビが生える病気

白絹(しらぎぬ)病

白絹病

ナスの根に生じた白絹病:
病害虫・雑草の情報基地

最初は地際の根やその周りの部分から地面が白いカビで覆われたようになり、特に高温多湿条件で被害が大きくなります。そのままにしていると組織が柔らかく腐敗し、やがて株ごと枯死してしまう病気です。

病原菌は土壌で繁殖し、冬は地際で菌核と呼ばれる茶褐色の菌糸の塊の状態で越冬します。この菌核は過酷な条件下でも5~6年間生きているので、同じ土壌中で何年も被害を繰り返します。

白絹病の様な土壌で繁殖する好気性菌は酸素がないと生きていけないので、地際から地中5cmくらいの深さまでしか存在していません。

そこで作物の場合、天地返しといって、菌がいる土の層を地中深く埋め、菌が存在しない地中深くの土をその上に持ってくる方法も採られています。

病気にかかってしまったら、その株ごと全て取り除き用土を代えるか、休眠している1月~2月に菌が生息している土の層(表面から5cm間くらい)を取り去る方法や、真夏に用土を天日干しすることで滅菌効果が期待できます。

ナラタケ病

ナラタケ病

ヒノキの根に生じたナラタケ病:
weblio辞書

食用にもなっているナラタケ属の菌による病気で、マツ類やナラ類、ヒノキ、ケヤキ、サクラなどの根や地際から感染する病気です。

酸性土壌中や樹勢のよわった木でかかりやすく、黒い紐状の菌糸束を地中に伸ばして離れたところまで被害を及ぼします。

樹皮下で白い菌糸膜を作って組織を侵し、 感染した植物は萎えて葉が落葉し、やがて枯死してしまいます。

一度感染してしまったら有効な治療法はほとんどないので株ごと取り去り、防除に努めます。

紫紋羽(むらさきもんぱ)病

紫紋羽病

リンゴの根に生じた紫紋羽病:
陣平農園HP

紫紋羽病は土壌伝染性の多犯性糸状菌によるもので、果樹や野菜の他、多くの植物に発生する多犯性の病気です。感染すると根を腐らせて木地上部の生育も弱り、最終的には枯死してしまいます。

紫紋羽の菌糸はフェルト状に広がり、地際から根に絡みつき繁殖します。菌糸の色は淡紫~紫褐色で菌糸束の成熟が進むと根部や地表面をマット状に覆い、根の内部は腐敗します。

全国的に多発する病気ですが、近年ではリンゴなどの矮化樹での被害が深刻です。一度感染してしまったら有効な治療法はほとんどないので株ごと取り去り、防除に努めます。

根にコブができる病気

根頭癌腫(こんとうがんしゅ)病

根頭癌腫病

桜の根に生じた根頭癌腫病

草花や花木、果樹などに発生する病気で盆栽では薔薇や木瓜(ボケ)、長寿梅、梅、桜などのバラ科樹種の根頭癌腫病で知られています。

木の地際から地下部分の根に亀裂の入ったコブ状の隆起が発生し、地上部の生育も徐々に低下していきます。

病原菌は土壌中で繁殖し、害虫による食害、接木などによって出来た根の傷跡から侵入してきます。

地中の根に発生する病気ですから、掘り返さないと病気を見つけにくいものです。植え替えや接木の際には注意し、コブのない健全な株を選んで入手するようにしましょう。

一般的に根頭癌腫病は夏に繁殖しやすいので、ボケなどでは病原菌が繁殖しにくい秋に消毒と植え替えをします。

病原菌は同じ土壌中で長い間生きているので、他の木に感染しないように新しい用土を使ってください。

感染してしまった樹の治療は難しく、再発や感染拡大の可能性もあるので処分するのが一番ですが、治療法がない訳ではありません。

コブをコブ切りとナイフで綺麗に切除し、ヤシマストマイ木酢液(100倍~200倍)で消毒を続けることで菌の繁殖を抑えることができます。

ただし、殺菌につかった道具類はその都度殺菌し、用土は必ず処分してください。

樹種別に発生しやすい病気

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東京都世田谷区在住の盆栽趣味者。
自宅ルーフバルコニーで小さい盆栽や草を弄っています。
初代愛猫『アロ』は天国へ行ってしまいましたが、現在は2代目ネコ2匹を迎えて盆栽ライフを楽しんでいます。

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