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盆栽に合うコケ

今は苔盆栽なるものや苔玉など、コケを楽しむ人が増えました。

一口にコケといっても実に沢山の種類が存在していて、専門家でも顕微鏡観察や組織検査などをして詳しく調べないとすぐには同定できない程です。

盆栽においても、コケの役割は大変重要です。

多すぎるコケは水はけを悪くしてしまったり反って美観を損ねることにもなりますが、同じ盆栽でも、幹元にコケを張るのとそうでないのとでは、漂う風格が格段に違ってきます。

盆栽にコケを張ることで、鬱蒼とした森の自然の中で何百年も前から佇んでいる老樹の様相を持ち始めます。

この景観上の美観を高めるだけでなく、コケには植替え後の湿度の保持や、用土の流出、土の保全の役割も担ってくれています。

コケの分類

蘚苔類

私たちがよく見かける代表的なコケは広く蘚苔類に分類されていて、さらに蘚類(せんるい)苔類(たいるい)ツノゴケ類の3つに分けることができます。

蘚類(せんるい)

スギゴケ

蘚類の仲間のスギゴケ:マルハナバチの
つぶやき

蘚類は、地面から直立して生える直立性のものと、地面を這う匍匐性のものがあります。

直立性のスギゴケなどはミニチュアの樹のような形をしていて、分厚いパイル生地の様に広がります。

形や大きさはさまざまですが、一般的に乾燥に強くてカサカサと硬い感触があります。

盆栽にはこの蘚類が相性が良いようです。

苔類(たいるい)

ジャゴケ

苔類の仲間のジャゴケ:茨城の自然 
シダ・コケ探査隊2

苔類はどこか海藻を思わせる形状をしていて、組織は柔らかく、ジャゴケやゼニゴケのようにペタっと地面を這って覆います。

形や大きさは様々で、茎と葉の区別のある茎葉体の姿をしたものと、茎と葉の区別のない葉状体の姿をしたものがあります。

地面をべったり覆ってしまうのであまり見た目がよくないのと、用土の通気性が悪くなること、水はけが悪くなることから、盆栽では避けたい種類と言えます。

ツノゴケ類

ツノゴケ

ツノゴケ類の仲間のニワツノゴケ:
油山周辺の山野草木・野鳥・昆虫

ツノゴケ類は、苔類のような葉状体の上に蒴(さく)と呼ばれる突起を出しています。

ツノゴケ類の蒴は、蘚類や苔類と違って動物のツノのような尖った形に突き出していて、蒴の出ていない時は葉状体の苔類のような姿をしています。

こちらも苔類と同様に、盆栽にはあまり見られない種類のコケです。


地衣類(ちいるい)

ヒメジョウゴゴケ

地衣類の仲間のヒメジョウゴゴケ:
盆草遊楽

湿地は日陰に生えているような蘚苔類の他に、乾いた岩上や樹皮の表面に生えているものに地衣類があります。

盆栽ではコケに対して“日ゴケ”と言ったりします。

和名には「○○ゴケ」などど付くものがあるのでよくコケの一種だと勘違いされますが、蘚苔類とは全く違った生態をしています。

見た目は透明感がなく粉っぽく、干からびた海藻のような形をしていて、コケに混じって岩の表面やサクラ・ウメなどの老樹の幹にくっついているのを見たことがあるかも知れません。

