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芽摘み

盆栽の樹形を維持するのに、芽摘みがあります。

芽摘みは剪定のいち技法と考えられていて、枝や葉を充実させるために枝を切り詰め新らしい小枝を増やし樹形を作っていきます。

芽摘みは名前の通り、春に吹いた芽を摘み取る、あるいは切り取る作業です。

芽が動き出す春は盆栽家にとってとても忙しく、楽しい時期です。

芽摘みの原理と目的

小枝を充実させるために行う作業が芽摘みです。

ほとんどの植物は春になると芽が活動を始め、初夏の頃まで伸び続け枝になります。

春から伸びた枝の基部には、次の年に伸びる芽(腋芽)が待機していて、翌年になって伸びてきてまた枝になります。

腋芽は特別なことがない限りはその年に伸びることはないのですが、芽摘みによって枝葉の数が減ると、植物は生命維持のために急いで新たな葉を出さなければいけなくなるので、腋芽が活動を始めます。

このような植物の性質を利用して芽摘みを行い、葉の基部についている腋芽を刺激して人工的に小枝をださせるわけです。

芽摘みによる効果

芽摘みの効果

芽摘みの効果は枝を増やすことだけではなく、葉の数も増えるので光合成や同化蒸散作用も盛んになり、

植物の生育がよくなるという良い結果ももたらしてくれます。

また盆栽の姿としては、葉も樹の大きさに見合って小さくなければおかしな姿になりますが、芽摘みで枝を切り詰めた後に出る葉は小さくなり、古木の姿により早く近づけることができます。

葉物植物では1年に5~6回の芽摘みを行うことができて、言い換えると1年間で5~6年間分の成長を遂げさせることが可能になります。

その他にも、芽摘みにはいくつか利点があります。

芽摘みの利点
  1. 枝葉の数を増やし、健全な樹を育てることができる
  2. 次に出る葉が小さくなり、幹と葉の大きさに調和がとれる
  3. 強い芽を切ることによって、全体の枝の強弱を調節することができる
  4. 余分な枝を早めにとることで切り口も小さく済み、採光や通風がよくなる
  5. 植物の生長を早め、鑑賞価値があがる

芽摘みの方法

芽摘みの時期

芽摘みは新芽が伸びてくる春から初夏の間に行いますが、樹勢の強いものは秋まで行うこともあります。

広葉樹ですと1本の枝に葉は3~4枚以上でた時に芽摘みします。

スギやトショウなどでは新芽が開いて新しい葉が伸びてきたころがよいと思います。

マツの場合は新芽が伸びてまだ葉は出始めていない「ミドリ」と呼ばれる時期が最適とされます。

摘み方

芽摘みの目的はまずなんと言っても小枝を増やすことです。

芽は2~3個残して摘むのが原則で、これによって盆栽自体が大きくなるのを抑えながら枝数を充実させることが出来ます。

ただし、すべての芽を同じように摘んでいると必ず強弱の差が出てきます。

そこで弱い枝には芽数を多く残して、養分を作る葉を多く付けたり、

強すぎる枝や徒長枝では1つだけ芽を残して力を抑えたり、1つも芽を残さずに不定芽を期待する方法がとられます。

新芽には害虫がつきやすい!

新芽は柔らかくハマキムシやダニ類、カイガラムシなどの病害虫がつきやすいものです。

芽出しから新芽の伸びが落ち着く5月~6月の間は特に、スミチオンやマラソンなどの殺虫剤や殺菌剤を散布して大切な新芽を守ってやりましょう。

スミチオン(殺虫剤)

スミチオン乳剤

有効成分:MEP

効果のある害虫:アザミウマ(アザミウマ類、カキクダアザミウマ、チャノキイロアザミウマ、ネギアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ)、アブラムシ類エカキムシ(ネギコガ、マメハモグリバエ、ヨメナスジハモグリバエ)、カイガラムシ(カイガラムシ類、ツノロウムシ、ヤノネカイガラムシ(第一世代)、ルビーロウムシ)、カキノヘタムシガツツジグンバイケムシ・アオムシ(アオムシ、アメリカシロヒトリ、カブラハバチ、コナガ、ジャガイモガ、モンクロシャチホコ、タマナギンウワバ)、コガネムシ(ケシキスイ類、コアオハナムグリ、シバオサゾウムシ成虫、テントウムシダマシ幼虫)、コナジラミ(タバココナジラミ、ミカントゲコナジラミ)、オオタバコガチャドクガネキリムシ(タマナヤガ)、シバツトガ、ハマキムシ(ハマキムシ類、コカクモンハマキ)、アカフツヅリガ、メイガ(ハイマダラメイガ、アワノメイガ、ダイコンシンクイムシ)、ヨトウムシ(スジキリヨトウ、ハスモンヨトウ、ヨトウムシ)、カキノヒメヨコバイ、ケラ、フタテンヒメヨコバイ、ゴボウノミドリヒメヨコバイ、コナダニ(ホウレンソウケナガコナダニ)(※住友化学園芸より抜粋)

