盆栽用語(さ行)

挿木(さしき)
挿木

挿木により発根したイボタの根

植物の茎や葉を切り取って用土に挿し、発根させる繁殖方法。
切り口を鋭利な刃物でできるだけ綺麗に切断し、高温多湿を保っておくことで不定芽や不定根の発生を期待します。
挿木によってできた種木は親木の性状をそのまま受け継いでいます。
枝以外の葉や根を挿し穂に使う場合もあり、葉を使う場合は葉挿し、根の場合は根伏せといいます。
挿し穂(さしほ)
挿木に使う枝のこと。
接ぎ木の場合は接ぎ穂といいます。
地板(じいた)
展示において、盆栽を飾る時に敷く敷板のこと。
地板に使われる素材は、唐木地板(紫檀・黒檀・花梨)や、輪島塗・津軽塗などの漆地板、根杢地板(クスノキ・樺・ウメ)、白木地板(スギ・マツ・クワなど)、竹地板などがあります。
形も様々で、長方形や楕円形、丸型、六角、根杢(ねもく)を活かした不規則で自然な形があります。
軸切り挿し芽(じくぎりさしめ)
軸きり挿し芽
実生の発芽後、子葉の下で切って再び用土に挿すこと。
子葉から根の位置が狭くなるので腰高にならず、かつ根張りをよくすることができます。
軸切り挿し芽をすることで一番伸びの強い直根がなくなり、四方八方に根が伸び出てきます。
下草(したくさ)
展示において、主木の添えとして下に置く草物盆栽。
寄せ植えでは木の株元に植える草物のこと。
仕立て鉢(したてばち)
仕立て鉢
苗木を育てるのに適した通気性のいい鉢。
素焼き鉢や駄温鉢のことで、強度や排水性、保水性にも優れています。
樹形(じゅけい)
木の形。
盆栽には基本となる樹形が10種類以上あります。
どれも自然の中に生きる植物の姿を写し取ったもので、長い伝統の中で培われたものです。
1本の木が真っ直ぐに立ち上がった直幹(ちょっかん)を基本として、それが風などで斜めになった様子を表す斜幹(しゃかん)、さらに今にも倒れそうになった懸崖(けんがい)のほか、模様木や吹き流し、株立ち、文人、寄せ植え、石付き、双幹、双樹などがあります。
(詳しくは盆栽樹形の種類へ)
性(しょう)
性

葉が一際小さい琴姫(モミジの品種)

植物の持つ性質。
葉の色形や大きさ、芽の出方、成長の勢い、花や実の付き具合などの性質のことを指します。
木を小さく作る盆栽では、全体の大きさのバランスを取るため、葉が小さく実が良く付くものなど、矮性で節の詰まった性質のものが好まれます。
葉性がいいとか、性がいいなどと表現します。
小品盆栽(しょうひんぼんさい)
通常の盆栽より小さな、手にのる程度の大きさの盆栽。
樹高数cm~十数cmほどの大きさで、比較的狭いベランダスペースでも管理できることから、盆栽初心者でも気軽に楽しめます。
芯(しん)
盆栽の頭や樹芯となる部分。
樹冠の頂部を樹芯といい、樹格を左右する重要な要素の1つです。
枝の流れの中心で、枝の場合は枝芯ともいいます。
樹芯は先(上)にいくほど細く自然に収まるのがよく、「コケ順がいい」とか「芯の納まりがよい」などどいいます。

神(じん)
ジン
枝の一部の木質部が朽ち果て白骨化したもの。
自然界の厳しい環境の中で枯れ風化した姿を現しています。
人工的に樹皮を剥ぎ、木質部を露出させて作ります。
松柏類で多く、シンパクやトショウでは観賞の見所の1つです。
斜幹(しゃかん)
直幹性の樹木がやや斜めに倒れた樹形。
直幹の応用で、今にも倒れそうな姿を出しながら、枝や根張りなどで調整して不安定さを出さないようにします。
枝の配置は、幹の倒れている方に枝を長く伸ばしてやると更に倒れそうな感じになってしまうので、幹の倒れている反対側に長い枝を配置できるようにするといいです。
舎利(しゃり)
幹の一部の木質部が朽ち果て、白骨化したもの。
自然界の厳しい環境の中で枯れ風化した姿を現しています。
人工的に樹皮を剥ぎ、木質部を露出させて作ります。
松柏類で多く、シンパクやトショウでは観賞の見所の1つです。
 
