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実物類の施肥

実物類の見所は、花ももちろんですが、やはりその実りなんじゃないでしょうか。

太った実をつけた盆樹の姿は、秋の鑑賞の場では主役ですし、行き届いた管理の成果でもあります。

実物類の施肥のポイント
  1. 肥料は油かす7~5+骨粉3~5(リン・カリウム分)主体、水肥も有効
  2. 春の新芽の動き出す前から肥料を与え始める(花・実)
  3. 梅雨の間は施肥をしない
  4. 夏の間は施肥はしない(実の色をよくするため)
  5. 花芽分化期は施肥しない(花・実)
  6. 開花から結実までは施肥しない
  7. 結実してから施肥を始める
  8. 摘果・落果後に1度施肥する
  9. 秋肥も十分与える

実物類の花芽分化と開花時期

花芽分化期には施肥や灌水を適度に控えて日当たりをよくし、花芽分化を促します。

花芽分化期に肥料を与えると、樹に勢いがついて枝が伸張し、いつまでも花芽がついてくれません。またこの時期に剪定や植え替えをすると翌年の花はつきません。(※詳しくは剪定の基本→花物類、実物類の剪定へ)

樹種によって花芽分化期と開花時期が違いますので書いておきます。
この時期は地域の気温環境やそれぞれの管理状態(日照時間や防寒の仕方など)で多少ズレがあります。

■実物類の花芽分化期と開花期

樹種名 花芽分化期
(目安:関東)
開花期
ヒメリンゴ 7月下旬~8月 4月中旬~5月上旬
実ザクロ 8月~9月 6月~7月
ピラカンサ 11月上旬 5月中旬
カリン 7月中旬 4月中旬~5月
マユミ 8月 5月中旬
ベニシタン 9月 5月中旬~6月中旬
ウメモドキ 4月中旬 5月下旬
アケビ 7月~8月 4月中旬~5月
ユスラウメ 8月 4月
グミ 7月~8月 4月中旬~5月
ミヤマカイドウ 7月~8月 4月中旬
美男カズラ 6月~7月 7月~8月、11月~1月

実物類の施肥で気をつけること

ほとんどの実物類は肥料を好む性質がありますが、結果のための花芽をつけさせるためには、施肥を控えて樹勢を抑えなければいけません。

実際の施肥の仕方は、開花までは花物類の施肥とほとんど同じやりかたになります。

肥料には油かす主体に骨粉(3~5割)を混ぜて、リンとカリウム分が不足しないようにします。花物類よりも肥料切れには注意しなればいけませんから、梅雨の間も薄い肥料を与えたようが良いでしょう。

ただ、実物類の花物類より難しいところは開花した花が受粉し、結果した後です。

鉢で管理している実物類の実は、施肥や灌水などを適切に施さないと、結果しても実が太る前に落果してしまいます。

結果して実が膨らみ始める頃に全く肥料が効いていない状態でも良くありませんが、逆に効き過ぎると樹が若返ってしまい、芽まで伸び出してしまって落果しやすくなります。

急に勢いが付いて落果しないように、結果したら施肥をいったん止めて、実がある程度大きくなったら徐々に肥料を与え、実を太らせます。

また、梅雨~夏の間は、他の樹種と同じで施肥を中断するか薄い肥料を与え,ますが、特に夏(9月頃)の間は、実の色をよくする目的で肥料切れの状態にします。


樹種別の施肥(実物類)

前にも述べたように、実物類は基本的に肥料を好むものが多いです。

基本的には実が固まったころから肥料を与え始め、梅雨と8月中以外は肥料切れのないように管理します。

ヒメリンゴの施肥(肥料の必要度:★★☆☆)

ヒメリンゴは春に開花結実し、10月~11月頃に実の見頃となります。

リン酸分が多く必要になりますから、油かす5に骨粉5の配合が適当です。

施肥は結実した実がある程度大きくなって、落ちる心配がなくなる6月頃から始め、7月下旬頃まで続けます。

ヒメリンゴは肥料切れに注意する樹種ですが、肥料が多すぎると落果する原因になるので、薄い肥料を回数多く施した方がいいようです。

実を綺麗に色づかせるために、8月はある程度肥料が切れている状態にしてください。

9月~11月に秋肥を与え、寒中(1月頃)にも1度施肥しておきます。

ヒメリンゴの施肥

実ザクロの施肥(肥料の必要度:★★★☆)

実ザクロは6月~7月に開花結実し、10月頃に実の見頃となります。

肥料は、油かす8に骨粉2の配合が適当です。

肥料を好む樹種ですから肥料切れには注意します。特に生育中には薄い肥料を切らさないようにしましょう。

春の新芽が伸びてきたころに始めて、開花後に1回と、実が落ちる10月~11月頃に1回秋肥を与えます。

実ザクロの施肥

ピラカンサの施肥(肥料の必要度:★★★☆)