その存在感は、豊かで深い自然を思わせるコケとは少し違い、古く枯れた印象を受けます。

老樹に付くイメージから、主に松柏類などの幹に日ゴケを生やすことで古さを表現する事ができます。

盆栽に使われるコケ

盆樹の下に生しているコケは見るだけで癒やされますし、盆栽の古木感や景色を演出してくれます。

コケには上で書いたようにいくつかに分類されますが、ゼニゴケなどの苔類は土の排水を損ね見た目もよくないので避けます。

盆栽には直立性で小さいギンゴケやスギゴケなどの蘚類がよく映えます。

松柏類には日ゴケといわれる地衣類が幹に付着していると老樹の風貌が見えてきます。

ギンゴケ

ギンゴケ

カサゴケ科の小型のコケです。

茎の高さは約1cm程度で、葉は0.5~1mm。

日本全土の都会地から高山まで普通に分布しています。

胞子体は1cmくらいの柄に丸っこい(さく=胞子体の頂端部の膨らんだ部分)が垂れ下がるような形をしています。

日当たりのいい場所から半日陰地まで庭土や畑、コンクリート上など至る所に、すこしシルバーかかった白緑色~灰緑色の群落を作ります。

スナゴケ

ギンゴケ

スナゴケ:苔日記

ギボウシゴケ科の小~中型のコケです。

茎は直立性で3~5cmくらい。不規則に短い枝を出し、葉は全体に密につき星をちりばめた様です。

日当たりのいい湿った地上や岩上に群生し砂質土を好みます。

北半球の湿地帯から亜寒帯に広く分布していて、日本全国に普通に見られます。

ホソウリゴケ

ホソウリゴケ

カサゴケ科の小型のコケです。

ギンゴケによく似ていますが、葉の先が透明にならないところに違いを見つけることが出来ます。

茎の高さは約0.5~1.5cm程度で、先の尖った卵形の葉は1mm前後。

胞子体が見られるのは稀で、蒴は傾いてつきます。

本州から沖縄まで日本全土に分布していて、コンクリート壁や道ばた、岩上などに群落を作り、特に市街地でよく見られます。

ヒロクチゴケ

ヒロクチゴケ

ヒョウタンゴケ科の小型のコケです。

茎の高さは約3mm程度で地上部からはほとんど見えません、葉は5mm前後。

本州から沖縄まで日本全土に分布しています。

蒴は洋梨形で若い時は緑色ですが熟すと褐色を帯びてきます。

蒴の蓋が取れると大きなくちが開き、密に小さな棘をもった胞子が出てきます。

コツクシサワゴケ

コツクシサワゴケ

タマゴケ科の小型直立性のコケです。

本州から九州にやや普通に分布していて、半日陰から日当たりのいいところの湿った岩や土上に生育しています。

茎の高さは1~2cm程度で、胞子体は1~1.5cmの柄に球形のかわいらしい玉のような蒴がつきます。

雌雄異株で、雄株の茎先は盤状で少し赤みを呈しています。

胞子体はとても特徴的でかわいらしいので、盆栽と一緒ににコケも楽しめます。

タチゴケ

タチゴケ

スギゴケ科の中型のコケです。

北海道から九州に普通に分布していて、半日陰地から日陰地の湿った土の上に群落を作ります。

茎の高さは1~2cm程度で、細長く柔らかい葉は7~8mm。

胞子体は2~3cmの柄を持っていて、蒴は円筒形。蓋(帽)の先は長く尖っています。

コスギゴケ

スギゴケ科の中型のコケです。

北海道から九州に普通に分布していて、半日陰地の湿った土の上に群落を作ります。

茎の高さは2~3cm程度で、乾くと縮れて様々に曲がる葉は7~8mm。

胞子体は2~3cmの柄を持っていて、蒴は円筒形。

雌雄異株で、雄株の茎の先に盤状の花葉が集まります。

ハイゴケ

ハイゴケ

ハイゴケ科の中型で横に這う性質のコケです。

盆栽では、乾燥ミズゴケのように植え替え後の乾燥防止として株元に張る用途でも使用されます。

日本全土に普通に分布していて、日当たり地の湿った地上や岩上などに群落を作ります。

茎は横に這い、長さは10cm程に伸びます。規則的に波状の枝を出し、葉は密につきます。

雌雄異株。

この種類は大きさや色に変化が多いようです。

コケの増やし方