主木(しゅぼく)
展示において主役となる大きめの木。
基本的には松柏類を主木とする場合が多いが、実物など見頃のものや季節感のある木を主木にする場合もあります。
卓(しょく)
盆栽を飾る台のこと。
高さによって高卓、中卓、平卓などがある飾台の他、飾棚、地板も卓に当たります。
形や素材はたくさんあり、脚の形や漆の塗り方なども様々で、箱形や半円形の飾り棚もあり段違いの棚板など、種類が豊富にあります。
飾る場合は卓の材質を揃えた方が違和感がありません。
樹形や飾る木の自生地によって使い分け、樹の流れに応じて添配を添えるなどします。
水石(すいせき)
山や滝、民家、生き物などに見立てた自然石。
席飾りでは盆栽と組み合わせて飾りを演出します。
自然石なので形も多様で、山形の遠山石、島形石、滝石、段石、文様石、姿石などがあります。
水石だけでも観賞価値があり、添配と一緒に景色を表現する「水石飾り」の遊びもあります。
水盤(すいばん)
浅い陶器製の器。
席飾りでは、地面や水面などを表現する時に使います。
長方形や楕円形などの形があり、底に水や川砂などを張り、石付き盆栽や草物盆栽、水石を載せて飾ります。
水肥(すいひ)
油かすを水に溶かして発酵させた速効性の液体肥料。
水肥は油かす1に対して水10を加えてよくかき回し、ポリ容器に密閉して発酵させたものを、灌水を兼ねて施します。
長期間発酵させる必要があるので、年に1~2回、まとまった量の肥料を作ります。
発酵時間は夏で15~30日、冬では2~3か月で長いほどよいと言われています。
施肥するときは上澄み液を取って、さらに10倍ほどの水で薄めたものを使います。
また、樹種によっては骨粉や魚糞などを混ぜて使うこともあります。
施肥(せひ)
施肥
肥料を施すこと。
油かすなどの固形肥料は置き肥するのが一般的で、液体肥料は薄めて灌水の時と同じ要領で与えます。
剪定(せんてい)
枝を切ること。
伸びた枝や幹を切り詰めて、樹形作りや維持をしながら、全体の風通しと日当たりを良くし胴吹きや脇芽の活動を促すことにもつながります。
盆栽で剪定は欠かせない重要な技術ですが、樹形作りは剪定だけでは難しく、芽摘みや針金整枝、灌水、施肥の調節などの管理と併せていい盆栽ができるというものです。
双幹(そうかん)
1本の植物の下枝や根が発達して、2本の幹が立っている樹形。
主幹は太くて高いことが条件で、2本の幹の高低には調和がとれていないといけません。
2本の幹の長短や強弱が助け合って育っているような感じを持たせることが大切です。
雑木類(ぞうきるい)
モミジやカエデ、ケヤキ、イチョウ、ブナなどの落葉樹。
ヒノキやスギなど建築材料としての利用価値の高い針葉樹を中心とした樹木に対して、それ以外の経済的価値の低い広葉樹を主とした雑多な樹木をさしています。
盆栽界では、葉や枝ぶりを楽しむ葉物盆栽がそれにあたります。
一般に樹勢が強く成長が早いものがほとんどで、剪定や芽摘みが欠かせませんが、枝が出来やすいので比較的作りやすい樹種です。
添え(そえ)
主木の盆栽を引き立てるために飾る草物盆栽や水石、添配など。
受けともいいます。
側根(そっこん)
側根
主根から枝分れして生じる細い根。
支枝ともいい、地中に根を張り巡らせて地上部を支える役割もあります。
根は水や養分を新しい根の先端部分(根毛)で吸収しており、その役割のほとんどを側根が担っています。
よって木の生長にはこの側根を多く出させることがよく、植え替えの時には根を捌いて根を更新し、盆栽の発育を良くする効果を期待しています。

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