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松柏類の芽摘み

一般的な芽摘みは、新芽の伸びるころに強く伸びてくる芽だけを取る方法で、葉の基部から対になって出る次の芽を出させることで節を短くし、枝数を増やすことができます。

特にマツ類は芽摘みをしないでいると枝分かれせずに間延びし、葉も長くなってしまいます。

マツの葉は普通1~2年が寿命で、古葉は自然に落葉して新しい葉に更新されますが、盆栽で古葉を放置していると枝葉が間延びしたり葉が込みすぎて見た目がよくありません。

松柏類の芽摘みの目的は枝数を増やすだけではなく、短く締った葉性を作る手入れ法の1つで、とても大切な作業です。

松柏類の芽摘みの目的と効果

  1. 枝の間延びを防ぎ、小枝を増やす
  2. 樹高を低くする
  3. 樹全体の樹勢を均等に保つ
  4. 短葉の締まった新梢を作る(短葉法)

松柏類の芽摘みの注意点

新芽には害虫対策を

松柏類でも新芽にはアブラムシやハマキ虫、ダニ類などの害虫がつきやすいものです。

特に樹勢の比較的弱いアカマツや、ゴヨウマツ、コメツガなどは注意します。

松柏類の中には9月を過ぎても新芽の吹くもの(トショウなど)がありますから気をつけましょう。

新芽の動く4月頃から夏場までは月に1回は定期的な殺虫剤を散布して害虫の被害を防ぐようにします。

スミチオンやマラソン、ケルセンなどの殺虫剤が有効です。

スミチオン乳剤

有効成分:MEP

効果のある害虫:アザミウマ(アザミウマ類、カキクダアザミウマ、チャノキイロアザミウマ、ネギアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ)、アブラムシ類エカキムシ(ネギコガ、マメハモグリバエ、ヨメナスジハモグリバエ)、カイガラムシ(カイガラムシ類、ツノロウムシ、ヤノネカイガラムシ(第一世代)、ルビーロウムシ)、カキノヘタムシガツツジグンバイケムシ・アオムシ(アオムシ、アメリカシロヒトリ、カブラハバチ、コナガ、ジャガイモガ、モンクロシャチホコ、タマナギンウワバ)、コガネムシ(ケシキスイ類、コアオハナムグリ、シバオサゾウムシ成虫、テントウムシダマシ幼虫)、コナジラミ(タバココナジラミ、ミカントゲコナジラミ)、オオタバコガチャドクガネキリムシ(タマナヤガ)、シバツトガ、ハマキムシ(ハマキムシ類、コカクモンハマキ)、アカフツヅリガ、メイガ(ハイマダラメイガ、アワノメイガ、ダイコンシンクイムシ)、ヨトウムシ(スジキリヨトウ、ハスモンヨトウ、ヨトウムシ)、カキノヒメヨコバイ、ケラ、フタテンヒメヨコバイ、ゴボウノミドリヒメヨコバイ、コナダニ(ホウレンソウケナガコナダニ)(※住友化学園芸より抜粋)

芽摘みをしない場合

樹勢の悪い木や、枝を長く伸ばしたい木の時は芽摘みをしないでそのまま伸ばします。

新しく枝を作りたい場所にでた新芽も数年は芽摘みを控えて走らせておきます。

松柏類の短葉法

松柏類の芽摘みは、樹勢を抑えてその独特の葉を短くする短葉法の1つで、その他の作業も適した時期に繰り返し行うことで効果が現われます。

短葉法には大きく分けて芽摘みの他に芽切り芽かき葉すかしの4つの作業があります。

また、同じ効果を期待できるものとしてクロマツの葉抜き葉刈りも有効です。

松柏類については芽摘みとあわせて、他の短葉法も抑えておく必要があります。

短葉法ができる樹種

短葉法ができる樹種は松柏類の中でも樹勢の強いクロマツやアカマツ、ニシキマツ(クロマツの変異品種)といった葉性の樹種に限られます。

ゴヨウマツはもともと葉が短いので短葉法は必要ありませんし、スギやトショウ、シンパクの芽摘みは芽の勢いを抑えて枝数を増やすためのものです。

短葉法の種類

①芽摘み(4月中旬~5月上旬頃)