コケは環境が整えば自然に繁殖しますが、植え替え直後に表面にあしらえばすぐに見た目がよくなりますし、灌水の時に用土が流れにくくなります。

コケは外で綺麗なものを採取したり、持ち込んだものを簡単に増やすことができます。

ただしむやみに採ってないけない所も多くありますからマナーを守って採取してください。

コケの増え方

ゼニゴケの無性芽胚

ゼニゴケの無性芽

コケの繁殖方法はいくつかあります。

よく知られる胞子で増える有性生殖の他、無性芽という「むかご」のようなもので増えたり、自分の体の一部からクローンをつくって増えたりします(栄養生殖)。

環境が整えば自然に増えるのは、この胞子や無性芽による繁殖です。

人工的に増やしたい場合は挿木と同じ栄養生殖による、蒔きゴケ法や移植法などがあります。

移植法

コケ移植

コケの葉の先端(成長点)を鋏で切り取り、そのまま用土の表面にスライドさせながらコケ山ごと移して手でしっかり押さえます。

これを全体に繰り返し、用土の表面に敷き詰めます。

さらにその上から粒径の細かい赤玉土などを少し被せて押えておくと、灌水の時にコケが流れにくくなります。用土は次第に流れ落ちてなくなります。

移植法はコケを張った直後でも美しく仕上げることができるので、展示前の鉢合わせで植え替えが必要な時にはこの方法がいいです。

しっかりおさえておけばすぐに仮根が伸び、新しい葉が成長するにつれてより自然になります。

コケが安定しない間は灌水の時に取れてしまうので腰水をするか、鉢ごと水の入った容器にゆっくり沈めてドブ漬けします。

蒔きゴケ法

蒔きゴケ

細かく切った葉の先端部分を撒く

移植法よりも自然になるまで時間がかかりますが、比較的簡単な方法です。

コケの葉の先端(成長点)を鋏で切り取り、細かくしたものを用土の表面にパラパラとまいて上から優しく水を撒きます。

灌水の度にコケが流れやすいので、始めのうちは腰水をします。

この蒔きゴケで増やしたコケを別トレイで育てて常備しておき、植え替えの時に移植するのもいい方法です。

2017年01月05日 10時39分にコメント下さった方へ

システムの不具合で文字化けしてしまい、頂いたメールの内容が読み取れませんでした。折角コメントくださったのに申し訳ありません。よろしければ再度コメントいただけないでしょうか?ご迷惑おかけしました。


コメント

アイタカ アキオ さん 2016年05月04日14時40分
松盆栽などミニ盆栽に貼るコケの種類が何が適しているのか調べていても 一つも答えが出ていない 私が身近にあるギンゴケを張っているが さつきに貼ってあるギンゴケがひどいことになったことから 本当は何がよいのか知りたい インターネットで調べればすぐわかるような回答も載せてほしいと思います
きみこ さん 2016年05月04日17時09分
アイタカ アキオさんこんにちは。
ひどいこととはどんな風になったんでしょうか?コケを元からごっそり取って移しても枯れやすいし古い土によくない者(虫や菌)がいると繁殖してしまう原因になってしまいます。
コケは綺麗な成長点を鋏でごっそり切り取って、そのまま新しい鉢土の上にそっとスライドさせて手で押さえ、落ち着くまでは苔が動かないように注意しながら灌水します。
このページには苔の張り方をまだ追加してなかったので近く記事を更新しますね。
わたしも最初はどうやったら苔がもさもさになるのかと躍起になっていた時がありましたが、今はなにも気にしておらずむしろ今の方が状態がいいです。
ギンゴケやスギゴケ、スナゴケとか最適なんですけどね,,,,スナゴケは最近すくないですよね
苔類のたぐいは見た目よくないし水が通りにくいのでだめですね。

東京都世田谷区在住の盆栽趣味者。
自宅ルーフバルコニーで小さい盆栽や草を弄っています。
初代愛猫『アロ』は天国へ行ってしまいましたが、現在は2代目ネコ2匹を迎えて盆栽ライフを楽しんでいます。

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