盆栽用語(か行)

改作(かいさく)
現状の木を作り替えること。
盆栽でいう改作は、盆栽としてより良い樹形を目指し、剪定や接木・取木などの方法で大きさを変えたり、芯を立て替えたりして全く新しい樹形に作り替えることをいいます。
改作する際には、現在の樹形をしっかり観察して将来の姿をイメージし、今ある魅力を引き立てるよう心がけることが大切です。
改作では太枝を剪定したり、数多い枝を切り落とす場合がありますので、木の負担にならないように適期や事前の肥培管理が求められます。
無計画に気に入らない枝を切ってしまったり、なにも考えず無計画な改作をすると、反って状況が悪くなることもあるので、充分に考えて計画的な改作をします。
飾り棚(かざりだな)
飾り棚
盆栽を飾る道具。
箱形や半円形、段違いの棚板などの様々な形があります。
素材や形によって種類が沢山あります。
灌水(かんすい)
灌水
植物に人為的に水を与えること。
ジョウロなどによる手やりや、スプリンクラーなどを使った自動灌水などもあります。
灌水は、『水やり3年』ともいうように、盆栽管理の上でとても重要で難しい作業の1つと言え、水やり一生と考えても間違いありません。
灌水は基本的には、鉢土の表面が乾いたらたっぷり与えます。
灌水は樹種によって要領が多少違います。
(詳しくは水やり(灌水)の基本へ)
株立ち(かぶだち)
1株から多数の幹が立ち、地際から分かれている樹形。
ヒコバエの出やすい性質の植物を使う場合と、高木性の植物を取り木して仕立てることができます。
多数の幹の中でも、最も太くて高いものを芯とし、他の幹は主幹より高くならないようにします。
寒樹(かんじゅ)
冬に寒々と立っている木の姿を現した表現で、落葉してすっかり枝だけになった状態。
裸木や冬木とも言われます。
モミジやカエデなどの落葉する雑木類では寒樹も観賞されます。
寒樹は幹模様や枝配り、細かい傷の有無までよくわかり、雑木類を購入する時は寒樹の時期の姿を確認して選ぶといいでしょう。
カルス(かるす)
分化していない状態の植物細胞の塊。
カルスの分化は数種の植物ホルモンの濃度比によって根や枝など様々な組織へと分化します。
取木の際は、環状剥皮された形成層が上からの養分で膨らみ、カルスを形成して発根の準備段階に入ります。
挿木した切断部分にもカルスは見られますが、いずれも必ず根に分化する訳ではなく、特に多く発生した時などは剥皮した部分が再び上皮化する場合もあります。
貫入(かんにゅう)
陶磁器の釉薬の面に出るビビ。
細かく均一に貫入の模様が入った鉢は、観賞要素にもなります。

寒冷紗(かんれいしゃ)
寒冷紗
荒く平織りに編まれた布で、日よけや寒さよけの他、風よけとしても使われる。
黒や白の布製やポリエチレン製で、遮光ネットという名前で売られている場合もあります。
網目が細かいほど遮光率は高くなり、盆栽では50%程の遮光率のものがよく、半日陰を好む山野草はもちろん、他の樹種でも梅雨明けから西日の厳しい夏場は特に必需品です。            

切り戻し(きりもどし)
伸びすぎた枝や幹を短く切ること。
切り戻しをすることで日当たりや風通しも良くなり、脇芽の活動を促し新しい枝を作ることができます。
切り戻し剪定は、枝や根を根元から切るのではなく、芽を残して途中で剪定することをいいます。
本来ならば、上部の剪定をすれば根の整理も一緒に行い、葉量と根のバランスを取るのが植物生理学的に一番良い方法ですが、根の状態を確認できる時期は植え替えなど一年にそう何回もあるものではありません。
強い切り戻し剪定を一度に行うと、植物が調子を崩すことがありますので2年くらいかけて徐々に形を整えるといいです。
木鋏(きばさみ)
木鋏
枝や根を剪定するのに使用される剪定鋏のこと。
太枝用、小品盆栽用、芽切り用、剪定兼用鋏など、用途に応じていろいろな形や大きさの木鋏があります。
曲(きょく)
幹や枝の曲り具合。
強い曲、弱い曲などど言い表します。
曲付け(きょくづけ)
針金を掛けて幹や枝に曲をつけること。
実生苗の場合は網伏せなどによって自然に曲付けされたものもあります。
枝が固くなってしまってからは曲は付きにくいので、まだ組織の柔らかい新梢や、種木のうちに針金で曲付けされたものを入手することができます。
草物類(くさものるい)
屋久島ユキノシタ

姫性の屋久島ユキノシタ

草花を素材にした盆栽のこと。
山野草とも言われます。
多年生で矮性(姫性)のものが好まれ、添えとして侘しさや季節感を表現するものとして、展示の際には重要な役割をしています。
草物類だけでも充分に見て楽しむことができます。
イタドリ、黄金シダ、風知草、ススキ、ツワブキ、ユキノシタ、ベニチガヤ、ホトトギスなど多くの種類を鉢に収めて楽しむことができます。
懸崖(けんがい)
植物の根元の部分が梢より高い位置にある樹形。
梢がそれほど高くない位置にあれば、半懸崖と言います。
岩山の崖や浜辺の断崖から乗り出すように枝を垂らしている植物に見られる姿です。
懸崖作りの枝は生気なくただ垂れ下がっているのではなく、枝の先にまで生気が溢れていないといけません。
また、バランスの取りにくい樹形であるため、樹種の選択や倒れている反対側の根張りを強くするなどに配慮する必要があります。
化粧砂(けしょうすな)
鉢土の表面にあしらう装飾用の砂。
富士砂や矢作砂の他、寒水石(結晶質の石灰岩)を細かく砕いたものなどがあります。
通常展示するような盆栽には化粧砂を使うことはあまりなく、代わりにコケを張ったりして用土を隠すと同時に古さを演出しますが、インテリアとして植物を観賞する場合には、化粧砂を使って楽しむ場合があります。
腰水(こしみず)
盆栽を鉢の下部分だけ水を張った容器に入れ、鉢穴から給水させること。
鉢に根がまわって普通の灌水では水が届かない時や、水切れさせてしまった場合などに効果的です。
長時間腰水をすると、溜めた水が腐って根腐れを起こすことがあるので、夕方には水がなくなるように水量を調節するか、こまめに水を替え、充分に給水できれば鉢を水から引き上げておきます。
こけ順(こけじゅん)
盆栽の立ち上がりの部分から頂部まで幹が次第に細くなっていく姿。
「しぼり」ともいい、こけ順がいい、悪いと表現します。
木全体のバランスを引き締め、盆栽の大木感を表す大切な要素で、自然に無理なく細くなっていくほどいいこけ順になっていると言えます。

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