クロマツの芽摘み(ミドリ摘み)を参考にしてください。

やや樹勢の弱いアカマツはあまり強い芽摘みはせず、樹勢をみながら残す芽の長さを長めに残すなどして調整します。

②芽切り(6月下旬~7月上旬頃)

ほぼ完成に近いクロマツやアカマツの葉を短く作り上げるための方法です。

この芽切りを毎年のようにやっているうちは、幹の太りや役枝の伸びは期待できなくなりますので、若木や樹形の未完成のものには芽切りでなく、ミドリ摘みで形を作ることになります。

芽切りの方法は、新梢が伸びきった頃になったら、今年伸びた新梢を古葉の付いている前年枝との境目で切り取ります。

時期は6月下旬~7月上旬頃で、芽切りの後に出る芽は伸びが弱く、葉も短くなります。

基本的には芽切りをする樹にはミドリ摘みは行わないで、そのまま伸ばしておいてください。

ミドリ摘みをした樹でも、その後の樹勢が全体的に均一で、枝数もあって力がある樹なら芽切りをすることができます。

芽切りは一度に全部の芽をやってしまうと、勢いの強い頂部の芽から2番芽の再生が始まってしまい、いつまでも全体の樹勢のバランスが取れず、返って樹形を崩してしまいます。

芽切りの適期の間に、勢いの弱い下部や懐の枝から順に時期をずらしながら芽切りを行って、弱い芽から先に次の芽を作らせてあげるようにしてください。

③芽かき(8月頃)

④葉すかし(10月下旬~11月頃)

「古葉取り」とか「葉もみ」ともいい、 古い葉を取って採光と風通しをよくし、各枝の生育をよくし病害虫の被害も予防できます。

古い葉を間引くように葉すかしをしておくと、残した葉の間に芽が出来るので、切り返し剪定をすれば間延びした枝を作り替えることもできます。

古葉は残す量によって枝の力を調節できるので、弱い枝は多めに残し、強い枝は葉数を少なくするなどします。

短葉法として葉すかしする場合は古葉を全部取り、力を抑えることで翌年の芽の伸びが落ち着いてきます。

⑤葉抜き

以上の方法以外にも、葉の数が多いときは長い葉を適当に引き抜いて本数を減らすことで力を抑える「葉抜き」という方法があります。

葉抜きはクロマツ以外で行われることはなく、初心者にはやや難しい作業ですがクロマツの樹形作りには欠かせない作業です。

クロマツの葉抜き

葉抜きをすると葉数が減るので樹勢を抑えられ、翌年芽の伸びを短くしたり、新しい枝を作る効果が期待できます。

葉抜きは慣れないと芽や樹皮を傷つけたり、返って枝枯れの原因になってしまうこともあるので、手で抜くよりハサミで刈り取るほうがよいでしょう。

ですが樹形作りは葉抜きだけで成し遂げられるものではありません。

芽摘みや選定、針金かけなど他の技術を併用して行うことが大切です。

⑥葉刈り

樹種別の芽摘み(松柏類)

クロマツの芽摘み

ミドリ摘み(4月中旬~5月上旬頃)

