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盆栽樹形の種類

第14回きらく会展示より(東京)

盆栽が表現しようとしている姿はいろいろです。

スギのようにまっすぐ立つものや、マツのように幹が曲がりながら伸びるものなど樹種による違いがありますし

さらに生育環境によってもいろいろな形を取ることになります。

盆栽樹形の考え方

その樹らしく作るのが大切

まっすぐ伸びるスギを無理に曲げたり、マツを一直線に作ろうとしても、不自然な作品になってしまうだけではなく、木の生育を悪くしてしまうことになります。

スギはスギらしく、マツはマツらしく作るのが一番いいのです。

それぞれの木の性質を理解しておくのはもちろんですが、苗木や若木を入手したときには、その形をじっくり観察して、その木に無理のない樹形作りを始めましょう。

樹形はどこから風が吹いているかで決める?

スギのように立ち上がりからてっぺんまでがまっすぐに立っているものを直幹(ちょっかん)作りといいますが、これは無風の状態で育った樹を表現したものと思ってください。

そこに一方向から風が吹くと、幹が傾き斜幹(しゃかん)となります。

さらに風が吹きあれる高山や海岸沿いの断崖に生えている植物は、今にも崖底に落ちそうなくらいに垂れ下がり、これが懸崖(けんがい)という樹形になります。

展示会でも必ずといっていいくらいに懸崖作りの盆栽を観ることができますが、盆栽を乗せる高台は高山を表現していて、添え物として下に置かれる山野草は平野を表しています。

このように樹形は、風向きや地形などの自然環境の中で生きている老樹の姿が現れていて、盆栽では基本とされる樹形がちゃんと決まっています。

盆栽展などで作品を観賞する時も、それぞれがどの樹形に当たるのか考えながら観賞すると楽しいです。

樹形のいろいろと代表的な樹種

直幹【ちょっかん】

立ち上がりから梢までがまっすぐに伸び、広々とした山野にしっかりと根を張ってそそり立つ姿を現したもので、盆栽の基本的な樹形です。

幹はまっすぐ空に向かって立ち、枝は前後左右にバランス良く配置されています。

直幹の豪壮さを引き立てるために、鉢は長方形のものが似合います。

どっしりとした黒松などは深さのある鉢で重量感を、杉のような根の浅いものは浅く広い鉢が雰囲気がよくなります。

直幹に向く植物:スギ、ヒノキ、クロマツ、トショウ、ケヤキなど

斜幹【しゃかん】

直幹性の樹木が倒れかかって生えている姿を現した樹形で、直幹の応用です。

今にも倒れそうな姿を出しながら、枝や根張りなどでバランスを取り不安定さを出さないようにします。 

枝の配置は、幹の倒れている方に枝を長く伸ばしてしまうと更に倒れそうな感じになってしまうので、幹の倒れている反対側に、長い枝を配置できるようにするといいです。

植え付ける位置も傾いている方に余裕を取るなどの工夫をします。

斜幹に向く植物:ほとんどの樹種

模様木【もようぎ】

幹に曲がりを持ちながら立つ植物の姿を現し、直幹に比べ柔らかい印象です。

曲がり具合に大小はありますが、直幹性の植物を除いて、自然環境の中で生えている木のほとんどが最終的にはこのような樹形になります。

他の樹形にも言えることですが、枝の配置は、曲がっている外側の幹から枝を出すと自然になります。

幹模様は正面から見えるように、枝は幹が見え隠れするように配置するとよく、梢にいくに従って正面へ前傾しているようにすると力強く迫ってくる感じになります。

この樹形は、針金かけや剪定によって作ることになります。枝や幹肌を傷つけないように和紙やゴムなどを当てがって曲げて、自然で柔らかい線を出すようにしましょう。

模様木に向く植物:ほとんどの樹種(直立性の植物を除く)

