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松柏類の施肥

松柏類は一年中葉を付けているものがほとんどですが、一年中活動しているわけではなく冬季はほぼ休眠状態になります。

したがって施肥は、梅雨時期と休眠状態の時期を除いた時期に継続的に行いますが、特に新芽の吹く春と梅雨明け、冬に備えた秋ごろに施すようにしましょう。

松柏類の肥料は油かすを主体にして、骨粉を混ぜたり場合によっては液肥を用いることもあります。

油かすは鉢土に半分埋め込むようにすることによって、比較的肥効が持続します。

量は5号鉢に直径3cmくらいの油かすを1つとし、2つ以上なら植物を中心として対角、均等に置きます。

置き肥の仕方
松柏類の施肥のポイント
  1. 肥料は油かす主体に化学肥料も併用
  2. 春の新芽の動き出す前から肥料を与え始める
  3. 梅雨と夏の間は施肥はしない(暑い時期は肥料負けしてしまうので)
  4. 充実期(8月~9月)はしっかり施肥する
  5. 休眠期(11月~1月)は休眠期なので施肥しない
  6. 1月下旬頃から薄い肥料を与え始める(月1回)
  7. 植え替え後2週間は施肥を控える

松柏類の施肥の実際

クロマツの施肥(肥料の必要度:★★☆☆)

クロマツの肥料は油かすを主体に

クロマツ盆栽には、昔から油かすが使われていて当時は盆栽愛好家の手作りだったそうです。

最近では油かすに骨粉やほかの栄養分を混ぜて固めた固形肥料が市販されていて入手も簡単です。

固形肥料なので長期間の肥効が期待できますし、油かすの主成分(チッ素、リン酸、カリウム)が効果的にクロマツの季節の成長を補助してくれます。

補助肥料に液肥を

6月下旬から7月上旬に芽切りをする場合や樹勢が弱いものには、樹勢をつけるために前もって短期間、即効性のある液肥や活力剤などを使用することがあります。

液肥は速効性がある代わりに持続性が低いので月に何回も施さないといけません。

原液を希釈して使用しますから、濃すぎたり過多になると根を傷めてしまう可能性もあります。あくまでも補助的なものとして揃えておきましょう。

施肥の仕方

クロマツの施肥は春は少なめで秋肥に重点を置きます。実際は油かすを置き肥します。

新芽の活動が始まる10日ほど前を見計らって、3月頃に1回目の施肥を行います。 5月頃には新芽が出揃いますから、もう1度施肥します。

梅雨が明け、夏~秋はリン酸とカリウムが不足しないようにし、越冬に備えます。8月下旬頃と10月頃に1回が適当です。

クロマツの施肥(油かすの単用)

クロマツの施肥

ニシキマツの施肥(肥料の必要度:★★☆☆)

クロマツとだいたい一緒ですが、秋肥にはリン酸とカリウム分を多く施してやるといいでしょう。

ニシキマツの施肥(油かすの単用)

ニシキマツの施肥

アカマツの施肥(肥料の必要度:★★☆☆)

クロマツと対象に、優しい印象のアカマツは比較的樹勢が弱いところがありますから、施肥は重要な役割になります。ただし、アカマツはもともと栄養分の少ない崖や岩上に多く自生する樹種で、多肥は禁物です。

肥料は、グリーンキングや油かす7:骨粉3の割合で与えます。

新芽が動く3月、4月、5月に施肥し、梅雨明けの7月と9月、10月に行います。

アカマツの施肥(油かす7:骨粉3)

アカマツの施肥

ゴヨウマツの施肥(肥料の必要度:★★☆☆)

ゴヨウマツは、樹勢をつけて芽を充実させるためしっかりした施肥を与えておいたほうがいいようです。

実際はクロマツに準じますが、グリーンキングや油かす7:骨粉3を混ぜたものを団子状にして鉢の大きさに応じて施肥してください。

春(4月と5月)に2回、夏(7月上旬)に1回、秋(9月下旬~10月上旬)に1回の計4回くらい行ってください。

ゴヨウマツの施肥(油かす7:骨粉3)

ゴヨウマツの施肥

エゾマツの施肥(肥料の必要度:★★☆☆)

エゾマツは、栄養が足りていないと芽吹きや新芽の伸びも悪くなり、枝枯れを起こします。肥料はしっかりあげて樹勢を付けさせることが大切です。

使うのは油かす8:骨粉2の割合で固めたものでいいでしょう。

新芽の動き出す前(3月、4月、5月)と、秋(9月、10月)に施肥します。

葉色の悪い時は、4月ごろ、油かすの代わりに即効性の高いハイポネックスなどの液肥を与えてやると状態がよくなることがあります(根の状態や病気など、ほかに原因のある場合もありますから注意してください)。

エゾマツの施肥(油かす8:骨粉2)

エゾマツの施肥

シンパクの施肥(肥料の必要度:★★☆☆)

シンパクが魅せる幹模様や、独特の葉性は松柏類の中でも気品があり人気の樹種です。

肥料を与えることで、樹勢の維持や葉性を美しく保ってあげることができます。

肥料は油かす7:骨粉3を混ぜて団子状にしたものを置き肥しましょう。

3月、4月、5月下旬に施肥し、梅雨は中止して、梅雨開けに1回と9月~10月に1回ずつ行います。

シンパクの施肥(油かす7:骨粉3)

シンパクの施肥

トショウの施肥(肥料の必要度:★★★☆)

トショウは比較的肥料を好む樹種で、4月から10月まで新芽が出るので、梅雨の時期を除いて肥料も10月に差し掛かるまで与えます。

肥料を効かせることによって、胴吹きや芽吹きもよくなり芽摘みもバランスよく行うことができます。

肥料は油かす8:骨粉2で水で練って団子にしたのを与えたり、グリーンキングなどの緩効性肥料を断続的にに与えます。

葉色の悪いものは4月~9月のうちに1回、油かすの代わりに液肥を与えると状態がよくなります。

トショウの施肥は特に秋肥に重点をおいてください。液肥も効果的です。

トショウの施肥(油かす8:骨粉2)

トショウの施肥

その他の松柏類の施肥

イチイやコメツガ、ヒノキ、カラマツなどへの施肥も同様に、油かす8に骨粉2を水で練って団子にしたものを成長期の春と、梅雨開け、越冬に備える秋に重点的に与えることになります。

イチイやコメツガはとても丈夫な樹なので、肥料は春と秋に与えれば十分です。

ヒノキは春と9月頃に施肥しますが。5月頃になって葉色が悪いものはハイポネックスなどの液肥を与えるとよくなります。

カラマツは枝枯れしやすいので十分に樹勢をつけてやらないといけません。
4月~5月と、9月~10月にしっかり肥料を与えます。

昔は手作りだった肥料も、今は市販のもので工夫がなされていて様々な天然配合肥料、化学肥料があります。それぞれの栄養素をみて、上手に使い分けてください。

肥料の与えすぎや、灌水、日当たりにも注意し、盆栽の成長に最適な環境を作ってやることが一番です。

樹種名 肥料の必要度 備考
スギ ★★★★ 梅雨の間は控えめにする
ヒノキ ★★☆☆ 梅雨と夏場以外は平均的に施肥
カラマツ ★★☆☆ 春肥と秋肥を重点的に
イチイ ★★☆☆ 春肥と秋肥を重点的に
コメツガ ★★☆☆ 春肥と秋肥を重点的に

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