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花物類の施肥

植物は、生育が盛んで樹勢が強く枝ばかり伸びている状態では花芽はつかないので、施肥を控えめにして樹勢を抑えなければいけない時期があります。

花物類は7月下旬から8月の花芽の分化時期はできるだけ灌水や施肥を控え、日照条件をよくしてやって花芽分化を促してやります。

施肥は発芽期に行い、開花が始まると控えめにします。

その後梅雨まで2~3回十分に施肥し、夏場は控えて、実が充実する9月以降に再び1~2回施肥します。

花物類の施肥のポイント
  1. 肥料は油かす7+骨粉3(リン・カリウム分)主体、水肥も有効
  2. 春の新芽の動き出す前から肥料を与え始める
  3. 梅雨と夏の間は施肥はしない(暑い時期は肥料負けしてしまうので)
  4. 花芽分化期は施肥しない
  5. 開花前と開花中は施肥しない(花がよじれたり色がおかしくなるので)
  6. 充実期(8月~9月)はしっかり施肥する
  7. 11月~1月は休眠期なので施肥しない
  8. 1月下旬頃から薄い肥料を与え始める(月1回)
  9. 植え替え後2週間は施肥を控える

花芽分化と開花時期

多くの植物の花芽分化期は、高温多湿で植物の生育が旺盛になる5月下旬~7月下旬頃(地域により多少異なる)に当たります。

この時期には施肥や灌水を適度に控えて日当たりよくし、花芽分化を促します。

花芽分化期に肥料を与えると、樹に勢いがついて枝が伸張しいつまでも花芽がつきません。またこの時期に剪定や植え替えをすると翌年の花はつきません。(※詳しくは剪定の基本→花物類、実物類の剪定へ)

樹種によって花芽分化期と開花時期が違いますので書いておきます。(すこし実物類とかぶります)
この時期は地域の気温環境やそれぞれの管理状態(日照時間や防寒の仕方など)で多少ズレがありますのでご了承下さい。

■花物(実物)類の花芽分化期と開花期

樹種名 花芽分化期(頃) 開花時期(頃)
サクラ 6月下旬~7月上旬 新梢に分化→翌年4月
ウメ 8月上旬~中旬 新梢に分化→翌年2~3月
ウメモドキ 7月下旬~8月下旬 新梢に分化→翌年5~6月
カリン 7月上旬 新梢に分化→翌年4~5月
カイドウ 6月~7月 新梢に分化→翌年4~5月
クチナシ 7月中旬~下旬 新梢に分化→翌年6~7月
オウバイ 7月~8月 新梢に分化→翌年3~5月
ザクロ 4月~6月 新梢に分化→翌年6~7月
サツキ 7月下旬~8月中旬 新梢に分化→翌年5~6月
サルスベリ 順次分化 新梢に分化→年内7~10月
ツツジ 6月下旬~8月上旬 新梢に分化→翌年4~5月
ツバキ 6月中旬~7月上旬 新梢に分化→翌年2~3月
ヒメリンゴ 6月~7月 新梢に分化→翌年4~5月
ピラカンサ 10月下旬 新梢に分化→翌年5~6月
フジ 7月下旬~8月 新梢に分化→翌年4~5月
ベニシタン 7月~9月 新梢に分化→翌年5~6月
ボケ 8月下旬~9月上旬 新梢に分化→翌年3~4月、11~12月
サンシュユ 6月上旬 新梢に分化→翌年3~4月
シャクナゲ 7月~8月中旬 新梢に分化→翌年3~6月
ライラック 7月下旬~8月 新梢に分化→翌年4月下旬~5月
ユキヤナギ 10月 新梢に分化→翌年3月

花物類の施肥で気をつけること

実際には、花芽分化の時期(多くの樹種では7月下旬~8月ころ)には極力肥料と水を控えて樹の力を弱め、枝の伸長を防ぎます。同時に、光合成を盛んにするため日照環境をよくしてあげます。

灌水はあまり乾燥しすぎると落葉現象が起こり、そのあと脇芽が伸びても花芽は生じてきませんから注意してください。

施肥は新芽の吹くころから入梅までに2~3回十分な肥料を与えます。

花の開花前~開花中と梅雨から夏の間は中止して、充実期の8月下旬~9月以降には再び十分な肥料を与えます。

肥料は油かすに骨粉を3割くらい混ぜて、チッソ・リン酸・カリウム分をしっかり与えます。(※詳しくは盆栽の施肥→盆栽で使う肥料へ)