ミドリ摘みとはクロマツやアカマツの芽摘みのことです。

この時期は、産毛のような鱗片で覆われた状態の新芽が、つくしの様に伸びてまだ葉を開かせていないミドリと言われる状態の芽を見ることができます。

新梢の芽から葉がまだ開かない4月中旬~5月上旬くらいまでが適期で、若木や樹勢の強い樹に行われます。

マツ類の1年間に伸びる枝の長さは、ミドリが伸び始める時期にはもう決まっているので、ミドリの状態のうちに今後の枝の伸びを考えて適当な長さで摘む必要があるのです。

ミドリ摘みの方法

写真:クロマツのミドリ摘み

ミドリ摘みの方法は、伸びてきた芽を2本程残して、強さに応じて長さを決めて折り取り、各枝の強さを調節していきます。

側芽や下部の芽の伸びは頂芽より1週間くらい遅いですから、伸びてきたら半分から3分の2くらい残して摘み取るようにします。

特に樹芯のミドリ摘みは、摘み取る長さによって将来の樹高をどれくらいにするのかが決まります。

芽摘みは毎年繰り返すことによって摘まれた後の残りの芽から生長点が再生され、翌年芽が作られます。

マツの芽摘みではその他にも、芽摘みの時期を遅らせたり、全部の芽を摘み取る盲摘みなどがあり、どれも葉を短くするのに効果があります。

マツの葉刈り(4月中旬~下旬)

芽摘みとは違いますがマツの短葉法の1つとして葉刈りも有効です。

芽摘みや葉抜きなどは生育を抑えることでミドリから出る次の葉を短く作りますが、葉刈りは葉を切り取ることで葉の表面積を小さくして同化生成を少なくし、次にでる葉を短くさせます。

葉刈りの方法は、新芽の伸びる時期(4月中旬~下旬頃)に1枝ごとに葉を束ね、ハサミで葉の長さを半分くらい残して切り取ります。

クロマツの葉刈り

ハサミで切った葉は切り口から赤く枯れ込みますが、これを鑑賞するわけではないので気にしなくていいです。

次に伸びてくる2番芽を短くするのが目的ですから、古い葉はそのままにしておいて秋になったら取り去ってください。この古い葉は非常に取れやすくなっているので簡単です。

クロマツのほか、アカマツやニシキマツなど葉が長く伸びる樹種には、新芽の伸びる頃に葉刈りをすることによって葉を短く仕立てることができます。

アカマツの芽摘み(4月中旬~5月上旬)

アカマツのミドリ

アカマツのミドリ

アカマツの芽摘みはクロマツとほぼ同じです。

ただ、アカマツはミドリが細く、将来葉として残したい部分が伸びた芽の先の方につきますから、摘む長さがどうしても長くなってしまいます。

また、アカマツは比較的弱い樹種なので、あまり強く芽摘みをすると枯れてしまうことがあります。
無理な芽摘みは行わないように気を付けます。

芽摘みの適期は、新芽の開いて落ち着いた頃の4月中旬~5月上旬頃に行います。

摘む長さは若木と完成樹で違いますが、枝数を増やしたいならば半分ほど芽を残して摘みます。

アカマツの芽切りと芽かき

アカマツのミドリ

アカマツの芽切り後の2番目:9月(東京)

芽摘みをしなかった芽については、そのまま新芽を伸ばしておき、伸びの落ち着いてきた6月~7月頃に芽切りをします。

樹勢を見ながら伸びた新芽を元から切り、9月頃に芽かきをしてください。

芽かきは伸びてくる2番芽を2芽ずつ残して不要な芽を摘み取っておきます。

アカマツの若木の芽摘み

若木で枝組のまだできていないものだと半分~2/3程残し、はさみを斜めに入れて葉と葉の間で切ります。

若木の芽は勢いがありますので、強い芽が1本でる枝もあれば、3芽以上吹くものもあります。複数の芽が出た時は、真ん中の一番強い芽を元から摘んで、弱い芽を2芽残しておきます。

残した芽も伸びてきたら、適当な長さを残して摘み取るようにしてください。

赤松の芽摘み

アカマツの完成樹の芽摘み

完成樹ならば新芽の伸びをできるだけ抑えるようにします。

基本的には強い芽が1つだけ出てきた場合は半分程度を残して摘みます。

一枝から勢いがほぼ同じ芽が3つ揃って出てきたときは、真ん中の1つを摘みます。

新芽には害虫がつきやすいので薬剤散布を

アカマツは性質がやや弱いので、特に新芽は大切にしてください。

害虫がつきやすいので、新芽が動く頃から8月ごろまでは月に1回定期的な殺虫剤を散布したほうがいいです。

ゴヨウマツの芽摘み(5月~6月頃)