マラソン(殺虫剤)

マラソン乳剤

有効成分:マラソン

効果のある害虫:アザミウマ(アザミウマ類、ミカンキイロアザミウマ)、アブラムシ(アブラムシ類、リンゴワタムシ)、エカキムシ(ナモグリバエ、ネギハモグリバエ、ハモグリバエ)、カイガラムシ類ケムシ・アオムシ(アオムシ、キアゲハ、カブラハバチ)、ウリハムシイラガ類ハダニ類ハマキムシ類マメシンクイガヨトウムシオンブバッタカメムシ類コガネムシ(コガネムシ類、ヤサイゾウムシ、インゲンテントウ)(※住友化学園芸より抜粋)

頂芽優勢と芽摘みの関係

頂芽優勢

直立性の植物は特に、頂部の勢いが強く上に上に伸びようとします。

反対に下部の枝には成長抑制物質が作用していると考えられていて、自然状態では頂部ばかり元気で下枝は弱々しくなっていることに気づくはずです。

この生育の強い頂部の芽を摘めば、頂部に作られた成長ホルモン(オーキシン)の作用が抑制されて、下部の勢いもついてきます。

芽摘みはこの生体反応を利用して、樹全体の生育を均等にするために行いますが、針金で枝を下げたりすることで同じような効果があります。

若樹と老樹の芽摘みで気をつけること

若い樹は成長が早いので、枝を切り詰められても直ちにつぎの枝を出そうと活動を始めます。

この力によって、枝先を細かく作り、人工的に樹形を整えていくことが可能になります。

反対に、老樹は生育力自体は比較的弱いですから、徒長枝が時折でてくるくらいで、強い枝がでるようなことはあまりありません。

ですから老樹に若木と同じようなペースで芽摘みをしてしまうと、反って樹勢を衰えさせてしまいます。

老樹の芽摘みは枝数を増やすことよりも、全体の勢力を均等に保つことを目的として行います。

花芽分化と芽摘みの関係

花物や実物類の主役はやっぱり花や実ですから、まず花を付けさせることが重要課題です。

そのためには、花芽(かが)分化時期について理解して、適切な時期に適切な芽摘みや剪定を行わなければいけません。

花は植物学上、葉が変化したものと言われていて、芽は最初から葉芽、花芽と決まっているわけではなく、温度や日照時間、植物ホルモンの変化など様々な刺激が要因となって花芽が形成されます。

さらに花芽分化の時期は、植物によってそれぞれ違います。

せっかくついた花芽を芽摘みや剪定で落としてしまわないように、それぞれの樹種の花芽分化とその時期を抑えておきましょう。

樹種名 花芽分化期(頃) 開花時期(頃)
サクラ 6月下旬~7月上旬 新梢に分化→翌年4月
ウメ 8月上旬~中旬 新梢に分化→翌年2~3月
ウメモドキ 7月下旬~8月下旬 新梢に分化→翌年5~6月
カリン 7月上旬 新梢に分化→翌年4~5月
カイドウ 6月~7月 新梢に分化→翌年4~5月
クチナシ 7月中旬~下旬 新梢に分化→翌年6~7月
オウバイ 7月~8月 新梢に分化→翌年3~5月
ザクロ 4月~6月 新梢に分化→翌年6~7月
サツキ 7月下旬~8月中旬 新梢に分化→翌年5~6月
サルスベリ 順次分化 新梢に分化→年内7~10月
ツツジ 6月下旬~8月上旬 新梢に分化→翌年4~5月
ツバキ 6月中旬~7月上旬 新梢に分化→翌年2~3月
ヒメリンゴ 6月~7月 新梢に分化→翌年4~5月
ピラカンサ 10月下旬 新梢に分化→翌年5~6月
フジ 7月下旬~8月 新梢に分化→翌年4~5月
ベニシタン 7月~9月 新梢に分化→翌年5~6月
ボケ 8月下旬~9月上旬 新梢に分化→翌年3~4月、11~12月
サンシュユ 6月上旬 新梢に分化→翌年3~4月
シャクナゲ 7月~8月中旬 新梢に分化→翌年3~6月
ライラック 7月下旬~8月 新梢に分化→翌年4月下旬~5月
ユキヤナギ 10月 新梢に分化→翌年3月

樹種による芽摘み

松柏類の芽摘み

松柏類には芽摘みは欠かすことができない大切な作業です。芽摘みには葉を短くする効果も期待できます。

葉物類の芽摘み

葉の細やかな美しさを出すためには芽摘みは重要です。

花物類の芽摘み

花芽を付けさせるための芽摘みの技術。

実物類の芽摘み

花芽を付けさせるための芽摘みの技術。

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東京都世田谷区在住の盆栽趣味者。
自宅ルーフバルコニーで小さい盆栽や草を弄っています。
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