ピラカンサは5月頃に開花結実し、10月~1月くらいまで実の見頃となります。

リン酸分が多く必要になりますから、油かす7に骨粉3の配合が適当です。

庭木では赤や黄色の実を枝がしなるほどにたくさんつける樹種で、大変肥料を好みますので肥料切れには注意します。特に生育中には薄い肥料を切らさないようにしましょう。

春新芽は出始めたら施肥を始め、梅雨ころまで続けます。

8月から10月の間に再び置き肥を与えます。

ピラカンサの施肥

カリンの施肥(肥料の必要度:★★☆☆)

カリンは4月中旬~5月に開花結実し、10月~11月が実の見頃となります。

リン酸分が多く必要になりますから、油かす5に骨粉5の配合が適当です。

施肥は結実してある程度大きくなった4月下旬~5月上旬頃に入ってから始めます。ただしカリンは肥料が多すぎると落果する原因になるので、薄い肥料を回数多く施した方がいいようです。

実が肥大する7月まで肥料切れのないように続け、8月になったらいったん中止します(薄い肥料を与えてもいいです)。

9月~11月の間は再び秋肥を与えます。

カリンの実はとても大きいので、あまりたくさん成らせることはありません。
出来るだけ沢山つけておいて、残ったものを鑑賞しようとすると、樹に負担がかかって全て落果してしまうことにもなりますから、大きい盆栽でも5~6個を目安にしてください。

カリンの施肥

マユミの施肥(肥料の必要度:★★★★)

マユミは5月中頃に開花結実し、10月~11月頃が実の見頃となります。

リン酸分が多く必要になりますから、油かす5に骨粉5の配合が適当です。

実物類の中でも特に肥料を好み、ヒメリンゴやカリンのように肥料過多で落果することはありません。

実も多量につけますから、十分な肥料が必要になります。

施肥は春新芽が動き出すころから始め、8月まで5~6回行います。

9月中は実色をよくするために肥料切れの状態にもっていき、10月下旬~11月頃に1回秋肥を施します。

マユミの施肥

ベニシタンの施肥(肥料の必要度:★★☆☆)

ベニシタンは5月中頃に開花結実し、11月頃が実の見頃となります。

肥料は、油かす8に骨粉2の配合が適当です。

肥料負けはしませんが、大量に与える必要はありません。花が咲いている間と夏場は施肥をしません。

花の咲く前の3月頃と、実が付く前の5月~6月と、秋肥として10月頃に1回ずつ肥料を与えます。

ベニシタンの施肥

ウメモドキの施肥(肥料の必要度:★★☆☆)

ウメモドキは5月頃に開花結実し、10月~12月頃が実の見頃となります。

肥料は、油かす8に骨粉2の配合が適当です。

肥料を好む樹種ですが、根が細かいので多肥による肥料負けを起こすことがありますから注意がいります。

春新芽が伸び出す頃に施肥を開始し、開花中は中止します。

6月頃には花も終わって実がつき始めますが、ある程度大きくなってから薄い肥料(水肥)から再開するようにします。

10月頃まで月2~3回の薄い肥料を与えます。

ウメモドキの施肥

アケビの施肥(肥料の必要度:★★☆☆)

アケビは5月頃に開花結実し、10月頃が実の見頃となります。

肥料は、油かす8に骨粉2の配合が適当です。肥料負けをしやすいので、薄い肥料(水肥)を月に1~2回与えます。

春の新芽が伸び始めてから開花までの間に春肥を与え、梅雨~夏場の間は中止するか、ごく薄い肥料を与えるようにします。

9月~10月になって再び秋肥を与えます。

アケビの施肥

ユスラウメの施肥(肥料の必要度:★★☆☆)

ユスラウメは春に開花結実し、6月頃が実の見頃となります。

肥料は、油かす8に骨粉2の配合が適当です。

春の新芽が伸び始めてから5月下旬ころまでに1回施肥し、6月~夏場は肥料切れの状態にもっていきます。

9月~10月に再び秋肥料を与えます。

ユスラウメの施肥

グミの施肥(肥料の必要度:★★☆☆)

グミは5月頃に開花結実し、10月頃が実の見頃となります。

肥料は、油かす8に骨粉2の配合が適当です。肥料負けをしやすいので、薄い肥料(水肥)を月に1~2回与えます。

春の新芽が伸び始めてから梅雨までの間に肥料を与え、梅雨~夏場の間は中止するか、ごく薄い肥料を与えるようにします。

8月中旬~10月になって再び秋肥を与えます。

グミの施肥

ミヤマカイドウの施肥(肥料の必要度:★★☆☆)

ミヤマカイドウは5月頃に開花結実し、10月頃が実の見頃となります。

肥料は、油かす7に骨粉3の配合が適当です。

春の新芽が伸び始めてから梅雨までの間に肥料を与えます。開花中と梅雨~夏場は中止します。

実が固まってきてからは少し多めに肥料を与えますが、多肥にならないように気をつけながら置き肥を水肥を併用します。

9月~10月中旬に秋肥を与えます。

ミヤマカイドウの施肥

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