ゴヨウマツは比較的芽の伸びが遅い樹種ですが、芽摘みをしないと枝は間延びしたり葉が長くなってしまいますから、芽摘みは大切な作業になります。

芽摘みの時期は芽が伸び始める5月~6月頃です。

ゴヨウマツにはロウソク芽コンペイトウ芽という2種類の芽があり、勢いの強いロウソク芽は芽摘みをしないと徒長して樹形を崩してしまいますので伸びる前に芽を摘みます。

反対にコンペイトウ芽は芽の力が弱く、芽摘みをしなくてもあまり伸びることはありません。

芽摘みの方法は、勢いの強い芽を元から摘み取ります。

残った勢いの弱い芽も数週間~1ヶ月もすれば伸びてきますから、伸びをみて1/2~2/3くらい残して摘みます。

ゴヨウマツの芽摘み

同じ樹でも、枝によって出る芽の数は違っていて、1枝からいくつも吹くものもあれば、1つしかでないものもあります。

どこをどれだけ摘めばいいのかの判断は難しい作業にはなりますが、芽摘みは全部同じようにするのではなく、全体の枝の強弱をみながら時期や摘む量(長さ)を考えて行ってください。

ゴヨウマツの新芽にはアブラムシなどの害虫がつきやすいので、スミチオンなどの殺虫剤を散布します。

ゴヨウマツの若木の芽摘み(4月上旬~下旬頃)

樹勢のついた若木の新芽は伸びもはやいので、あまり伸びすぎる前に芽摘みをしていかないと芯が硬くなって芽摘みが難しくなります。

時期を逃がすと節間が伸び、姿を崩してしまうのでタイミングは大事にしましょう。

4月下旬ころになれば伸びた新芽のトゲ(葉になる部分)が1~2mmくらいになりますから強い芽は元から摘みます。

樹勢がついていれば1本の枝から3~5本の芽が吹いてきます。残りの弱い芽も半月もすれば伸びてくるので半分~2/3くらいのこして摘みます。

ゴヨウマツの芽摘み

ゴヨウマツの古葉取り(11旬)

ゴヨウマツには葉刈りはしませんが、枝が混み合っていると風通しや日当たりが悪くなりますから、昨年伸びた葉を切って枝をすっきりさせておく必要があります。
これを古葉取り(ふるはとり)葉すかしといい、ゴヨウマツの他にクロマツやアカマツ、ニシキマツなどにも行うことができます。

また、各枝をすっきりさせ全体の葉性をこんもりと充実させるために、11月頃になったら今年伸びた葉を先から半分ほど残して切り取ることもあります。
これはもみ上げといいます。

古葉取りの方法は、昨年伸びた葉をハカマの部分を残してハサミで切ります。
時期は新芽の伸びの落ち着いた8月頃か、秋に行うこともできます。

胴吹き芽が欲しい時には、欲しい場所に少し古い葉を残すようにすると吹きやすくなります。

胴吹き芽を期待しないならば古葉を全て取って構いません。この時指で引き抜くと枝を傷つけてしまうかもしれないので、ハサミで元から丁寧に切り取ってください。

エゾマツの芽摘み(5月上旬~下旬頃)