樹種別の施肥(花物類)

花物類の中からいくつかの樹種の施肥の要点をまとめます。

他の樹種も、この要点を参考にしてください。

サクラの施肥(肥料の必要度:★★☆☆)

サクラはあまり肥料は多く必要ありません。根が肥料で負けやすいので、薄い液肥でも十分です。

普通、油かすに骨粉を混ぜたものを置き肥します。

春の新芽が動き始めたら施肥を与え始めて、梅雨まで続けます。

7月~8月の暑い時期は施肥をやめ、9月に入ったら再び開始します。

サクラの施肥

ウメの施肥(肥料の必要度:★★★★)

ウメは早いものでは寒中の1月下旬から花を咲かせるものもあります。

基本的には花が咲き終わったら肥料を与え始めて、梅雨時期まで続けます。

梅雨~夏の間は中止して、8月下旬に入って薄い肥料から再開します。

9月~10月の充実期はしっかり施肥し、冬に備えます。

ウメの施肥

フジの施肥(肥料の必要:★★★☆)

フジは比較的肥料を好む樹種なので成育中は肥料を切らさないようにすることです。

春の花が終わったら肥料を与え始め、梅雨頃までしっかり施肥します。

梅雨~夏場はいったん中止し、8月下旬か10月頃まではしっかり肥料を与えておきます。

フジは自身でも窒素固定が活発ですから、チッ素過剰にならないようにします。

6月頃に葉が黄色くなって落葉することがありますが、これは珪酸カルシウム不足が原因です。

フジの施肥

サツキの施肥(肥料の必要度:★★☆☆)

1月下旬から芽が動き出す前までは月1回の油かす+骨粉の置き肥をします。

芽の動き出す2~3月から肥料をしっかり与え始めます。生育中は薄い肥料を数多く与えたようがよいようです。

サツキの花期は5月~6月なので、この期間は施肥を中止します。花後に少量肥料を施した後は、7月~8月の暑い期間中まで与えません。

8月下旬~10月は充実期にあたりますので、しっかり肥料を与えてください。

サツキの施肥

ツツジの施肥(肥料の必要度:★★☆☆)

春の開花前(4月)に肥料を与えたら、開花中は中止します。

花後に再び開始し、梅雨までしっかり施します。ツツジもサツキと同じで、生育中は薄い肥料を数多く与えたようがよいようです。

梅雨明けから夏場は中止して、9月~10月の充実期にしっかり与えます。

ツツジの施肥

ボケの施肥(肥料の必要度:★★☆☆)

花が終わって新芽が伸び始める4月~5月頃から施肥をします。リンとカリウムが不足しがちなので多めに与えます。

梅雨の間は中止し、7月中旬~8月になったら再び開始します。

秋の植え替えをした後のものは、2週間くらいたってから薄い肥料から始めてください。

しっかり秋まで肥料をあげることが出来るように、あまり遅いタイミングで植え替えをしないようにします。

ボケの施肥

花ザクロの施肥(肥料の必要度:★★★★)

花ザクロは肥料を好む樹種ですから、肥料切れのないよう多めに与えます。

梅雨と冬期以外は肥料が必要で、油かすと水肥を併用するといいです。

施肥は春の新芽が伸びてきたら始めます。その後の開花中は中止し、花後に1回与えます。

6月~8月中旬頃は花芽形成の時期ですから、施肥はいったん中止します。それ以降は10月までしっかり肥料を与えます。

花ザクロの施肥

花カイドウの施肥(肥料の必要度:★★☆☆)

基本的にはボケと一緒です。春の新芽が伸び始めたら開始します。

梅雨期間中と7月~8月の暑い時期は中止し、9月~10月頃にしっかり秋肥をします。

花カイドウの施肥

その他の花物類の施肥

上記以外の花物類の施肥をまとめました。

樹種名 肥料の必要度 備考
サンザシ★★★★ 秋肥はしっかりと
シャクナゲ ★☆☆☆ 薄い肥料をバランスよく与える
クチナシ ★★★★ 雨期と冬期以外は施肥
サルスベリ ★★★★ 7月頃の花芽分化期までは充分に施肥
サザンカ ★★★★雨期と冬期以外は施肥
ツバキ ★★★★雨期と冬期以外は施肥
アセビ ★★☆☆雨期と冬期以外は施肥
ロウバイ ★★☆☆雨期と冬期以外は施肥
オウバイ ★☆☆☆ 春肥と秋肥各1回

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