楓 (カエデ)の葉刈り

投稿日:2018/04/26 更新日:2020/05/20

楓の葉刈り

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楓は樹勢が強いので、肥培管理ができていれば4月下旬頃から8月頃までに3~4回の葉刈りができます。

枝ができにくいと言われる宮様楓でも2回くらいは葉刈りができるので、きちんと手入れができれば枝の込んだ好樹に仕立てることも可能です。

1. 楓の葉刈りの目的

葉が込む楓は、芽摘みや葉刈りをしないでいると枝が間延びし、下枝やフトコロ枝から枯れ込んで盆栽としての姿を失ってしまいます。

葉量を減らす葉刈りは、フトコロ部分の風通しや採光などの内部環境を改善する目的で行う手入れで、各枝の力の平均化や蒸れ防止、フトコロ芽の保護、小枝の充実などに効果があります。

特に楓は強い芽と弱い芽の力に差が出やすいので、サイズや樹勢によって葉刈りの強さ(全葉刈り、葉すかし、葉切り)を調整しながら、全体の力を平均的に持っていけるような手入れが重要です。

2. 楓の葉刈りの基本フォーム

楓の葉刈り

画像1:新梢を束ねて赤線で切ると芽摘みと葉刈りが同時にできる

楓の新梢は伸びても第一節間が短く詰まっている状態なので、一旦伸ばして摘む「切り戻し剪定」が基本。そのため芽摘みと葉刈りはセットで行うと効率良く作業を進めることができます。

最初の適期は4月下旬~5月中旬頃で、新梢をある程度伸ばしてから1節残しの芽摘みと一緒に行います。

図1のようにまず芽摘みしてから残した葉を切り取る方法が基本ですが、予め全葉刈りすると分かっている場合は、指で新梢の軸を束ねてつまみ、鋏をいれると1回で芽摘みを葉刈りをすることができます(画像1)。

楓の芽摘みと葉刈り

図1:楓の葉刈りは芽摘みと一緒に行う。新梢を1節で切り戻し、残した葉は葉刈りや葉すかしを

楓は枝の強弱が葉の大小で現れるので、弱い枝の小さい葉は残し、全体の力が平均的になるようにしてください。

葉刈り後は全体がよく見えるようになるので、不要な枝や徒長枝を整理。2週間ほどすると枝の先端から2番芽が吹くと同時に、フトコロ部分からもポツポツと芽がでてきますからこれを活かして枝を作ります。

葉刈りは特に負担の大きな作業なので、対象となるものは樹勢が充分で葉数が多いことが条件です。芽の勢いを見ながら、適した葉刈りを行ってください。

まだ若く枝もさほどできていない素材に全葉刈りをしても期待するほどの効果は得られないので、樹の状態をみながら芽摘みや葉切りで対応する判断も必要です。

樹勢の落ち着いた完成樹になると、強い部分だけの抑制や、外周の大きい葉だけを部分的に葉刈りするだけで充分になります。

楓(カエデ)の芽摘み

楓は最初の節間が詰まっていて、新芽が急激に伸び出すことがないので、紅葉のように急いで芽摘みをする必要はありません。樹勢が強く芽吹きも旺盛なので、樹勢が付いたもの……

葉刈り(全葉刈り)