エゾマツの整枝は、芽摘みによって作るといってもいいほど芽摘みは重要な作業となります。

基本的にエゾマツの新芽は房が膨らんできてから葉が開いてきますので、その新芽が開かないうちに指で引き抜きます。

エゾマツの新芽

まだ皮を被った状態のエゾマツの新芽

エゾマツは1年に1度しか芽が出ませんが一斉に芽が吹くのではなく1ヶ月くらいの間に順次出てきます。

そこで強い芽から順に摘んでしまうと、摘まれた芽は次の春にむけて準備を始めるので、次の年にはますます強い芽になってしまいます。

このような方法では当然弱い芽は遅れて摘むことになりますから、弱い芽はさらに弱くなってしまい、次第に全体の強弱に差が出てしまいます。

そこで新芽が全体の7割くらい出揃った頃に摘めるものだけを摘んで、後から出てくる弱い芽はそのままにして元気をつけさせてあげましょう。

エゾマツの新芽は発生しても暫くは皮に包まれた状態です。摘み方は、この新芽が伸び出した頃に指でつまんで摘み取ります。

摘み取る長さは若木や完成樹、樹勢の違いで調節しますが、若木の場合は半分くらい残して摘みます。

芽摘みの時は爪を立てたり、はさみで切ることがないようにしてください。

エゾマツの若木の芽摘み(5月上~下旬)

枝数を増やすための芽摘みは、まずは樹勢を付けさせるころが前提ですが、新芽を少し伸ばし気味にしてから摘むと、腋芽が吹いて枝数が増えてきます。

若木の芽摘みの方法は、伸びた新芽を半分残して指で摘み取ります。

ハサミを使ったりツメを立てたりすると摘んだところからヤケが入って見た目もよくありません。時期を逃してしまいハサミを使う時は、刃を斜めにいれて出来るだけ傷口を小さくするようにします。

エゾマツの完成樹の芽摘み(5月上~下旬)

エゾマツの完成樹の芽摘みは、樹形を整えるために行います。

伸ばしたい枝や弱い枝にはやや長さを残して摘みますが、基本的には新芽の1/3くらいを残して摘みます。

樹勢の弱っている木や太い枝を作りたい時は、芽摘みはしないで数年はそのまま走らせておきます。

ニシキマツの芽摘み

ニシキマツの荒れた樹皮

ニシキマツの割れた樹皮

ニシキマツの樹皮は大きく割れるように裂けた独特の荒い幹模様が、鑑賞点のひとつとなっています。

ですから、ニシキマツは主幹の肥大成長を図りながら全体の枝の勢いを均等に作っていくことになります。

ニシキマツのミドリの伸長は非常に強い樹種ですが、一方で小さい芽はとても弱く、秋~早春にかけては少しの衝撃で枯れたり折れたりしてしまいますから注意が必要です。

ニシキマツのミドリ摘み(4月中旬~5月上旬)

ニシキマツのミドリ

ニシキマツの新芽(ミドリ)

ニシキマツのミドリ摘みの実際は、クロマツの芽摘みとほぼ同じです。

しかしあまり強く芽摘みを繰り返すと、他の樹と同様に、返って樹勢を落としてしまいますから、特に強い芽の部分だけに行うようにしてください。

さらに10月頃になれば新梢も固まり落ち着いてきますので、不要な枝を剪定するようにすれば十分です。

ニシキマツの秋の芽切り(8月下旬~9月上旬)

幹を太らせるために春のミドリ摘みを控えたものは、秋口に入ったら、強く伸びた新梢の途中で芽切り(中芽切り)を行って、小枝を増やす方法があります。

しかし樹木の肥大は主に秋に集中しますから、秋にあまり強い剪定を行うと幹の肥大を遅らせることにもなりかねません。

それぞれの樹勢に応じて、葉が込みすぎているところは春の芽摘みや葉抜き、葉刈りを代わりに行うなどの調節をしてください。

ニシキマツの芽摘み

ニシキマツの春の芽切り(3月上~中旬)