文人木【ぶんじんぎ】

文人好みの木というのが名前の元で、水墨画などに描かれている姿を連想させます。

なんとなく侘しさも漂う、華奢な作りが洒落た樹形です。

比較的細い幹が適度な曲がりを持ちながらヒョウヒョウと伸び、枝数を極端に少なくすることで、朽ち果てていく古木の感じを表現しています。

下枝はほとんど付けず、上部の枝も下げて調和を取ります。

鉢は、樹高の割に浅くて小さめの楕円や四角のものを使うと似合います。

文人木に向く植物:アカマツ、ウメなど

双幹【そうかん】

1本の植物の下枝や根が発達して、2本の幹が立っている姿です。

主幹は太くて高いことが条件で、2本の幹の高低には調和がとれていないといけません。

2本の幹の長短や強弱が助け合って育っているような感じを持たせることが大切です。

双幹に向く植物:マツ、カキ、ウメ、カエデ、モミジなど

双樹【そうじゅ】

2本の植物を植えて景観を創るもので、双幹と近いものがあります。

双幹は1本の木の枝分かれで2本の幹が立ちますが、双樹の場合は樹勢や幹質、樹種など性質の似た木を選んで仕立てます。

ただし幹があまり離れていては別々に生育している印象になってしまいます。

寄り添い、長短と強弱が調和した姿に仕立てることが大切です。

双樹に向く植物:カエデ、モミジ、マツ、カキ、ヒノキなど

寄せ植え【よせうえ】

森や林の様子を現したものです。

同じ種類の植物を植えるたのと、違う植物を植えたものとがあります。

寄せ植えの場合、数えられるくらいならば奇数を使うことが習慣になっています。

3・5・7という風に10本く以内ならば奇数の株になりますが、それ以上になるならばあまり気にしなくていいのです。

寄せ植えの場合も、同じ樹種ならば問題ありませんが、違うものならば樹勢の近いもの選び、全体の強弱や調和を忘れないようにしなければいけません。

寄せ植えに向く植物:ブナとヒメシャラ、スギ、マツなど

根連なり【ねづらなり】

姿は寄せ植えに似ていますが、1株の植物でそれぞれの幹の根が繋がっているものをいいます。

本来1本の植物ですので、幹肌や葉性なども揃っています。

使用する樹種は、根からもよく芽を出してヒコバエもよく出やすい性質の木です。

作り方は、ヒコバエを適当なところまで地表に沿わせ、そこから幹を立てる方法があります。ゴヨウマツでもこのような手法で作られたものが見られます。

発根しやすい物では、幹の所々に傷をつけて発根させると、より自然感が出ます。

根連なりに向く植:サツキ、マツ、モミジなど

株立ち【かぶだち】

1株から多数の幹が立ち、地際から分かれている姿です。

ヒコバエの出やすい性質の植物を使う場合と、高木性の植物を取り木して仕立てることができます。

多数の幹の中でも、最も太くて高いものを芯とし、他の幹は主幹より高くならないようにします。

交差したり、重ならないようにすることも大切で、全体の調和も乱さないように作られます。

株立ちに向く植物:ボケ、チョウジュバイなど

蟠幹【ばんかん】

蛇がトグロを捲いたように立ち上がりの部分が太くできていて、幹の部分はそれほど太くないものを言います。

この形状から『たにし』を呼ばれることもあります。

蟠幹に仕立てる場合は長く伸びている苗をつめて低くします。つまり根元に近い部分を1~2回巻いたり、結んだりして低くします。

根張りを十分に露出させるようにすると調和がとれます。

蟠幹に向く樹種:マツなど

懸崖【けんがい】

植物の根元の部分が梢より高い位置にあるものを懸崖、梢がそれほど高くない位置にあれば、半懸崖と言います。

岩山の崖や浜辺の断崖から乗り出すように枝を垂らしている植物に見られる姿です。

懸崖作りの枝は生気なくただ垂れ下がっているのではなく、枝の先にまで生気が溢れていないといけません。

また、バランスの取りにくい樹形であるため、樹種の選択や倒れている反対側の根張りを強くするなどに配慮する必要があります。

懸崖に向く樹種:ゴヨウマツ、シンパク、ハイマツ、サツキ、ツツジ、ベニシタン、モミジなど

石付き【いしつき】

岩山や島などに生育している景色を表そうとした樹形です。

岩の間に根を這わせながら垂れ下がり、根が鉢土に達しているものを石付き、根が鉢土に達していないものを石上樹と呼びます。

これらの樹形では植物の姿だけはなく、石やその上を這っている根に観賞点がありますので、石の選択や、植物の生育を維持するために根の生育や水分を吸い上げられる通路の確保も重要です。

石付きに向く樹種:マツなど

筏吹き【いかだぶき】

根張りが発達して根が一枚板のように癒合し、数本の幹を支えている姿をいいます。

亀の甲羅のように見えることから甲羅吹きと呼ばれることもあります。

作り方は片枝の植物を伏せて幹を根張りに仕立てたり、取木したものを発根させる方法などがあります。

基本的には生育の早い雑木類が適しますが、時間をかけてしたてる場合ならば寄せ植えでも可能です。

筏吹きに向く樹種:モミジ、カエデ、マツなど

吹き流し【ふきながし】

幹や枝が一方向にだけ傾いて風になびいているような姿です。

風の強い海岸に生えている植物はこのような姿になることがあります。

盆栽として仕立てるには片枝の苗を選んで寄せ植えにします。その場合も長短や強弱で全体の調和を図り、枝は文人作りのようにあまり付けないようにします。

吹き流しに向く樹種:マツ、シンパクなど

箒作り【ほうきづくり】

平野部に生育するケヤキの姿を現した典型的な樹形です。

まっすぐに伸びた幹から、さながら逆さにした箒のように枝が細かく広がっている様子です。

箒作りに向く樹種:ケヤキ

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東京都世田谷区在住の盆栽趣味者。
自宅ルーフバルコニーで小さい盆栽や草を弄っています。
初代愛猫『アロ』は天国へ行ってしまいましたが、現在は2代目ネコ2匹を迎えて盆栽ライフを楽しんでいます。

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