全葉刈り

枝数葉数が充分で、樹勢のしっかりのっているものは最初の葉刈りは全ての葉を切り取ってしまいます。

フトコロや下枝などの弱い枝に付くごく小さい葉は葉刈りせずに残しておいてください。

葉刈り後は葉がすっかり無くなるぶん、枝がよく見えるようになるので、剪定整枝の適期でもあります。

枝が2芽2芽と分岐するように、不要枝や徒長枝を整理し、残す枝に力がいくようにしましょう。

葉すかし

楓のハスかhし

葉刈りは負担の大きい作業で、いくら芽吹き旺盛な楓でも、何度も全ての葉を葉刈りしていると枝が弱って葉が縮れたり、思うように芽が伸びなかったりと問題が生じます。

特にミニサイズの樹や2回目以降の葉刈りは、葉すかし(片葉刈り)で対応してください。

葉すかしは比較的樹の負担が少なく、初夏の間に複数回行うことができるので樹勢を維持しながら胴吹き芽も期待できます。

小さい葉を持つ弱い芽はそのままにしておいて、大きい葉は片方の葉柄の部分で切り取ってください。

作業後は葉刈りと同様に、不要な枝や徒長枝を整理しておきましょう。内部まで日が入るようになれば胴吹きも促進され、次第に締まった樹になっていきます。

葉切り

楓の葉切り

葉すかしをしてもまだ葉量が多いものは、同時に葉切りをします。

葉すかしで残した外側の強い葉や大きい葉を1/2~2/3程カットしてください。

葉切りの様子

枝の強さで葉の大きさに差があるので、全体の大きさが同じになるように残す葉の面積を調節します。幹や各枝の枝筋が見えるくらいにできれば充分です。

葉切りすることで、葉すかしだけの場合より日当たりや風通しがよくなり、フトコロ芽が活性化します。

フトコロや下部などの弱い枝に付く葉は小さいので、葉切りする必要はありません。

3. 芽押さえと葉刈り後の管理

芽押さえ

楓の芽押さえ

枝先はいずれ切り戻すので枝元をしっかり曲付けする

楓の枝は古くなると針金での矯正が難しくなるので、基本の枝骨格を作る段階では、まだ軸の柔らかい新梢への芽押さえで形を作ります。

枝がよく見えるようになる葉刈りの時期が適期で、枝として使いたい新梢は芽摘みせずにアルミ線で枝元にしっかり模様を入れておいてください。

葉は付けたままでもいいですし、作業がしにくければ枝元の葉だけ葉刈りしてもいいでしょう。

枝は適当な太さになってから切り戻して、翌年から本格的に小枝作りを始めます。

新梢は走らせると余計に太りやすく、針金は2週間もすれば食い込んできます。

癖を付けるためにはある程度の食い込みは仕方ありませんが、面一(つらいち)になるまで放置してはいけません。傷が深くなる前に外し、必要ならばかけ直してください。

過水には注意を

葉刈り後は葉量が激減するので、葉からの蒸散量も当然減少します。

そこでいつもの頻度での水やりをしていると過水状態になる根を傷める可能性があります。夏の水切れには充分注意しながら、土が乾いたら次の水やりを徹底してください。

培養環境を整え、樹勢を維持

葉刈りは効果が高い分負担も大きく、葉刈りばかり繰り返すと次第に枝が弱ってしまいます。

梅雨の時期はうどん粉病にもかかりやすくなるので、2回目以降は葉すかしや葉切りと、樹勢を維持しながら効果的な作業ができるように心がけてください。

また、初夏から夏にかけての光線は、新しい葉の組織を傷めてしまうので日よけの設置も忘れずに。

樹勢を維持するためには葉刈りの期間中は継続的な肥培が重要で、梅雨時も液肥を与えておくと芽吹きが安定します。

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楓(カエデ)の育て方

葉が展開してからは水の乾きが早くなるので水切れのないように気をつけてください。春の芽出し頃からは1日2~3回で、夏は1日3~4回、冬は2日に1回を目安に、表土が……

楓(カエデ)の魅力

楓には多くの種類があり、葉は3~9裂し、縁が鋸歯になっているものや滑らかなもの、やや波打っているものなど形や大きさが多様にあります。唐カエデの葉は3つに浅く分裂……

コメント

ひょうたん さん 2018年04月24日00時20分
こんばんは
そろそろ楓の全部刈りをと思っているのですが樹冠部に葉が出ていません。
こういった枝は、もう枯れこんでいると判断し、葉がつているところまで切り戻すべきなんでしょうか?
そのうち芽が出ることもあるのでしょうか?

大事なところなだけに判断に迷います・・・
きみ さん 2018年04月24日09時41分
ひょうたん さん
葉刈りが必要な樹ですか?最初は芽摘み+葉すかしくらいのほうがいいと思います。
わたしはかなり枝数が多いものでも全葉刈りすることはあまりありません。
してもいいんですが、2番芽の調子がグズグズになってしまうことがありまして。。

枯れているかは見てみないとわからないので様子みて判断してください。
ひょうたん さん 2018年04月24日21時40分
アドバイスありがとうございます。

展示会なんかで有り得ないぐらい、枝先のほぐれた楓を目にすると一年でも早くあの姿に!っと焦ってしまいます
枝数を増やす近道は「全部刈りを繰り返す!」ってちょっと違いますか?

樹勢が良いので二番芽は直ぐ出るかな~なんて思ってますが、主に懸念すべきは二番芽が吹くかどうかのリスクですか?
きみ さん 2018年04月25日09時14分
ひょうたんさん
芽は普通に吹きますが、全葉刈りをするとそれだけ多くの力を消耗するのでやたらにやるものでもないと思っています。
このページは一生懸命書いたのでまた読んでみてくださいm(--)m
ひょうたん さん 2018年04月26日22時22分
きみさん

よくよく見てみると葉の付いていない枝が結構あります。
疲れてるんでしょうか。
今年は芽摘み葉すかしで養生するようにします❗
林 忠仁 アダ名(リン) さん 2019年06月14日13時19分
先日、盆栽を売ってる所で、葉っぱの無い楓を見つけて、おじさんに聞いたら、枝を増やすのにこの時期5月、6月頃にやるんだと言ってました、興味がありますので教えて下さい、私の住んでるところは山の中に住んでましてその辺を歩けば自然の楓の子供がいくらでも手に入ります、それを鉢に植え替えて育つのを楽しんでます、今後とも宜しくお願いします リン
きみ さん 2019年06月15日08時21分
林 忠仁 アダ名(リン) さんへ
葉刈りといって、古い葉を新しい葉に更新して新陳代謝を促す目的とか、小枝をふやすとかいろいろ効果がありますね。
小さい樹は慎重になりますが。
身近なカエデでどうぞお楽しみください。