ニシキマツは秋の芽切りが基本ですが、前年の新梢がそのまま伸びきって荒れた素材の場合は、春に中芽切りができます。

方法は、各枝に2芽残した枝を新梢を途中で切ります。

勢いの弱い枝や、芯にしたい枝は切らずにおきます。

春の中芽切り後、6月頃になると切り口周辺から2番芽が強く伸びだしますので、各枝の樹勢に応じてミドリ摘みを行います。

ただし、春の芽切りができるのは、前年の秋からの施肥も十分で樹勢の強いものに限ります。

樹勢の弱いものに春の芽切りをするとさらに樹勢を著しく落としてしまいますから、注意してください。

スギの芽摘み(5月下旬~9月)

スギの新芽

スギの新芽

ほとんどの松柏類は年間を通じて緑色の葉を付けますが、スギは冬の間は葉がすっかり茶色くなって冬枯れの状態になっていて、暖かくなると自然と緑色に戻ってきます。

樹勢が強く、新芽を摘まれると秋まで次々と新しい芽を吹きますから、新芽の伸びに応じて数回の芽摘みを行います。

スギは金属に弱いので、芽摘みは必ず指で行います。

うっかり伸びすぎて固くなった場合はハサミを使うしかありませんが、そうならないうちに芽摘みを行うように心がけましょう。

摘み方は、新芽が開かないうちに芽の先端を指でつまんで引き抜きます。 完成樹などほぼ形のできている樹なら、残す新芽は1/3~1/4程度と少なく取ります。

トショウの芽摘み(4月下旬~10月)

トショウの新芽

トショウの新芽

トショウは松柏類の中でも特に樹勢が強く、4月~10月くらいまではどんどん芽が伸びてきます。

面倒がらず芽摘みを繰り返すことによってトゲトゲした葉も次第に柔らかみを持ち細かい枝葉になります。

またトショウは樹勢がのっていれば、不定芽や胴吹き芽も出やすい樹種です。

不要な芽は早めに取りますが、ふところに芽がでるとさらに追い込みが可能で、樹高を低く締ったものに作り替えることができます。

トショウの若木の芽摘み(4月下旬~10月)

トショウの芽摘みはエゾマツと同じ要領で行ってください。

枝数を増やすための芽摘みは、まずは樹勢を付けさせるころが前提ですが、新芽を少し伸ばし気味にしてから摘むと、腋芽が吹いて枝数が増えてきます。

若木の芽摘みの方法は、この伸びた新芽を半分残して指で摘み取ります。

ハサミを使ったりツメを立てたりすると摘んだところからヤケが入って見た目もよくありません。時期を逃してしまいハサミを使う時は、刃を斜めにいれて出来るだけ傷口を小さくするようにします。

トショウの完成樹の芽摘み(4月下旬~10月)

完成樹の芽摘みは、樹形を整えるために行います。

伸ばしたい枝や弱い枝にはやや長さを残して摘みますが、基本的には新芽の1/3くらいを残して摘みます。

樹勢の弱っている木や太い枝を作りたい時は、芽摘みはしないで数年はそのまま走らせておきます。

シンパクの芽摘み(3月上旬~9月)

シンパクの新芽

シンパクの新芽(先端の部分)

シンパクは芽摘みによって小枝を増やしながら樹形を作っていきます。

うろこのような葉(鱗片葉)で覆われた独特の葉性も、芽摘みや用土・灌水など適切な培養管理をしてやることで、年々締ってよい樹になります。

シンパクは春先から秋口まで芽が吹きますが、極端に新芽が伸びることはありません。
若木や太らせたい場合はまず1年間は芽摘みを控え、力をつけさせるとよいです。

また、植え替えによる強い根の剪定や、枝の剪定、芽摘みが強すぎると、木が若返りトゲのある葉(杉葉)を発生させます。

これは2~3年培養すれば自然と元に戻りますが、大事な枝で杉葉が出てしまった場合は、数年はそのまま我慢して、それでも戻らなければ樹形を考え直したほうがいいかもしれません。

また、シンパクは一般的に葉刈りや葉抜きは行われませんが、夏に古い葉を落とす古葉刈りをして、全体の風通しを改善します。

シンパクの若木の芽摘み(3月上旬頃~)

シンパクの芽摘み

若木の場合は芽摘みをすることによって枝数を増やし締った葉を作ります。

全体のバランスを見るのはもちろんですが、作業は一枝ごとに分けて、不要な枝芽や長すぎる枝、ただ伸びるだけで将来枝にならない葉は元から抜きます。

また枝分かれ近くの葉も切り取り枝をはっきりさせておきます。

やや太い枝はそのまま残してジンにすることもできます。

シンパクの摘み方

シンパクの芽は元から摘むように

芽摘みの仕方は、芽が混み合っている枝は2叉になるように、新芽の元を2~3節残して摘みます。

先端の新芽だけ摘んでしまうと傷口が目立っていけませんから、必ず枝分れの部分で摘むようにしてください。

残した芽から次の芽が吹き、枝数が増えると次第に摘んだ跡も見えなくなってきます。

シンパクの完成樹の芽摘み(3月上旬頃~)

新芽の先だけを摘むとヤケが目立ちます

完成樹の摘み方は、ハサミは使わずに新芽が伸びるたびに指先でつまんで、新芽を分岐の元から引き抜きます。

先端を摘むと切り口からヤケを起こしてよくありません。

また、毎年芽摘みだけ繰り返していると枝葉が団子状になってきますから、3年に1度くらいは不要枝を整理し、枝をすかして更新する必要があります。

ヒノキの芽摘み(5月~9月)

ヒノキもシンパクと同様に、鱗片葉でかつ扁平な葉性をしています。

ヒノキには、葉が小さく1カ所からいくつも芽が吹く八房性(姫性)があり普通のヒノキとは区別されます。

八房性よりもさらに葉が細かく縮れているものに石化ヒノキがあり、盆栽でも人気の樹種です。

また、ヒノキの仲間には一見して葉もよく似ているサワラやアスナロなどかあり、矮性の園芸品種チャボヒバなども人気です。

ヒノキ・八房ヒノキは、5月~9月の間絶えず新芽を出すので、そのたびに新芽を摘んで間延びを防ぎ、小枝を増やします。
新芽は鮮やかな緑色をしているので、古い葉との区別は簡単にできます。

ヒノキの芽摘み

摘み方は、シンパクと同じです。

新芽の元を2~3節残して、芽の先を指で抜き取ります。

新芽の部分だけを摘むとヤケが目立ってよくないですから、2叉になるように枝分れの元から摘むようにしてください。

一つ一つの枝は扇型になるようにはみ出た芽を取り、全体の樹形も緩やかな三角形になるように心がけると形がよくなります。

カラマツの芽摘み(5月中~下旬頃)

カラマツは樹勢が弱い上に手入れの方法があまり知られておらず、盆栽仕立てのものはあまり見かけることができませんが、芽出しの淡い緑は花のように美しいと言われています。

カラマツの樹形作りも芽摘みが重要で、樹勢が弱るからと芽摘みを怠るといつまでも枝が増えず盆栽らしい姿にはなってくれません。

芽摘みの適期は新芽が伸びてくる5月中旬~5月下旬頃になります。新芽は5cm程伸びてきたところを見て半分くらい残して鋏で摘み取ります。

芽摘み後、8月頃に再び2番芽が吹いてきますが伸びは弱いですからそのままにしておき、8~10cmくらい伸びてきたら2~3芽残して切り取ります。

イチイの芽摘み(4月下旬~5月上旬)

イチイの葉

イチイの新芽

イチイの芽吹きの力は強く、芽摘みをしっかりしていないとすぐにボサボサになって樹形が崩れてしまいます。

剪定などで枝を落とした後に発生する胴吹き芽を摘み取ることも欠かせない作業です。

4月下旬~5月上旬頃になると、新芽が伸び出し葉が開き始めますので、樹勢や完成の程度で残す長さを調節して摘み取ります。

完成樹に近いものでは1/3~1/4くらい残して摘み取ればいいでしょう。

樹を太らせたい時は、芽摘みをせずにそのまま何年か新芽を伸ばし、ある程度幹や枝が太ってから芽摘みを行うようにします。

イチイとコメツガの芽摘み

また、新芽にはダニ類などの害虫がつきやすいので、スミチオンなどの殺虫剤を散布したほうがよいでしょう。

コメツガの芽摘み(5月中旬頃)

コメツガはイチイと同様に非常に芽吹きがよく、芽摘みの方法もイチイと同じように行っていいのです。

芽摘みの適期は新芽のまだ柔らかい5月中旬頃になります。

未完成のものや若木の場合は、半分~1/3程度を残して摘み取ります。完成に近いものだと2/3くらい摘み取ってもいいでしょう。

他の樹種と同じように、完成の程度や樹勢に合わせて一枝一枝確認しながら、面倒でも丁寧に芽摘みを行うように心がけてください。

コメント

ルパン さん 2016年10月11日11時52分
初めまして。盆栽歴4年、技術が伴わず
黒松の葉切りで悩んでいたところ、こちらのサイトに出会いました。
イラストがとても分かりやすく、勉強になります。

教えていただければ助かります。
曲付けの練習にと黒松の苗をポットで購入しました。
7月に芽切りをした後は芽かきもせずに、水やりだけの状態で
今は葉が10㎝程に伸び、ぼさぼさです。(写真を見て頂けるとわかりやすいのですが)

ある本では12月に葉切りををするとありましたが、こちらでは
4月中旬から下旬にかけてとあり、迷っています。
また、作業としては葉切りがベストなのでしょうか。
よろしくお願いします。
きみ さん 2016年10月11日13時34分
ルパンさん
いつも見てくださってるとのことでありがとうございますm(ーー)m
クロマツは特によく日に当て肥料を効かせることで締った葉になります。鉢も小さめに締めて、土も硬く植えます。
肥料が少なかったり、日照時間が短いと葉が伸びてしまいます。
若木は樹勢が強いので葉が暴れてしまいやすいですよね
肥料の効きが短葉の効果として見えるのは翌年以降なので、まずは日頃の管理を見直しています。
さて葉切りですが、ここでは春を適期としているのですが、樹の状態により他の時期になさる人もいますので絶対に今!とかではないかな、困らせてすみません。古葉は今時にとりますけど
ただルパンさんのお話だと、ちょっと樹勢が落ちているのではと思うので、冬越しのための力を付けるためにも春以降に手を入れたほうがよいと思いますよ
今は肥料も欠かせない時期です!
ルパン さん 2016年10月12日11時44分
ルパンです。
アドバイス有難うございます。よく観察していなかったことが原因なので
来春の作業のためにも、これからのことしっかりやっていきます。

また、よろしくお願いします。
盆風 さん 2017年04月27日13時17分
イラストも大変分かりやすいので参考にさせて頂いております。今年五葉松の新芽が多く雄花を付けて出てしまいました(雄花がない新芽もあります)。これは早々に(この4月末でも)全て芽切りをしてしまった方が良いのでしょうか?また、雄花ができてしまうということは何か原因がありますか?ご教示頂けると幸いです
きみ さん 2017年04月28日11時36分
盆風さん
コメントありがとうございます。
花は早めに取ったほうがいいと思います。原因はよく分かりませんが、枯れる前に子孫を残すために狂い咲きすることもあるって聞きました。
弱っているか、去年花芽の付く条件がよかったのか本当のことは分かりませんが、花要らないので取っちゃいましょう。

東京都世田谷区在住の盆栽趣味者。
自宅ルーフバルコニーで小さい盆栽や草を弄っています。
初代愛猫『アロ』は天国へ行ってしまいましたが、現在は2代目ネコ2匹を迎えて盆栽ライフを楽しんでいます。

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